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suggestio veri, suggestio falsi
duodecim
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少し怖いような表情で自分を見つめる斎に、天弥は小首を傾げながら声をかけた。
「悪い、少し考え事をしていた」
そう答えると斎は、天弥を強く抱きしめる。
「明日は休みだよな?」
斎の中では一週間分の日時がないため、改めて今度の土曜日が休日だということを確かめる。
「はい」
「なら明日、何か美味いものでも食いに行くか?」
天弥の返事に、斎はすぐに言葉を返す。だが、天弥はすぐに返事を出来ずに考え込む。退院したばかりで、大丈夫なのだろうかという不安はあるが、一緒に居たいという感情もあり、大きく揺れ動く。
「大丈夫ですか?」
不安が入り混じった声で、天弥が尋ねた。
「身体なら大丈夫だ」
心配そうな視線を向ける天弥に向かって答えた。
「なんなら確認するか?」
そう言うと斎は、天弥を抱きかかえたまま器用に片手でパジャマのボタンを外し始める。それを見て、天弥は顔を赤くし俯く。同性同士、体育の着替えなどで見慣れているはずだが、なぜか斎だと恥ずかしいと感じてしまう。
真っ赤な顔をして俯いてしまった天弥を見て、その耳元に唇を寄せた。吐息が耳にかかり、天弥の鼓動が速まる。
「やりにくいから、天弥が脱がせてくれるか?」
そう囁かれた言葉に、天弥はさらに耳まで赤くして慌てて顔を上げた。だが、まともに斎の顔を見ることが出来ずに、すぐに目を伏せる。伏せた視線の先に、はだけた斎の胸元があり、更に目のやり場に困り、思わず目を閉じた。
「天弥」
促すような声が天弥の耳に響き、息苦しくなるほど体温が上がり、心臓が大きな音を立てて脈打った。ゆっくりと目を開け、戸惑いながら手を斎の胸元へと動かす。いつも抱きついているはずなのに、今は恥じらいで思考がまともに働かず、身体の動きもぎこちない。
天弥はゆっくりと手を伸ばし、目の前のボタンへと指先が触れたとたん、慌ててその手を引っ込めた。その戸惑い、恥らう仕種に斎は激しく劣情をそそられる。
斎はメガネを外すと天弥の顎に手をやり、その顔を上げさせる。お互いの視線が絡むと同時に、二人の唇が重なり合う。すぐに天弥の腕が斎の身体に回された。
焦らすかのように、斎はゆっくりと天弥を求める。いつもとは違うもどかしさに、天弥は自ら快楽を求め、斎を欲しがる。すぐに斎の唇が離れ、天弥は物足りなさが残る表情と、潤んだ瞳で斎を見つめた。
「どうした?」
天弥の求めているものを理解していながら、わざと尋ねる。斎の問いに天弥は、困惑と欲情が入り混じった表情を浮かべた。
斎は、天弥が自ら自分を求めるようにと、中途半端な快楽を与えた。天弥の中に、自分の存在を刻み込みたかったのだ。
聞き取れないような微かな声で、天弥は何かを呟くと俯いてしまった。
「聞こえない」
斎はそう言い、天弥の顔を自分へと向けさせる。羞恥の表情と共に、今にも涙がこぼれそうな瞳が向けられた。
「……キス……、して下さい……」
今にも消え入りそうな声で、天弥が懇願する。その泣き出しそうな表情に、快楽に喘ぐ時は、こんな感じなのだろうかと、更なる劣情を唆られた。
「欲しいなら、自分からしてみろ」
「悪い、少し考え事をしていた」
そう答えると斎は、天弥を強く抱きしめる。
「明日は休みだよな?」
斎の中では一週間分の日時がないため、改めて今度の土曜日が休日だということを確かめる。
「はい」
「なら明日、何か美味いものでも食いに行くか?」
天弥の返事に、斎はすぐに言葉を返す。だが、天弥はすぐに返事を出来ずに考え込む。退院したばかりで、大丈夫なのだろうかという不安はあるが、一緒に居たいという感情もあり、大きく揺れ動く。
「大丈夫ですか?」
不安が入り混じった声で、天弥が尋ねた。
「身体なら大丈夫だ」
心配そうな視線を向ける天弥に向かって答えた。
「なんなら確認するか?」
そう言うと斎は、天弥を抱きかかえたまま器用に片手でパジャマのボタンを外し始める。それを見て、天弥は顔を赤くし俯く。同性同士、体育の着替えなどで見慣れているはずだが、なぜか斎だと恥ずかしいと感じてしまう。
真っ赤な顔をして俯いてしまった天弥を見て、その耳元に唇を寄せた。吐息が耳にかかり、天弥の鼓動が速まる。
「やりにくいから、天弥が脱がせてくれるか?」
そう囁かれた言葉に、天弥はさらに耳まで赤くして慌てて顔を上げた。だが、まともに斎の顔を見ることが出来ずに、すぐに目を伏せる。伏せた視線の先に、はだけた斎の胸元があり、更に目のやり場に困り、思わず目を閉じた。
「天弥」
促すような声が天弥の耳に響き、息苦しくなるほど体温が上がり、心臓が大きな音を立てて脈打った。ゆっくりと目を開け、戸惑いながら手を斎の胸元へと動かす。いつも抱きついているはずなのに、今は恥じらいで思考がまともに働かず、身体の動きもぎこちない。
天弥はゆっくりと手を伸ばし、目の前のボタンへと指先が触れたとたん、慌ててその手を引っ込めた。その戸惑い、恥らう仕種に斎は激しく劣情をそそられる。
斎はメガネを外すと天弥の顎に手をやり、その顔を上げさせる。お互いの視線が絡むと同時に、二人の唇が重なり合う。すぐに天弥の腕が斎の身体に回された。
焦らすかのように、斎はゆっくりと天弥を求める。いつもとは違うもどかしさに、天弥は自ら快楽を求め、斎を欲しがる。すぐに斎の唇が離れ、天弥は物足りなさが残る表情と、潤んだ瞳で斎を見つめた。
「どうした?」
天弥の求めているものを理解していながら、わざと尋ねる。斎の問いに天弥は、困惑と欲情が入り混じった表情を浮かべた。
斎は、天弥が自ら自分を求めるようにと、中途半端な快楽を与えた。天弥の中に、自分の存在を刻み込みたかったのだ。
聞き取れないような微かな声で、天弥は何かを呟くと俯いてしまった。
「聞こえない」
斎はそう言い、天弥の顔を自分へと向けさせる。羞恥の表情と共に、今にも涙がこぼれそうな瞳が向けられた。
「……キス……、して下さい……」
今にも消え入りそうな声で、天弥が懇願する。その泣き出しそうな表情に、快楽に喘ぐ時は、こんな感じなのだろうかと、更なる劣情を唆られた。
「欲しいなら、自分からしてみろ」
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