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第二章 冒険者登録編
第72話 回収と結果
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「それまで。ではこれより回収致します」
香川の号令によって全員が手を止めた。香川は解答用紙を回収して回っていき全て回収すると近くのドアを開けて誰かに解答用紙を渡していた。
「結果はこの講義中に判明しますが、それまで少し話していけたらと思います」
そして香川がこのテストについて話しだした。
「今回のテストは冒険者の適性をチェックする為の物でした。そこでこのテストの内容を改めて考えていけたらと思います」
やっぱりそうだったのか。何となくそんな気はしていたけどな。
「最初の問題はステータスに関する物ですね。勿論講習の中で教える物もありますが基本的なことも全く知らないようでは話になりませんので――」
そう説明しつつ香川がそれぞれの問いに対して説明しつつ講習を受けている個々にも質問していった。
「――次は問5について、冒険者は当然日常的にスキルを行使してしかるべきであるとありますがこれについて20番の風間くんはどう考えますか?」
おっと俺に質問が来たな。だけどまぁこれは答えは決まってるだろう。
「Bのいいえだと思います。冒険者は――」
「ギャハハ! マジかお前! こんなものはいにきまってるだろうが! 冒険者になればスキルだって使い放題なんだよ! その為に冒険者になると言ってもいいぐらいだからな!」
俺が答えてると横から茶々が入った。あのドレッド男だったが、マジかこいつ?
「……18番の於呂くん」
「おう! 正解だろう? こっちの馬鹿は冒険者失格だ。さっさとこっから追放しろよ!」
「冒険者は特別な事情がない限りスキルの使用はダンジョン内限定です。そうでなければ誰が悪用するかわかりませんからね」
「あん? 何いってんだお前? それでも指導官かよ常識知らずか!」
そう言ってゲラゲラ笑い出した。ダメだこいつ。
「……とりあえず次にいきますね」
香川が見事にスルーしたな。ドレッドの男、どうやら於呂って言うらしいが何故かドヤ顔だぞ。
「――続いて問9についてこれは少々意地の悪い問いかけだったかもしれません。一つ言えるのは、冒険者たるもの感情的になっては行けないということ。同時に平等な目を向ける必要もあるということです。それを踏まえて16番の中山くんはどう思いましたか?」
「うむ。つまり助けるべきは何よりも筋肉ということだな!」
「「「「「…………」」」」」
名指しされた中山は力こぶを見せつけながらそう答えた。てかこの筋肉を選ぶ奴がマジでいたよ! 周囲の全員表情が無になってたぞ!
「ギャハハ! そんなわけあるかこんな引っ掛け問題に引っかかるとは愚かな奴め!」
「何ィ!?」
於呂が笑い出したがこれ引っ掛けか?
「正解は誰も助けないだ! 誰よりも自分の命が大切に決まってるからな!」
そして於呂が聞かれてもいないのに堂々と答えた。それを見る香川の視線が冷たい気がするぞ!
「――続いての問いについて」
香川は明確な正解は伝えず示唆する程度にとどめているな。そのあたりは自分たちで考えるようにとの事かもしれない。まぁテスト的にはどれがベストか決まっているのかもだけど。
「続いて問15ですが――」
「こんなものモンスターを盾にして逃げるに決まってんだろうが! モンスターなんて奴隷と一緒だ。まぁどっかの誰かさんのモンスターみたいに弱っちそうなのは盾にもなんねぇけどな」
「いやいやここは可能性が少しでもあるならば筋トレしてでも戦うべきだろう!」
また聞かれてもいないのに於呂が答えたが、こいつ絶対俺たちのことを言ってるな。そして中山は、ま、まぁ間違って無い気もしないでもないが筋トレのことは書かれてないぞ。
「於呂くん、余計なことは言わないように」
「へいへい」
香川に指摘されて於呂が面白くなさそうに答えた。俺も正直文句を言いたかったが講習中だからなんとか堪えた。
そして香川の説明と問いかけは続いたが。
「問18ですが――」
「回復系なんて探索が終われば用済み追放だ追放!」
「筋肉こそ力! このリーダーにしらしめなければ!」
「問20――」
「筋肉! プロティン! 日々の筋トレ! 全てが財産だ!」
「問25ですが――」
「モンスターなんて仲間になんてするかよ! トドメを刺すに決まってんだろうが! ヒャッハー!」
「君の筋肉に決めた! 一緒に筋トレしようぜ!」
こんな感じに話は進んだわけだが、いや於呂と中山の自己主張が強すぎるだろう! 聞かれてもいないのに出しゃばって答えてるし香川が途中で額を押さえていたぞ!
