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第二章 冒険者登録編
第57話 寝て朝起きたら何かいた
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「畑はとりあえず問題なさそうさ」
寝る前に畑のチェックをしておいた。あの連中が好き勝手やってくれたからな。畑も荒らされてないか心配だったが問題はないようだ。
俺たちが戻ってきたタイミングもよかったか。丁度畑に手を出そうとしていた時だったからな。最初に生えていた芽も踏み潰されずに済んだ。
「無事で良かったな」
何となくちょこんっと生えた芽に声を掛けた。このまますくすくと育ってくれるといいんだけどな。
しかし落書きは残ってるな。食べ物も食われたし後始末が大変だ。ギルドからお詫び料が出るとは言っていたけど、それは俺には関係がないしこのまま放っておくってわけにはいかないからな。
「まぁ仕方ないか。また掃除だな」
そう呟きつつ、モコとラムを見た。スヤスヤ眠っているな。寝ている姿も可愛らしくて嫌な気持ちもふっ飛ばしてくれた。
しかし――俺は改めてジョブストーンを見た。まさか俺が冒険者になるなんてな。自分でも信じられない思いだ。
「寝るか――」
瞼も重くなってきたので俺は寝袋の中に入り眠りについた。とりあえず明日は掃除の方向で、あぁでも配信の件もあったな。それはどうするのだろうか? 俺はそんなに詳しくないからな。
そんなことをアレコレ考えている間に段々とウトウトしてきて気づけば意識を手放していた――
――マァ、マァ~。
うん? 何かが聞こえる。モコ? それともラム? いやどちらの声とも違うな。俺は瞼に意識を持っていきゆっくりと開いていったわけだが。
「マッ、マァ~」
「――誰?」
思わず間の抜けた声が口から出ていた。しかしそれも仕方ない。目を開けるとそこにいたのはオレンジ色の肌をした何かがいた。頭がまん丸く円らな瞳。髪に当たる部分に蔕のようなものが乗っかっていた。
とても小柄で手足が短い。マスコットみたいな造形をしている。そんな何かが俺に呼びかけて来ていた。
「急すぎて頭が追いつかないんだが――」
「マァ~♪」
寝袋を開けて体を起こすと、マァと鳴いている生物が俺に抱きついてきた。初対面だがすごく懐いているな。しかし、これまた可愛らしい生き物だ。モンスターなのは間違いないと思うんだが、どこかからやってきたのか?
色々考えることは多いのだが、俺の手は自然とそのモンスターの頭を撫でていた。
「マァ~マァ~」
なんだかとても嬉しそうだ。そして撫で心地はなんというか柔らかい中に程よい弾力もあって端的に言って最高だった。
「ワン?」
「ピキィ~?」
俺が新たなモンスターと戯れているとモコとラムの声も聞こえた。見るとモコもラムも不思議そうにしていた。見知らぬモンスターがいたからだろう。
「おはようモコ、ラム。このモンスターいつのまに入ってきていたようなんだけど」
「ワオン――ワン! ワンワン!」
俺が朝の挨拶ついでに説明すると、モコが手で畑を示しながら吠えた。何かあったのだろうか?
