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テスト
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今日は入学式があると言うので、新入生と在校生が全員揃って講堂へと集まっていた。
新入生の僕たちには制服も渡されていて、それを着て集まっているのだけれど、何故だか僕の着ている制服と貴族の子女とは何処か違うような気がする。
よく良く見ると。制服の中に着ているシャツはフリフリが付いていたり、服のボタンも豪華だったり、肩や襟には何か刺繍も入っている。
つまりは平民の僕には到底用意できない高級仕様の制服なんだね。
新入生は、講壇の前の中央に集められて座っている。真ん中が一番寮の生徒、左右が二番寮で僕ら三番寮生は一番後ろに並ばされている。
さらに新入生を囲むように、左右に上級部の一・二年生が、後ろには初級部の一・二・三年生が並んでいる。上級部の一年生というのは初級部から上級部へ上がってきた生徒もいるので、僕はその中に混じって授業を受ける事になる。
講壇の上には学園長が立ち、さっきから長々と話しをしている。こんな時はサクッと終わる方が良いのにね。
(アベル大丈夫?)ヒソッ。
アンネが僕の体調を心配して聞いてくれるけど、何故だろう? 今日の僕は、これだけ周りに人がいると言うのに全く何とも無い。
(ありがとう、大丈夫だよ)ヒソッ。
そうこうしていると、やっと学園長の話が終わり。生徒会長からの挨拶、これまた王家の第二王子が上級部二年生で生徒会長なのだそうだ。いやーキラキラしているねえ。
そして、やっと教員の一人が講壇に上がって、明日からの授業について説明してくれた。うん、明日からテストだって……またなの?
明日からテストだと聞いて在校生の中からもザワザワと声が聞こえる。このテストは本当に急な事だったのだろう、けど一体何のために?
・
・
・
入学式が終わって皆が寮へと戻り、今は食事の時間。僕の隣にはアンネとアルフ先輩、何故二人は隣にくるの? ニヤも隣に座りたかったようだけど諦めて向かいの席に座っている。
「アベルは本当に何とも無いんだな?」
アルフ先輩がずっとこの調子で聞いてくるけど、昨日のアレは本当に訳が分からない。
自分にだって理由は分からないけれど、今は大丈夫だと何度もアルフ先輩に説明したし。さっきも皆の前で昨日の失礼を詫びて挨拶し直したけれど何とも無かった。
「それよりテストだよ。いきなり明日からなんて、いつもこんな感じなの?」
僕の質問に、アルフ先輩が食べる手を止めて少し興奮気味に話し出す。
「いや、何時もなら授業が進んだ後の学期末に行われるし、事前に期間や問題範囲なんかも知らさせる。こんな何もなしにいきなりなんて初めてだよ」
聞いてみると、周りの在校生も「いきなりテスト?」 「何で?」と話しているようだ。
まあ無駄な抵抗なんだろうけど、入学試験の時の問題でも振り返っておくかな。
◆◆◆◇◇◇ ◆◆◆◇◇◇ ◆◆◆
「どう言う訳ですか学園長!」
バンッ! と机を叩く音が響く。
学園長の部屋に飛び込んできたのは、この学園で一番の魔法教師のジルヌールだった。
「何がだね?」
分かっていて知らないフリをする学園長だが。声は震え、頭から汗をかいている。
「テストですよ! まだ一日も授業をやっていないのに、何故テストをする必要があるのですか!」
「それは私から説明しましょう」
カッ、カッ、カッ、とヒールの音を響かせて学園長の隣まで歩いて来た女性。この学園の副学園長、シルビア女史である。
「シルビア副学園長……では聞かせて頂こうか、納得できる理由を」
「フッ、貴方を納得させる必要などありません。平民を王族と同じ英クラスで学ばせる必要がないからです。このテストで平民には現実を教え、とっとと琵クラスにでも落とせば良いのです!」
「何を言っているんだアンタは?! その王族ですらゲタにゲタを履かせた英クラスだぞ、アベルの実力は文句なしの英クラスだ、もしこのテストでも満点だったらどう言い訳するつもりだ?!」
「そんな事は起こり得ません。何よりあの平民には特製の問題を受けて頂きますから」
