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第二章 冒険者登録編
第38話 山守の父
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「ちょっ、お父さん落ち着きなって!」
秋月が慌てた様子で男性に宥めるよう腕を掴むもそれを振り払って俺に近づいてきた。予想はしていたがこの人が秋月の父親なのか。しかしなんでこんなに怒ってるのか。
「秋月が客を連れてくると聞いてはいたが、まさか男とはな。だが娘に結婚はまだはやーーーーーーい!」
「け、結婚!?」
秋月父の言葉に俺は思わず声を上げてしまった。
「お父さん! そんなのじゃないってば!」
「いいか? それでも結婚を認めさせたいと言うならこの山守 楓を倒してからだ!」
「いや、俺は別に」
「お父さん話を聞いてってば!」
「さぁ道場に来い! お前の覚悟を見せてみろ!」
秋月が色々と言ってくれているが、この楓という父親の耳には届いてないようで俺の腕を掴み引っ張り出した。力がものすごい!
「貴方、何をしているのかしら?」
俺が無理やり引っ張っていかれそうになっているところに、秋月の母の月見から声が掛かった。見ると隣には紅葉の姿。もしかして彼女を呼んできてくれた?
「月見か。何、娘をくれというこの男の根性を鍛え直そうと思ってな」
いやそんなこと言ってないし!
「貴方、風間さんと秋月の話をちゃんと聞いたのかしら?」
「何? 風間というのか! よしわかったこの俺が貴様の――」
「貴方、いい加減に――しなさい!」
凛とした声が響き渡り、かと思えば俺を引っ張っていた楓の巨体が宙を舞った。そのまま一回転し背中から床に叩きつけられてしまう。おいおいマジかよ。
「な、何をするんだ月見!」
後頭部を擦りながら、楓が上半身を起こし声を上げた。そんな彼を見下ろす月見の圧が凄い。
「何をするんだじゃありません。人の話も聞かずに突っ走るのは貴方の悪い癖だと何度も言っているではありませんか。少しは頭を冷やしなさい」
「う、す、すまん月見――」
月見に注意され楓がしゅんっと小さくなった。さっきまで勢いはどこへやら。しかし凄いな――あの巨体を投げ飛ばしたうえ黙らせるなんて。
「君のお母さん強いんだね」
「うん――お爺ちゃんに護身術を教わっていたらしいんだけどね。それがキッカケで武術にも目覚めたみたいでお父さんもお母さんには頭が上がらないんだよ」
秋月が母について教えてくれた。しかし護身術を教わったか。つまり落葉の爺さんも強かったということか。そのあたりのこと俺は何も知らなかったな――
とにかく楓も落ち着いたようなので改めて席についてもらい俺のことを説明してもらったわけだが。
「勘違いしてすまなかった! 山守流柔術の師範という身でありながら恥ずかしい限りだ!」
事情を聞いた楓が俺に向けて深々と頭を下げた。こっちとしては逆に恐縮してしまう。
「いえそんな、頭を上げてください」
「しかし娘のことを想うあまりついカッとなってしまった。本当にすまない!」
「いえ、もう誤解が解けたならそれで――でも山守流柔術ということは落葉さんも柔術に心得が?」
「心得どころではない! 今でも落葉先生は俺の尊敬する師であり達人なのだからな!」
そう言って楓が拳を突き上げた。まさかと思ったがそんなに凄い人だったとはな。
「お父さんはお爺ちゃんを尊敬していたからお母さんと結婚する時に婿入りしたんだもんね」
なるほどね。そして秋月の祖父である落葉が鬼籍に入ったことでその後を継いだわけか。
「さぁお互い誤解が解けたことですしお茶に致しましょうか」
月見に促され俺たちもお茶をいただくことになった。モコとラムの分もしっかり用意してくれてありがたいかぎりである。お茶請けとして用意してくれた茶菓子もとても美味しい。
「どう? モコちゃんラムちゃん。美味しい?」
「ワウ!」
「ピキュ~♪」
紅葉からの質問にモコとラムが嬉しそうに鳴くとそれを見ていた秋月がとても嬉しそうに微笑んだ。月見と楓も優しい目で見てくれている。
最初はどうなることかと思ったが誤解さえなければ良い人なんだろうな。
「時にダンジョンで暮らすという話はわかったが、同時に冒険者としても活動していくのだろう?」
「そうですね。一応登録したのでそうなるかと。ただ冒険者と言っても――」
「なるほど! 話はわかった! ならばいい機会だ。これから道場で一汗かこうではないか!」
はい? いや、その話は終わったような気がしたのだけど……。
「そ、その今日は心の準備が……」
「ハッハッハ。これから冒険者をしようというものが遠慮なんてするものじゃない。大丈夫だ。道着もあるからな!」
いや、そういう問題じゃないんだけど。
「そ、そうだ! モコとラムも来ているのであまり無茶は――」
「ワンワン!」
「ピキィ! ピキィ~!」
「おお、なんだ。お前たちも道場に興味があるのか?」
なんとかモコとラムをだしに遠慮しようと思ったのだが、肝心のモコとラムがウキウキしだした。マジかよ!
