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第四章 モンスターバトル編
第183話 チャレンジャー
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「さぁどうする? 一回五千円で制限時間は五分。それで一発でも当てられたら、この魔石を手に入れるチャンスだ! こんな機会めったに無いぜ? 三人までならパーティーで挑戦してもオッケーだ。ただし人数分の料金は貰うけどな!」
男は自分を親指で指しながら、観衆を煽るように声を張った。三人同時に相手できる――その言葉には、絶対の自信がにじんでいる。
「よっしゃ! 俺たちがその魔石、もらうぜ!」
名乗りを上げたのは男性二人と女性一人のパーティー。剣士と短剣使いに加え、杖を持った魔術師らしい女性の三人組だ。
「おっと、いきなり三人まとめてか」
「今さらナシなんて言わないよな?」
「ハハッ、そんなこと言うわけない。いいぜ、一人五千円な」
軽口を交わしながらも、男はきっちりと三人分の料金を受け取り、挑戦は始まった。
「こっちは本気でいくからな。痛くても泣くなよ?」
「心配はいらねぇ。そのために“身代わりの石”を持ってるんだからな」
「プッ、なんだよ保険かけてんのかよ。ダセェな!」
主催者の言葉に挑戦者の一人が笑う。どうやら身代わりの石があれば致命的な一撃を受けても無効化できるらしい。
「あ~あ。まんまと引っかかっとんなぁ。あかんで、あれは」
ふと隣から関西訛りの声がした。振り向くと、眼鏡を掛けた女の子が苦笑しながら挑戦の様子を眺めていた。
「行くぞ!」
「ストーンボルト!」
「一気に決める!」
三人が一斉に攻めかかる。女性が魔法を放ち、剣と短剣が左右から斬り込んだ。
「本気でやってるな……これ大丈夫なのか?」
俺の呟きに、眼鏡の子が朗らかに笑って答える。
「ここは冒険者通りやからな。その分、規則も緩いんや。もちろんやりすぎはあかんけど、これぐらいなら問題ないんやで」
「随分と詳しそうですね」
秋月も興味を引かれたのか会話に加わる。モコ、ラム、マール、モグ、ゴブもぞろぞろ近づいてきて、舞台をのぞき込むようにしている。
「ま、うちはようここに来とるからな」
なるほど、常連ってことか。そんなことを考えているうちに五分が経ち、挑戦者たちは地面にしゃがみ込み、肩で息をしていた。
「いやぁ、惜しかったなぁ」
「くっ、くそ! もう少しだったのに!」
「最後にバランス崩したからいけると思ったのに!」
「あと一分あれば……!」
三人は口々に悔しがるが、ルールはルールだ。観客からもため息が漏れる。
「よし! 次は俺がやるぞ!」
元気いっぱいに声を上げたのは中山だった。やっぱりうずうずしてたか。
「おっと、今度は一人で挑戦か?」
「いや、俺は一人じゃない! この筋肉が一緒にいる!」
中山は胸を張り、力こぶを誇示する。観客から笑いが起こり、場が和んだ。
「ハハッ、こいつはまた変わった挑戦者だな。よし、いいぜやろう」
「うむ! 俺は中山だ! よろしく頼む!」
「お、おう……自己紹介まで律儀だな。わかった中山。俺は伊達だ。よろしくな!」
しっかりと握手を交わす二人。その瞬間、観客の空気が一変し、熱気が走った。
――ギシギシと音が聞こえてきそうなほど、二人からは凄まじい気迫があふれていた。
男は自分を親指で指しながら、観衆を煽るように声を張った。三人同時に相手できる――その言葉には、絶対の自信がにじんでいる。
「よっしゃ! 俺たちがその魔石、もらうぜ!」
名乗りを上げたのは男性二人と女性一人のパーティー。剣士と短剣使いに加え、杖を持った魔術師らしい女性の三人組だ。
「おっと、いきなり三人まとめてか」
「今さらナシなんて言わないよな?」
「ハハッ、そんなこと言うわけない。いいぜ、一人五千円な」
軽口を交わしながらも、男はきっちりと三人分の料金を受け取り、挑戦は始まった。
「こっちは本気でいくからな。痛くても泣くなよ?」
「心配はいらねぇ。そのために“身代わりの石”を持ってるんだからな」
「プッ、なんだよ保険かけてんのかよ。ダセェな!」
主催者の言葉に挑戦者の一人が笑う。どうやら身代わりの石があれば致命的な一撃を受けても無効化できるらしい。
「あ~あ。まんまと引っかかっとんなぁ。あかんで、あれは」
ふと隣から関西訛りの声がした。振り向くと、眼鏡を掛けた女の子が苦笑しながら挑戦の様子を眺めていた。
「行くぞ!」
「ストーンボルト!」
「一気に決める!」
三人が一斉に攻めかかる。女性が魔法を放ち、剣と短剣が左右から斬り込んだ。
「本気でやってるな……これ大丈夫なのか?」
俺の呟きに、眼鏡の子が朗らかに笑って答える。
「ここは冒険者通りやからな。その分、規則も緩いんや。もちろんやりすぎはあかんけど、これぐらいなら問題ないんやで」
「随分と詳しそうですね」
秋月も興味を引かれたのか会話に加わる。モコ、ラム、マール、モグ、ゴブもぞろぞろ近づいてきて、舞台をのぞき込むようにしている。
「ま、うちはようここに来とるからな」
なるほど、常連ってことか。そんなことを考えているうちに五分が経ち、挑戦者たちは地面にしゃがみ込み、肩で息をしていた。
「いやぁ、惜しかったなぁ」
「くっ、くそ! もう少しだったのに!」
「最後にバランス崩したからいけると思ったのに!」
「あと一分あれば……!」
三人は口々に悔しがるが、ルールはルールだ。観客からもため息が漏れる。
「よし! 次は俺がやるぞ!」
元気いっぱいに声を上げたのは中山だった。やっぱりうずうずしてたか。
「おっと、今度は一人で挑戦か?」
「いや、俺は一人じゃない! この筋肉が一緒にいる!」
中山は胸を張り、力こぶを誇示する。観客から笑いが起こり、場が和んだ。
「ハハッ、こいつはまた変わった挑戦者だな。よし、いいぜやろう」
「うむ! 俺は中山だ! よろしく頼む!」
「お、おう……自己紹介まで律儀だな。わかった中山。俺は伊達だ。よろしくな!」
しっかりと握手を交わす二人。その瞬間、観客の空気が一変し、熱気が走った。
――ギシギシと音が聞こえてきそうなほど、二人からは凄まじい気迫があふれていた。
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