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第二章 冒険者登録編
第51話 鬼姫一行
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「あの公園以来だねぇ」
俺を見た鬼姫が思い出すように言った。あの時は俺がモコと初めてお出かけしたときだったな。何だか懐かしい気もしたけどよく考えたらまだそんなに経ってなかったな。
「――姉御、知り合い?」
鬼姫が乗っていたバイクとは逆の黒いバイクに乗っていた人物がヘルメットを脱いで問いかけていた。黒いロング髪の女性であり左目を隠すように前髪を下ろしている。
しかし大きいな。上背なら俺以上だし逞しいという表現がピッタリだ。
「あぁ、この間ちょっとね」
「へぇ~そんな偶然あるんですねぇ~」
白いバイクに乗っていたもう一人が降りてきてヘルメットを脱いだ。肩まで伸びたピンク色の髪をした女性だった。間延びした口調の女性だが、こっちもで、デカい! いやさっきの女性とは別な意味でだが……特攻服姿なのだが前が開けているからか主張が強い。歩く度にゆ、揺れている――
「どこ見てるんですか?」
「い、いや別に!」
秋月の視線が痛い! いやそこまでガン見しているわけじゃないからね!
「――風間さんって女の子の知り合い多いんですね」
「え? いや本当鬼姫さんとは最近知り合ったばかりだから!」
「へぇ~……」
な、なんだろう? 秋月のご機嫌が斜めなような気がするのだが――
「ワフゥ~ン……」
「ピキィ~……」
何かモコとラムからも呆れられてる気がするんだが、何故! ホワイ?
「それで――一番のワルモンは誰なのさ」
最後の一人がバイクから下りてヘルメットを脱いだ。髪をアップにした女の子だった。かなり小柄なのだが眼光が鋭い。口にはマスクが着用されていて両腕には鎖が巻き付いていた。
「ま、聞くまでもないないかい。武器まで持ち出してあんたら一体どういうつもりだい?」
鬼姫がギロリと三人組を睨んだ。
「あん? 何かと思えば生意気な。女が四人集まったところで何が出来るってんだ」
「寧ろ楽しみが増えるってもんだぜ。なぁ?」
「馬鹿やめろ!」
三人組の内、二人は随分と強気な態度だった。駆けつけたのが全員女性ということで侮っているのだろう。だが一人だけ様相が違った。額にも汗が滲み出ている。
「黒と白の二台のバイクに全員特攻服姿――間違いねぇ。こいつら冒険者パーティーの【鬼輝夜】だ!」
焦った口調で男が叫んだ。それを聞いた残りの二人も目を見開き驚いていた。
「鬼輝夜だと? 全員がレディース上がりで女だてらに数多くのダンジョンを攻略してきたっていうあの鬼輝夜かよ!」
「ま、マジかよ……」
三人組の表情が変わった。どうやら鬼姫と仲間の三人はかなり有名な冒険者パーティーらしいな。
「ふ~ん。暫く活動してなかったけどまだあたしらの事知ってるのがいたんだねぇ」
そう言ったかと思えば鬼姫が再び鋭い目つきで三人を睨んだ。
「それで――あんたらそんな物騒な物を持ってここで何をするつもりだったんだい? さっさと答えな!」
「いや、それは……その」
「はっきりせんかい! 総長が聞いとるんだろうがボケェ!」
「なッ!」
「ヒッ!」
鬼姫に続いて声を荒げたのは一番小柄な女の子だった。見た目とは裏腹にドスの利いた声だ。
「お、おいおい! 何ビビってんすか!」
「そ、そうだぞ。相手は女四人だぞ」
「そ、そうよ。早くやっちゃってよ!」
「三人なら楽勝でしょ!」
鬼輝夜の面々の勢いに押される三人を見て、四人の男女が煽り始めた。あいつら何もしてないのに威勢だけはいいな。
「――あ、あいつらだ。そう、あの四人に呼ばれてきたんだよ。何か襲われてるってよ。だから俺等は助けに来たつもりだったんだが、どうやら勘違いだったようだな」
すると三人組の一人がとんでもないことを言い始めた。こいつらあの四人のせいにして自分たちだけ助かる気かよ。
「――つまり、あんたら仲間を売るクソ野郎ってことか?」
鬼輝夜で一番体格の良い女性が三人を見下ろしながら言い放った。凄まじい圧を感じるんだが――
「い、いや、だから俺らは巻き込まれただけなんだって」
「ふ~ん。なら聞くけどそこで倒れてる二人は誰なんだい? 見たところあんたらと同じ冒険者のようだけどねぇ」
「し、知らねぇ! そんな奴ら!」
「ハッ? 何いっちゃてるんですか! 兄貴たち五人揃って【五面邪鬼】だって言ってたじゃないですか!」
「だ、大体なんで俺たちだけのせいにされてるんだよ!」
「う、うるせぇお前ら少し黙ってろ!」
四人に向けて三人組の一人が怒鳴った。四人は不満はありそうだったけどそれ以上は何も言わなかった。それにしてもこいつら元々は五人組だったってことかよ。
「とにかくそういうことだから俺らは関係ないってことで」
「待ちな!」
そそくさとその場を離れようとした三人組に鬼姫が待ったを掛けた。
「あたしの耳にも入ってることなんだけどねぇ。最近冒険者界隈を騒がせてるPKの中に五人組の男どもがいたってきくんだが、それってあんたらのことじゃないのかい?」
問われた三人組がビクッと肩を震わせた。しかしPKとは一体――
俺を見た鬼姫が思い出すように言った。あの時は俺がモコと初めてお出かけしたときだったな。何だか懐かしい気もしたけどよく考えたらまだそんなに経ってなかったな。
「――姉御、知り合い?」
鬼姫が乗っていたバイクとは逆の黒いバイクに乗っていた人物がヘルメットを脱いで問いかけていた。黒いロング髪の女性であり左目を隠すように前髪を下ろしている。
しかし大きいな。上背なら俺以上だし逞しいという表現がピッタリだ。
「あぁ、この間ちょっとね」
「へぇ~そんな偶然あるんですねぇ~」
白いバイクに乗っていたもう一人が降りてきてヘルメットを脱いだ。肩まで伸びたピンク色の髪をした女性だった。間延びした口調の女性だが、こっちもで、デカい! いやさっきの女性とは別な意味でだが……特攻服姿なのだが前が開けているからか主張が強い。歩く度にゆ、揺れている――
「どこ見てるんですか?」
「い、いや別に!」
秋月の視線が痛い! いやそこまでガン見しているわけじゃないからね!
