婚約破棄とか言って早々に私の荷物をまとめて実家に送りつけているけど、その中にあなたが明日国王に謁見する時に必要な書類も混じっているのですが

マリー

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「びえ~ん。ちょっと仕事で行き詰ってイライラしてて、カッとなってやっただけなんだよー!」
「いやいやあのねえ・・・・・・」
大の大人の泣きべそに、今ごろ仕事の疲れがどっと出てきます。
「だいたいやっていいことと悪いことがあるでしょうがよ」
「ううう、だってだって、資料作りしてる間にプレゼン上手く行かなかったらどうしようとか、そもそもたくさんの偉い人の前で話すの緊張するとか、いらないことばっかり考えちゃって・・・・・・。イライラして気づいたらやっちゃってたんだよお!」
「ったくもう・・・・・・」

確かに、マーリンが明日抱えている仕事は大変なものです。この半年間準備し続けていた、内臓に効く植物エキスの研究成果についてのプレゼンを、国王様と担当の大臣らの前でせねばならないのでした。上手く行けば来年の国からの予算が大幅に増え、ますます研究がやりやすくなるでしょう。
しかし、国王様に納得してもらえなければ、マーリンと恩師である高名な医学者の所属する研究室の存続の危機です。大げさなと思われるかもしれませんが、この分野は他にも多くのライバルが研究をしており、他の研究室より一歩でも先に成果を上げようとしのぎを削っているのです。いつ抜かされるか分からない中で、研究費を多くつけてもらい、研究室の規模が拡大すればそれだけ有利なのです。

そんな話を、マーリンはよく研究に疲れた身体で、寝入りばなに私にしていました。

(同情の余地がないわけじゃないけど、さすがにやっていいことと悪いことがあるわよね)
私はとりあえず自室の様子を見に行くことにします。後ろからなぜかマーリンがグズグズ鼻を鳴らしながらついてきました。子ネズミのような泣き声の合間に、「大体お前が」とか、「もし出て行くことになってもメシだけは作りに来い」だの聞こえてきます。自分が何を言っているか分かっていないのでしょうか。

情けない。なぜこんな男に私は惹かれたのでしたっけ・・・・・・。
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