不遇スキル「わらしべ長者」で殺せぬ勇者 〜魔力ゼロでも無双します〜

カジキカジキ

文字の大きさ
28 / 57

テスト

しおりを挟む
 今日は入学式があると言うので、新入生と在校生が全員揃って講堂へと集まっていた。
 新入生の僕たちには制服も渡されていて、それを着て集まっているのだけれど、何故だか僕の着ている制服と貴族の子女とは何処か違うような気がする。

 よく良く見ると。制服の中に着ているシャツはフリフリが付いていたり、服のボタンも豪華だったり、肩や襟には何か刺繍も入っている。
 つまりは平民の僕には到底用意できない高級仕様の制服なんだね。

 新入生は、講壇の前の中央に集められて座っている。真ん中が一番寮の生徒、左右が二番寮で僕ら三番寮生は一番後ろに並ばされている。

 さらに新入生を囲むように、左右に上級部の一・二年生が、後ろには初級部の一・二・三年生が並んでいる。上級部の一年生というのは初級部から上級部へ上がってきた生徒もいるので、僕はその中に混じって授業を受ける事になる。

 講壇の上には学園長が立ち、さっきから長々と話しをしている。こんな時はサクッと終わる方が良いのにね。

(アベル大丈夫?)ヒソッ。

 アンネが僕の体調を心配して聞いてくれるけど、何故だろう? 今日の僕は、これだけ周りに人がいると言うのに全く何とも無い。

(ありがとう、大丈夫だよ)ヒソッ。

 そうこうしていると、やっと学園長の話が終わり。生徒会長からの挨拶、これまた王家の第二王子が上級部二年生で生徒会長なのだそうだ。いやーキラキラしているねえ。

 そして、やっと教員の一人が講壇に上がって、明日からの授業について説明してくれた。うん、明日からテストだって……またなの?

 明日からテストだと聞いて在校生の中からもザワザワと声が聞こえる。このテストは本当に急な事だったのだろう、けど一体何のために?

 ・
 ・
 ・

 入学式が終わって皆が寮へと戻り、今は食事の時間。僕の隣にはアンネとアルフ先輩、何故二人は隣にくるの? ニヤも隣に座りたかったようだけど諦めて向かいの席に座っている。
 
「アベルは本当に何とも無いんだな?」

 アルフ先輩がずっとこの調子で聞いてくるけど、昨日のアレは本当に訳が分からない。
 自分にだって理由は分からないけれど、今は大丈夫だと何度もアルフ先輩に説明したし。さっきも皆の前で昨日の失礼を詫びて挨拶し直したけれど何とも無かった。

「それよりテストだよ。いきなり明日からなんて、いつもこんな感じなの?」

 僕の質問に、アルフ先輩が食べる手を止めて少し興奮気味に話し出す。
 
「いや、何時もいつもなら授業が進んだ後の学期末に行われるし、事前に期間や問題範囲なんかも知らさせる。こんな何もなしにいきなりなんて初めてだよ」

 聞いてみると、周りの在校生も「いきなりテスト?」 「何で?」と話しているようだ。

 まあ無駄な抵抗なんだろうけど、入学試験の時の問題でも振り返っておくかな。

◆◆◆◇◇◇ ◆◆◆◇◇◇ ◆◆◆

「どう言う訳ですか学園長!」

 バンッ! と机を叩く音が響く。

 学園長の部屋に飛び込んできたのは、この学園で一番の魔法教師のジルヌールだった。

「何がだね?」

 分かっていて知らないフリをする学園長だが。声は震え、頭から汗をかいている。

「テストですよ! まだ一日も授業をやっていないのに、何故テストをする必要があるのですか!」

「それは私から説明しましょう」

 カッ、カッ、カッ、とヒールの音を響かせて学園長の隣まで歩いて来た女性。この学園の副学園長、シルビア女史である。

「シルビア副学園長……では聞かせて頂こうか、納得できる理由を」

「フッ、貴方を納得させる必要などありません。平民を王族と同じえいクラスで学ばせる必要がないからです。このテストで平民には現実を教え、とっととクラスにでも落とせば良いのです!」

「何を言っているんだアンタは?! その王族ですらゲタにゲタを履かせた英クラスだぞ、アベルの実力は文句なしの英クラスだ、もしこのテストでも満点だったらどう言い訳するつもりだ?!」

