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町を案内しましょう
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スキルを授かった僕たちだけど、それからすぐに働いたり外に出たりはしない。
有能なスキルを授かった者は、領主さまや教会、時には王様に呼ばれて王都にまで行く事もあるけれど、そこに行ってやる事と言えば勉強だ。
学校に通い、必要な知識や技術、礼儀作法を教わってから呼ばれた先で雇われる事になっている。
学校で勉強する期間は普通は三年、その間にスキルを伸ばしてより良い待遇で雇って貰えるように学ぶんだ。
じゃあ、大したスキルを授からなかった者は? と言うか儀式で授かるスキルなんて、大半は普通の生活に役立つか仕事向きのスキルだ。
『料理人』のスキルだったら、お店や実家で料理を習いながらスキルを伸ばす。
大抵の職人系のスキルなら、両親に教わりながらという子が多いかな。
家にずっといる事もできるけど、ここのような小さな町でも教会で勉強を教えてくれるから、町の殆どの子供は十三歳まで教会に通う事になる。
「行ってきます!」
僕もスキルを授かった次の日から、教会に週に三日通って勉強を教わっている。
教会に通い始めた日には、何度も聞いた事がある魔族と魔物の話しを神父様から聞かされた。
◆◆◆◇◇◇ ◆◆◆◇◇◇ ◆◆◆
「子供たちよ、皆よく聞いてしっかり覚えておきなさい。
この国のある大陸のずっとずっと南の果てに、魔族と魔物の住む極地と呼ばれる大地がある。
その大地は恐ろしい瘴気にまみれ、普通の人や動物はあっという間に死に至ると言う。
その瘴気漂う中で暮らす存在が魔族と魔物だ、魔族は数千年も昔から極地に住んでいたが、数百年程前に突然人の住むこの大地を我が物にしようと襲ってきた。
魔族が使役する魔物は、人々を襲って町を荒らし、農作物を踏み潰して大地を穢す。
そうやって、自分たちが動ける土地に変えて魔族がやってくる。
魔族は魔物よりもっと恐ろしく強い存在で、人を見れば全てを殺し滅する為に、強大な魔法を使ってくると言う。
魔族に対応する為に、我々人間は力を合わせて対応している。
そして、スキルの力! 有効なスキルを持った人を集め魔族にも対抗出来るように力を鍛え研鑽し、遂には魔族を倒せる者が現れた! スキル『勇者』や『聖女』、『大魔法使い』、『賢者』などの力や知恵、癒しの力を持つ者たちが魔族どころか魔王すら退けてみせたのだ!
子供たちよ、自分のスキルがそのような力をもったスキルで無かった事を悔やむでないよ。
お前たち一人一人の力は小さいだろうが、その力が集まって町を動かし、国を動かし、魔族に対応しうる力となる。
そしていつの日か、魔族を打ち破り、魔王を倒してこの大地の全てを人の手に取り戻すのだ!」
この町にいて魔族や魔物は見た事無いけれど。僕もいつか勇者になって、悪い魔族や魔王を倒してやる!
◆◆◆◇◇◇ ◆◆◆◇◇◇ ◆◆◆
教会から家までの帰り道では、町を歩きながら僕の授かったスキル『わらしべ長者』の事を考えていた。
適当に道に落ちている石や木の棒を拾ってみたけれど、それではスキルは発動しなくて手を離すとポトンと落ちてしまうんだ。
何がキッカケでこのスキルは働くんだろう? そんな事を考えながらボーッと歩いていたのがいけなかったんだろね。
「ウワッ!」
ドスン
角を曲がって出てきた人にぶつかってしまった、ぶつかった相手は腰を突いて座り込んでしまっている。
「あいたたた……」
「御免なさい! 大丈夫ですか!?」
ぶつかった相手はお年寄りのお爺さんで、転んだ時に腰を打ったのか、腰を押さえて立ち上がれないでいる。
僕はお爺さんに近寄って、腰に手を当てた。
「大丈夫ですか? 腰を打ったのかな?」
お爺さんは、僕の顔をみると済まなさそうにして「初めての町で分からずによそ見をしていたよ、許しておくれ」と謝ってきたので。
「僕の方こそ、ボーッとして気がつくのが遅れました。御免なさい」と謝った。
お爺さんはそんな僕の態度を優しそうな笑顔で見ながら「摩ってくれたお陰で、痛みが引いたようじゃ。ありがとう」
そう言って立ち上がったのだけれど、それより大変な事が起こっていた!
