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第一章 モンスターとの出会い編
第3話 ダンジョンで見つけた初モンスター
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何かすぐに隠れてしまったけど見間違いではなかった筈だ。しかしあれはまさか噂のダンジョンに出るというモンスター?
二本足で活動する犬型のモンスターは聞いたことがある。確かコボルトという筈だ。武器も扱ってきて結構手強いタイプとネットで見た気がする。
ただ――俺の知識にあるコボルトと比べると随分と小さい気がした。まるで子犬のような……。
とは言え見てしまった以上黙ってもいられない。俺はナイフを手にゆっくりとさっきのコボルトらしきものがいた場所に近づいていく。
するとそこには所々に岩もあったのだが、そこから尻を出してブルブル震えている何かがいた。尾には尻尾が生えていた。おそらく犬の尻尾だ。
てか、もしかしてこわがられている?
「あの――」
「――ッ!?」
俺が声を掛けると尻がビクッと跳ね上がり、尻が岩に引っ込んだかと思えばそっと顔を出してきた。
「キャウン!?」
かと思えば俺を確認してすぐに岩の中に引っ込んだ。あ、そうかナイフを持っていたから怯えたのか。
というか、これ全く襲ってくる気配がないな。寧ろ本当に怖がってる感じで逆に悪い気がしてきた。
「ごめんごめん。脅かすつもりはなかったんだ」
俺は岩の裏側を覗き込んでコボルトと思われるモンスターに声を掛けた。端っこで不安そうな顔でこっちを見ていた。
いや本当罪悪感しかわかないわこれ。しかもやっぱり思ったより小柄だ。感覚的には子どものコボルトつまり子コボルトといった様相だ。
「その、本当にごめん。でもどうしてここに? て、ここはダンジョンなんだから別にモンスターがいるのはおかしくないのか」
とにかくナイフはしまって子コボルトに一生懸命話しかけた。すると段々と子コボルトの警戒心がとけてきたのかこっちを気にする様子を見せてきた。
興味を持ってくれたのかな? とそう思えた時――
――グ~~と子コボルトのお腹がなった。えっとこれってもしかしなくても。
「もしかしてお腹へってるのか?」
「ク~ン……」
子コボルトがか細く鳴いた。そうか、そりゃそうだよな。どう見てもこのダンジョンの中でご飯とか用意できないもんな。きっと空腹で食べ物を探しにきたんだろうなこの子も。
そんな子に対して俺はナイフを突きつけてしまったのだからなんとも情けないことだなと思う。
「ちょっと待ってろ」
俺はそう子コボルトに伝え鍋のある場所に戻り、容器にライスとカレーをよそって子コボルトの元に戻った。
さっき俺の方を見ていたのはきっとカレーの匂いにつられてきたのだろう。
「ほら。これカレーっていうんだ。良かったら食べてくれ」
そう言って俺は子コボルトの側にカレーの入った器を置いた。
「ワウ?」
「あぁ食べていいんだぞ」
俺がそう伝えると子コボルトが目を輝かせた。そしてカレーと一緒に念のため持ってきておいたスプーンを握り眺めている。
コボルトは武器も扱うと聞いたけどどうやら手先が器用なようだ。だから俺はジェスチャーでスプーンの使い方を見せてやると子コボルトも見よう見まねでスプーンを扱いカレーを掬って食べ始めた。
「ワウ! ワウワウワウワウ!」
すると子コボルトが嬉しそうにカレーを食べ始めた。余程気に入ったのか満面の笑みを浮かべていた。見ていてなんとも微笑ましく思った。
モンスターにはもっと恐ろしいイメージを持っていたのだけど、これはちょっと改めないといけなさそうだな。
「クゥ~ン……」
そして器のカレーを食べきった子コボルトが今度は甘えたような声ですり寄ってきた。
「もしかしておかわりが欲しいのか?」
「ワウ!」
「はは。いいぞ。カレーはまだあるしな。ほらこっちに来いよ」
俺は子コボルトを連れて拠点にしてある場所まで戻った。そこで鍋のカレーを盛り食べさせてあげる。ご飯もルーも少し多めに入れてあげたら随分と満足そうにしていたよ――
二本足で活動する犬型のモンスターは聞いたことがある。確かコボルトという筈だ。武器も扱ってきて結構手強いタイプとネットで見た気がする。
ただ――俺の知識にあるコボルトと比べると随分と小さい気がした。まるで子犬のような……。
とは言え見てしまった以上黙ってもいられない。俺はナイフを手にゆっくりとさっきのコボルトらしきものがいた場所に近づいていく。
するとそこには所々に岩もあったのだが、そこから尻を出してブルブル震えている何かがいた。尾には尻尾が生えていた。おそらく犬の尻尾だ。
てか、もしかしてこわがられている?
