59 / 190
第二章 冒険者登録編
第58話 土から生まれた?
しおりを挟む
「マァ~マッ! マァ~」
「はわわ~可愛いすぎでしゅよぉ~」
眼の前で秋月がデレデレしていた。相手はいつの間にかここにいたモンスターだ。しかし語彙が崩れるぐらいメロメロだな。気持ちはよくわかるが。
「それにしてもどこから来たのやら」
「それなんですけど、話を聞く限りもしかしてその消えた芽が成長した姿なんじゃないかなぁ?」
秋月が思いついた考えを言ってくれた。そう言われてみると確かに――
頭に乗ってる蔕から見て植物系のモンスターだと考えれば合点がいく。俺は何となく畑の穴を見た。
「――何か丁度よく収まりそうな。なぁ、ちょっとここに入ってみてもらってもいいかな?」
「マッ!」
モンスターが穴に入るといい感じに収まっていた。いや頭は出る形だがそれにしても収まりがいい。
「マァ~マッ!」
鳴きながら手足をバタバタさせると土が崩れてスッポリと埋もれてしまった。頭だけが出ている状態だが何だか楽しそうである。
「マ~♪」
「きゃわわ~!」
秋月がはしゃいでいた。何故埋もれたのかわからないが、やはりあの芽が成長した姿なのかもしれない。
「もしかして元々ここで生えてた芽が君なのか?」
「マ~♪ マ~マ~!」
「ワンワン!」
「ピキィ~!」
「えっと何て?」
「あぁ。どうやらそうだって言ってるみたいだ」
モコとラムがこのモンスターの言いたいことを察してくれたようだった。そしてモコとラムが言いたいことを俺は何となく理解できてしまう。
「ワン!」
「ピキィ!」
モコとラムが俺にすり寄ってきて鳴き声を上げた。これは――このモンスターも一緒にいられないか? ということか。
「仲間として迎え入れられないかってことだよな。う~んそうだな」
「悩む必要ないじゃないですか! こんなに懐いているんだし」
「マ~♪」
土から這い出てきたその子が俺に抱きついて縋るように声を上げた。クッ、確かにこれは拒否する理由がない!
「わかった。君も一緒に暮らそうか」
「マッ! マ~マ~♪」
とても嬉しそうだ。その姿に俺も自然と笑顔になってしまう。
「そうなると名前を決めてあげないとですね」
「あ~確かに。どんなのがいいかなぁ」
秋月の言われ俺も新しい仲間の姿を見ながら考えてみる。色からオレンジ? 流石に安直すぎるか。
「あ、あの私が思いついた名前があるんですが聞いてもらってもいいですか?」
「おお。それは助かるよ。教えてもらっても?」
「は、はい。マールなんてどうかなって」
秋月が考えた名前を口にした。マールか――確かに鳴き声がマ~だしまんまるとした顔も特徴的なことを考えるとピッタリかもしれない。
「名前だけどマールでどうかな?」
「マッ! マァ~マァ~♪」
聞いてみたが、おお、何だか嬉しそうだぞ。気に入ってくれたようだな。
「よし! それならお前は今日からマールだ!」
「マァ~♪」
抱き上げるとマールが嬉しそうに鳴いた。これでまた一匹新しい仲間が増えたわけだ。何だかこのダンジョンも賑やかになってきたな――
「はわわ~可愛いすぎでしゅよぉ~」
眼の前で秋月がデレデレしていた。相手はいつの間にかここにいたモンスターだ。しかし語彙が崩れるぐらいメロメロだな。気持ちはよくわかるが。
「それにしてもどこから来たのやら」
「それなんですけど、話を聞く限りもしかしてその消えた芽が成長した姿なんじゃないかなぁ?」
秋月が思いついた考えを言ってくれた。そう言われてみると確かに――
頭に乗ってる蔕から見て植物系のモンスターだと考えれば合点がいく。俺は何となく畑の穴を見た。
「――何か丁度よく収まりそうな。なぁ、ちょっとここに入ってみてもらってもいいかな?」
「マッ!」
モンスターが穴に入るといい感じに収まっていた。いや頭は出る形だがそれにしても収まりがいい。
「マァ~マッ!」
鳴きながら手足をバタバタさせると土が崩れてスッポリと埋もれてしまった。頭だけが出ている状態だが何だか楽しそうである。
「マ~♪」
「きゃわわ~!」
秋月がはしゃいでいた。何故埋もれたのかわからないが、やはりあの芽が成長した姿なのかもしれない。
「もしかして元々ここで生えてた芽が君なのか?」
「マ~♪ マ~マ~!」
「ワンワン!」
「ピキィ~!」
「えっと何て?」
「あぁ。どうやらそうだって言ってるみたいだ」
モコとラムがこのモンスターの言いたいことを察してくれたようだった。そしてモコとラムが言いたいことを俺は何となく理解できてしまう。
「ワン!」
「ピキィ!」
モコとラムが俺にすり寄ってきて鳴き声を上げた。これは――このモンスターも一緒にいられないか? ということか。
「仲間として迎え入れられないかってことだよな。う~んそうだな」
「悩む必要ないじゃないですか! こんなに懐いているんだし」
「マ~♪」
土から這い出てきたその子が俺に抱きついて縋るように声を上げた。クッ、確かにこれは拒否する理由がない!