僕の手が、お爺さんの腰にくっ付いて離れないんだ! 何このスキル!? 対象は物だけじゃないの?!
手を離そうとしない僕を不思議に思ったお爺さんが「もう大丈夫じゃよ?」と言って離れようとするけれど。
(僕も手を離したいんですけれど、手が離れないんです)なんて言えない。
「あ、あの。ぶつかってしまったお詫びに、町を案内してあげます。お爺さん、この町は初めてなんでしょ?」
これなら、腰に手を当てていても変には思われないかな?
「おお、そうかい? それなら助かるが。
坊やは用事とか、お使いがあったのではないかい?」
学校……と思ったけれど、この状況でお爺さんを連れて行けないので、散歩していただけだと言って町を案内する事にした。
この先の教会……はマズいので反対方向に向かう。いつも僕らが遊んでいる広場、今の時間は十才になっていない小さな子たちが集まって遊んでいた。
「あっ! アベルー! 何してんの? 遊ぼう!」
顔を知っている子も居て、僕を見つけて駆け寄ってきたけれど「お兄さんは、このお爺さんに町を案内している所だからまた今度ね」と言って追い払った。
「慕われているのじゃな」
お爺さんは感心してくれるけど。
それは嘘だ、同い年の友達は僕をチビだと言って仲間に入れてくれない時があるから、そんな時はもっと小さい子の相手をして自分がお兄さんぶっているだけ。
「次に行きましょう!」
僕は、お爺さんの腰に手を当てたまま町の色々な場所を案内してあげた。美味しいパン屋さん、噂好きの叔母さんの家、怖いお爺さんの家、町長の家。そして最後に……町の教会、だけどやっぱり止めようと思った時だ。
スキルの効果で僕の足は勝手に動き出し、教会に向けて進んでしまっていた。
そして、たどり着いた教会の前。
「おお、教会か。儂も教会に用があったのじゃよ。案内してくれてありがとうな、そう言えば名前を聞いて無かったな」
お爺さんが名前を聞いてきたので、答えようとした時。
「まさか、司教様ですか?!」
教会から出てきた人が、大声でお爺さんに向かって叫んだ。
「司教様! 使いを出して頂ければ迎えに行きましたのに!」
近寄ってきてのは神父様でした。
神父様はお爺さんの姿を見て周りをキョロキョロして、司教様お一人なのかと聞いていた。
お爺さんは、神父様の問いに。
「連れはおるよ、ほら。この子が教会まで案内してくれたのじゃ」と、僕の事を説明してくれた。
神父様は僕の事をみると「アベルじゃないか、学校はもう始まっているよ」と教室に行くように急かす。
僕は、バレてしまった事が恥ずかしくてチラッとお爺さんの顔を見ると。
「そうか、アベルは教会に寄る前に儂に町を案内してくれたのじゃな、ありがとう。そうじゃ、お礼にコレをあげよう」
と言って、上着のポケットから何かを取り出して僕の手に握らせてくれた。
いま気が付いたのだけど、僕の手はお爺さんの腰から離れていたので、これでスキル『わらしべ長者』は完了したと言う事なのだろうか。
「さあさあ、アベルは教室に行って。司教様も中へどうぞいらして下さい」
神父様に急かされて僕は教室へと向かい、お爺さんは神父様と教会の中へ。
僕の手には、お爺さんから貰ったおメダイが握られていました。
ピコン!