「そんな事は起こり得ません。何よりあの平民には特製の問題を受けて頂きますから」

「学園自ら不正を行うのか、落ちたものだ」

 苦渋くじゅうの顔をして、シルビアを睨みつけるジルヌール。上級部のこのテストでは算術、歴史、地理、錬金術が行われるため。魔術教師のジルヌールには手が出せないのだった。

「貴族の格を示すためです。平民には平民らしい場所があると言う事を理解させなければならないのです」

「入ったばかりの新入生に地理と錬金術の問題が解けると思っているのか? 学園長、アンタもこの意見に同意していると言う事なのだな?」

「いや、あの、その。シルビア副学園長……その、程々にお願いしますよ。ジルヌール講師も、これまでも貴族や多額の寄付をしてくれる商人には譲歩してきた事と同じですから、まあ平民の一人くらい……ねぇ」

「その平民が学年首位を取るかも知れんのだ、もしそうなったらとんだお笑い草だな!」

 バンッ! と言う音と共に部屋を出ていくジルヌールと、その後ろ姿を見送る二人。

「ハッ、まさか平民が学年首位など。それに、私ですら難題な問題が。平民に答えられる筈がないではないか」

 ジロッとした学園長からの目線に気付き、咳払いをするシルビア女史。

「とにかく学園長! 明日から二日間のテストと発表を楽しみにされる事です。あの目障りな平民は英クラスから追い出して差し上げます。んふっ、んふっ、んふふっ」

◆◆◆◇◇◇ ◆◆◆◇◇◇ ◆◆◆

「では、テストを始める。くれぐれも隣の回答を見たりするな。盗み見や不正は厳重に処罰されるからな、では始め!!」

 テストが始まった、紙を裏返したとたんに「えっ?!」「終わった」「こんなの無理」と言った声が漏れ聞こえる。僕も問題を見て思ったのだけど、これって入試問題よりずっと難しいよね? まあ僕はイヅミのちからを借りるから、難しくても何の問題も無いんだけれどね。

 そんな調子で算術と歴史が終わり翌日の錬金術の時間にそれは起こった。

「『この世界は回っている』この新しい地動説を唱える錬金術師が言っている『世界は回っている』とはどう言う意味か自身の考えを述べよ。また、その理論を説明できる具体的な知見があれば自由に述べよ」

 何だこれ? 錬金術のテストに混じって変な問題が挟まってたよ。

(アベル、これはあちしに任せるにゃ)

 イヅミが自信満々に言うので、言われるままに書いていったんだけど、『この世界は回っている』って、えええーっ! そうなの!?

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 あとがき

 いきなりの抜き打ちテストが始まりました。問題の内容はとんでもないものみたいですね。

 次回は、いよいよクラスの仲間が登場します。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

チートスキル【レベル投げ】でレアアイテム大量獲得&スローライフ!?

桜井正宗
ファンタジー
「アウルム・キルクルスお前は勇者ではない、追放だ!!」  その後、第二勇者・セクンドスが召喚され、彼が魔王を倒した。俺はその日に聖女フルクと出会い、レベル0ながらも【レベル投げ】を習得した。レベル0だから投げても魔力(MP)が減らないし、無限なのだ。  影響するステータスは『運』。  聖女フルクさえいれば運が向上され、俺は幸運に恵まれ、スキルの威力も倍増した。  第二勇者が魔王を倒すとエンディングと共に『EXダンジョン』が出現する。その隙を狙い、フルクと共にダンジョンの所有権をゲット、独占する。ダンジョンのレアアイテムを入手しまくり売却、やがて莫大な富を手に入れ、最強にもなる。  すると、第二勇者がEXダンジョンを返せとやって来る。しかし、先に侵入した者が所有権を持つため譲渡は不可能。第二勇者を拒絶する。  より強くなった俺は元ギルドメンバーや世界の国中から戻ってこいとせがまれるが、もう遅い!!  真の仲間と共にダンジョン攻略スローライフを送る。 【簡単な流れ】 勇者がボコボコにされます→元勇者として活動→聖女と出会います→レベル投げを習得→EXダンジョンゲット→レア装備ゲットしまくり→元パーティざまぁ 【原題】 『お前は勇者ではないとギルドを追放され、第二勇者が魔王を倒しエンディングの最中レベル0の俺は出現したEXダンジョンを独占~【レベル投げ】でレアアイテム大量獲得~戻って来いと言われても、もう遅いんだが』

神様、ちょっとチートがすぎませんか?

