apocalypsis

さくら

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alea jacta est

viginti

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「なにか来ます……」
 天井を見上げ、天弥はなにかの来訪を告げる。もし、知識があれば、このときに訪れるものの名を斎に告げていただろう。
「ハスターか?」
 神の名など知らない天弥には答えられなかった。
「僕……どうすれば良いですか?」
「オーガスト・ダーレスが神に属性を付けた。元々あったのか、後付なのかは知らないが……」
 それでも、南極での様子を見る限り、あながち間違いでもない気がするのだ。
「だから、風の神に敵対する神を呼ぶ」
「はい」
 おそらく、南極のときとおなじなのだろうと、天弥はそれだけを理解した。
「呪文は俺が言う」
 だが、まだ少し斎に迷いがある。いくら東京湾の真ん中とはいえ、確実に周囲に被害が出るだろう。街中で無かったことだけが救いだった。
「南極を選んだのはお前なのか?」
「いえ。サイラスくんが、一番、被害が少なそうだって決めました」
「そうか」
 南極か北極なら被害は少ないだろう。北極ではなく南極に決めたのは火の神を呼ぶからだったと推測できた。南極は大陸であるが北極はただの氷の塊のため、場合によっては水位に影響があるかもしれないと判断をしたと思われる。火の神が居ないのなら、南極か北極が良かったのだが、さすがに今から場所を変更してもらうことは出来ないだろう。斎は覚悟を決める。
「天弥。他になにか召喚するときに決まりごとや必要なものはあるか?」
「他には何もなかったと思います」
 自分のことだというのに、他人事のように答える様子に不安はあるが、他に選択肢が無かった。
「分かった。呼ぶのはクトゥルー水の神だ」
「はい」
 答えた声が少し強張っていた。緊張をしているのがすぐに分かった。
「呪文は、Ph’nglui mglw’nafh Cthulhu R’lyeh wgah’nagl fhtagnだ」
「ふ? んぐーむぐ? あれ? 続き……なんでしたっけ?」
 小首をかしげ、考え込むような表情を浮かべる天弥を、斎は見つめた。
「前はどうしたんだ?」
「サイラスくんが、ゆっくり短い言葉を言ってくれて、それを続けていたら出来たみたい?」
 それでも可能なのかと斎は目から鱗が落ちたような気がした。
「なら、ゆっくり短く区切って言うから、それに続いてくれ」
 天弥が頷く。それを見て斎は、あまりにも簡単に神を呼べることに、現実感が沸かない。とは言え、20年以上の歳月を費やしているのだから、当の本人たちには簡単とは言えないのだろう。
「Ph’nglui」
「ふんぐるい……?」
「mglw’nafh」
「むぐるーなふ」
 一応、なんとか続いて言えているようだが、これで大丈夫なのか不安が募る。
「Cthulhu」
「くとるー」
 斎が天弥を見つめる。召喚には、正確な呪文が必要なのか、それとも呪文はそこまで正確でなくても良いのか分からず、少し困惑をする。しかし、正確な呪文は斎にも分からないのだ。
「R’lyeh」
「るるいえ」
「wgah’nagl」
「うがふなぐる?」
 次で最後だと、斎は不謹慎にも逸る気持ちを落ち着かせた。
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