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第5部 厳しさにこめられた優しい想い
3-6性格が正反対のほうが人間関係って上手く行くのかもね
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私は〈東地区〉にある、イタリアンレストラン〈アクアマリン〉に来ていた。今日は、恒例の『女子会』をやるからだ。参加メンバーは、いつも通り、私・ナギサちゃん・フィニーちゃんの三人だ。
『ノア・マラソン』以降、立て続けに、色々トラブルがあって、ゆっくり集まる機会がなかった。一応、私の部屋に、差し入れを持って来てくれたりしたけど。まだ、謹慎中だったし、部屋が狭いので、伸び伸びという訳にはいかなかった。
でも、全ての問題が、無事に解決したので、今日は久しぶりに、心から楽しめる集まりだ。なので、朝からずっと、ワクワクしていた。
今日は、私が一番、最初の到着だった。会社が違いので、だいたい私が、一番乗りなんだよね。お茶を飲みながら『二人とも早く来ないかなぁー』と、少しソワソワしながら待っている。私って、待つのは苦手なので。
十五分ほど経つと、上空から、エンジン音が聞こえて来た。この音は、ナギサちゃんだ。最近は、エンジン音で、だいたい誰か分かってしまう。
静かに着陸すると、ゆっくりと、こちらに向かって来た。いつも通り、歩き方も、落ち着いていて美しかった。
「お仕事お疲れ様、ナギサちゃん」
「風歌も、お疲れ様。待ったかしら?」
「来たの、十五分ぐらい前かな」
「ずいぶんと、早く来たのね」
ナギサちゃんは、空いている席に静かに座る。相変わらず、一つ一つの動作が、とても上品だ。座ったあとも、ビシッと背筋を伸ばしている。
「久しぶりの女子会だから、気合が入っちゃって。仕事おわってから、すっ飛んで来たんだよね」
「それほど、久しぶりではないでしょ? 何だかんだで、会っているし」
まぁ、ELでも連絡とり合ってるし。常に、交流はあるんだけどね。
「そうなんだけどねぇー。色々な問題が、立て続けにあったから、妙に長く感じて。ここ最近、生きた心地しなかったし……」
営業停止中は、本当に、生きた心地がしなかった。一日が物凄く長く感じたし、常に悶々と考え込んでいた。やる事がないって、本当につらい。やっぱり、普通に仕事をしているのが、一番、幸せだと思う。
「まぁ、あれだけのことが有ればね。でも、風歌には、いい勉強よ。流石にもう、懲りたでしょ?」
「うん、懲りた懲りた。これからはもう、超慎重に生きて行くよ」
色々とチャレンジしてみたいことは、一杯ある。でも、平和な日常を壊してまでやろうとは、もう思わない。
自分だけならまだしも、周りの人にも、迷惑をかけてしまうし。これからは、上手く両立できるように、ちゃんと考えないとね。
「人生というのは、慎重すぎるぐらいで、ちょうどいいのよ」
「ナギサちゃんらしい、堅実な考え方だね。でも、変化が欲しい時もあるでしょ?」
「変化は、来るべき時に来るわ。それまでに、やるべきことを、全力でやるだけよ」
「なるほど、そんなものなのかもねぇ――」
ナギサちゃんと話していると、後方にスーッ降りてくる機体があった。あれは、フィニーちゃんの機体だ。相変わらず、静かで速い降下だ。
機体を降りると、いつも通り、ボーッとした表情のフィニーちゃんが、こちらにゆっくり向かって来た。
「フィニーちゃん、お疲れ様」
「会社出ようとしたら、つかまって、雑用やらされてた」
「大企業は、色々あって大変だね」
「出掛ける時に限って、なぜかつかまる……」
待ち合わせをすると、だいたい、いつも最後に来るのが、フィニーちゃんだ。休日は、寝坊したりも有るけど、会社のある日は、帰りにつかまることが多いみたい。