スキルポイントアップ
スキル、「わらしべ長者」(2)+1
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
あとがき
町案内していたのは、司祭様でした。
次回、司祭様の祝福とスキルの進化。第三話は進化したスキルとスキルAI、ヒロイン?の登場です。
有能なスキルを授かった者は、領主さまや教会、時には王様に呼ばれて王都にまで行く事もあるけれど、そこに行ってやる事と言えば勉強だ。
学校に通い、必要な知識や技術、礼儀作法を教わってから呼ばれた先で雇われる事になっている。
学校で勉強する期間は普通は三年、その間にスキルを伸ばしてより良い待遇で雇って貰えるように学ぶんだ。
じゃあ、大したスキルを授からなかった者は? と言うか儀式で授かるスキルなんて、大半は普通の生活に役立つか仕事向きのスキルだ。
『料理人』のスキルだったら、お店や実家で料理を習いながらスキルを伸ばす。
大抵の職人系のスキルなら、両親に教わりながらという子が多いかな。
家にずっといる事もできるけど、ここのような小さな町でも教会で勉強を教えてくれるから、町の殆どの子供は十三歳まで教会に通う事になる。
「行ってきます!」
僕もスキルを授かった次の日から、教会に週に三日通って勉強を教わっている。
教会に通い始めた日には、何度も聞いた事がある魔族と魔物の話しを神父様から聞かされた。
◆◆◆◇◇◇ ◆◆◆◇◇◇ ◆◆◆
「子供たちよ、皆よく聞いてしっかり覚えておきなさい。
この国のある大陸のずっとずっと南の果てに、魔族と魔物の住む極地と呼ばれる大地がある。
その大地は恐ろしい瘴気にまみれ、普通の人や動物はあっという間に死に至ると言う。
その瘴気漂う中で暮らす存在が魔族と魔物だ、魔族は数千年も昔から極地に住んでいたが、数百年程前に突然人の住むこの大地を我が物にしようと襲ってきた。
魔族が使役する魔物は、人々を襲って町を荒らし、農作物を踏み潰して大地を穢す。
そうやって、自分たちが動ける土地に変えて魔族がやってくる。
魔族は魔物よりもっと恐ろしく強い存在で、人を見れば全てを殺し滅する為に、強大な魔法を使ってくると言う。
魔族に対応する為に、我々人間は力を合わせて対応している。
そして、スキルの力! 有効なスキルを持った人を集め魔族にも対抗出来るように力を鍛え研鑽し、遂には魔族を倒せる者が現れた! スキル『勇者』や『聖女』、『大魔法使い』、『賢者』などの力や知恵、癒しの力を持つ者たちが魔族どころか魔王すら退けてみせたのだ!
子供たちよ、自分のスキルがそのような力をもったスキルで無かった事を悔やむでないよ。
お前たち一人一人の力は小さいだろうが、その力が集まって町を動かし、国を動かし、魔族に対応しうる力となる。
そしていつの日か、魔族を打ち破り、魔王を倒してこの大地の全てを人の手に取り戻すのだ!」
この町にいて魔族や魔物は見た事無いけれど。僕もいつか勇者になって、悪い魔族や魔王を倒してやる!
◆◆◆◇◇◇ ◆◆◆◇◇◇ ◆◆◆
教会から家までの帰り道では、町を歩きながら僕の授かったスキル『わらしべ長者』の事を考えていた。
適当に道に落ちている石や木の棒を拾ってみたけれど、それではスキルは発動しなくて手を離すとポトンと落ちてしまうんだ。
何がキッカケでこのスキルは働くんだろう? そんな事を考えながらボーッと歩いていたのがいけなかったんだろね。
「ウワッ!」
ドスン
角を曲がって出てきた人にぶつかってしまった、ぶつかった相手は腰を突いて座り込んでしまっている。
「あいたたた……」
「御免なさい! 大丈夫ですか!?」
ぶつかった相手はお年寄りのお爺さんで、転んだ時に腰を打ったのか、腰を押さえて立ち上がれないでいる。
僕はお爺さんに近寄って、腰に手を当てた。
「大丈夫ですか? 腰を打ったのかな?」
お爺さんは、僕の顔をみると済まなさそうにして「初めての町で分からずによそ見をしていたよ、許しておくれ」と謝ってきたので。
「僕の方こそ、ボーッとして気がつくのが遅れました。御免なさい」と謝った。
お爺さんはそんな僕の態度を優しそうな笑顔で見ながら「摩ってくれたお陰で、痛みが引いたようじゃ。ありがとう」
そう言って立ち上がったのだけれど、それより大変な事が起こっていた!