「ワオン……」
「ピキィ……」
「マァ……」
この二人のやり取りにモコ、ラム、マールも呆れたような目を向けていた。そりゃそうだ。
というわけで全ての問題に関する問答が終わったわけだが、それとほぼ同時に教室のドアがノックされた。香川がドアを開け話を聞いた後、こちらを振り返った。
「18番の於呂くん」
「おう!」
意気揚々と立ち上がる於呂。すると香川が於呂を呼んで言った。
「彼について行ってください」
「アッハッハ! どうやら俺が一抜けだったようだな。つまり俺が一番優秀ってことだ。弱っちいモンスターしが従えない奴なんかじゃお話しになんないってことだ。じゃあな劣等生ども」
そして於呂が一人だけ外に連れ出された。何か偉そうに言っていたが――香川が元の位置に戻り俺たちを見ながら言った。
「――ではここにいる皆さんはこの講義は合格ということで次に向かいます」
「よし! やはり筋肉は正しかった!」
香川の発言で残った教室の皆も安堵の表情を浮かべていた。何となくそんな気はしたが、あの於呂だけ不合格ってことか。散々馬鹿にしてきたけど愚かな奴だったなぁ。
てか中山は合格だったのか……筋肉恐るべし!
香川の号令によって全員が手を止めた。香川は解答用紙を回収して回っていき全て回収すると近くのドアを開けて誰かに解答用紙を渡していた。
「結果はこの講義中に判明しますが、それまで少し話していけたらと思います」
そして香川がこのテストについて話しだした。
「今回のテストは冒険者の適性をチェックする為の物でした。そこでこのテストの内容を改めて考えていけたらと思います」
やっぱりそうだったのか。何となくそんな気はしていたけどな。
「最初の問題はステータスに関する物ですね。勿論講習の中で教える物もありますが基本的なことも全く知らないようでは話になりませんので――」
そう説明しつつ香川がそれぞれの問いに対して説明しつつ講習を受けている個々にも質問していった。
「――次は問5について、冒険者は当然日常的にスキルを行使してしかるべきであるとありますがこれについて20番の風間くんはどう考えますか?」
おっと俺に質問が来たな。だけどまぁこれは答えは決まってるだろう。
「Bのいいえだと思います。冒険者は――」
「ギャハハ! マジかお前! こんなものはいにきまってるだろうが! 冒険者になればスキルだって使い放題なんだよ! その為に冒険者になると言ってもいいぐらいだからな!」
俺が答えてると横から茶々が入った。あのドレッド男だったが、マジかこいつ?
「……18番の於呂くん」
「おう! 正解だろう? こっちの馬鹿は冒険者失格だ。さっさとこっから追放しろよ!」
「冒険者は特別な事情がない限りスキルの使用はダンジョン内限定です。そうでなければ誰が悪用するかわかりませんからね」
「あん? 何いってんだお前? それでも指導官かよ常識知らずか!」
そう言ってゲラゲラ笑い出した。ダメだこいつ。
「……とりあえず次にいきますね」
香川が見事にスルーしたな。ドレッドの男、どうやら於呂って言うらしいが何故かドヤ顔だぞ。
「――続いて問9についてこれは少々意地の悪い問いかけだったかもしれません。一つ言えるのは、冒険者たるもの感情的になっては行けないということ。同時に平等な目を向ける必要もあるということです。それを踏まえて16番の中山くんはどう思いましたか?」
「うむ。つまり助けるべきは何よりも筋肉ということだな!」
「「「「「…………」」」」」
名指しされた中山は力こぶを見せつけながらそう答えた。てかこの筋肉を選ぶ奴がマジでいたよ! 周囲の全員表情が無になってたぞ!