「学園自ら不正を行うのか、落ちたものだ」
苦渋の顔をして、シルビアを睨みつけるジルヌール。上級部のこのテストでは算術、歴史、地理、錬金術が行われるため。魔術教師のジルヌールには手が出せないのだった。
「貴族の格を示すためです。平民には平民らしい場所があると言う事を理解させなければならないのです」
「入ったばかりの新入生に地理と錬金術の問題が解けると思っているのか? 学園長、アンタもこの意見に同意していると言う事なのだな?」
「いや、あの、その。シルビア副学園長……その、程々にお願いしますよ。ジルヌール講師も、これまでも貴族や多額の寄付をしてくれる商人には譲歩してきた事と同じですから、まあ平民の一人くらい……ねぇ」
「その平民が学年首位を取るかも知れんのだ、もしそうなったらとんだお笑い草だな!」
バンッ! と言う音と共に部屋を出ていくジルヌールと、その後ろ姿を見送る二人。
「ハッ、まさか平民が学年首位など。それに、私ですら難題な問題が。平民に答えられる筈がないではないか」
ジロッとした学園長からの目線に気付き、咳払いをするシルビア女史。
「とにかく学園長! 明日から二日間のテストと発表を楽しみにされる事です。あの目障りな平民は英クラスから追い出して差し上げます。んふっ、んふっ、んふふっ」
◆◆◆◇◇◇ ◆◆◆◇◇◇ ◆◆◆
「では、テストを始める。くれぐれも隣の回答を見たりするな。盗み見や不正は厳重に処罰されるからな、では始め!!」
テストが始まった、紙を裏返したとたんに「えっ?!」「終わった」「こんなの無理」と言った声が漏れ聞こえる。僕も問題を見て思ったのだけど、これって入試問題よりずっと難しいよね? まあ僕はイヅミの力を借りるから、難しくても何の問題も無いんだけれどね。
そんな調子で算術と歴史が終わり翌日の錬金術の時間にそれは起こった。
「『この世界は回っている』この新しい地動説を唱える錬金術師が言っている『世界は回っている』とはどう言う意味か自身の考えを述べよ。また、その理論を説明できる具体的な知見があれば自由に述べよ」
何だこれ? 錬金術のテストに混じって変な問題が挟まってたよ。
(アベル、これはあちしに任せるにゃ)
イヅミが自信満々に言うので、言われるままに書いていったんだけど、『この世界は回っている』って、えええーっ! そうなの!?
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
あとがき
いきなりの抜き打ちテストが始まりました。問題の内容はとんでもないものみたいですね。
次回は、いよいよクラスの仲間が登場します。
新入生の僕たちには制服も渡されていて、それを着て集まっているのだけれど、何故だか僕の着ている制服と貴族の子女とは何処か違うような気がする。
よく良く見ると。制服の中に着ているシャツはフリフリが付いていたり、服のボタンも豪華だったり、肩や襟には何か刺繍も入っている。
つまりは平民の僕には到底用意できない高級仕様の制服なんだね。
新入生は、講壇の前の中央に集められて座っている。真ん中が一番寮の生徒、左右が二番寮で僕ら三番寮生は一番後ろに並ばされている。
さらに新入生を囲むように、左右に上級部の一・二年生が、後ろには初級部の一・二・三年生が並んでいる。上級部の一年生というのは初級部から上級部へ上がってきた生徒もいるので、僕はその中に混じって授業を受ける事になる。
講壇の上には学園長が立ち、さっきから長々と話しをしている。こんな時はサクッと終わる方が良いのにね。
(アベル大丈夫?)ヒソッ。
アンネが僕の体調を心配して聞いてくれるけど、何故だろう? 今日の僕は、これだけ周りに人がいると言うのに全く何とも無い。
(ありがとう、大丈夫だよ)ヒソッ。
そうこうしていると、やっと学園長の話が終わり。生徒会長からの挨拶、これまた王家の第二王子が上級部二年生で生徒会長なのだそうだ。いやーキラキラしているねえ。
そして、やっと教員の一人が講壇に上がって、明日からの授業について説明してくれた。うん、明日からテストだって……またなの?
明日からテストだと聞いて在校生の中からもザワザワと声が聞こえる。このテストは本当に急な事だったのだろう、けど一体何のために?