「――風間さんって女の子の知り合い多いんですね」
「え? いや本当鬼姫さんとは最近知り合ったばかりだから!」
「へぇ~……」
な、なんだろう? 秋月のご機嫌が斜めなような気がするのだが――
「ワフゥ~ン……」
「ピキィ~……」
何かモコとラムからも呆れられてる気がするんだが、何故! ホワイ?
「それで――一番のワルモンは誰なのさ」
最後の一人がバイクから下りてヘルメットを脱いだ。髪をアップにした女の子だった。かなり小柄なのだが眼光が鋭い。口にはマスクが着用されていて両腕には鎖が巻き付いていた。
「ま、聞くまでもないないかい。武器まで持ち出してあんたら一体どういうつもりだい?」
鬼姫がギロリと三人組を睨んだ。
「あん? 何かと思えば生意気な。女が四人集まったところで何が出来るってんだ」
「寧ろ楽しみが増えるってもんだぜ。なぁ?」
「馬鹿やめろ!」
三人組の内、二人は随分と強気な態度だった。駆けつけたのが全員女性ということで侮っているのだろう。だが一人だけ様相が違った。額にも汗が滲み出ている。
「黒と白の二台のバイクに全員特攻服姿――間違いねぇ。こいつら冒険者パーティーの【鬼輝夜】だ!」
焦った口調で男が叫んだ。それを聞いた残りの二人も目を見開き驚いていた。
「鬼輝夜だと? 全員がレディース上がりで女だてらに数多くのダンジョンを攻略してきたっていうあの鬼輝夜かよ!」
「ま、マジかよ……」
三人組の表情が変わった。どうやら鬼姫と仲間の三人はかなり有名な冒険者パーティーらしいな。
「ふ~ん。暫く活動してなかったけどまだあたしらの事知ってるのがいたんだねぇ」
そう言ったかと思えば鬼姫が再び鋭い目つきで三人を睨んだ。
「それで――あんたらそんな物騒な物を持ってここで何をするつもりだったんだい? さっさと答えな!」
「いや、それは……その」
「はっきりせんかい! 総長が聞いとるんだろうがボケェ!」
「なッ!」
「ヒッ!」
鬼姫に続いて声を荒げたのは一番小柄な女の子だった。見た目とは裏腹にドスの利いた声だ。
「お、おいおい! 何ビビってんすか!」
「そ、そうだぞ。相手は女四人だぞ」
「そ、そうよ。早くやっちゃってよ!」
「三人なら楽勝でしょ!」
鬼輝夜の面々の勢いに押される三人を見て、四人の男女が煽り始めた。あいつら何もしてないのに威勢だけはいいな。
「――あ、あいつらだ。そう、あの四人に呼ばれてきたんだよ。何か襲われてるってよ。だから俺等は助けに来たつもりだったんだが、どうやら勘違いだったようだな」
すると三人組の一人がとんでもないことを言い始めた。こいつらあの四人のせいにして自分たちだけ助かる気かよ。
「――つまり、あんたら仲間を売るクソ野郎ってことか?」
鬼輝夜で一番体格の良い女性が三人を見下ろしながら言い放った。凄まじい圧を感じるんだが――
「い、いや、だから俺らは巻き込まれただけなんだって」
「ふ~ん。なら聞くけどそこで倒れてる二人は誰なんだい? 見たところあんたらと同じ冒険者のようだけどねぇ」
「し、知らねぇ! そんな奴ら!」
「ハッ? 何いっちゃてるんですか! 兄貴たち五人揃って【五面邪鬼】だって言ってたじゃないですか!」
「だ、大体なんで俺たちだけのせいにされてるんだよ!」
「う、うるせぇお前ら少し黙ってろ!」
四人に向けて三人組の一人が怒鳴った。四人は不満はありそうだったけどそれ以上は何も言わなかった。それにしてもこいつら元々は五人組だったってことかよ。
「とにかくそういうことだから俺らは関係ないってことで」
「待ちな!」
そそくさとその場を離れようとした三人組に鬼姫が待ったを掛けた。
「あたしの耳にも入ってることなんだけどねぇ。最近冒険者界隈を騒がせてるPKの中に五人組の男どもがいたってきくんだが、それってあんたらのことじゃないのかい?」
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