「普段の行いの問題でしょ? そもそも、昼間に全て終わらせておけば、残業なんて発生しないわよ」
「たまにしか、サボらないし。昼間も、ノルマはこなしてる」
「そもそも、サボること自体が問題でしょ。あと、与えられた以外の仕事も、自分で見つけてやるものよ」
「そんな面倒なの、やらない」
フィニーちゃんは、不機嫌そうに答える。
まぁ、実際、自分でどんどん仕事を見つけてやるのは、大事なことだよね。私の場合も、九割は自分で仕事を見つけてやってるし。言われる前に、やっちゃってるから、仕事を振られることは、ほとんどなかった。
でも、これは、人によるよね。私みたいに、仕事が好きだったり、ナギサちゃんみたいに、真面目な人なら、どんどんやると思うけど。仕事と割り切ってる人は、必要以上には、やらないのかも。
「まぁまぁ、せっかく仕事が終わって、集まったんだし。楽しくやろうよ。それに、私が色々ゴタゴタしてたから、のんびり話せるの、久しぶりだし」
二人が言い合いになる前に、サッと話題を変える。二人とも、仲はいいんだけど、相変わらず、意見が一致することは、めったになかった。
ほどなくして、前菜の生ハムとトマトのサラダが出てきた。見た目もキレイだし、さっぱりしていて、とても美味しい。
それに、みんなと一緒に食べると、やっぱり、格段に美味しく感じる。あと、外で風を浴びながら、開放的な気分で食べるのは、最高だよね。いつもは、狭い屋根裏なので。
「そういえば、二人に、まだ、言っていないことが有ったわ」
ナギサちゃんは、フォークとナイフを置くと、真剣な表情をする。
「ん、何かあったの?」
「仕事で、ミスした?」
「そんな訳ないでしょ! 私はいつだって、仕事は完璧よ」
ナギサちゃんは、ムキになって否定する。普段の彼女を見ていれば、いかに完璧に、仕事をこなしているかは、言われるまでもなく分かる。何をやっても器用だし、几帳面だから。
「その――つまり、レイアー契約のことよ」
ナギサちゃんは、咳払いしながら話す。
「あぁ、姉妹制度のことだよね? だいぶ前に話してた」
「えぇ、そうよ」
「また、同期の人が、レイアー契約したの?」
以前は、同期の子がレイアー契約したって、だいぶ羨ましそうに話してた。私は、リリーシャさんと二人きりだから、全く気にならないけど。大企業で働く子にとっては、割と死活問題らしい。
「そうじゃなくて、私がしたのよ……。レイアー契約」
「へぇー。って、そうなんだ、おめでとう! 今日、契約したの?」
「いいえ。先日の『華麗祭』の最終日にね。でも、風歌は色々あって、それどころじゃなかったから、話を出さなかったのよ」
「あー、そういうこと――。何か、ゴメンね、気を遣わせちゃって」
確かに、人が墜落事故を起こしたり、営業停止処分を受けている時に、自分の嬉しい話なんて、できないよね。
「別に、それはいいわよ。そんなに、急ぎの話でもないし」
ナギサちゃんは、静かに答える。
「それで、相手はどんな人なの? やっぱり、ナギサちゃんみたいに、凄く上品で真面目な人?」
ナギサちゃんの理想は、お母さんみたいな、気高い人になることだ。となると、姉に選んだ人も、物凄く気品のある、シャキッとした人だと思う。
「ナギサみたいな、口うるさい人?」
前菜を食べながら、フィニーちゃんが、ボソッと口を開く。
「誰が、口うるさいのよ! というか、どちらもハズレよ。特別、上品でもないし、割と大雑把だし。放任主義で、口煩いことは何も言わない、自由気ままな人よ」
「へぇー、すっごく意外。似たような人を、選ぶんだと思ってた」
何か、話を聴いた限りでは、完全に正反対な性格の人みたい。そんな人と、真面目なナギサちゃんが、合うんだろうか……?