「ギャハハ! そんなわけあるかこんな引っ掛け問題に引っかかるとは愚かな奴め!」
「何ィ!?」
於呂が笑い出したがこれ引っ掛けか?
「正解は誰も助けないだ! 誰よりも自分の命が大切に決まってるからな!」
そして於呂が聞かれてもいないのに堂々と答えた。それを見る香川の視線が冷たい気がするぞ!
「――続いての問いについて」
香川は明確な正解は伝えず示唆する程度にとどめているな。そのあたりは自分たちで考えるようにとの事かもしれない。まぁテスト的にはどれがベストか決まっているのかもだけど。
「続いて問15ですが――」
「こんなものモンスターを盾にして逃げるに決まってんだろうが! モンスターなんて奴隷と一緒だ。まぁどっかの誰かさんのモンスターみたいに弱っちそうなのは盾にもなんねぇけどな」
「いやいやここは可能性が少しでもあるならば筋トレしてでも戦うべきだろう!」
また聞かれてもいないのに於呂が答えたが、こいつ絶対俺たちのことを言ってるな。そして中山は、ま、まぁ間違って無い気もしないでもないが筋トレのことは書かれてないぞ。
「於呂くん、余計なことは言わないように」
「へいへい」
香川に指摘されて於呂が面白くなさそうに答えた。俺も正直文句を言いたかったが講習中だからなんとか堪えた。
そして香川の説明と問いかけは続いたが。
「問18ですが――」
「回復系なんて探索が終われば用済み追放だ追放!」
「筋肉こそ力! このリーダーにしらしめなければ!」
「問20――」
「筋肉! プロティン! 日々の筋トレ! 全てが財産だ!」
「問25ですが――」
「モンスターなんて仲間になんてするかよ! トドメを刺すに決まってんだろうが! ヒャッハー!」
「君の筋肉に決めた! 一緒に筋トレしようぜ!」
こんな感じに話は進んだわけだが、いや於呂と中山の自己主張が強すぎるだろう! 聞かれてもいないのに出しゃばって答えてるし香川が途中で額を押さえていたぞ!
「ワオン……」
「ピキィ……」
「マァ……」
この二人のやり取りにモコ、ラム、マールも呆れたような目を向けていた。そりゃそうだ。
というわけで全ての問題に関する問答が終わったわけだが、それとほぼ同時に教室のドアがノックされた。香川がドアを開け話を聞いた後、こちらを振り返った。
「18番の於呂くん」
「おう!」
意気揚々と立ち上がる於呂。すると香川が於呂を呼んで言った。
「彼について行ってください」
「アッハッハ! どうやら俺が一抜けだったようだな。つまり俺が一番優秀ってことだ。弱っちいモンスターしが従えない奴なんかじゃお話しになんないってことだ。じゃあな劣等生ども」
そして於呂が一人だけ外に連れ出された。何か偉そうに言っていたが――香川が元の位置に戻り俺たちを見ながら言った。
「――ではここにいる皆さんはこの講義は合格ということで次に向かいます」
「よし! やはり筋肉は正しかった!」
香川の発言で残った教室の皆も安堵の表情を浮かべていた。何となくそんな気はしたが、あの於呂だけ不合格ってことか。散々馬鹿にしてきたけど愚かな奴だったなぁ。
てか中山は合格だったのか……筋肉恐るべし!
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