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第43話 告白、じゃないよな?
しおりを挟む町が豊かになればなるほど、それを求めてやってくる魔物が多い。
なので四六時中、外部から侵入されないための監視が必要だ。
この町には戦うことのできる戦士が五十名ほどいる。
魔族が三十人、人族が二十人。
町の周辺を見張りは二十人に任せ、朝と夜の担当に分ける。
俺も大抵、夜に見張りをする。
黒魔術か、それとも何かしらの影響なのか、この身体はなぜか睡眠をあまり必要としない。
本調子で三日間、最大五日なら起きていられる。
「ロベリアは、この町の人達を助けようと思ったの?」
木材から石造りへと強化された防壁の前で、並んで座るエリーシャが訪ねてきた。
その腰には、新しく作られた剣が納められている。
ヤエの父親が打った自慢の剣だ。
「人助けに、理由なんて必要ないだろ」
そう答えると、一瞬だけエリーシャは黙り込んだ。
難しい顔をしていた。
「うん、そうだよね……でも、やっぱり、前までのロベリアには―――」
「あり得ないこと。そう言いたいんだろ? まったく、単純な奴め」
「うぅ、それは、ごめんなさい」
「……その程度で貶されたとは思わん。いちいち気にするな」
ラインハルの敵として立ちふさがってきた。
そこにはエリーシャも居た。
彼女から見れば、前までのロベリアは嫌われても文句の言えない悪党だった。
昔の俺を知ってる人間たちにとって、この変わりようは気持ち悪いだろう。
「人は変わる。例え、どんな重い罪を背負っていたとしても、贖罪の道を辿っていけば……必ず」
裏切られ、父親を殺され、妹を売られ、新たな父親に捨てられた。
自業自得だが、彼が世界によって歪められたのも確かなことだ。
あんな完璧な悪党、いや『復讐者』はそうそう居ない。
しかし、だからといってロベリアのやったことが許されるとは思っていない。
自分が苦しんだから他人を傷つける。
ふざけた話だ、それを正当化してたまるか。
「―――じゃあロベリアは、いつ許されるの?」
「……さあ、人の理から外れすぎたからな。だが誰かを苦しませたり、誰かが苦しんでいるところを見るのは、もう御免だ……必要であれば俺は、永遠に歩き続けたいと思っている」
「……っ」
俯き、拳をぎゅっと握りしめるエリーシャが見えた。
そして何かを決心したように頷き、真っ直ぐこちらを見つめてきた。
「もしも、もしもだよ。私も、その……一緒に歩いてみたいって言ったら……ダメかな?」
頬を赤らめながらエリーシャは言った。
え、待って、気のせいだよな。
なに、その質問?
それじゃ、まるでこの先も俺と共に生きていきたいっていう解釈になるんですけど。
ま、まさかぁ、そういう意図があって言ったわけじゃ……ないよな?
「それは困る。貴様には、貴様を待つ仲間がいるだろ」
「……あっ、うん、そうだよね。ごめんね、変なこと言っちゃって」
何かを堪えるようにエリーシャは唇の端をぴくぴくさせていた。
「あ、明日、ちょっと用事があるんだけどさ、先に上がっちゃってもいい?」
元からエリーシャに見張りはやらせていない。
どうしてもと言うから付き合わせたのだけど、用事があるのなら仕方がない。
「ああ、構わないが?」
「あ、ありがとね……そ、それじゃ……おやすみ、なさい……ぐすっ」
相当、眠いのか何度も目を擦っている。
そしてあくびを堪えているのか、声も若干震えていた。
俺が返事をする前にエリーシャは、そそくさに町の中へと逃げるように走っていってしまった。
静寂に包まれ、俺は溜息を吐きながら。
見張りを再開するのだった。
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