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quaecunque sunt vera
duodeviginti
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校内で一緒にいるために、不自然ではないように勉強を教えてもらうということにした。外で会うために、家が近所だったことを利用して、昔からの知り合いだということにもした。だが、普通の恋人同士のように振舞えるわけではない。相手が自分でなければ、斎は何一つ苦労をする事はなかったはずなのだ。
「ごめんなさい……」
俯きながら謝る天弥の頭に手を回し、斎は自分へと引き寄せた。
「なんで謝る?」
「だって……、先生は僕のせいでたくさん我慢や苦労をしてるから……」
斎は、天弥の髪を撫でた。
「別に、何の苦労もしてないし、我慢も……まぁ……、特にしていない」
何も我慢をしていないと言えば、それは嘘になる。正直に言えば、今すぐにでも天弥を自分のものにしたいと考えている。だがその事に関しては、そのうち機会もあるだろう。
自分を見つめる天弥の視線に気がつき、視線を合わせる。
「本当に、苦労も我慢もしていないから、変な心配はするな」
天弥はゆっくりと頷いた。
「さて、今日は公式を叩き込んでやろうかと思ったんだが……」
天弥の表情が急に変わりだした。
「もうあまり時間もないし、明日にするか」
天弥の表情が元に戻る。それを見た斎は、その耳元で囁いた。
「ちゃんと勉強するんじゃなかったのか?」
耳の中に響く甘い声に、少し頬を染めながら視線を反らす。
「えっと……、あの、明日からちゃんとします……」
少し困ったような返事と様子に、斎は少し意地悪そうな笑みを浮かべる。
「それじゃあ、明日からは遠慮なくやるか」
明日からのことを考え、天弥は不安そうな表情を浮かべ斎を見る。
「数学以外も、叩き込むからな」
少し泣きだしそうな表情に変わり、必死に何かを訴えかけるような瞳で斎を見つめる。
「嫌か?」
変わらず少し意地悪そうな笑みを浮かべながら、天弥の耳元で囁く。
「え? えっと、あの……その……」
返答に困り、天弥は赤い顔で軽く俯いた。正直に言えば、一般的な高校生らしく、そんなに勉強が好きだという訳ではない。
「嫌なら止めるか?」
すぐに天弥は顔を上げ、必死に首を横に振った。勉強はそんなに好きではないが、自分でちゃんとすると言ったこともあるし、何よりも斎と一緒に居たかった。
「分かったから、そんなに頭を降っていると目が回るぞ」
言い終わると同時に、斎は天弥の身体を引き寄せ抱きしめた。
「じゃあ帰るか?」
天弥は斎の白衣を掴み、強く握り締めた。また、泣きたくなるような寂しい帰路を一人で辿るのかと思うと、白衣を握り締める手に力が入る。毎回、一緒に下校するわけにはいかないことは分かっている。だが、少しでも長く一緒に居たいと、望んでしまうのだ。
「職員室によって行くから、先に車で待っていろ」
車の鍵を取り出し、天弥に向かって差し出した。
「はい」
天弥は差し出された鍵を受け取り、それを握り締めると嬉しそうに微笑んだ。
すぐに立ち上がると、天弥は急いで自分の教室へと向かう。殆ど生徒の姿を見かけなくなった廊下を走り、誰も居ない教室へ入ると帰り支度を始めた。
「ごめんなさい……」
俯きながら謝る天弥の頭に手を回し、斎は自分へと引き寄せた。
「なんで謝る?」
「だって……、先生は僕のせいでたくさん我慢や苦労をしてるから……」
斎は、天弥の髪を撫でた。
「別に、何の苦労もしてないし、我慢も……まぁ……、特にしていない」
何も我慢をしていないと言えば、それは嘘になる。正直に言えば、今すぐにでも天弥を自分のものにしたいと考えている。だがその事に関しては、そのうち機会もあるだろう。
自分を見つめる天弥の視線に気がつき、視線を合わせる。
「本当に、苦労も我慢もしていないから、変な心配はするな」
天弥はゆっくりと頷いた。
「さて、今日は公式を叩き込んでやろうかと思ったんだが……」
天弥の表情が急に変わりだした。
「もうあまり時間もないし、明日にするか」
天弥の表情が元に戻る。それを見た斎は、その耳元で囁いた。
「ちゃんと勉強するんじゃなかったのか?」
耳の中に響く甘い声に、少し頬を染めながら視線を反らす。
「えっと……、あの、明日からちゃんとします……」
少し困ったような返事と様子に、斎は少し意地悪そうな笑みを浮かべる。
「それじゃあ、明日からは遠慮なくやるか」
明日からのことを考え、天弥は不安そうな表情を浮かべ斎を見る。
「数学以外も、叩き込むからな」
少し泣きだしそうな表情に変わり、必死に何かを訴えかけるような瞳で斎を見つめる。
「嫌か?」
変わらず少し意地悪そうな笑みを浮かべながら、天弥の耳元で囁く。
「え? えっと、あの……その……」
返答に困り、天弥は赤い顔で軽く俯いた。正直に言えば、一般的な高校生らしく、そんなに勉強が好きだという訳ではない。
「嫌なら止めるか?」
すぐに天弥は顔を上げ、必死に首を横に振った。勉強はそんなに好きではないが、自分でちゃんとすると言ったこともあるし、何よりも斎と一緒に居たかった。
「分かったから、そんなに頭を降っていると目が回るぞ」
言い終わると同時に、斎は天弥の身体を引き寄せ抱きしめた。
「じゃあ帰るか?」
天弥は斎の白衣を掴み、強く握り締めた。また、泣きたくなるような寂しい帰路を一人で辿るのかと思うと、白衣を握り締める手に力が入る。毎回、一緒に下校するわけにはいかないことは分かっている。だが、少しでも長く一緒に居たいと、望んでしまうのだ。
「職員室によって行くから、先に車で待っていろ」
車の鍵を取り出し、天弥に向かって差し出した。
「はい」
天弥は差し出された鍵を受け取り、それを握り締めると嬉しそうに微笑んだ。
すぐに立ち上がると、天弥は急いで自分の教室へと向かう。殆ど生徒の姿を見かけなくなった廊下を走り、誰も居ない教室へ入ると帰り支度を始めた。
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