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第二章 冒険者登録編
第42話 皆でお風呂
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「お風呂までお世話になってしまいありがとうございます」
「ハッハッハ! 気にすることない。それに汗を掻いた後は風呂に限るからな」
道場で稽古をつけて貰った後、俺たちは楓に促され屋敷の風呂場に来ていた。モコとラムも一緒である。
「うわ~まるで銭湯や温泉のようですね」
「うむ。うちの自慢の風呂だからな」
楓の言葉通り風呂場の規模は凄かった。驚くほど広々としていて、そこには壁一面に富士山が描かれていた。その絵は美しい色彩で彩られており、まるで本物の富士山を目の前にしているようだ。また浴槽も広く足を伸ばして浸かることも余裕だろう。モコやラムも含めて全員で浸かったとしてもまだ余裕があるだろう。
「ワン!」
「ピキィ~!」
モコとラムも感嘆の声を上げていた。何かすごく興奮しているようにも思える。俺たちは先ず軽く体を流した後、風呂に浸かった。モコもラムもお風呂に抵抗はないようですんなり入ってくれた。
ただモコの背の高さで見るとちょっと深いかもな。だから俺がしっかりとモコを支えてあげることにする。一方でラムは湯面にプカプカと浮かんでいてすごく気持ちよさそうにしていた。
ラムは浮くんだな……。その姿はちょっとクラゲぽくもあるが見ていてとても癒やされる。
「どうだ気持ちいいか?」
「ワオン!」
「ピキッ!」
嬉しそうに答えるモコとラム。
「このお風呂は最高ですね。モコとラムも喜んでますよ」
「ハッハッハ、そう言って貰えると嬉しいよ。入ってもらった甲斐があるってものだ」
楓が豪快に笑った。その後体を洗う為に浴槽から出た。そして何故か互いの背中を流し合う構図になった。俺が楓をモコが俺をラムがモコを、その後は逆になって流しあった。
しかし改めて見ると楓の背中は大きく筋肉も凄い。まさに格闘家といった様相だ。
「やはり鍛えている人は違いますね」
「うむ。しかし晴彦も中々引き締まっているぞ。これから鍛えれば更に逞しくなっていくだろう」
既に俺は名前で呼んで貰えるほどには打ち解けていた。しかし逞しくか。冒険者としてはそれも大事なのか。もっともメインは放置ダンジョンでの生活だからそこまで危険なことは無い気もするけどな。
そしてさっぱりした後は風呂場から出た。入れ替わりで秋月と紅葉と母の月見がやってきた。
「いいなぁ私もモコちゃんやラムちゃんと入りたかった」
「ワン!」
「ピキィ♪」
紅葉に言われモコとラムが鳴いた。もう一度入りたいと言ってるようだった。よっぽどお風呂が気に入ったのか。
「また入りたいみたいだからお願いしていいかな?」
「本当! 紅葉良かったね」
「うん!」
そしてモコとラムを秋月たちに託し、俺と楓は広間に戻った。
「そろそろ門下生が来るな。晴彦はゆっくりしていくといい。夕食も食べていくだろう?」
「いや流石にそこまで甘えるわけには……」
「遠慮するな。それに月見の飯は美味いぞ。うん、折角だから今夜は鍋にするか」
それから門下生の挨拶の声が聞こえてきて楓は道場にまた行ってしまった。暫く待っていると秋月たちも風呂から上がってきて月見からは同じように夕食に誘われてしまった。
ここまで言われて断るのも逆に失礼だと思った俺は、代わりに夕食の準備を手伝うことにした。楓から話を聞いたのか鍋にするらしい。
「風間さんは料理が出来るのですね」
「キャンプが趣味なので自然と覚えたんですよね」
「ムムッ、私より手際がいいかも」
下ごしらえを手伝っていると秋月も感心してくれていた。何だか照れる。
「ワン♪」
「ピキィ~♪」
「モコちゃんもラムちゃんもお手伝い出来て偉いね~」