「よしいいぞ! 一緒に道場に来るといい」
「やった~! 良かったねモコちゃんラムちゃん♪」
「ワン!」
「ピキィ~!」
紅葉に言われ嬉しそうな声を上げたモコとラム。もうこうなったら逃げられないじゃないか。覚悟を決めて付き合うしか無いってことか――
秋月が慌てた様子で男性に宥めるよう腕を掴むもそれを振り払って俺に近づいてきた。予想はしていたがこの人が秋月の父親なのか。しかしなんでこんなに怒ってるのか。
「秋月が客を連れてくると聞いてはいたが、まさか男とはな。だが娘に結婚はまだはやーーーーーーい!」
「け、結婚!?」
秋月父の言葉に俺は思わず声を上げてしまった。
「お父さん! そんなのじゃないってば!」
「いいか? それでも結婚を認めさせたいと言うならこの山守 楓を倒してからだ!」
「いや、俺は別に」
「お父さん話を聞いてってば!」
「さぁ道場に来い! お前の覚悟を見せてみろ!」
秋月が色々と言ってくれているが、この楓という父親の耳には届いてないようで俺の腕を掴み引っ張り出した。力がものすごい!
「貴方、何をしているのかしら?」
俺が無理やり引っ張っていかれそうになっているところに、秋月の母の月見から声が掛かった。見ると隣には紅葉の姿。もしかして彼女を呼んできてくれた?
「月見か。何、娘をくれというこの男の根性を鍛え直そうと思ってな」
いやそんなこと言ってないし!
「貴方、風間さんと秋月の話をちゃんと聞いたのかしら?」
「何? 風間というのか! よしわかったこの俺が貴様の――」
「貴方、いい加減に――しなさい!」
凛とした声が響き渡り、かと思えば俺を引っ張っていた楓の巨体が宙を舞った。そのまま一回転し背中から床に叩きつけられてしまう。おいおいマジかよ。
「な、何をするんだ月見!」
後頭部を擦りながら、楓が上半身を起こし声を上げた。そんな彼を見下ろす月見の圧が凄い。
「何をするんだじゃありません。人の話も聞かずに突っ走るのは貴方の悪い癖だと何度も言っているではありませんか。少しは頭を冷やしなさい」
「う、す、すまん月見――」
月見に注意され楓がしゅんっと小さくなった。さっきまで勢いはどこへやら。しかし凄いな――あの巨体を投げ飛ばしたうえ黙らせるなんて。
「君のお母さん強いんだね」
「うん――お爺ちゃんに護身術を教わっていたらしいんだけどね。それがキッカケで武術にも目覚めたみたいでお父さんもお母さんには頭が上がらないんだよ」
秋月が母について教えてくれた。しかし護身術を教わったか。つまり落葉の爺さんも強かったということか。そのあたりのこと俺は何も知らなかったな――
とにかく楓も落ち着いたようなので改めて席についてもらい俺のことを説明してもらったわけだが。
「勘違いしてすまなかった! 山守流柔術の師範という身でありながら恥ずかしい限りだ!」
事情を聞いた楓が俺に向けて深々と頭を下げた。こっちとしては逆に恐縮してしまう。
「いえそんな、頭を上げてください」
「しかし娘のことを想うあまりついカッとなってしまった。本当にすまない!」
「いえ、もう誤解が解けたならそれで――でも山守流柔術ということは落葉さんも柔術に心得が?」
「心得どころではない! 今でも落葉先生は俺の尊敬する師であり達人なのだからな!」
そう言って楓が拳を突き上げた。まさかと思ったがそんなに凄い人だったとはな。
「お父さんはお爺ちゃんを尊敬していたからお母さんと結婚する時に婿入りしたんだもんね」
なるほどね。そして秋月の祖父である落葉が鬼籍に入ったことでその後を継いだわけか。
「さぁお互い誤解が解けたことですしお茶に致しましょうか」
月見に促され俺たちもお茶をいただくことになった。モコとラムの分もしっかり用意してくれてありがたいかぎりである。お茶請けとして用意してくれた茶菓子もとても美味しい。
「どう? モコちゃんラムちゃん。美味しい?」
「ワウ!」
「ピキュ~♪」
紅葉からの質問にモコとラムが嬉しそうに鳴くとそれを見ていた秋月がとても嬉しそうに微笑んだ。月見と楓も優しい目で見てくれている。
最初はどうなることかと思ったが誤解さえなければ良い人なんだろうな。
「時にダンジョンで暮らすという話はわかったが、同時に冒険者としても活動していくのだろう?」
「そうですね。一応登録したのでそうなるかと。ただ冒険者と言っても――」
「なるほど! 話はわかった! ならばいい機会だ。これから道場で一汗かこうではないか!」
はい? いや、その話は終わったような気がしたのだけど……。
「そ、その今日は心の準備が……」
「ハッハッハ。これから冒険者をしようというものが遠慮なんてするものじゃない。大丈夫だ。道着もあるからな!」
いや、そういう問題じゃないんだけど。
「そ、そうだ! モコとラムも来ているのであまり無茶は――」
「ワンワン!」
「ピキィ! ピキィ~!」
「おお、なんだ。お前たちも道場に興味があるのか?」
なんとかモコとラムをだしに遠慮しようと思ったのだが、肝心のモコとラムがウキウキしだした。マジかよ!
「よしいいぞ! 一緒に道場に来るといい」
「やった~! 良かったねモコちゃんラムちゃん♪」
「ワン!」
「ピキィ~!」
紅葉に言われ嬉しそうな声を上げたモコとラム。もうこうなったら逃げられないじゃないか。覚悟を決めて付き合うしか無いってことか――
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