僕の手が、お爺さんの腰にくっ付いて離れないんだ! 何このスキル!? 対象は物だけじゃないの?!
手を離そうとしない僕を不思議に思ったお爺さんが「もう大丈夫じゃよ?」と言って離れようとするけれど。
(僕も手を離したいんですけれど、手が離れないんです)なんて言えない。
「あ、あの。ぶつかってしまったお詫びに、町を案内してあげます。お爺さん、この町は初めてなんでしょ?」
これなら、腰に手を当てていても変には思われないかな?
「おお、そうかい? それなら助かるが。
坊やは用事とか、お使いがあったのではないかい?」
学校……と思ったけれど、この状況でお爺さんを連れて行けないので、散歩していただけだと言って町を案内する事にした。
この先の教会……はマズいので反対方向に向かう。いつも僕らが遊んでいる広場、今の時間は十才になっていない小さな子たちが集まって遊んでいた。
「あっ! アベルー! 何してんの? 遊ぼう!」
顔を知っている子も居て、僕を見つけて駆け寄ってきたけれど「お兄さんは、このお爺さんに町を案内している所だからまた今度ね」と言って追い払った。
「慕われているのじゃな」
お爺さんは感心してくれるけど。
それは嘘だ、同い年の友達は僕をチビだと言って仲間に入れてくれない時があるから、そんな時はもっと小さい子の相手をして自分がお兄さんぶっているだけ。
「次に行きましょう!」
僕は、お爺さんの腰に手を当てたまま町の色々な場所を案内してあげた。美味しいパン屋さん、噂好きの叔母さんの家、怖いお爺さんの家、町長の家。そして最後に……町の教会、だけどやっぱり止めようと思った時だ。
スキルの効果で僕の足は勝手に動き出し、教会に向けて進んでしまっていた。
そして、たどり着いた教会の前。
「おお、教会か。儂も教会に用があったのじゃよ。案内してくれてありがとうな、そう言えば名前を聞いて無かったな」
お爺さんが名前を聞いてきたので、答えようとした時。
「まさか、司教様ですか?!」
教会から出てきた人が、大声でお爺さんに向かって叫んだ。
「司教様! 使いを出して頂ければ迎えに行きましたのに!」
近寄ってきてのは神父様でした。
神父様はお爺さんの姿を見て周りをキョロキョロして、司教様お一人なのかと聞いていた。
お爺さんは、神父様の問いに。
「連れはおるよ、ほら。この子が教会まで案内してくれたのじゃ」と、僕の事を説明してくれた。
神父様は僕の事をみると「アベルじゃないか、学校はもう始まっているよ」と教室に行くように急かす。
僕は、バレてしまった事が恥ずかしくてチラッとお爺さんの顔を見ると。
「そうか、アベルは教会に寄る前に儂に町を案内してくれたのじゃな、ありがとう。そうじゃ、お礼にコレをあげよう」
と言って、上着のポケットから何かを取り出して僕の手に握らせてくれた。
いま気が付いたのだけど、僕の手はお爺さんの腰から離れていたので、これでスキル『わらしべ長者』は完了したと言う事なのだろうか。
「さあさあ、アベルは教室に行って。司教様も中へどうぞいらして下さい」
神父様に急かされて僕は教室へと向かい、お爺さんは神父様と教会の中へ。
僕の手には、お爺さんから貰ったおメダイが握られていました。
ピコン!
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