立ち上がり畑に向かうと謎のモンスターもトコトコとついてきた。可愛い。
畑を確認すると昨日の夜とは明らかな違いがあった。あの芽が生えていたところに穴が空いていて芽が消えていたからだ。
「これはどういうことだ?」
怪訝な声が漏れた。昨晩確認した時には芽は無事だった筈だ。それが朝になって急にこんなことになっているなんて。
夜中に誰かが忍び込んでこれを? でも、ここ以外には荒らされていないわけだし。
「風間さんおはようございます」
俺が頭を悩ませていると秋月の声がしてきた。見るとダンジョンの入口に秋月の姿があった。
「あぁおはよう。昨日は大変だったけどあれから大丈夫だった?」
「マァ~マァ~」
「はい。あの後で鬼輝夜の皆さんと警察に行って無事に引き渡し――って、なんですかその生き物は~~~~~~!」
再び秋月の絶叫がダンジョン内に響き渡った。あぁ、やっぱりそういう反応になるよな――
寝る前に畑のチェックをしておいた。あの連中が好き勝手やってくれたからな。畑も荒らされてないか心配だったが問題はないようだ。
俺たちが戻ってきたタイミングもよかったか。丁度畑に手を出そうとしていた時だったからな。最初に生えていた芽も踏み潰されずに済んだ。
「無事で良かったな」
何となくちょこんっと生えた芽に声を掛けた。このまますくすくと育ってくれるといいんだけどな。
しかし落書きは残ってるな。食べ物も食われたし後始末が大変だ。ギルドからお詫び料が出るとは言っていたけど、それは俺には関係がないしこのまま放っておくってわけにはいかないからな。
「まぁ仕方ないか。また掃除だな」
そう呟きつつ、モコとラムを見た。スヤスヤ眠っているな。寝ている姿も可愛らしくて嫌な気持ちもふっ飛ばしてくれた。
しかし――俺は改めてジョブストーンを見た。まさか俺が冒険者になるなんてな。自分でも信じられない思いだ。
「寝るか――」
瞼も重くなってきたので俺は寝袋の中に入り眠りについた。とりあえず明日は掃除の方向で、あぁでも配信の件もあったな。それはどうするのだろうか? 俺はそんなに詳しくないからな。
そんなことをアレコレ考えている間に段々とウトウトしてきて気づけば意識を手放していた――
――マァ、マァ~。
うん? 何かが聞こえる。モコ? それともラム? いやどちらの声とも違うな。俺は瞼に意識を持っていきゆっくりと開いていったわけだが。
「マッ、マァ~」
「――誰?」
思わず間の抜けた声が口から出ていた。しかしそれも仕方ない。目を開けるとそこにいたのはオレンジ色の肌をした何かがいた。頭がまん丸く円らな瞳。髪に当たる部分に蔕のようなものが乗っかっていた。
とても小柄で手足が短い。マスコットみたいな造形をしている。そんな何かが俺に呼びかけて来ていた。
「急すぎて頭が追いつかないんだが――」
「マァ~♪」
寝袋を開けて体を起こすと、マァと鳴いている生物が俺に抱きついてきた。初対面だがすごく懐いているな。しかし、これまた可愛らしい生き物だ。モンスターなのは間違いないと思うんだが、どこかからやってきたのか?
色々考えることは多いのだが、俺の手は自然とそのモンスターの頭を撫でていた。
「マァ~マァ~」
なんだかとても嬉しそうだ。そして撫で心地はなんというか柔らかい中に程よい弾力もあって端的に言って最高だった。
「ワン?」
「ピキィ~?」
俺が新たなモンスターと戯れているとモコとラムの声も聞こえた。見るとモコもラムも不思議そうにしていた。見知らぬモンスターがいたからだろう。
「おはようモコ、ラム。このモンスターいつのまに入ってきていたようなんだけど」
「ワオン――ワン! ワンワン!」
俺が朝の挨拶ついでに説明すると、モコが手で畑を示しながら吠えた。何かあったのだろうか?
立ち上がり畑に向かうと謎のモンスターもトコトコとついてきた。可愛い。
畑を確認すると昨日の夜とは明らかな違いがあった。あの芽が生えていたところに穴が空いていて芽が消えていたからだ。
「これはどういうことだ?」
怪訝な声が漏れた。昨晩確認した時には芽は無事だった筈だ。それが朝になって急にこんなことになっているなんて。
夜中に誰かが忍び込んでこれを? でも、ここ以外には荒らされていないわけだし。
「風間さんおはようございます」
俺が頭を悩ませていると秋月の声がしてきた。見るとダンジョンの入口に秋月の姿があった。
「あぁおはよう。昨日は大変だったけどあれから大丈夫だった?」
「マァ~マァ~」
「はい。あの後で鬼輝夜の皆さんと警察に行って無事に引き渡し――って、なんですかその生き物は~~~~~~!」
再び秋月の絶叫がダンジョン内に響き渡った。あぁ、やっぱりそういう反応になるよな――
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