89 / 190
第三章 放置ダンジョンで冒険者暮らし編
第88話 鬼輝夜から聞く話
しおりを挟む
「ところで風間を撃った相手は魔導銃を使ったらしいね。どこで手に入れたとかいっていたのかい?」
「いや、特には言ってなかったかな。ただどうやら昔から危ない奴だったらしくて、前に公園であった大黒の名前も出してたんだよな」
「大黒の?」
鬼姫の眉がピクリと反応した。以前聞いた話だと大黒は昔鬼姫と戦って敗北したんだったな。その影響で鬼姫には強く出れなかったようだし。
「そういえば総長の弟が大黒について話してたんでしたね」
「あぁ。最近になって金を一括で返してきたってね。弟からすれば貸した金が戻ってくればそれでいいんだろうけどねぇ」
そう言いつつ、鬼姫が真顔になった。
「えっと、それってどれぐらい借りてたんですか?」
「詳しくはないけどね、利息も膨れて数百万ぐらいになっていたらしいよ」
「それって、元はいくらだったんですか?」
正直聞いていいか迷ったが好奇心のほうが勝ってしまった。
「それは聞かないほうがいいと思うけどねぇ。ま、弟は高利貸しだとは言っておくよ」
「あ、やっぱりそんな感じなんですね」
なんとなくそんな気はしていたんだけどね。
「それってやっぱり合法ではないんですよねぇ」
秋月の顔が引き攣っていた。そこは秋月の思ったとおりだとは思う。ただ、鬼姫の弟は話してみたらそんな悪人には思えなかったんだよな。何か理由があるんだろうか。
「一応言っておくけど、確かに総長の弟は高金利で金貸してるけど、人は選んでいるからね」
俺の表情から何か察したのか、十五夜が補足してくれた。
「……帝が容赦なく追い込むのはどうしようもないクズだけ。相手を見ている」
「この間も~お金に困って借りに来た母親に~仕事を紹介していたみたいだもんね~」
竹取が静かに口にし、蓬莱も感心したように帝の事を語った。それを聞いてホッとした。いや高利貸しなのは確かなんだろうけどね。
「やめなやめな。何を言ったって弟が真っ当な仕事じゃないのは確かさ。ま、今は大目に見てるけど、ろくでもない真似をしたらしっかりシメるからね」
あ~、うん。それは間違いないだろうな。ただこの口ぶりを見るにそんなことは起きないって確信しているようでもある。
「彼は大丈夫だと思うよ。モコたちも懐いていたからな。皆の見る目は確かだ」
「ワンワン♪」
「ピキィ~♪」
「マァ~♪」
俺の言葉に合わせて三匹が嬉しそうに鳴いた。それを聞いて皆が優しい目をしていた。
「そういえば冒険者としてはいつから活動再開を?」
「あぁ。実は早速仕事を頼まれてしまってね。明日娘をバスに乗せた後、ダンジョンに向かうつもりだよ」
「そうか。明日は遠足ですよね」
鬼姫の話を聞いて秋月が言った。そういえば前に秋月の実家にお邪魔した時に妹の紅葉から聞いたな。そうか明日だったか。確か陽輝山に行くんだったか。
「明日は晴れみたいだからね。絶好の遠足日和だろうさ」
「それにしてもそのまま冒険者の活動か~どこかのダンジョンに?」
「バイクで片道二時間ぐらい飛ばしたところにあるダンジョンさ」
それはまた結構な距離だな。おまけにダンジョンでの探索もあるだろうからそれなりに時間が掛かると思うし。
「冒険者の復帰は娘も喜んでくれたからね。親としてみっともない姿は見せられないし、しっかり仕事してくるよ」
「土産話を期待しているんだね。夜露死苦!」
鬼姫の話の後、十五夜が気合のこもった声を発した。久しぶりの探索とあって皆も気合に満ちていそうだよ。
その後は、鬼輝夜の皆と雑談をした後、鬼輝夜は帰っていった。
「これで良しと。それじゃあもう時間みたいだから私も帰るね」
「うん。ありがとう。本当に助かったよ」
「これぐらい、助けが必要ならいつでも言ってね。ただ――冒険者になっても怪我には気をつけてね。無茶は駄目だよ」
心配そうに眉を寄せて、秋月が言った。そうか、本当に心配してくれていたんだな。
「そうだな。ま、俺はほら、皆で暮らして配信するのがメインだから。きっとそんな危険なことはないよ」
「それならいいけどね。それじゃあ、また明日ね、は、ハルさん」
そう言って秋月が早足で病室を離れた。えっと、今最後の呼び方、はは、ハル、か。ちょっと照れるな――
「いや、特には言ってなかったかな。ただどうやら昔から危ない奴だったらしくて、前に公園であった大黒の名前も出してたんだよな」
「大黒の?」
鬼姫の眉がピクリと反応した。以前聞いた話だと大黒は昔鬼姫と戦って敗北したんだったな。その影響で鬼姫には強く出れなかったようだし。
「そういえば総長の弟が大黒について話してたんでしたね」
「あぁ。最近になって金を一括で返してきたってね。弟からすれば貸した金が戻ってくればそれでいいんだろうけどねぇ」
そう言いつつ、鬼姫が真顔になった。
「えっと、それってどれぐらい借りてたんですか?」
