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第二章 いきなり社長と同棲生活
①
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港区にある超高級分譲地。
都内に住んでいても足を踏み入れたことはない、場違い感漂う邸宅街。その一角に高級車は進んでいく。むしろ高級車でなければ浮いてしまいそうな場所だ。
その中でもひときわ目立つ、大使館や歴史的建造物のような低層高級マンション。東京でありながら、豊かな緑に囲まれている。
深夜だけれど、イルミネーションのように明かりがともっていて、美しく配された壁面と豪華な装飾により、華麗な存在感を放っていた。白い石造りのエントランスは植栽に囲まれていて、中ではコンシェルジュが待機していた。
車のドアは開いているけれど、降りるのが憂鬱で座ったまま固まっていると、一足先に降りていた社長が覗き込んできた。
「おい、さっさと降りろ」
うわ~、もう怖いよ、この人。
私の旦那様になる麗しい社長の顔を睨みつけて、車から降りた。
「それではまた、いつもの時間にお迎えに上がります」
若いイケメンの運転手さんが、丁寧に別れの挨拶を口にした。
社長は片手を挙げて運転手に承諾の旨を伝え、私の腰に手を回してエスコートするようにエントランスに入っていく。
いやいやいや、なにこの状況。
コンシェルジュさんに見せつけるかのように、『こいつ、俺の女だから』アピール。
たしかに、現状って、私は社長の……婚約者ってやつ?
これから同棲することになっているから、顔は覚えてもらった方がいいのだけれど。
やたら堂々としているし、もの凄い満足げなのはどうして?
ホテルのロビーのような豪華なエントランスを通り、エレベーターに乗ると、社長は最上階のボタンを押した。
なんだか急に不安になってきた。密室のエレベーター内に二人きりだと、その緊張感が増す。
大丈夫なのだろうか。ほぼ初対面みたいな相手と結婚。そして同棲。逃げるなら、今しかないかもしれない。
「最上階は数戸しかない特別なペントハウス仕様となっている。部屋数も多いから住むのに不自由はないと思う」
さすがは社長。一人暮らしなのにペントハウスですか。
「へえ……凄いですね」
緊張が高まりすぎて、他人事みたいな返事になってしまった。これから、私も住むというのに。
エレベーターが止まると、ホテルの内廊下のような美しく装飾された空間が広がっていた。柔らかい絨毯が敷かれ、上品な壁紙が映えている。
エレベーターから最奥の場所に社長は止まると、カードキーでドアを開けた。
(どうする⁉ やっぱり結婚やめますって言う⁉ 今を逃したら取り返しのつかないことになりそう)
中に入ることを戸惑っていると、「さっさと入れ」と圧をかけられたので反射的に入ってしまった。
オートロックなのか、背中越しにドアが閉まった音が聞こえた。
だだっ広い玄関で、私は意を決し、社長に問いかけた。
「あの、今ここで約束してもらっていいですか⁉」
突然、私が社長を責めるような物言いで食いかかっていったので、社長は顔をしかめた。
「……約束?」
社長は私にぐいと近付いた。
ああああ、圧が、圧が強い。でも、ここで負けてはいけない!
「私に! 手を出さないって……」
最初は勢いよく啖呵を切るように言えたけれど、最後は尻すぼみになって小さな声となった。
自分で言っていて恥ずかしい。社長から目を逸らして、気まずそうにもじもじする私を社長は見下ろした。
すると、いきなり私の後ろの壁に、ドンっと手をつき、吐息がかかりそうなほど顔を寄せた。
「ずいぶん自分に自信があるようだな。一緒に住んだら俺がお前に手を出してしまうほど、自分は魅力的だと?」
「そ、そういうことじゃなくて、一応あの、確認というか約束というか……」
顔が近すぎる。逃げられないように壁と社長に挟まれている。
社長はもしかしたら怒っているのかもしれないけれど、イケメンの壁ドンは破壊力が凄い。心臓が早鐘のように鳴り響ていて、なんの緊張感なのかがわからない。
恐怖とも違う、ときめきとも違う、とにかく顔が近い。
「なぜ俺がそんな約束をしないといけない? 言っておくが、俺に抱かれたいと懇願する女は山ほどいる。うぬぼれるな」
「……はい、すみませんでした」
どうして私は謝っているのだろう。俺に抱かれたいと懇願する女は山ほどいると聞いて、なぜか、『でしょうね』という感想が浮かんだ。
これだけ顔を近付けられて不快な気持ちにならないどころか、恋愛感情は一切ないはずなのに鼓動が高鳴ってしまっている。
単に顔がいいだけでなく、体中からとんでもないフェロモンを放出させているのだと思う。
社長は私を許してくれたのか、壁ドンを解除してくれた。ようやくまともに息が吸える。あんなフェロモンを浴び続けたら、いつの間にか理性が崩壊しそうだ。
顔がいいだけの男にはときめかないけれど、イケメンの中でも特別な最上位ランクの男の人は、近くに寄るだけで匂いとかフェロモンとかでクラクラさせるような特別ななにかを持っているのだろうか。
あれ? なんか素知らぬ様子で約束しないように仕向けられた気がするのは……気のせいか。
そんなこと言ったら、また『うぬぼれるな』って怒られそう。
都内に住んでいても足を踏み入れたことはない、場違い感漂う邸宅街。その一角に高級車は進んでいく。むしろ高級車でなければ浮いてしまいそうな場所だ。
その中でもひときわ目立つ、大使館や歴史的建造物のような低層高級マンション。東京でありながら、豊かな緑に囲まれている。
深夜だけれど、イルミネーションのように明かりがともっていて、美しく配された壁面と豪華な装飾により、華麗な存在感を放っていた。白い石造りのエントランスは植栽に囲まれていて、中ではコンシェルジュが待機していた。
車のドアは開いているけれど、降りるのが憂鬱で座ったまま固まっていると、一足先に降りていた社長が覗き込んできた。
「おい、さっさと降りろ」
うわ~、もう怖いよ、この人。
私の旦那様になる麗しい社長の顔を睨みつけて、車から降りた。
「それではまた、いつもの時間にお迎えに上がります」
若いイケメンの運転手さんが、丁寧に別れの挨拶を口にした。
社長は片手を挙げて運転手に承諾の旨を伝え、私の腰に手を回してエスコートするようにエントランスに入っていく。
いやいやいや、なにこの状況。
コンシェルジュさんに見せつけるかのように、『こいつ、俺の女だから』アピール。
たしかに、現状って、私は社長の……婚約者ってやつ?