「わかった。君も一緒に暮らそうか」
「マッ! マ~マ~♪」
とても嬉しそうだ。その姿に俺も自然と笑顔になってしまう。
「そうなると名前を決めてあげないとですね」
「あ~確かに。どんなのがいいかなぁ」
秋月の言われ俺も新しい仲間の姿を見ながら考えてみる。色からオレンジ? 流石に安直すぎるか。
「あ、あの私が思いついた名前があるんですが聞いてもらってもいいですか?」
「おお。それは助かるよ。教えてもらっても?」
「は、はい。マールなんてどうかなって」
秋月が考えた名前を口にした。マールか――確かに鳴き声がマ~だしまんまるとした顔も特徴的なことを考えるとピッタリかもしれない。
「名前だけどマールでどうかな?」
「マッ! マァ~マァ~♪」
聞いてみたが、おお、何だか嬉しそうだぞ。気に入ってくれたようだな。
「よし! それならお前は今日からマールだ!」
「マァ~♪」
抱き上げるとマールが嬉しそうに鳴いた。これでまた一匹新しい仲間が増えたわけだ。何だかこのダンジョンも賑やかになってきたな――
321
あなたにおすすめの小説
ダンジョンマスターはフェンリルくんとのスローライフをご希望です
ゆるり
ファンタジー
リュウセイは死んだと思った次の瞬間、神と名乗る人物に究極の選択を迫られ、ダンジョンマスターとして転生することになった。
ダンジョンマスターは一体の特別な魔物を相棒とする。だが、それは自分の意志では選べないらしい。
もふもふ好きのリュウセイが、癒やしになる相棒が生まれることを望んだ結果——なんと強い魔物の代表格であるフェンリルが誕生した!
リルと名付けたフェンリルに慕われることに喜びを感じ、リュウセイはこの幸せを保つために、ダンジョンを強くしていこうと決意したのだが——
「え、リル、凄すぎるだろ……」
『マスターのためにがんばっただけだよー』
リュウセイががんばらなくても、仲間たちが強すぎるから問題ない!?
だが、リルたちはほのぼのとした雰囲気で何気なく騒動を巻き起こし——
リルたちに振り回され、リュウセイは笑いに満ちた波乱万丈を楽しんでいく。
——きっとこれもスローライフの一種になるはず! ……だよな?
******
基本はダンジョンマスター視点。
時々フェンリルのリルくん視点で展開していきます。
リルくん視点はタイトルに『リルくん』を付けます。
カクヨム様で先行公開しております。
スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
私のスキルが、クエストってどういうこと?
地蔵
ファンタジー
スキルが全ての世界。
十歳になると、成人の儀を受けて、神から『スキル』を授かる。
スキルによって、今後の人生が決まる。
当然、素晴らしい『当たりスキル』もあれば『外れスキル』と呼ばれるものもある。
聞いた事の無いスキル『クエスト』を授かったリゼは、親からも見捨てられて一人で生きていく事に……。
少し人間不信気味の女の子が、スキルに振り回されながら生きて行く物語。
一話辺りは約三千文字前後にしております。
更新は、毎週日曜日の十六時予定です。
『小説家になろう』『カクヨム』でも掲載しております。
ダンジョンに行くことができるようになったが、職業が強すぎた
ひまなひと
ファンタジー
主人公がダンジョンに潜り、ステータスを強化し、強くなることを目指す物語である。
今の所、170話近くあります。
(修正していないものは1600です)
戦場の英雄、上官の陰謀により死亡扱いにされ、故郷に帰ると許嫁は結婚していた。絶望の中、偶然助けた許嫁の娘に何故か求婚されることに
千石
ファンタジー
「絶対生きて帰ってくる。その時は結婚しよう」
「はい。あなたの帰りをいつまでも待ってます」
許嫁と涙ながらに約束をした20年後、英雄と呼ばれるまでになったルークだったが生還してみると死亡扱いにされていた。
許嫁は既に結婚しており、ルークは絶望の只中に。
上官の陰謀だと知ったルークは激怒し、殴ってしまう。
言い訳をする気もなかったため、全ての功績を抹消され、貰えるはずだった年金もパー。
絶望の中、偶然助けた子が許嫁の娘で、
「ルーク、あなたに惚れたわ。今すぐあたしと結婚しなさい!」
何故か求婚されることに。
困りながらも巻き込まれる騒動を通じて
ルークは失っていた日常を段々と取り戻していく。
こちらは他のウェブ小説にも投稿しております。
収奪の探索者(エクスプローラー)~魔物から奪ったスキルは優秀でした~
エルリア
ファンタジー
HOTランキング1位ありがとうございます!
2000年代初頭。
突如として出現したダンジョンと魔物によって人類は未曾有の危機へと陥った。
しかし、新たに獲得したスキルによって人類はその危機を乗り越え、なんならダンジョンや魔物を新たな素材、エネルギー資源として使うようになる。
人類とダンジョンが共存して数十年。
元ブラック企業勤務の主人公が一発逆転を賭け夢のタワマン生活を目指して挑んだ探索者研修。
なんとか手に入れたものの最初は外れスキルだと思われていた収奪スキルが実はものすごく優秀だと気付いたその瞬間から、彼の華々しくも生々しい日常が始まった。
これは魔物のスキルを駆使して夢と欲望を満たしつつ、そのついでに前人未到のダンジョンを攻略するある男の物語である。
現代錬金術のすゝめ 〜ソロキャンプに行ったら賢者の石を拾った〜
涼月 風
ファンタジー
御門賢一郎は過去にトラウマを抱える高校一年生。
ゴールデンウィークにソロキャンプに行き、そこで綺麗な石を拾った。
しかし、その直後雷に打たれて意識を失う。
奇跡的に助かった彼は以前の彼とは違っていた。
そんな彼が成長する為に異世界に行ったり又、現代で錬金術をしながら生活する物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる