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errare humanum est
sex
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「天弥……?」
呼びかけるが意識が戻る気配がなく、思わず頬を軽く叩く。
「天弥」
何度も繰り返し名を呼び身体を揺さぶってみるが反応は無い。
「先生!!」
強く呼ばれ斎は視線を声の主へと向ける。
「ここに天弥を連れて行ってや」
サイラスはそう言い、携帯メールを送る。
「そこやったら、うるさく聞かれんし大丈夫や」
届いたメールを確認すると、病院の名前と住所があった。そう遠くない場所なため、向かうのは可能である。
「分かった。すまない」
すぐに天弥の身体を抱き上げ車へと向かう。斎たちが車に乗り込み走り出したのを確認するとサイラスの身体は崩れるようにベンチに横たわった。
「ちょっとは俺の心配もしてくれとっても罰は当たらんと思わん?」
早急に救急車を呼ぶのが適切だったのは分かっているが、どの病院へ運ばれるのか分からず、さらに色々と聞かれるのも分かりきっていたから斎を呼んだ。教団に任せたら、そのまま天弥を連れ去られてしまうのは分かりきっていた。判断は間違っていないと自身に言い聞かせる。
「ま、俺は移動手段あるし、なんとかなるからええんやけどな……」
すぐに小さく何かを呟いた後、サイラスの意識が途切れた。
サイラスに指定された病院へたどり着くとすぐに天弥が運ばれていった。おそらく教団の息がかかった病院なのだろうが、今の状況では返って都合が良いのかもしれない。
診察や検査、治療を待つ間にサイラスが運ばれてくるのを確認した。ストレッチャーに載せられ運ばれる姿は、意識がないように思え、どうやってここにたどり着いたのかと不思議に思った。すぐに、天弥のことしか頭になく、おそらく重症だったであろうサイラスを置いてきたことに気が付き後悔をする。
運ばれていくサイラスを見つめていると看護師に声をかけられた。すぐに病室へ案内をされ、点滴に繋がれベッドの上に横たわる天弥と再会をした。医者から色々と説明を受け命に別状は無いことを知り、安堵からか力が抜けその場に崩れ落ちそうになる。なんとか身体を支え医師を見送った。
火傷の手当をされ、ベッドで眠る天弥を確認すると携帯を取り出した。個室のため使用に問題はなく、胡桃沢宛にメールを送った後、南極火災の動画を立ち上げる。勢いが弱まった炎と力なく膝を付く無貌の神の姿が見て取れた。少しすると、弱々しく何度か揺れる炎が霧散し、同時に無貌の神の姿も消えた。消滅をしたのかと思ったが、そう簡単に神が消えるはずもなく、互いに引いたのだと予想が立つ。画面に残る痕跡はむき出しの地面のみであり、これも時が経てば再び氷に覆われてしまいなんの跡形も無くなってしまうのだろうと思いながら、携帯の画面を消した。
今回のことで、天弥について謎が一つ明らかになった。方法は分からないが、時期や手段を問わず神を召喚できるのは間違いないだろう。しかしなぜ、何も相談や話が無かったのかと不満が湧き上がってくる。
天弥の寝顔に視線を移す。火傷の治療に貼られている湿潤治療被覆材を避け、静かにその頬へ触れた。一つ懸念があるが、今は戻ってきてくれたことだけでも満足だ。そう自身に言い聞かせ思考の片隅へと追いやった。
呼びかけるが意識が戻る気配がなく、思わず頬を軽く叩く。
「天弥」
何度も繰り返し名を呼び身体を揺さぶってみるが反応は無い。
「先生!!」
強く呼ばれ斎は視線を声の主へと向ける。
「ここに天弥を連れて行ってや」
サイラスはそう言い、携帯メールを送る。
「そこやったら、うるさく聞かれんし大丈夫や」
届いたメールを確認すると、病院の名前と住所があった。そう遠くない場所なため、向かうのは可能である。
「分かった。すまない」
すぐに天弥の身体を抱き上げ車へと向かう。斎たちが車に乗り込み走り出したのを確認するとサイラスの身体は崩れるようにベンチに横たわった。
「ちょっとは俺の心配もしてくれとっても罰は当たらんと思わん?」
早急に救急車を呼ぶのが適切だったのは分かっているが、どの病院へ運ばれるのか分からず、さらに色々と聞かれるのも分かりきっていたから斎を呼んだ。教団に任せたら、そのまま天弥を連れ去られてしまうのは分かりきっていた。判断は間違っていないと自身に言い聞かせる。
「ま、俺は移動手段あるし、なんとかなるからええんやけどな……」
すぐに小さく何かを呟いた後、サイラスの意識が途切れた。
サイラスに指定された病院へたどり着くとすぐに天弥が運ばれていった。おそらく教団の息がかかった病院なのだろうが、今の状況では返って都合が良いのかもしれない。
診察や検査、治療を待つ間にサイラスが運ばれてくるのを確認した。ストレッチャーに載せられ運ばれる姿は、意識がないように思え、どうやってここにたどり着いたのかと不思議に思った。すぐに、天弥のことしか頭になく、おそらく重症だったであろうサイラスを置いてきたことに気が付き後悔をする。
運ばれていくサイラスを見つめていると看護師に声をかけられた。すぐに病室へ案内をされ、点滴に繋がれベッドの上に横たわる天弥と再会をした。医者から色々と説明を受け命に別状は無いことを知り、安堵からか力が抜けその場に崩れ落ちそうになる。なんとか身体を支え医師を見送った。
火傷の手当をされ、ベッドで眠る天弥を確認すると携帯を取り出した。個室のため使用に問題はなく、胡桃沢宛にメールを送った後、南極火災の動画を立ち上げる。勢いが弱まった炎と力なく膝を付く無貌の神の姿が見て取れた。少しすると、弱々しく何度か揺れる炎が霧散し、同時に無貌の神の姿も消えた。消滅をしたのかと思ったが、そう簡単に神が消えるはずもなく、互いに引いたのだと予想が立つ。画面に残る痕跡はむき出しの地面のみであり、これも時が経てば再び氷に覆われてしまいなんの跡形も無くなってしまうのだろうと思いながら、携帯の画面を消した。
今回のことで、天弥について謎が一つ明らかになった。方法は分からないが、時期や手段を問わず神を召喚できるのは間違いないだろう。しかしなぜ、何も相談や話が無かったのかと不満が湧き上がってくる。
天弥の寝顔に視線を移す。火傷の治療に貼られている湿潤治療被覆材を避け、静かにその頬へ触れた。一つ懸念があるが、今は戻ってきてくれたことだけでも満足だ。そう自身に言い聞かせ思考の片隅へと追いやった。
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