親友と婚約者に裏切られ仕事も家も失い自暴自棄になって放置されたダンジョンで暮らしてみたら可愛らしいモンスターと快適な暮らしが待ってました

空地大乃

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第二章 冒険者登録編

第17話 ジョブストーン

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「ん? 何だこれ?」
「クゥ~ン?」

 俺が首を傾げるとモコも釣られて首を傾げていた。宝箱に入っていたのは片手で持てる程度のサイズの玉だった。ただの玉? いや、宝箱に入ってる物がそんななんでも無い玉なわけが――

「あ――」

 ふと思い出して短い声が出た。そういえばネットでみたのもこんな色だったはずだ。

「もしかしてこれ、ジョブストーンかも……」
「ワン?」
「ピキィ~?」

 モコとラムがどういう意味だろう? といった様子でこっちを見てきた。そしてジョブストーンって何? と言いたげにそれぞれ頭をコテンと傾げている。そんな姿も可愛いな。

 とはいえ、詳しく説明して欲しいんだろう。俺はモコとラムに説明することにした。

「えっとな、ジョブストーンというのは不思議な力を持つ石のことで人間がそれを身につけることで特別なジョブを習得できるんだ」

 俺がそう説明するとモコとラムが何だかワクワクした顔を見せていた。
「ワフ?」
「ピキキ~?」
「俺もまだよくわかってないんだけどさ、ネットでみたやつとそっくりなんだよな。ジョブストーンって」
「ワン!」
「ピキキィ!」

 俺がそう言うとモコとラムは嬉しそうに飛び跳ねていた。何か良いものが手に入ったんだと喜んでくれているようだ。

「コレがジョブストーンかどうか、確かめる方法が一つあるんだよな」

 俺はジョブストーンを掲げネットで見たキーワードを口にした。

「ステータスオープン!」
 
 そのキーワードに反応してジョブストーンが光り輝いた。伸びてる光を壁に当てると壁にステータスが表示された。

ジョブ名:農民
装備者:
ジョブレベル:
戦闘力:E
魔法力:D
信仰力:C
生産力:B
成長力:D

「やっぱりこれはジョブストーンだったんだ」
「ワウ! ワウ!」
「ピキュ~!」

 ステータスを見て俺も年甲斐もなく興奮してしまった。モコとラムも俺の周りで跳ねながら喜んでいた。

 それにしても農民か。確か農業に関係するジョブがそんな名前だった気がする。装備者やレベルが表示されていないのは装備出来てないからだろう。

 ゲーム的な装備という意味ではないのだけど、これを装備として認識させるにはちょっとした装具が必要なんだよな。

 しかし、どうしていきなり現れたんだろう。モンスターを倒したわけでもないのに……何か条件でもあるのかな?

 う~ん考えてもわからないか。そもそも放置されたダンジョンに宝箱が出ることが異例なわけだし。

「さて、折角ジョブストーンを手に入れたけど、問題はどうやって身につけるかだよなぁ」
「ワフン?」
「ピキィ?」

 モコとラムは俺の言葉に疑問を持ったようだ。だからジョブストーンについて説明することにした。

「このジョブストーンは特殊な腕輪なんかに嵌めることで装備が可能なんだ。ただその腕輪を俺は持ってなくてね」

 そう、つまりこのままだとジョブストーンを装備することが出来ないわけだが――
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