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第二章 冒険者登録編
第56話 父と母
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ダンジョンに戻った後、俺たちは動画を見ながら過ごした。とは言えもういい時間だしな。モコとラムも動画を見ながら寝てしまった。
モコとラムを横にして俺もそろそろ寝ようかなと思っていたわけだが――そのタイミングでスマフォに着信があった。
表示には風間 仁とある。このタイミングで来たか。俺は一旦外に出て対応する。
「はい、もしもし」
『おお出たか息子よ! どうだ? そっちでは無事やってるか?』
ビデオ通話で来ていたから画面には親父の顔が映っていた。頭にウェスタンハット顔には眼鏡を掛けていて顎髭を蓄えている。髭は前から生えてはいたが久しぶりに見ると更に伸びている気がするな。
『ヤッホー~晴彦元気してる~?』
割り込むように画面に割り込んできて陽気に声を掛けてきたのは俺の母である風間 蕾花だ。長く艷やかな黒髪からは衰えを全く感じさせない。しかし息子の俺が言うのも何だかとてもアラフィフとは思えないな。
俺がまだ小学生だった時をピークに全く見た目が変わってない気がするぞ。そんな母は青いローブを纏っていて手には杖が握られていた。
「全く相変わらず仲がいいな」
『当然だ。俺たちはいつだってラブラブだからな』
そう言って母の肩を抱き寄せる親父。何だか見ているこっちが恥ずかしくなるぐらいには仲睦まじい。
『晴彦も元気そうで何よりだな。今も会社勤めを続けているのか?』
「え? あ、あぁ、まぁそんなところだな」
思わずそう答えた。ついつい嘘を言ってしまったか。
『――晴彦。何かあったでしょう?』
「え!」
母に言われドキッとした。嘘を見透かされたような気がしたからだ。
『ハハッ、母さんに嘘はつけないぞ晴彦~?』
「全く敵わないな。実は会社を辞めたんだ。でもこっちはこっちで上手くやってるから心配しないでいいよ」
『辞めたのか? そうかまぁ人生色々あるからな。俺も元々は会社員だったが今はこうやって愛しの蕾花と冒険者をやっているからな』
「はいはい、お熱いですね」
思わず苦笑いしてしまう。でも、確かに親父も母も俺が小学生までは会社勤めだた。それが突然脱サラして冒険者をやるなんていい出したからな。
まぁ俺も当時は冒険者という響きに憧れを抱いていたから、その決断を歓迎したんだけどな。
『なにか困ったことがあるなら言うのよ晴彦』
そう言って画面の向こうの母が優しく笑った。困ったことか――あ、そういえば。
「一つ聞きたいんだけどさ。テイムってあるじゃん。あれってテイムした方はどうやって確認しているんだい?」
『何? お前もついに冒険者に興味を持ったのか!』
『やったわ! これで親子冒険者として活動出来るわね仁!』
「いやいや違う違う! ちょっとした話の中でそんな話題があったから気になっただけだよ!」
勝手に盛り上がる親父と母にツッコんだ。もっとも実際は冒険者になってしまったんだがこの二人に言うと何をやるかわからないからな。まだ黙っておこう。
『何だそうなのか? ふむ。まぁどんな形であれテイムに成功すれば表示されたステータスにアイコンみたいのが出てきて次のページに移れる筈だぞ』
親父がそう教えてくれた。アイコンか――後で確認してみよう。
「ところで二人は今どこにいるんだ?」
『おう! 今はエジプトに来ていてな。そこのダンジョンに挑んでいるんだが、時を止める吸血鬼が最下層にいるらしくてな』
『力も凄いらしくてね。重機ぐらいなら軽く持ち上げて突撃してくるぐらいの事はするらしいわ』
またとんでもないの相手してるもんだなこの二人は――
それから暫く雑談まじりに近況を報告しあい通話を終えることにした。
『じゃあな晴彦。こっちが落ち着いたらそっちに戻るからそしたら嫁の一人でも見せてくれよ』
「いやいや嫁どころか彼女もいないから!」
『え~そうなの? 仁に似て色男なのに勿体ない。私からいい人紹介しようか?』
「いやいいって」