「詳しくはないけどね、利息も膨れて数百万ぐらいになっていたらしいよ」
「それって、元はいくらだったんですか?」
正直聞いていいか迷ったが好奇心のほうが勝ってしまった。
「それは聞かないほうがいいと思うけどねぇ。ま、弟は高利貸しだとは言っておくよ」
「あ、やっぱりそんな感じなんですね」
なんとなくそんな気はしていたんだけどね。
「それってやっぱり合法ではないんですよねぇ」
秋月の顔が引き攣っていた。そこは秋月の思ったとおりだとは思う。ただ、鬼姫の弟は話してみたらそんな悪人には思えなかったんだよな。何か理由があるんだろうか。
「一応言っておくけど、確かに総長の弟は高金利で金貸してるけど、人は選んでいるからね」
俺の表情から何か察したのか、十五夜が補足してくれた。
「……帝が容赦なく追い込むのはどうしようもないクズだけ。相手を見ている」
「この間も~お金に困って借りに来た母親に~仕事を紹介していたみたいだもんね~」
竹取が静かに口にし、蓬莱も感心したように帝の事を語った。それを聞いてホッとした。いや高利貸しなのは確かなんだろうけどね。
「やめなやめな。何を言ったって弟が真っ当な仕事じゃないのは確かさ。ま、今は大目に見てるけど、ろくでもない真似をしたらしっかりシメるからね」
あ~、うん。それは間違いないだろうな。ただこの口ぶりを見るにそんなことは起きないって確信しているようでもある。
「彼は大丈夫だと思うよ。モコたちも懐いていたからな。皆の見る目は確かだ」
「ワンワン♪」
「ピキィ~♪」
「マァ~♪」
俺の言葉に合わせて三匹が嬉しそうに鳴いた。それを聞いて皆が優しい目をしていた。
「そういえば冒険者としてはいつから活動再開を?」
「あぁ。実は早速仕事を頼まれてしまってね。明日娘をバスに乗せた後、ダンジョンに向かうつもりだよ」
「そうか。明日は遠足ですよね」
鬼姫の話を聞いて秋月が言った。そういえば前に秋月の実家にお邪魔した時に妹の紅葉から聞いたな。そうか明日だったか。確か陽輝山に行くんだったか。
「明日は晴れみたいだからね。絶好の遠足日和だろうさ」
「それにしてもそのまま冒険者の活動か~どこかのダンジョンに?」
「バイクで片道二時間ぐらい飛ばしたところにあるダンジョンさ」
それはまた結構な距離だな。おまけにダンジョンでの探索もあるだろうからそれなりに時間が掛かると思うし。
「冒険者の復帰は娘も喜んでくれたからね。親としてみっともない姿は見せられないし、しっかり仕事してくるよ」
「土産話を期待しているんだね。夜露死苦!」
鬼姫の話の後、十五夜が気合のこもった声を発した。久しぶりの探索とあって皆も気合に満ちていそうだよ。
その後は、鬼輝夜の皆と雑談をした後、鬼輝夜は帰っていった。
「これで良しと。それじゃあもう時間みたいだから私も帰るね」
「うん。ありがとう。本当に助かったよ」
「これぐらい、助けが必要ならいつでも言ってね。ただ――冒険者になっても怪我には気をつけてね。無茶は駄目だよ」
心配そうに眉を寄せて、秋月が言った。そうか、本当に心配してくれていたんだな。
「そうだな。ま、俺はほら、皆で暮らして配信するのがメインだから。きっとそんな危険なことはないよ」
「それならいいけどね。それじゃあ、また明日ね、は、ハルさん」
そう言って秋月が早足で病室を離れた。えっと、今最後の呼び方、はは、ハル、か。ちょっと照れるな――
231
あなたにおすすめの小説
最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~
ある中管理職
ファンタジー
勤続10年目10度目のレベルアップ。
人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。
すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。
なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。
チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。
探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。
万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。
【完結】妖精を十年間放置していた為SSSランクになっていて、何でもあり状態で助かります
すみ 小桜(sumitan)
ファンタジー
《ファンタジー小説大賞エントリー作品》五歳の時に両親を失い施設に預けられたスラゼは、十五歳の時に王国騎士団の魔導士によって、見えていた妖精の声が聞こえる様になった。
なんと十年間放置していたせいでSSSランクになった名をラスと言う妖精だった!
