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天弥とは十二年前に何度か会っていたというだけで、何も特別な事はなかったはずだ。
「運命? みたいなものです。後は、僕が少し関渉しました」
全て計算をされ、目前の天弥の手のひらで踊らされていただけだった。いつも傍に居てくれた天弥の感情も、想いも、作られたものだった。
「先生も簡単に落ちてしまいましたし、少し物足りなかったぐらいです」
楽しそうに、天弥は斎を見つめ笑う。最初は、目の前の天弥に何もかも奪われた。感情や想いなど関与せず、ただひたすら目の前の存在が欲しいと願った。だが、失ってから会いたいと望んだのは、ずっと一緒に居た方だった。
「それでも俺は……、天弥が好きなんだ。あいつが傍にいないとダメなんだ……」
その言葉に、天弥の表情から笑みが消える。収まったはずのざわめきが、また微かに蠢いた。
「許してもらえるまで、何度でも謝る。そして出来ることなら、もう一度やり直したい」
一途に自分を想い続けてくれた天弥を、裏切り傷つけた。自分がどれだけ都合の良いことを言っているのか理解している。それでも、このまま終わりになるのは嫌だった。
「天弥は僕だと、何度言えば理解してもらえるのですか?」
何も感情のこもらない表情と声音を、天弥は斎へと向けた。
「それに、先生が好きだというあれは、自ら閉じこもったんです。もう、先生には会いたくないんじゃないですか?」
天弥の言葉が、斎の胸に深く突き刺さる。
「あまり虐めないで欲しいですね」
低くてよく通る声が、斎と天弥の間に割り込んできた。
「そんなに追い詰めてしまうと、彼とゲームを楽しめなくなってしまう」
天弥はその言葉に、抱きついている相手へと視線を移した。
「分かりました」
相手の顔を見上げ、天弥は素直にその言葉に従う。
「それで、この後はどうするのですか?」
天弥を見下ろし、異質な闇が尋ねる。天弥は再び斎へと視線を向けた。
「そうですね……。約束を守る必要も無くなりましたし、僕のものではないものに興味はありませんし……、ここに留まる理由はないですね」
何かを考え込む表情をした後、天弥の表情がゆっくりと変わる。
「先生」
今まで見たことのないような極上の笑みを、天弥は斎へと向けた。
「さようなら」
斎にとって、もっとも残酷な言葉を口にする。それと同時に天弥たちの周りの闇が揺らいだ。
「天弥?」
周囲の闇と同化し、天弥の姿が消えた。慌てて、今まで天弥がいた場所へと駆け出す。しかし、そこには天弥が存在していたという痕跡は何も無く、斎を取り巻いていた畏怖をもたらす存在の残痕もなかった。
うるさく叫び続ける感情を抱え、天弥の名を何度も呼ぶ。人知を超える存在に成す術も無く、斎はつい先程まで天弥が存在していた場所に立ち尽くした。
「運命? みたいなものです。後は、僕が少し関渉しました」
全て計算をされ、目前の天弥の手のひらで踊らされていただけだった。いつも傍に居てくれた天弥の感情も、想いも、作られたものだった。
「先生も簡単に落ちてしまいましたし、少し物足りなかったぐらいです」
楽しそうに、天弥は斎を見つめ笑う。最初は、目の前の天弥に何もかも奪われた。感情や想いなど関与せず、ただひたすら目の前の存在が欲しいと願った。だが、失ってから会いたいと望んだのは、ずっと一緒に居た方だった。
「それでも俺は……、天弥が好きなんだ。あいつが傍にいないとダメなんだ……」
その言葉に、天弥の表情から笑みが消える。収まったはずのざわめきが、また微かに蠢いた。
「許してもらえるまで、何度でも謝る。そして出来ることなら、もう一度やり直したい」
一途に自分を想い続けてくれた天弥を、裏切り傷つけた。自分がどれだけ都合の良いことを言っているのか理解している。それでも、このまま終わりになるのは嫌だった。
「天弥は僕だと、何度言えば理解してもらえるのですか?」
何も感情のこもらない表情と声音を、天弥は斎へと向けた。
「それに、先生が好きだというあれは、自ら閉じこもったんです。もう、先生には会いたくないんじゃないですか?」
天弥の言葉が、斎の胸に深く突き刺さる。
「あまり虐めないで欲しいですね」
低くてよく通る声が、斎と天弥の間に割り込んできた。
「そんなに追い詰めてしまうと、彼とゲームを楽しめなくなってしまう」
天弥はその言葉に、抱きついている相手へと視線を移した。
「分かりました」
相手の顔を見上げ、天弥は素直にその言葉に従う。
「それで、この後はどうするのですか?」
天弥を見下ろし、異質な闇が尋ねる。天弥は再び斎へと視線を向けた。
「そうですね……。約束を守る必要も無くなりましたし、僕のものではないものに興味はありませんし……、ここに留まる理由はないですね」
何かを考え込む表情をした後、天弥の表情がゆっくりと変わる。
「先生」
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「さようなら」
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「天弥?」
周囲の闇と同化し、天弥の姿が消えた。慌てて、今まで天弥がいた場所へと駆け出す。しかし、そこには天弥が存在していたという痕跡は何も無く、斎を取り巻いていた畏怖をもたらす存在の残痕もなかった。
うるさく叫び続ける感情を抱え、天弥の名を何度も呼ぶ。人知を超える存在に成す術も無く、斎はつい先程まで天弥が存在していた場所に立ち尽くした。
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