40 / 236
quaecunque sunt vera
sex
しおりを挟む
「あー、やっぱり何でもない」
軽くため息を吐いた後、自分の部屋へと向かった。
絢子の事は、やはり気のせいだったのだと神楽は自分に言い聞かせる。恋人がいる今の斎にわざわざ話す事ではないのだと、自分の心の奥底に先ほど見たことをしまい込んだ。
「たかみくん、ごめんね。斎と二人が良かったんだろうけど、今日はちょっと色々あって……」
天弥を開放し、申し訳なさそうな表情を浮かべた。
「僕、動物園大好きです」
「ひなたんも、どーぶつえーんだいすきだよ」
即座に答えたひなと天弥は、お互いに楽しそうな表情で顔をあわせ、ねーっと言い合った。
「ありがとう」
斎が見た目だけで天弥を選んだ訳ではないのだと知る。そしてふと、天弥は斎のどこが好きなのだろうかと疑問が湧く。我が弟ながら、ハッキリ言って顔しか取り得がないのだと不思議でならない。
「たかみくんは、斎のどこが好きなの?」
ひなを抱きかかえたままの天弥の顔が朱に染まる。
「どこって聞かれても……、優しくて……、かっこよくて……素敵だし……全部好きです……」
少し戸惑いながら、答える。その様子や言動に、見た目だけではなく中身も女の子のようだと神楽は思う。
「そっか。まー、斎の事よろしくね」
弟のことを頼む神楽に、天弥は嬉しそうな笑みを浮かべて頷いた。
斎は神楽たちと天弥を送った後、夜の道を自宅へと向かう。慣れない車のために何度も左足でブレーキを踏み、その度に神楽に文句を言われ続けた。磨り減った神経をなんとか保ち、自宅のガレージへと車を入れ終える。
車から降りると、疲れのせいか一気に眠気が襲ってきた。気力を振り絞り、玄関へと向かいながら自宅を見る。明かりもなく暗い自宅の様子から、両親はまだ帰ってきていないのだという事を理解した。
この二日間、両親のいない休日のため、天弥とゆっくり過ごせると思っていたのだが、ことごとく邪魔が入り更なる疲労感に襲われる。
玄関前にたどり着くと、ため息を一つ吐いた。なぜか、天弥と神楽が仲良くなってしまい、この先に不安を覚える。
とにかく部屋で休み、今後の対策をゆっくりと考えようと思い鍵を取り出したとたん、冷たい風が取り巻いた。何かに反応するかのように、反射的に腕を上げ顔を庇う。手の甲に軽い痛みが走り、手から鍵が落ちていく。
無機質な金属音が暗闇の中に響き、それを拾い上げようと地面に向かって手を伸ばした。視界に入ったその手には、綺麗な赤い線が刻まれている。そこから流れていく赤い一筋を、鍵を拾い上げながら見つめた。
ふと、前方に誰かがいる事に気がつき、ゆっくりと視線を向ける。先ほどから人がいる気配などは無く、もちろん今も人がいる気配はない。不思議な感覚に、その正体を確認しようとした。
軽くため息を吐いた後、自分の部屋へと向かった。
絢子の事は、やはり気のせいだったのだと神楽は自分に言い聞かせる。恋人がいる今の斎にわざわざ話す事ではないのだと、自分の心の奥底に先ほど見たことをしまい込んだ。
「たかみくん、ごめんね。斎と二人が良かったんだろうけど、今日はちょっと色々あって……」
天弥を開放し、申し訳なさそうな表情を浮かべた。
「僕、動物園大好きです」
「ひなたんも、どーぶつえーんだいすきだよ」
即座に答えたひなと天弥は、お互いに楽しそうな表情で顔をあわせ、ねーっと言い合った。
「ありがとう」
斎が見た目だけで天弥を選んだ訳ではないのだと知る。そしてふと、天弥は斎のどこが好きなのだろうかと疑問が湧く。我が弟ながら、ハッキリ言って顔しか取り得がないのだと不思議でならない。
「たかみくんは、斎のどこが好きなの?」
ひなを抱きかかえたままの天弥の顔が朱に染まる。
「どこって聞かれても……、優しくて……、かっこよくて……素敵だし……全部好きです……」
少し戸惑いながら、答える。その様子や言動に、見た目だけではなく中身も女の子のようだと神楽は思う。
「そっか。まー、斎の事よろしくね」
弟のことを頼む神楽に、天弥は嬉しそうな笑みを浮かべて頷いた。
斎は神楽たちと天弥を送った後、夜の道を自宅へと向かう。慣れない車のために何度も左足でブレーキを踏み、その度に神楽に文句を言われ続けた。磨り減った神経をなんとか保ち、自宅のガレージへと車を入れ終える。
車から降りると、疲れのせいか一気に眠気が襲ってきた。気力を振り絞り、玄関へと向かいながら自宅を見る。明かりもなく暗い自宅の様子から、両親はまだ帰ってきていないのだという事を理解した。
この二日間、両親のいない休日のため、天弥とゆっくり過ごせると思っていたのだが、ことごとく邪魔が入り更なる疲労感に襲われる。
玄関前にたどり着くと、ため息を一つ吐いた。なぜか、天弥と神楽が仲良くなってしまい、この先に不安を覚える。
とにかく部屋で休み、今後の対策をゆっくりと考えようと思い鍵を取り出したとたん、冷たい風が取り巻いた。何かに反応するかのように、反射的に腕を上げ顔を庇う。手の甲に軽い痛みが走り、手から鍵が落ちていく。
無機質な金属音が暗闇の中に響き、それを拾い上げようと地面に向かって手を伸ばした。視界に入ったその手には、綺麗な赤い線が刻まれている。そこから流れていく赤い一筋を、鍵を拾い上げながら見つめた。
ふと、前方に誰かがいる事に気がつき、ゆっくりと視線を向ける。先ほどから人がいる気配などは無く、もちろん今も人がいる気配はない。不思議な感覚に、その正体を確認しようとした。
0
あなたにおすすめの小説
【⁉】意味がわかると怖い話【解説あり】
絢郷水沙
ホラー
普通に読めばそうでもないけど、よく考えてみたらゾクッとする、そんな怖い話です。基本1ページ完結。
下にスクロールするとヒントと解説があります。何が怖いのか、ぜひ推理しながら読み進めてみてください。
※全話オリジナル作品です。
女子切腹同好会
しんいち
ホラー
どこにでもいるような平凡な女の子である新瀬有香は、学校説明会で出会った超絶美人生徒会長に憧れて私立の女子高に入学した。そこで彼女を待っていたのは、オゾマシイ運命。彼女も決して正常とは言えない思考に染まってゆき、流されていってしまう…。
はたして、彼女の行き着く先は・・・。
この話は、切腹場面等、流血を含む残酷シーンがあります。御注意ください。
また・・・。登場人物は、だれもかれも皆、イカレテいます。イカレタ者どものイカレタ話です。決して、マネしてはいけません。
マネしてはいけないのですが……。案外、あなたの近くにも、似たような話があるのかも。
世の中には、知らなくて良いコト…知ってはいけないコト…が、存在するのですよ。
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
意味が分かると怖い話(解説付き)
彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです
読みながら話に潜む違和感を探してみてください
最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください
実話も混ざっております
里帰りをしていたら離婚届が送られてきたので今から様子を見に行ってきます
結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
<離婚届?納得いかないので今から内密に帰ります>
政略結婚で2年もの間「白い結婚」を続ける最中、妹の出産祝いで里帰りしていると突然届いた離婚届。あまりに理不尽で到底受け入れられないので内緒で帰ってみた結果・・・?
※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる