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第二章 冒険者登録編
第16話 宝箱
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「ワン! ワン!」
「ピキィ~」
モコとラムの声がして俺は目が覚めた。時計を見ると朝の7時だ。モコもラムも朝が早いなと思いつつ起き上がるとモコが俺の腕をグイグイと引っ張ってきた。
「ふぁ~どうしたモコぉ?」
「ワン! ワンワン!」
モコは俺に何かを伝えたがっているようだ。とにかく来てほしいってことなのかもしれない。
「わかった。今いくよ」
俺はモコについていく。それは昨日種蒔きしたあたりのこと。そこに何やら見覚えがあるようなないような、そんな何かが鎮座していた。
「え? これって宝箱?」
俺は驚いた。ダンジョンでたまに見つかるという宝箱。それが俺の目の前にあるからだ。しかし大きさはそれ程大きくない。まさか、昨日種を蒔いたから出現したとかじゃないよな?
「あれ? もう芽が出てる……」
しかも更に驚いたのは種蒔きした場所で発芽されていたことだ。当然だが蒔いた種はこんなに早く発芽するものじゃない。もっと日にちがかかるはずだ。
しかも最初に生えていた芽も更に成長している気がする。
それらも不思議ではあったが今は何よりも宝箱だ。
「放置されたダンジョンでは出てこないはずなんだけどな」
「ワオン?」
「ピキ~?」
モコは小首をかしげラムは興味深そうにピョンピョンっと跳ねていた。本来出ない筈の宝箱か……なんで突然と思わなくもないけど、やはり中身が気になる。
何か子ども時代に戻った気分が。すごくワクワクしている自分がいる。とはいえダンジョンに出てきた宝箱だ。当然危険な罠が仕掛けられている可能性だってある。
「開けてみるか。ただ罠の可能性もあるから皆は離れていて」
「ワン! ワン!」
「ピ~!」
罠について話すとモコとラムが俺にピッタリ寄り添ってきた。とても可愛いが危ないから離れていた方がいいと思うんだけどなぁ。
「罠があったら危ないぞ。離れていたほうが」
「ワン! ワン!」
「ピキィ~!」
何かそれは嫌みたいだ。もしかして俺を心配してくれているんだろうか。その気持ちはすごく嬉しい。
こうなったらとにかく慎重に開けて見るとしようか。
「ソロリソロリと開けるからな」
俺がそう言うとモコもラムも固唾をのんで見守ってくれていた。緊張感が漂ってくるな。俺はまずは開け口に手をかけてゆっくりと開いていく。
――貴方に――を……。
ふと、そんな声がどこからか聞こえてきた気がした。今のは?
「今なにか聞こえた?」
「ワウ?」
「ピキィ?」
俺が聞くとモコもラムも不思議そうな様子を見せた。どうやら俺にしか聞こえてなかったようだ。ただ一瞬だったし空耳だったのかもしれない。
「とにかく罠はないみたいだな……」
俺がそう呟くとモコとラムはほっと胸を撫で下ろしていた。とりあえず罠は大丈夫のようだけどそれでも安心はできない。
慎重に俺は宝箱を開けてみた。すると中には青白く輝く玉が一つ入っていたわけだが――
「ピキィ~」
モコとラムの声がして俺は目が覚めた。時計を見ると朝の7時だ。モコもラムも朝が早いなと思いつつ起き上がるとモコが俺の腕をグイグイと引っ張ってきた。
「ふぁ~どうしたモコぉ?」
「ワン! ワンワン!」
モコは俺に何かを伝えたがっているようだ。とにかく来てほしいってことなのかもしれない。
「わかった。今いくよ」
俺はモコについていく。それは昨日種蒔きしたあたりのこと。そこに何やら見覚えがあるようなないような、そんな何かが鎮座していた。
「え? これって宝箱?」
俺は驚いた。ダンジョンでたまに見つかるという宝箱。それが俺の目の前にあるからだ。しかし大きさはそれ程大きくない。まさか、昨日種を蒔いたから出現したとかじゃないよな?
「あれ? もう芽が出てる……」
しかも更に驚いたのは種蒔きした場所で発芽されていたことだ。当然だが蒔いた種はこんなに早く発芽するものじゃない。もっと日にちがかかるはずだ。
しかも最初に生えていた芽も更に成長している気がする。
それらも不思議ではあったが今は何よりも宝箱だ。
「放置されたダンジョンでは出てこないはずなんだけどな」
「ワオン?」
「ピキ~?」
モコは小首をかしげラムは興味深そうにピョンピョンっと跳ねていた。本来出ない筈の宝箱か……なんで突然と思わなくもないけど、やはり中身が気になる。
何か子ども時代に戻った気分が。すごくワクワクしている自分がいる。とはいえダンジョンに出てきた宝箱だ。当然危険な罠が仕掛けられている可能性だってある。
「開けてみるか。ただ罠の可能性もあるから皆は離れていて」
「ワン! ワン!」
「ピ~!」
罠について話すとモコとラムが俺にピッタリ寄り添ってきた。とても可愛いが危ないから離れていた方がいいと思うんだけどなぁ。
「罠があったら危ないぞ。離れていたほうが」
「ワン! ワン!」
「ピキィ~!」
何かそれは嫌みたいだ。もしかして俺を心配してくれているんだろうか。その気持ちはすごく嬉しい。
こうなったらとにかく慎重に開けて見るとしようか。
「ソロリソロリと開けるからな」
俺がそう言うとモコもラムも固唾をのんで見守ってくれていた。緊張感が漂ってくるな。俺はまずは開け口に手をかけてゆっくりと開いていく。
――貴方に――を……。
ふと、そんな声がどこからか聞こえてきた気がした。今のは?
「今なにか聞こえた?」
「ワウ?」
「ピキィ?」
俺が聞くとモコもラムも不思議そうな様子を見せた。どうやら俺にしか聞こえてなかったようだ。ただ一瞬だったし空耳だったのかもしれない。
「とにかく罠はないみたいだな……」
俺がそう呟くとモコとラムはほっと胸を撫で下ろしていた。とりあえず罠は大丈夫のようだけどそれでも安心はできない。
慎重に俺は宝箱を開けてみた。すると中には青白く輝く玉が一つ入っていたわけだが――
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