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教室を出ると、何もかも放り出して天弥の元へと行きたい衝動を必死で抑える。教師という立場に縛られている自分を疎ましく思う。もし自分が教師でなかったら、昨日天弥と会うことを強く望むことも可能だったかもしれない。
天弥のためなら、いつ教師を辞めても構わないと思っていた。実際、天弥が卒業したら二人で海外へ行くつもりだったのだ。当てがないわけではないし、何よりもこの国ではどんなに望んでも叶わないことが、叶う国もあるのだ。
教科室へ戻ると携帯を取り出した。だが、期待していた返事はない。天弥の携帯の番号を表示し、通話ボタンを押すが、すぐに無表情な声のアナウンスが聞こえてくる。
力なくソファーへと腰掛けると、携帯を握り締めた。昨日の事情や天弥の様子を知りたいと思うが、サイラスまで欠席しているため、それも知ることが出来ない。
なぜサイラスまで欠席をしているのか、もしかすると二人は一緒に居るのではと、不安な考えが浮かんでくる。
予鈴が鳴り、立ち上がると機械的に授業の準備をして部屋を後にした。
天弥が学校へ来なくなってから五日目を迎えた。その間の放課後、斎は天弥の家へと通い続けていた。初日は閉じこもって出てこないと言われたが、二日目からは体調が悪くて臥せっているに変わった。それならと見舞いを希望したが、やんわりと断られてしまった。
同じくサイラスも、あれから登校して来ない。
何も情報が入らず、何も状況が分からないことに不安を覚え、天弥の妹である花乃に話を聞いた。その時の話によれば、臥せっているのは本当らしい。部屋から出ることもなく、食事も殆ど取っていないという。
今日は土曜日のため、午前中で授業が終わった。天弥の家へと行くために、斎は帰り支度を始める。天弥の担任から預かったプリントを鞄に入れた瞬間、室内に大きな音が響いた。反射的に視線が向けられる。
「天弥はどこや?」
その言葉の意味を理解することが出来ずに、唖然としながら音の正体である相手を見つめた。勢いよく開けたと思われるドアの所に居るのは、私服姿のサイラスだった。
「どこって……?」
聞きたいことが山のように有ったはずなのだが、突然の状況に全て頭から飛んでしまっていた。
「先生が天弥を隠しとんのやろ?」
斎の傍まで近づき、サイラスは必死な面持ちで問い詰める。
「だからどういう事なんだ?」
家に居るはずの天弥の居場所をなぜ尋ねるのか、それに自分が隠しているというのはどういう事なのか、理解が出来ない。
「ほんまに知らんのか?」
斎の問いに答えることなく、確認するようにそう言うとサイラスは踵を返した。
「ちょっと待て!」
斎がサイラスの腕を掴む。
「なんや?」
サイラスが振り返り、斎を見た。
「どういう事なのか説明しろ」
サイラスはその腕を振り払う。
「俺、忙しいんや」
天弥の姿が見当たらないと、母親から連絡が入った。心当たりは一つしかなく、急いでここまで来た。だが、様子を見る限り当てが外れたと思って間違いはない。
「邪魔する気やったら、本気でやらせてもらうで」
天弥のためなら、いつ教師を辞めても構わないと思っていた。実際、天弥が卒業したら二人で海外へ行くつもりだったのだ。当てがないわけではないし、何よりもこの国ではどんなに望んでも叶わないことが、叶う国もあるのだ。
教科室へ戻ると携帯を取り出した。だが、期待していた返事はない。天弥の携帯の番号を表示し、通話ボタンを押すが、すぐに無表情な声のアナウンスが聞こえてくる。
力なくソファーへと腰掛けると、携帯を握り締めた。昨日の事情や天弥の様子を知りたいと思うが、サイラスまで欠席しているため、それも知ることが出来ない。
なぜサイラスまで欠席をしているのか、もしかすると二人は一緒に居るのではと、不安な考えが浮かんでくる。
予鈴が鳴り、立ち上がると機械的に授業の準備をして部屋を後にした。
天弥が学校へ来なくなってから五日目を迎えた。その間の放課後、斎は天弥の家へと通い続けていた。初日は閉じこもって出てこないと言われたが、二日目からは体調が悪くて臥せっているに変わった。それならと見舞いを希望したが、やんわりと断られてしまった。
同じくサイラスも、あれから登校して来ない。
何も情報が入らず、何も状況が分からないことに不安を覚え、天弥の妹である花乃に話を聞いた。その時の話によれば、臥せっているのは本当らしい。部屋から出ることもなく、食事も殆ど取っていないという。
今日は土曜日のため、午前中で授業が終わった。天弥の家へと行くために、斎は帰り支度を始める。天弥の担任から預かったプリントを鞄に入れた瞬間、室内に大きな音が響いた。反射的に視線が向けられる。
「天弥はどこや?」
その言葉の意味を理解することが出来ずに、唖然としながら音の正体である相手を見つめた。勢いよく開けたと思われるドアの所に居るのは、私服姿のサイラスだった。
「どこって……?」
聞きたいことが山のように有ったはずなのだが、突然の状況に全て頭から飛んでしまっていた。
「先生が天弥を隠しとんのやろ?」
斎の傍まで近づき、サイラスは必死な面持ちで問い詰める。
「だからどういう事なんだ?」
家に居るはずの天弥の居場所をなぜ尋ねるのか、それに自分が隠しているというのはどういう事なのか、理解が出来ない。
「ほんまに知らんのか?」
斎の問いに答えることなく、確認するようにそう言うとサイラスは踵を返した。
「ちょっと待て!」
斎がサイラスの腕を掴む。
「なんや?」
サイラスが振り返り、斎を見た。
「どういう事なのか説明しろ」
サイラスはその腕を振り払う。
「俺、忙しいんや」
天弥の姿が見当たらないと、母親から連絡が入った。心当たりは一つしかなく、急いでここまで来た。だが、様子を見る限り当てが外れたと思って間違いはない。
「邪魔する気やったら、本気でやらせてもらうで」
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