「私も、最初はそう思ってたわ。でも、成り行きで、こうなっちゃったのよ――」
「ナギサちゃんが、成り行きなんて珍しいね。ということは、とてもいい人なの?」
ナギサちゃんは、物凄く慎重で、何事も計画的にやる性格。だから、勢いや成り行きで行動するなんて、まずないことだ。
「確かに、いい人ではあるわね。とても気が付くし、優しいし」
「じゃあ、よかったじゃない。何て名前の人? 結構、有名な人だったり?」
「まぁ、有名だし、あなたたちも知ってる人よ……」
ナギサちゃんは、少し視線をそらし、小さな声で答える。
ん――? 私たちが知っていて、有名な人? 私は、パッとある人物の顔が、思い浮かんだ。そもそも〈ファースト・クラス〉のシルフィードで、知っている人なんて、数人しかいない。
「まさか、ツバサさん?!」
「えぇ、まぁ……」
「へぇー、凄いじゃない!! ってか、やっぱり、そうなったのかぁー」
何となくだけど、あの二人って『姉妹なったら、いい感じじゃないかなぁー』とは思ってた。性格は違うけど、仲はよさそうだったし。
「――なんで、そう思ったのよ?」
「だって、二人とも、いい感じだったじゃない。相性よさそうだし」
「どこが、相性いいのよ? 性格や考え方が、完全に真逆なのに」
「だから、いいんじゃない。お互いに、補い合えるから。それに、二人とも、お互いを認め合ってるでしょ?」
ナギサちゃんは、沈黙して考え込む。
「私とリリーシャさんも、正反対の性格だけど、凄く仲いいよ。お互いの、いい部分を認めていて、補い合ってるからじゃないかな? なんと言っても、大好きだし。ナギサちゃんも、ツバサさんのこと、大好きでしょ?」
「えっ?! 好きは――好きだけど。大好きは、大げさよ……」
ナギサちゃんは、視線をそらしながら答える。その表情は、単なる、照れ隠しだと思う。きっと、大好きなんだよね、ツバサさんのこと。
「フィニーちゃんも、メイリオさんとは、全然、性格が違うよね?」
「正反対。みんな性格ちがうの、当たり前」
「でも、メイリオさんのこと、好きでしょ?」
「うん、大好き」
フィニーちゃんは、何の臆面もなく、素直に答える。
「ほら、そんなもんだよ。性格が違っても、好きなら上手くいくよ、きっと」
「――そういうものかしら?」
ナギサちゃんは、難しそうな表情をして考え込む。
ナギサちゃんは、何でも理論的に考えるけど、相性ばかりは、理屈じゃないと思う。要は、どれだけ好きかの問題だよね。お互いが好きなら、どんなに性格が違っても、上手く行くはずだもん。
好きな人のためなら、何だって、してあげたいと思うし。相手に合わせるのも、好きでやる事だから、まったく苦にならない。
でも、二人ともお姉さんがいて、ちょっと、うらやましい。私も、リリーシャさんに、お願いしてみようかな……?
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
次回――
『練習飛行をしていたら行き倒れている人を発見した・・・』
倒れることなど何も恥ではない…! そこから起き上がらないことこそ恥…!
『ノア・マラソン』以降、立て続けに、色々トラブルがあって、ゆっくり集まる機会がなかった。一応、私の部屋に、差し入れを持って来てくれたりしたけど。まだ、謹慎中だったし、部屋が狭いので、伸び伸びという訳にはいかなかった。
でも、全ての問題が、無事に解決したので、今日は久しぶりに、心から楽しめる集まりだ。なので、朝からずっと、ワクワクしていた。
今日は、私が一番、最初の到着だった。会社が違いので、だいたい私が、一番乗りなんだよね。お茶を飲みながら『二人とも早く来ないかなぁー』と、少しソワソワしながら待っている。私って、待つのは苦手なので。
十五分ほど経つと、上空から、エンジン音が聞こえて来た。この音は、ナギサちゃんだ。最近は、エンジン音で、だいたい誰か分かってしまう。
静かに着陸すると、ゆっくりと、こちらに向かって来た。いつも通り、歩き方も、落ち着いていて美しかった。
「お仕事お疲れ様、ナギサちゃん」
「風歌も、お疲れ様。待ったかしら?」
「来たの、十五分ぐらい前かな」
「ずいぶんと、早く来たのね」
ナギサちゃんは、空いている席に静かに座る。相変わらず、一つ一つの動作が、とても上品だ。座ったあとも、ビシッと背筋を伸ばしている。
「久しぶりの女子会だから、気合が入っちゃって。仕事おわってから、すっ飛んで来たんだよね」
「それほど、久しぶりではないでしょ? 何だかんだで、会っているし」
まぁ、ELでも連絡とり合ってるし。常に、交流はあるんだけどね。
「そうなんだけどねぇー。色々な問題が、立て続けにあったから、妙に長く感じて。ここ最近、生きた心地しなかったし……」
営業停止中は、本当に、生きた心地がしなかった。一日が物凄く長く感じたし、常に悶々と考え込んでいた。やる事がないって、本当につらい。やっぱり、普通に仕事をしているのが、一番、幸せだと思う。
「まぁ、あれだけのことが有ればね。でも、風歌には、いい勉強よ。流石にもう、懲りたでしょ?」