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入学式が終わって皆が寮へと戻り、今は食事の時間。僕の隣にはアンネとアルフ先輩、何故二人は隣にくるの? ニヤも隣に座りたかったようだけど諦めて向かいの席に座っている。
「アベルは本当に何とも無いんだな?」
アルフ先輩がずっとこの調子で聞いてくるけど、昨日のアレは本当に訳が分からない。
自分にだって理由は分からないけれど、今は大丈夫だと何度もアルフ先輩に説明したし。さっきも皆の前で昨日の失礼を詫びて挨拶し直したけれど何とも無かった。
「それよりテストだよ。いきなり明日からなんて、いつもこんな感じなの?」
僕の質問に、アルフ先輩が食べる手を止めて少し興奮気味に話し出す。
「いや、何時もなら授業が進んだ後の学期末に行われるし、事前に期間や問題範囲なんかも知らさせる。こんな何もなしにいきなりなんて初めてだよ」
聞いてみると、周りの在校生も「いきなりテスト?」 「何で?」と話しているようだ。
まあ無駄な抵抗なんだろうけど、入学試験の時の問題でも振り返っておくかな。
◆◆◆◇◇◇ ◆◆◆◇◇◇ ◆◆◆
「どう言う訳ですか学園長!」
バンッ! と机を叩く音が響く。
学園長の部屋に飛び込んできたのは、この学園で一番の魔法教師のジルヌールだった。
「何がだね?」
分かっていて知らないフリをする学園長だが。声は震え、頭から汗をかいている。
「テストですよ! まだ一日も授業をやっていないのに、何故テストをする必要があるのですか!」
「それは私から説明しましょう」
カッ、カッ、カッ、とヒールの音を響かせて学園長の隣まで歩いて来た女性。この学園の副学園長、シルビア女史である。
「シルビア副学園長……では聞かせて頂こうか、納得できる理由を」
「フッ、貴方を納得させる必要などありません。平民を王族と同じ英クラスで学ばせる必要がないからです。このテストで平民には現実を教え、とっとと琵クラスにでも落とせば良いのです!」
「何を言っているんだアンタは?! その王族ですらゲタにゲタを履かせた英クラスだぞ、アベルの実力は文句なしの英クラスだ、もしこのテストでも満点だったらどう言い訳するつもりだ?!」
「そんな事は起こり得ません。何よりあの平民には特製の問題を受けて頂きますから」
「学園自ら不正を行うのか、落ちたものだ」
苦渋の顔をして、シルビアを睨みつけるジルヌール。上級部のこのテストでは算術、歴史、地理、錬金術が行われるため。魔術教師のジルヌールには手が出せないのだった。
「貴族の格を示すためです。平民には平民らしい場所があると言う事を理解させなければならないのです」
「入ったばかりの新入生に地理と錬金術の問題が解けると思っているのか? 学園長、アンタもこの意見に同意していると言う事なのだな?」
「いや、あの、その。シルビア副学園長……その、程々にお願いしますよ。ジルヌール講師も、これまでも貴族や多額の寄付をしてくれる商人には譲歩してきた事と同じですから、まあ平民の一人くらい……ねぇ」
「その平民が学年首位を取るかも知れんのだ、もしそうなったらとんだお笑い草だな!」
バンッ! と言う音と共に部屋を出ていくジルヌールと、その後ろ姿を見送る二人。
「ハッ、まさか平民が学年首位など。それに、私ですら難題な問題が。平民に答えられる筈がないではないか」
ジロッとした学園長からの目線に気付き、咳払いをするシルビア女史。
「とにかく学園長! 明日から二日間のテストと発表を楽しみにされる事です。あの目障りな平民は英クラスから追い出して差し上げます。んふっ、んふっ、んふふっ」
◆◆◆◇◇◇ ◆◆◆◇◇◇ ◆◆◆
「では、テストを始める。くれぐれも隣の回答を見たりするな。盗み見や不正は厳重に処罰されるからな、では始め!!」
テストが始まった、紙を裏返したとたんに「えっ?!」「終わった」「こんなの無理」と言った声が漏れ聞こえる。僕も問題を見て思ったのだけど、これって入試問題よりずっと難しいよね? まあ僕はイヅミの力を借りるから、難しくても何の問題も無いんだけれどね。
そんな調子で算術と歴史が終わり翌日の錬金術の時間にそれは起こった。
「『この世界は回っている』この新しい地動説を唱える錬金術師が言っている『世界は回っている』とはどう言う意味か自身の考えを述べよ。また、その理論を説明できる具体的な知見があれば自由に述べよ」
何だこれ? 錬金術のテストに混じって変な問題が挟まってたよ。
(アベル、これはあちしに任せるにゃ)
イヅミが自信満々に言うので、言われるままに書いていったんだけど、『この世界は回っている』って、えええーっ! そうなの!?
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