モコとラムは食器の準備などを積極的にしてくれた。紅葉も一緒になって手伝ってくれていてモコとラムを褒めている。なんとも和気藹々としていてとても微笑ましかった――
「ハッハッハ! 気にすることない。それに汗を掻いた後は風呂に限るからな」
道場で稽古をつけて貰った後、俺たちは楓に促され屋敷の風呂場に来ていた。モコとラムも一緒である。
「うわ~まるで銭湯や温泉のようですね」
「うむ。うちの自慢の風呂だからな」
楓の言葉通り風呂場の規模は凄かった。驚くほど広々としていて、そこには壁一面に富士山が描かれていた。その絵は美しい色彩で彩られており、まるで本物の富士山を目の前にしているようだ。また浴槽も広く足を伸ばして浸かることも余裕だろう。モコやラムも含めて全員で浸かったとしてもまだ余裕があるだろう。
「ワン!」
「ピキィ~!」
モコとラムも感嘆の声を上げていた。何かすごく興奮しているようにも思える。俺たちは先ず軽く体を流した後、風呂に浸かった。モコもラムもお風呂に抵抗はないようですんなり入ってくれた。
ただモコの背の高さで見るとちょっと深いかもな。だから俺がしっかりとモコを支えてあげることにする。一方でラムは湯面にプカプカと浮かんでいてすごく気持ちよさそうにしていた。
ラムは浮くんだな……。その姿はちょっとクラゲぽくもあるが見ていてとても癒やされる。
「どうだ気持ちいいか?」
「ワオン!」
「ピキッ!」
嬉しそうに答えるモコとラム。
「このお風呂は最高ですね。モコとラムも喜んでますよ」
「ハッハッハ、そう言って貰えると嬉しいよ。入ってもらった甲斐があるってものだ」
楓が豪快に笑った。その後体を洗う為に浴槽から出た。そして何故か互いの背中を流し合う構図になった。俺が楓をモコが俺をラムがモコを、その後は逆になって流しあった。
しかし改めて見ると楓の背中は大きく筋肉も凄い。まさに格闘家といった様相だ。
「やはり鍛えている人は違いますね」
「うむ。しかし晴彦も中々引き締まっているぞ。これから鍛えれば更に逞しくなっていくだろう」
既に俺は名前で呼んで貰えるほどには打ち解けていた。しかし逞しくか。冒険者としてはそれも大事なのか。もっともメインは放置ダンジョンでの生活だからそこまで危険なことは無い気もするけどな。
そしてさっぱりした後は風呂場から出た。入れ替わりで秋月と紅葉と母の月見がやってきた。
「いいなぁ私もモコちゃんやラムちゃんと入りたかった」
「ワン!」
「ピキィ♪」
紅葉に言われモコとラムが鳴いた。もう一度入りたいと言ってるようだった。よっぽどお風呂が気に入ったのか。
「また入りたいみたいだからお願いしていいかな?」
「本当! 紅葉良かったね」
「うん!」
そしてモコとラムを秋月たちに託し、俺と楓は広間に戻った。
「そろそろ門下生が来るな。晴彦はゆっくりしていくといい。夕食も食べていくだろう?」
「いや流石にそこまで甘えるわけには……」
「遠慮するな。それに月見の飯は美味いぞ。うん、折角だから今夜は鍋にするか」
それから門下生の挨拶の声が聞こえてきて楓は道場にまた行ってしまった。暫く待っていると秋月たちも風呂から上がってきて月見からは同じように夕食に誘われてしまった。
ここまで言われて断るのも逆に失礼だと思った俺は、代わりに夕食の準備を手伝うことにした。楓から話を聞いたのか鍋にするらしい。
「風間さんは料理が出来るのですね」
「キャンプが趣味なので自然と覚えたんですよね」
「ムムッ、私より手際がいいかも」
下ごしらえを手伝っていると秋月も感心してくれていた。何だか照れる。
「ワン♪」
「ピキィ~♪」
「モコちゃんもラムちゃんもお手伝い出来て偉いね~」
モコとラムは食器の準備などを積極的にしてくれた。紅葉も一緒になって手伝ってくれていてモコとラムを褒めている。なんとも和気藹々としていてとても微笑ましかった――
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