apocalypsis

さくら

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tu fui, ego eris

quattuor

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 天弥は、怠そうにベッドに腰掛けていた。斎は、椅子に座り天弥を見つめている。食事中、車の中ではなくホテルへ戻ることにした。天弥の体力などを考慮した結果だ。
「大丈夫か?」
 逃げ出すために無理をさせたのではと、やはり不安が襲ってくる。
「大丈夫です」
 その言葉を聞いても、斎の中から不安は無くならなかった。それだけ、表情には陰りがあり、身体はつらそうに見えるのだ。無理はするなと伝えたいが、口にしたところでどうにかなるわけでもない。
「先生は不満だと思いますが、しばらくは僕で我慢してください」
「なにかあるのか?」
「いえ。変わりたくないみたいなので……」
 斎は驚きを返す。
「互いにコンタクト出来るのか?」
「出来ませんよ。ただ、表に出たくないのだろうという感じです」
「なぜだ?」
 なにかそう思えてしまうようなことをしたのかと真剣に考える。
「僕に身体を返そうとしていましたからね。そのせいかもしれませんが……」
「そうか……」
 自分の体では無いことを知った以上、乗っ取っていることに罪悪感があるのだろうか。なぜ変わらないのかよりも、今は天弥の身体が心配だった。無事なら、また入れ替わることもあるだろう。
「せっかくなので、僕が昔話をしてあげましょう」
 天弥はベッドの上で横になる。
「先生には知られたくないみたいですが、もうそんなことも言っていられない状況ですからね」
 天弥は頭を動かし、斎へ視線を送る。
「それとも、今からでも手を引きますか? まだ間に合いますよ?」
「いや。それはない」
 天弥の視線が天井へと戻る。
「そうですか、聞かなければ良かったと後悔しても遅いですからね」
「後悔はしない……」
 予想は付いているが、それは結果みたいなもので過程はまったく分からない。だが、ここで逃げ出すつもりは無かった。むしろ、好奇心が斎を支配している。
「昔々、夢を観る学者が居ました。彼は夢の国へ行きたいと願っていましたが、それは叶うことが無い願いでした」
 予想通りの出だしだった。斎は静かに話を聞く。
「そこで、学者は銀の鍵を欲しましたが、それは容易に手に入るものではありませんでした」
 話すのがつらそうな状況に、天弥を停めるかどうか悩む。
「そんな学者に、一柱の神が願いを叶えることを申し出ました」
「ナイアルラトホテップか?」
 天弥が軽く頷く。
「学者は一冊の本を与えられたけど、自分ではそれを活かすことが出来ず、友人に相談します」
 予想通りの展開だと斎が思った時、携帯が着信を告げる。
「悪い。少し待ってくれ」
 特に天弥からの返事は無く、斎は携帯に出る。相手は学校の関係者で、被害が酷い状況なので、明日は臨時休校になったという連絡だった。通話を終えると、斎は室内に備え付けられている電話を取り、フロントに宿泊の延長を連絡した。それが、今の天弥にはベストな選択だと判断したのだ。
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