ななくさ ゆう
ファンタジー
【大きすぎるチートは呪いと紙一重だよっ!】 未熟な神さまの手違いで『常人の“200倍”』の力と魔力を持って産まれてしまった少年パド。 本当は『常人の“2倍”』くらいの力と魔力をもらって転生したはずなのにっ!!  おかげで、産まれたその日に家を壊しかけるわ、謎の『闇』が襲いかかってくるわ、教会に命を狙われるわ、王女様に勇者候補としてスカウトされるわ、もう大変!!  僕は『家族と楽しく平和に暮らせる普通の幸せ』を望んだだけなのに、どうしてこうなるの!?  ◇◆◇◆◇◆◇◆◇  ――前世で大人になれなかった少年は、新たな世界で幸せを求める。  しかし、『幸せになりたい』という夢をかなえるの難しさを、彼はまだ知らない。  自分自身の幸せを追い求める少年は、やがて世界に幸せをもたらす『勇者』となる――  ◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 本文中&表紙のイラストはへるにゃー様よりご提供戴いたものです(掲載許可済)。 へるにゃー様のHP:http://syakewokuwaeta.bake-neko.net/ --------------- ※カクヨムとなろうにも投稿しています

~最弱のスキルコレクター~ スキルを無限に獲得できるようになった元落ちこぼれは、レベル1のまま世界最強まで成り上がる

僧侶A
ファンタジー
沢山のスキルさえあれば、レベルが無くても最強になれる。 スキルは5つしか獲得できないのに、どのスキルも補正値は5%以下。 だからレベルを上げる以外に強くなる方法はない。 それなのにレベルが1から上がらない如月飛鳥は当然のように落ちこぼれた。 色々と試行錯誤をしたものの、強くなれる見込みがないため、探索者になるという目標を諦め一般人として生きる道を歩んでいた。 しかしある日、5つしか獲得できないはずのスキルをいくらでも獲得できることに気づく。 ここで如月飛鳥は考えた。いくらスキルの一つ一つが大したことが無くても、100個、200個と大量に集めたのならレベルを上げるのと同様に強くなれるのではないかと。 一つの光明を見出した主人公は、最強への道を一直線に突き進む。 土曜日以外は毎日投稿してます。

どうも、命中率0%の最弱村人です 〜隠しダンジョンを周回してたらレベル∞になったので、種族進化して『半神』目指そうと思います〜

サイダーボウイ
ファンタジー
この世界では15歳になって成人を迎えると『天恵の儀式』でジョブを授かる。 〈村人〉のジョブを授かったティムは、勇者一行が訪れるのを待つ村で妹とともに仲良く暮らしていた。 だがちょっとした出来事をきっかけにティムは村から追放を言い渡され、モンスターが棲息する森へと放り出されてしまう。 〈村人〉の固有スキルは【命中率0%】というデメリットしかない最弱スキルのため、ティムはスライムすらまともに倒せない。 危うく死にかけたティムは森の中をさまよっているうちにある隠しダンジョンを発見する。 『【煌世主の意志】を感知しました。EXスキル【オートスキップ】が覚醒します』 いきなり現れたウィンドウに驚きつつもティムは試しに【オートスキップ】を使ってみることに。 すると、いつの間にか自分のレベルが∞になって……。 これは、やがて【種族の支配者(キング・オブ・オーバーロード)】と呼ばれる男が、最弱の村人から最強種族の『半神』へと至り、世界を救ってしまうお話である。

『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる

仙道
ファンタジー
 気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。  この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。  俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。  オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。  腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。  俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。  こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。 12/23 HOT男性向け1位

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~

ある中管理職
ファンタジー
 勤続10年目10度目のレベルアップ。  人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。  すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。  なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。  チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。  探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。  万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。

レベルアップは異世界がおすすめ!

まったりー
ファンタジー
レベルの上がらない世界にダンジョンが出現し、誰もが装備や技術を鍛えて攻略していました。 そんな中、異世界ではレベルが上がることを記憶で知っていた主人公は、手芸スキルと言う生産スキルで異世界に行ける手段を作り、自分たちだけレベルを上げてダンジョンに挑むお話です。

処理中です...