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第三章 放置ダンジョンで冒険者暮らし編
第174話 育てて、作って、いただきます!
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『またとんでもない作物を育てたもんだな』
一通り話した後、帰ってきたマスターの答えがこれだった。確かに自分でも中々のものを育ててしまったなと思っている。
「折角だから料理して食べようって話になってるんですが、大丈夫ですかね?」
『そうだな。鑑定結果で特に問題なければ冒険者やモンスターが食べる分には問題ない。ただし、一般人に食べさせたり勝手に売ったりするのは禁止だ。そのあたりは食品衛生法的にも引っかかるからな』
あぁなるほど。確かに言われてみればそうだろう。
「実は山守さんも一緒なんですが、冒険者登録したので大丈夫ということで良いでしょうか?」
『あぁ。冒険者になってるなら大丈夫だ。冒険者は一般人とは別枠として考えられているからな。しかし、お前も隅に置けないな』
小澤マスターの返しに、頬が熱くなるのを感じた。
「いや、違いますよ! 変な勘ぐりはよしてください」
『うん? そうなのか? まんざらでもなさそうに思えるけどなぁ』
くっ、何故か小澤マスターのニヤついた顔が思い浮かぶようだ!
『まぁそれはそれとしてだ、その作物、ギルドで買い取れるかもしれないからな。余裕があったら持ち込んでみるといいぞ』
「え? そうなんですか?」
『あぁ。勝手に売るのは許されないが、冒険者ギルドのような機関を通して売るのは問題ないからな。他にも冒険者ギルドが認めた協力店もある。そういった場所にも売れるが最初はギルドに来てもらった方がいいと思うぞ。基準も知れるからな』
なるほど、とりあえずギルドに持ち込めば買い取ってくれるわけか。基準を知るにも最初はギルドに持っていくのがよさそうだ。
「ありがとうございます。結構採れたので今度持っていきますよ」
『おう! モンスターも一緒に顔出せよ!』
こうして俺は手に入れた作物を持ち込むついでに小澤マスターに顔出す約束もして通話を終えた。
「マスターにも話を聞いたけど、採れた作物は冒険者やモンスターが食す分には大丈夫らしい」
「本当! それなら私も冒険者に登録しててよかった~」
そう言って喜ぶ秋月。こうなると昼食はこの魔根人参と陽熟実トマトを取り入れた料理にするのが良さそうだ。
「昼食も皆で何か作るとして、もう少し畑作業してからにしようか」
「ワン!」
「ピキィ~」
「モグ~」
「ゴブッ!」
「マァ!」
皆も張り切ってくれたので、買ってきたミニトマトやきゅうり、とうもろこしなんかを植えていく。トマトの育ちを見た限り、今回の作物も収穫までかなり早そうだ。
「魔根人参があれだけ育ってたし、今回の野菜たちも期待できそうだね」
「確かにな。トマトもすぐに実ったし、ここの土壌の力はやっぱりすごいよな」
作業を一段落させてから、昼食の準備に取りかかることにした。ただ――
「オムライスを作ろうと思ったんだけど、卵が足りなかったんだよね。スーパーで買っておいてよかった」
秋月がそう言ってクーラーバッグからパックを取り出す。完璧な買い物リスト、さすがだ。
「じゃあ俺がライス担当するよ。モグ、米の炊き具合頼んだぞ」
「モグゥ~♪」
ゴブは手際よく玉ねぎと魔根人参を刻んで炒めてくれる。フライパンを振るその姿はどこかシェフのような風格があった。
「ワン!」
「おっと、モコ。トマトは潰さないようにな。ソース用だから丁寧にな」
モコが興奮しすぎてトマトを押しつぶしそうになるのを宥めつつ、ラムがその脇でぷるぷるしながらフォークを咥えて手伝おうとしている。いや、どうやって使う気なんだ。
「ピキィ♪」
「マァ♪」
「ゴブッ♪」
皆で笑いながら、料理ができあがっていく。秋月は卵を焼くのに集中していたが、ふと思いついたように取り出したケチャップでプレートに文字を描き始めた。
「ほら、これ見て」
俺の皿には『ありがと!』の文字、モコには『ワンワン♪』、ゴブには『ゴブシェフ!』と、皆それぞれ違うメッセージが添えられていた。
「うわ、こりゃすごいな。芸が細かい」
「ふふっ、ちょっと頑張ってみた♪」
自然と笑顔になる俺たち。食べる前からもう心が満たされていた。
「それじゃあ――」
「「「「「いただきます!」」」」」
皆で声を揃えて手を合わせる。
しっかり育った野菜たちをふんだんに使った、優しい甘みと旨味の詰まったオムライス。ひと口ごとに、俺たちのスローライフが深まっていく気がした。
一通り話した後、帰ってきたマスターの答えがこれだった。確かに自分でも中々のものを育ててしまったなと思っている。
「折角だから料理して食べようって話になってるんですが、大丈夫ですかね?」
『そうだな。鑑定結果で特に問題なければ冒険者やモンスターが食べる分には問題ない。ただし、一般人に食べさせたり勝手に売ったりするのは禁止だ。そのあたりは食品衛生法的にも引っかかるからな』
あぁなるほど。確かに言われてみればそうだろう。
「実は山守さんも一緒なんですが、冒険者登録したので大丈夫ということで良いでしょうか?」
『あぁ。冒険者になってるなら大丈夫だ。冒険者は一般人とは別枠として考えられているからな。しかし、お前も隅に置けないな』
小澤マスターの返しに、頬が熱くなるのを感じた。
「いや、違いますよ! 変な勘ぐりはよしてください」
『うん? そうなのか? まんざらでもなさそうに思えるけどなぁ』
くっ、何故か小澤マスターのニヤついた顔が思い浮かぶようだ!