これから同棲することになっているから、顔は覚えてもらった方がいいのだけれど。
やたら堂々としているし、もの凄い満足げなのはどうして?
ホテルのロビーのような豪華なエントランスを通り、エレベーターに乗ると、社長は最上階のボタンを押した。
なんだか急に不安になってきた。密室のエレベーター内に二人きりだと、その緊張感が増す。
大丈夫なのだろうか。ほぼ初対面みたいな相手と結婚。そして同棲。逃げるなら、今しかないかもしれない。
「最上階は数戸しかない特別なペントハウス仕様となっている。部屋数も多いから住むのに不自由はないと思う」
さすがは社長。一人暮らしなのにペントハウスですか。
「へえ……凄いですね」
緊張が高まりすぎて、他人事みたいな返事になってしまった。これから、私も住むというのに。
エレベーターが止まると、ホテルの内廊下のような美しく装飾された空間が広がっていた。柔らかい絨毯が敷かれ、上品な壁紙が映えている。
エレベーターから最奥の場所に社長は止まると、カードキーでドアを開けた。
(どうする⁉ やっぱり結婚やめますって言う⁉ 今を逃したら取り返しのつかないことになりそう)
中に入ることを戸惑っていると、「さっさと入れ」と圧をかけられたので反射的に入ってしまった。
オートロックなのか、背中越しにドアが閉まった音が聞こえた。
だだっ広い玄関で、私は意を決し、社長に問いかけた。
「あの、今ここで約束してもらっていいですか⁉」
突然、私が社長を責めるような物言いで食いかかっていったので、社長は顔をしかめた。
「……約束?」
社長は私にぐいと近付いた。
ああああ、圧が、圧が強い。でも、ここで負けてはいけない!
「私に! 手を出さないって……」
最初は勢いよく啖呵を切るように言えたけれど、最後は尻すぼみになって小さな声となった。
自分で言っていて恥ずかしい。社長から目を逸らして、気まずそうにもじもじする私を社長は見下ろした。
すると、いきなり私の後ろの壁に、ドンっと手をつき、吐息がかかりそうなほど顔を寄せた。
「ずいぶん自分に自信があるようだな。一緒に住んだら俺がお前に手を出してしまうほど、自分は魅力的だと?」
「そ、そういうことじゃなくて、一応あの、確認というか約束というか……」
顔が近すぎる。逃げられないように壁と社長に挟まれている。
社長はもしかしたら怒っているのかもしれないけれど、イケメンの壁ドンは破壊力が凄い。心臓が早鐘のように鳴り響ていて、なんの緊張感なのかがわからない。
恐怖とも違う、ときめきとも違う、とにかく顔が近い。
「なぜ俺がそんな約束をしないといけない? 言っておくが、俺に抱かれたいと懇願する女は山ほどいる。うぬぼれるな」
「……はい、すみませんでした」
どうして私は謝っているのだろう。俺に抱かれたいと懇願する女は山ほどいると聞いて、なぜか、『でしょうね』という感想が浮かんだ。
これだけ顔を近付けられて不快な気持ちにならないどころか、恋愛感情は一切ないはずなのに鼓動が高鳴ってしまっている。
単に顔がいいだけでなく、体中からとんでもないフェロモンを放出させているのだと思う。
社長は私を許してくれたのか、壁ドンを解除してくれた。ようやくまともに息が吸える。あんなフェロモンを浴び続けたら、いつの間にか理性が崩壊しそうだ。
顔がいいだけの男にはときめかないけれど、イケメンの中でも特別な最上位ランクの男の人は、近くに寄るだけで匂いとかフェロモンとかでクラクラさせるような特別ななにかを持っているのだろうか。
あれ? なんか素知らぬ様子で約束しないように仕向けられた気がするのは……気のせいか。
そんなこと言ったら、また『うぬぼれるな』って怒られそう。
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