「うん、懲りた懲りた。これからはもう、超慎重に生きて行くよ」
色々とチャレンジしてみたいことは、一杯ある。でも、平和な日常を壊してまでやろうとは、もう思わない。
自分だけならまだしも、周りの人にも、迷惑をかけてしまうし。これからは、上手く両立できるように、ちゃんと考えないとね。
「人生というのは、慎重すぎるぐらいで、ちょうどいいのよ」
「ナギサちゃんらしい、堅実な考え方だね。でも、変化が欲しい時もあるでしょ?」
「変化は、来るべき時に来るわ。それまでに、やるべきことを、全力でやるだけよ」
「なるほど、そんなものなのかもねぇ――」
ナギサちゃんと話していると、後方にスーッ降りてくる機体があった。あれは、フィニーちゃんの機体だ。相変わらず、静かで速い降下だ。
機体を降りると、いつも通り、ボーッとした表情のフィニーちゃんが、こちらにゆっくり向かって来た。
「フィニーちゃん、お疲れ様」
「会社出ようとしたら、つかまって、雑用やらされてた」
「大企業は、色々あって大変だね」
「出掛ける時に限って、なぜかつかまる……」
待ち合わせをすると、だいたい、いつも最後に来るのが、フィニーちゃんだ。休日は、寝坊したりも有るけど、会社のある日は、帰りにつかまることが多いみたい。
「普段の行いの問題でしょ? そもそも、昼間に全て終わらせておけば、残業なんて発生しないわよ」
「たまにしか、サボらないし。昼間も、ノルマはこなしてる」
「そもそも、サボること自体が問題でしょ。あと、与えられた以外の仕事も、自分で見つけてやるものよ」
「そんな面倒なの、やらない」
フィニーちゃんは、不機嫌そうに答える。
まぁ、実際、自分でどんどん仕事を見つけてやるのは、大事なことだよね。私の場合も、九割は自分で仕事を見つけてやってるし。言われる前に、やっちゃってるから、仕事を振られることは、ほとんどなかった。
でも、これは、人によるよね。私みたいに、仕事が好きだったり、ナギサちゃんみたいに、真面目な人なら、どんどんやると思うけど。仕事と割り切ってる人は、必要以上には、やらないのかも。
「まぁまぁ、せっかく仕事が終わって、集まったんだし。楽しくやろうよ。それに、私が色々ゴタゴタしてたから、のんびり話せるの、久しぶりだし」
二人が言い合いになる前に、サッと話題を変える。二人とも、仲はいいんだけど、相変わらず、意見が一致することは、めったになかった。
ほどなくして、前菜の生ハムとトマトのサラダが出てきた。見た目もキレイだし、さっぱりしていて、とても美味しい。
それに、みんなと一緒に食べると、やっぱり、格段に美味しく感じる。あと、外で風を浴びながら、開放的な気分で食べるのは、最高だよね。いつもは、狭い屋根裏なので。
「そういえば、二人に、まだ、言っていないことが有ったわ」
ナギサちゃんは、フォークとナイフを置くと、真剣な表情をする。
「ん、何かあったの?」
「仕事で、ミスした?」
「そんな訳ないでしょ! 私はいつだって、仕事は完璧よ」
ナギサちゃんは、ムキになって否定する。普段の彼女を見ていれば、いかに完璧に、仕事をこなしているかは、言われるまでもなく分かる。何をやっても器用だし、几帳面だから。
「その――つまり、レイアー契約のことよ」
ナギサちゃんは、咳払いしながら話す。
「あぁ、姉妹制度のことだよね? だいぶ前に話してた」
「えぇ、そうよ」
「また、同期の人が、レイアー契約したの?」
以前は、同期の子がレイアー契約したって、だいぶ羨ましそうに話してた。私は、リリーシャさんと二人きりだから、全く気にならないけど。大企業で働く子にとっては、割と死活問題らしい。
「そうじゃなくて、私がしたのよ……。レイアー契約」
「へぇー。って、そうなんだ、おめでとう! 今日、契約したの?」
「いいえ。先日の『華麗祭』の最終日にね。でも、風歌は色々あって、それどころじゃなかったから、話を出さなかったのよ」
「あー、そういうこと――。何か、ゴメンね、気を遣わせちゃって」
確かに、人が墜落事故を起こしたり、営業停止処分を受けている時に、自分の嬉しい話なんて、できないよね。
「別に、それはいいわよ。そんなに、急ぎの話でもないし」
ナギサちゃんは、静かに答える。
「それで、相手はどんな人なの? やっぱり、ナギサちゃんみたいに、凄く上品で真面目な人?」
ナギサちゃんの理想は、お母さんみたいな、気高い人になることだ。となると、姉に選んだ人も、物凄く気品のある、シャキッとした人だと思う。
「ナギサみたいな、口うるさい人?」
前菜を食べながら、フィニーちゃんが、ボソッと口を開く。
「誰が、口うるさいのよ! というか、どちらもハズレよ。特別、上品でもないし、割と大雑把だし。放任主義で、口煩いことは何も言わない、自由気ままな人よ」
「へぇー、すっごく意外。似たような人を、選ぶんだと思ってた」
何か、話を聴いた限りでは、完全に正反対な性格の人みたい。そんな人と、真面目なナギサちゃんが、合うんだろうか……?