冒険者になったスラゼは、施設で一緒だった仲間レンカとサツナと共に冒険者協会で借りたミニリアカーを引いて旅立つ。
ラスは、リアカーやスラゼのナイフにも加護を与え、軽くしたりのこぎりとして使えるようにしてくれた。そこでスラゼは、得意なDIYでリアカーの改造、テーブルやイス、入れ物などを作って冒険を快適に変えていく。
そして何故か三人は、可愛いモモンガ風モンスターの加護まで貰うのだった。
ダンジョン配信ですよ、我が主 ~いや、貴女が配信したほうが良いような~
志位斗 茂家波
ファンタジー
…ある日突然、世界中にダンジョンと呼ばれる謎のものが出現した。
迷宮、塔、地下世界…そして未知のモンスターに、魔法の道具等、内包する可能性は未知数であり、世界は求めていく。
とはいえ、その情報がどんどん出てくれば、価値も少しづつ薄れるもので…気が付けば、一般向けに配信者が出てきたりと、気軽な存在になっていた。
そんな中である日、小遣い稼ぎとして配信を始めて行おうとしたとある少年が、ダンジョン内で巡り合ってしまった…魔法の道具…もとい、何故かメイドの彼女との運命が、世界を混沌へ堕としこむのだが…
赤ん坊なのに【試練】がいっぱい! 僕は【試練】で大きくなれました
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕の名前はジーニアス
優しい両親のもとで生まれた僕は小さな村で暮らすこととなりました
お父さんは村の村長みたいな立場みたい
お母さんは病弱で家から出れないほど
二人を助けるとともに僕は異世界を楽しんでいきます
ーーーーー
この作品は大変楽しく書けていましたが
49話で終わりとすることにいたしました
完結はさせようと思いましたが次をすぐに書きたい
そんな欲求に屈してしまいましたすみません
転生先の説明書を見るとどうやら俺はモブキャラらしい
夢見望
ファンタジー
レインは、前世で子供を助けるために車の前に飛び出し、そのまま死んでしまう。神様に転生しなくてはならないことを言われ、せめて転生先の世界の事を教えて欲しいと願うが何も説明を受けずに転生されてしまう。転生してから数年後に、神様から手紙が届いておりその中身には1冊の説明書が入っていた。
才がないと伯爵家を追放された僕は、神様からのお詫びチートで、異世界のんびりスローライフ!!
にのまえ
ファンタジー
剣や魔法に才能がないカストール伯爵家の次男、ノエール・カストールは家族から追放され、辺境の別荘へ送られることになる。しかしノエールは追放を喜ぶ、それは彼に異世界の神様から、お詫びにとして貰ったチートスキルがあるから。
そう、ノエールは転生者だったのだ。
そのスキルを駆使して、彼の異世界のんびりスローライフが始まる。
勇者の野郎と元婚約者、あいつら全員ぶっ潰す
さとう
ファンタジー
大陸最大の王国である『ファーレン王国』
そこに住む少年ライトは、幼馴染のリリカとセエレと共に、元騎士であるライトの父に剣の稽古を付けてもらっていた。
ライトとリリカはお互いを意識し婚約の約束をする。セエレはライトの愛妾になると宣言。
愛妾を持つには騎士にならなくてはいけないため、ライトは死に物狂いで騎士に生るべく奮闘する。
そして16歳になり、誰もが持つ《ギフト》と呼ばれる特殊能力を授かるため、3人は王国の大聖堂へ向かい、リリカは《鬼太刀》、セエレは《雷切》という『五大祝福剣』の1つを授かる。
一方、ライトが授かったのは『???』という意味不明な力。
首を捻るライトをよそに、1人の男と2人の少女が現れる。
「君たちが、オレの運命の女の子たちか」
現れたのは異世界より来た『勇者レイジ』と『勇者リン』
彼らは魔王を倒すために『五大祝福剣』のギフトを持つ少女たちを集めていた。
全てはこの世界に復活した『魔刃王』を倒すため。
5つの刃と勇者の力で『魔刃王』を倒すために、リリカたちは勇者と共に旅のに出る。
それから1年後。リリカたちは帰って来た、勇者レイジの妻として。
2人のために騎士になったライトはあっさり捨てられる。
それどころか、勇者レイジの力と権力によって身も心もボロボロにされて追放される。
ライトはあてもなく彷徨い、涙を流し、決意する。
悲しみを越えた先にあったモノは、怒りだった。
「あいつら全員……ぶっ潰す!!」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる