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第二章 冒険者登録編
第20話 山の管理者
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「その、勝手にこのダンジョンを使っていたのは申し訳ないけど、俺は別に泥棒目的なわけじゃないんだ」
「く、口でならなんとでも言えます! タダでさえここには迷惑な人も多かったんですからね!」
彼女が声を張り上げた。迷惑な人――もしかしてあの張り紙をしたりゴミを投げて言ってた奴らのことだろうか。
俺はまだ直接は会ってないが確かに最初は随分とここも荒れていたからな。
「少し落ち着いてくれ。少なくとも俺はそんな輩とは違うから」
「何が違うんですか。勝手にこんな真似して」
「ワンワン!」
「ピキィ!」
俺が弁明しようとしても彼女は聞いてくれなかった。するとその態度に腹を立てたのかモコとラムが前に出て抗議するように鳴き吠えた。
「ワン! ワン!」
「ピキュ~!!」
二匹が俺を守るように威嚇をすると、女の子はたじろいだ。
「な、何ですか……この変わった生き物は!?」
「いや、その、ここで見つけたコボルトとスライムで俺に懐いてくれたんだ。それで今は一緒に暮らしている」
俺の説明に彼女はぽかんと口を開けていた。どうやら理解しきれていないようだな。
「えっと、ちょっとまってください。確かにダンジョンにはモンスターが出るのは知ってるけど、ここはこれと行った宝がない代わりにモンスターもいない筈では?」
「まぁ本来そうなんだろうけどいたんだよ。でも安心してくれ。見ての通り二匹ともまだまだ幼いし危険はないんだ」
説明しながらモコを撫でると気持ちよさそうに目を細めた。ラムも一緒に撫でて上げると可愛らしくプルプルと震えた。
「な? 可愛いものだろ?」
「ほ、本当に、か、可愛い……」
彼女のモコとラムを見る目が変わっていた。口元もムズムズしていて手を少しだしては引っ込めるを繰り返している。
「撫でてみるかい?」
「え、でも……」
「いいよなモコ、ラム?」
「ワン!」
「ピキィ~」
俺がモコとラムに聞くと元気よく二匹が元気よく声を上げた。
「オッケーだってさ。遠慮せず撫でてあげて」
「わ、分かりました……じゃ、じゃあちょっとだけ」
モコとラムが肯定すると山守は恐る恐る手を伸ばし二匹の頭を撫でた。するとすぐに彼女は目を輝かせて二匹を撫で続けた。
「うぅ~可愛いですぅぅ!」
山守はとても満足そうな笑顔で撫でていた。どうやら二匹には彼女の警戒心を解く才能があるらしい。モコは尻尾を振りラムはプルプル震えて嬉しそうにしていた。
「ところで君、山守と言っていたけど落葉さんの親族か何かかな?」
俺は思い切って気になっていたことを聞いてみた。名字が一緒な上、ここの管理者のように振る舞っていたのが気になっていたからだ。
「え? お爺ちゃんを知っているの?」
「あぁ、落葉さんのことはよく知っている。元々キャンプが好きでこの山にはよく来ていたのだけどその時にお世話になったんだ」
俺の言葉に彼女は目を丸くした。やはりあの爺さんの孫だったか。落葉の爺さんは見た目は厳かだし、山での行いに対して厳しい人だったから偏屈なイメージがつきまとっていたけれど、しっかりルールを守っていればキャンプも好きにしていいと言ってくれる寛大な人だった。時折食材なんかも提供してくれたりしたのもあって俺はあのお爺さんのことを気に入っていたんだ。
「そうだったのですね。それでもしかしてここでキャンプを?」
「あぁ、いやまぁ最初はそのつもりで少しの間過ごせればいいかなと思っていたんだけど、この二匹と出会ってからついつい長居してしまったんだ」
「そうだったんですね。それなのに勝手に泥棒扱いしてしまってごめんなさい」
山守が深々と頭を下げた。俺も落葉の爺さんに正式に許可を貰っていたわけではないからそれはそれで申し訳ない気もする。
「そんな謝らないで。それよりも折角だから落葉さんにしっかり報告しておきたいんだけど今も元気にしているのかな?」
そう孫の山守に聞いてみた。本当は山で出会う機会があれば挨拶して報告しようと思っていたのだけど、孫が見に来てくれたなら丁度いいかもしれない。
「お爺ちゃんは……その……」
しかし山守は少し言いづらそうに口ごもっていた。その様子に俺は嫌な予感がした。暫く見ないから気になってはいたのだが――
「く、口でならなんとでも言えます! タダでさえここには迷惑な人も多かったんですからね!」
彼女が声を張り上げた。迷惑な人――もしかしてあの張り紙をしたりゴミを投げて言ってた奴らのことだろうか。
俺はまだ直接は会ってないが確かに最初は随分とここも荒れていたからな。
「少し落ち着いてくれ。少なくとも俺はそんな輩とは違うから」
「何が違うんですか。勝手にこんな真似して」
「ワンワン!」
「ピキィ!」
俺が弁明しようとしても彼女は聞いてくれなかった。するとその態度に腹を立てたのかモコとラムが前に出て抗議するように鳴き吠えた。
「ワン! ワン!」
「ピキュ~!!」
二匹が俺を守るように威嚇をすると、女の子はたじろいだ。
「な、何ですか……この変わった生き物は!?」
「いや、その、ここで見つけたコボルトとスライムで俺に懐いてくれたんだ。それで今は一緒に暮らしている」
俺の説明に彼女はぽかんと口を開けていた。どうやら理解しきれていないようだな。
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「な? 可愛いものだろ?」
「ほ、本当に、か、可愛い……」
彼女のモコとラムを見る目が変わっていた。口元もムズムズしていて手を少しだしては引っ込めるを繰り返している。
「撫でてみるかい?」
「え、でも……」
「いいよなモコ、ラム?」
「ワン!」
「ピキィ~」
俺がモコとラムに聞くと元気よく二匹が元気よく声を上げた。
「オッケーだってさ。遠慮せず撫でてあげて」
「わ、分かりました……じゃ、じゃあちょっとだけ」
モコとラムが肯定すると山守は恐る恐る手を伸ばし二匹の頭を撫でた。するとすぐに彼女は目を輝かせて二匹を撫で続けた。
「うぅ~可愛いですぅぅ!」
山守はとても満足そうな笑顔で撫でていた。どうやら二匹には彼女の警戒心を解く才能があるらしい。モコは尻尾を振りラムはプルプル震えて嬉しそうにしていた。
「ところで君、山守と言っていたけど落葉さんの親族か何かかな?」
俺は思い切って気になっていたことを聞いてみた。名字が一緒な上、ここの管理者のように振る舞っていたのが気になっていたからだ。
「え? お爺ちゃんを知っているの?」
「あぁ、落葉さんのことはよく知っている。元々キャンプが好きでこの山にはよく来ていたのだけどその時にお世話になったんだ」
俺の言葉に彼女は目を丸くした。やはりあの爺さんの孫だったか。落葉の爺さんは見た目は厳かだし、山での行いに対して厳しい人だったから偏屈なイメージがつきまとっていたけれど、しっかりルールを守っていればキャンプも好きにしていいと言ってくれる寛大な人だった。時折食材なんかも提供してくれたりしたのもあって俺はあのお爺さんのことを気に入っていたんだ。
「そうだったのですね。それでもしかしてここでキャンプを?」
「あぁ、いやまぁ最初はそのつもりで少しの間過ごせればいいかなと思っていたんだけど、この二匹と出会ってからついつい長居してしまったんだ」
「そうだったんですね。それなのに勝手に泥棒扱いしてしまってごめんなさい」
山守が深々と頭を下げた。俺も落葉の爺さんに正式に許可を貰っていたわけではないからそれはそれで申し訳ない気もする。
「そんな謝らないで。それよりも折角だから落葉さんにしっかり報告しておきたいんだけど今も元気にしているのかな?」
そう孫の山守に聞いてみた。本当は山で出会う機会があれば挨拶して報告しようと思っていたのだけど、孫が見に来てくれたなら丁度いいかもしれない。
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