母にまで心配されてしまった。全くそんなことより自分たちのことを心配しろって。
そして最後におやすみと伝えて通話を終えた。それにしても落ち着いたらか。冒険者になってから家を空けることが多かった二人だからな。それも何時になるかって話だ――
モコとラムを横にして俺もそろそろ寝ようかなと思っていたわけだが――そのタイミングでスマフォに着信があった。
表示には風間 仁とある。このタイミングで来たか。俺は一旦外に出て対応する。
「はい、もしもし」
『おお出たか息子よ! どうだ? そっちでは無事やってるか?』
ビデオ通話で来ていたから画面には親父の顔が映っていた。頭にウェスタンハット顔には眼鏡を掛けていて顎髭を蓄えている。髭は前から生えてはいたが久しぶりに見ると更に伸びている気がするな。
『ヤッホー~晴彦元気してる~?』
割り込むように画面に割り込んできて陽気に声を掛けてきたのは俺の母である風間 蕾花だ。長く艷やかな黒髪からは衰えを全く感じさせない。しかし息子の俺が言うのも何だかとてもアラフィフとは思えないな。
俺がまだ小学生だった時をピークに全く見た目が変わってない気がするぞ。そんな母は青いローブを纏っていて手には杖が握られていた。
「全く相変わらず仲がいいな」
『当然だ。俺たちはいつだってラブラブだからな』
そう言って母の肩を抱き寄せる親父。何だか見ているこっちが恥ずかしくなるぐらいには仲睦まじい。
『晴彦も元気そうで何よりだな。今も会社勤めを続けているのか?』
「え? あ、あぁ、まぁそんなところだな」
思わずそう答えた。ついつい嘘を言ってしまったか。
『――晴彦。何かあったでしょう?』
「え!」
母に言われドキッとした。嘘を見透かされたような気がしたからだ。
『ハハッ、母さんに嘘はつけないぞ晴彦~?』
「全く敵わないな。実は会社を辞めたんだ。でもこっちはこっちで上手くやってるから心配しないでいいよ」
『辞めたのか? そうかまぁ人生色々あるからな。俺も元々は会社員だったが今はこうやって愛しの蕾花と冒険者をやっているからな』
「はいはい、お熱いですね」
思わず苦笑いしてしまう。でも、確かに親父も母も俺が小学生までは会社勤めだた。それが突然脱サラして冒険者をやるなんていい出したからな。
まぁ俺も当時は冒険者という響きに憧れを抱いていたから、その決断を歓迎したんだけどな。
『なにか困ったことがあるなら言うのよ晴彦』
そう言って画面の向こうの母が優しく笑った。困ったことか――あ、そういえば。
「一つ聞きたいんだけどさ。テイムってあるじゃん。あれってテイムした方はどうやって確認しているんだい?」
『何? お前もついに冒険者に興味を持ったのか!』
『やったわ! これで親子冒険者として活動出来るわね仁!』
「いやいや違う違う! ちょっとした話の中でそんな話題があったから気になっただけだよ!」
勝手に盛り上がる親父と母にツッコんだ。もっとも実際は冒険者になってしまったんだがこの二人に言うと何をやるかわからないからな。まだ黙っておこう。
『何だそうなのか? ふむ。まぁどんな形であれテイムに成功すれば表示されたステータスにアイコンみたいのが出てきて次のページに移れる筈だぞ』
親父がそう教えてくれた。アイコンか――後で確認してみよう。
「ところで二人は今どこにいるんだ?」
『おう! 今はエジプトに来ていてな。そこのダンジョンに挑んでいるんだが、時を止める吸血鬼が最下層にいるらしくてな』
『力も凄いらしくてね。重機ぐらいなら軽く持ち上げて突撃してくるぐらいの事はするらしいわ』
またとんでもないの相手してるもんだなこの二人は――
それから暫く雑談まじりに近況を報告しあい通話を終えることにした。
『じゃあな晴彦。こっちが落ち着いたらそっちに戻るからそしたら嫁の一人でも見せてくれよ』
「いやいや嫁どころか彼女もいないから!」
『え~そうなの? 仁に似て色男なのに勿体ない。私からいい人紹介しようか?』
「いやいいって」
母にまで心配されてしまった。全くそんなことより自分たちのことを心配しろって。
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