「あの――」
「――ッ!?」
俺が声を掛けると尻がビクッと跳ね上がり、尻が岩に引っ込んだかと思えばそっと顔を出してきた。
「キャウン!?」
かと思えば俺を確認してすぐに岩の中に引っ込んだ。あ、そうかナイフを持っていたから怯えたのか。
というか、これ全く襲ってくる気配がないな。寧ろ本当に怖がってる感じで逆に悪い気がしてきた。
「ごめんごめん。脅かすつもりはなかったんだ」
俺は岩の裏側を覗き込んでコボルトと思われるモンスターに声を掛けた。端っこで不安そうな顔でこっちを見ていた。
いや本当罪悪感しかわかないわこれ。しかもやっぱり思ったより小柄だ。感覚的には子どものコボルトつまり子コボルトといった様相だ。
「その、本当にごめん。でもどうしてここに? て、ここはダンジョンなんだから別にモンスターがいるのはおかしくないのか」
とにかくナイフはしまって子コボルトに一生懸命話しかけた。すると段々と子コボルトの警戒心がとけてきたのかこっちを気にする様子を見せてきた。
興味を持ってくれたのかな? とそう思えた時――
――グ~~と子コボルトのお腹がなった。えっとこれってもしかしなくても。
「もしかしてお腹へってるのか?」
「ク~ン……」
子コボルトがか細く鳴いた。そうか、そりゃそうだよな。どう見てもこのダンジョンの中でご飯とか用意できないもんな。きっと空腹で食べ物を探しにきたんだろうなこの子も。
そんな子に対して俺はナイフを突きつけてしまったのだからなんとも情けないことだなと思う。
「ちょっと待ってろ」
俺はそう子コボルトに伝え鍋のある場所に戻り、容器にライスとカレーをよそって子コボルトの元に戻った。
さっき俺の方を見ていたのはきっとカレーの匂いにつられてきたのだろう。
「ほら。これカレーっていうんだ。良かったら食べてくれ」
そう言って俺は子コボルトの側にカレーの入った器を置いた。
「ワウ?」
「あぁ食べていいんだぞ」
俺がそう伝えると子コボルトが目を輝かせた。そしてカレーと一緒に念のため持ってきておいたスプーンを握り眺めている。
コボルトは武器も扱うと聞いたけどどうやら手先が器用なようだ。だから俺はジェスチャーでスプーンの使い方を見せてやると子コボルトも見よう見まねでスプーンを扱いカレーを掬って食べ始めた。
「ワウ! ワウワウワウワウ!」
すると子コボルトが嬉しそうにカレーを食べ始めた。余程気に入ったのか満面の笑みを浮かべていた。見ていてなんとも微笑ましく思った。
モンスターにはもっと恐ろしいイメージを持っていたのだけど、これはちょっと改めないといけなさそうだな。
「クゥ~ン……」
そして器のカレーを食べきった子コボルトが今度は甘えたような声ですり寄ってきた。
「もしかしておかわりが欲しいのか?」
「ワウ!」
「はは。いいぞ。カレーはまだあるしな。ほらこっちに来いよ」
俺は子コボルトを連れて拠点にしてある場所まで戻った。そこで鍋のカレーを盛り食べさせてあげる。ご飯もルーも少し多めに入れてあげたら随分と満足そうにしていたよ――
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