『まぁそれはそれとしてだ、その作物、ギルドで買い取れるかもしれないからな。余裕があったら持ち込んでみるといいぞ』
「え? そうなんですか?」
『あぁ。勝手に売るのは許されないが、冒険者ギルドのような機関を通して売るのは問題ないからな。他にも冒険者ギルドが認めた協力店もある。そういった場所にも売れるが最初はギルドに来てもらった方がいいと思うぞ。基準も知れるからな』
なるほど、とりあえずギルドに持ち込めば買い取ってくれるわけか。基準を知るにも最初はギルドに持っていくのがよさそうだ。
「ありがとうございます。結構採れたので今度持っていきますよ」
『おう! モンスターも一緒に顔出せよ!』
こうして俺は手に入れた作物を持ち込むついでに小澤マスターに顔出す約束もして通話を終えた。
「マスターにも話を聞いたけど、採れた作物は冒険者やモンスターが食す分には大丈夫らしい」
「本当! それなら私も冒険者に登録しててよかった~」
そう言って喜ぶ秋月。こうなると昼食はこの魔根人参と陽熟実トマトを取り入れた料理にするのが良さそうだ。
「昼食も皆で何か作るとして、もう少し畑作業してからにしようか」
「ワン!」
「ピキィ~」
「モグ~」
「ゴブッ!」
「マァ!」
皆も張り切ってくれたので、買ってきたミニトマトやきゅうり、とうもろこしなんかを植えていく。トマトの育ちを見た限り、今回の作物も収穫までかなり早そうだ。
「魔根人参があれだけ育ってたし、今回の野菜たちも期待できそうだね」
「確かにな。トマトもすぐに実ったし、ここの土壌の力はやっぱりすごいよな」
作業を一段落させてから、昼食の準備に取りかかることにした。ただ――
「オムライスを作ろうと思ったんだけど、卵が足りなかったんだよね。スーパーで買っておいてよかった」
秋月がそう言ってクーラーバッグからパックを取り出す。完璧な買い物リスト、さすがだ。
「じゃあ俺がライス担当するよ。モグ、米の炊き具合頼んだぞ」
「モグゥ~♪」
ゴブは手際よく玉ねぎと魔根人参を刻んで炒めてくれる。フライパンを振るその姿はどこかシェフのような風格があった。
「ワン!」
「おっと、モコ。トマトは潰さないようにな。ソース用だから丁寧にな」
モコが興奮しすぎてトマトを押しつぶしそうになるのを宥めつつ、ラムがその脇でぷるぷるしながらフォークを咥えて手伝おうとしている。いや、どうやって使う気なんだ。
「ピキィ♪」
「マァ♪」
「ゴブッ♪」
皆で笑いながら、料理ができあがっていく。秋月は卵を焼くのに集中していたが、ふと思いついたように取り出したケチャップでプレートに文字を描き始めた。
「ほら、これ見て」
俺の皿には『ありがと!』の文字、モコには『ワンワン♪』、ゴブには『ゴブシェフ!』と、皆それぞれ違うメッセージが添えられていた。
「うわ、こりゃすごいな。芸が細かい」
「ふふっ、ちょっと頑張ってみた♪」
自然と笑顔になる俺たち。食べる前からもう心が満たされていた。
「それじゃあ――」
「「「「「いただきます!」」」」」
皆で声を揃えて手を合わせる。
しっかり育った野菜たちをふんだんに使った、優しい甘みと旨味の詰まったオムライス。ひと口ごとに、俺たちのスローライフが深まっていく気がした。
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