「私も、最初はそう思ってたわ。でも、成り行きで、こうなっちゃったのよ――」
「ナギサちゃんが、成り行きなんて珍しいね。ということは、とてもいい人なの?」
ナギサちゃんは、物凄く慎重で、何事も計画的にやる性格。だから、勢いや成り行きで行動するなんて、まずないことだ。
「確かに、いい人ではあるわね。とても気が付くし、優しいし」
「じゃあ、よかったじゃない。何て名前の人? 結構、有名な人だったり?」
「まぁ、有名だし、あなたたちも知ってる人よ……」
ナギサちゃんは、少し視線をそらし、小さな声で答える。
ん――? 私たちが知っていて、有名な人? 私は、パッとある人物の顔が、思い浮かんだ。そもそも〈ファースト・クラス〉のシルフィードで、知っている人なんて、数人しかいない。
「まさか、ツバサさん?!」
「えぇ、まぁ……」
「へぇー、凄いじゃない!! ってか、やっぱり、そうなったのかぁー」
何となくだけど、あの二人って『姉妹なったら、いい感じじゃないかなぁー』とは思ってた。性格は違うけど、仲はよさそうだったし。
「――なんで、そう思ったのよ?」
「だって、二人とも、いい感じだったじゃない。相性よさそうだし」
「どこが、相性いいのよ? 性格や考え方が、完全に真逆なのに」
「だから、いいんじゃない。お互いに、補い合えるから。それに、二人とも、お互いを認め合ってるでしょ?」
ナギサちゃんは、沈黙して考え込む。
「私とリリーシャさんも、正反対の性格だけど、凄く仲いいよ。お互いの、いい部分を認めていて、補い合ってるからじゃないかな? なんと言っても、大好きだし。ナギサちゃんも、ツバサさんのこと、大好きでしょ?」
「えっ?! 好きは――好きだけど。大好きは、大げさよ……」
ナギサちゃんは、視線をそらしながら答える。その表情は、単なる、照れ隠しだと思う。きっと、大好きなんだよね、ツバサさんのこと。
「フィニーちゃんも、メイリオさんとは、全然、性格が違うよね?」
「正反対。みんな性格ちがうの、当たり前」
「でも、メイリオさんのこと、好きでしょ?」
「うん、大好き」
フィニーちゃんは、何の臆面もなく、素直に答える。
「ほら、そんなもんだよ。性格が違っても、好きなら上手くいくよ、きっと」
「――そういうものかしら?」
ナギサちゃんは、難しそうな表情をして考え込む。
ナギサちゃんは、何でも理論的に考えるけど、相性ばかりは、理屈じゃないと思う。要は、どれだけ好きかの問題だよね。お互いが好きなら、どんなに性格が違っても、上手く行くはずだもん。
好きな人のためなら、何だって、してあげたいと思うし。相手に合わせるのも、好きでやる事だから、まったく苦にならない。
でも、二人ともお姉さんがいて、ちょっと、うらやましい。私も、リリーシャさんに、お願いしてみようかな……?
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倒れることなど何も恥ではない…! そこから起き上がらないことこそ恥…!
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