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第三章 放置ダンジョンで冒険者暮らし編
第94話 ダンジョン災害
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「マスター! ダンジョン発生の件で問い合わせが殺到しています!」
「わかっている。とにかく今は現状判明していることの説明を関係者には専門の職員に代わり対応してもらうように」
直下型のダンジョンの発生、それに加え小学校の教師と生徒がダンジョン発生に巻き込まれたとあり、責任者の小澤は対応に追われていた。
ダンジョンにより一般人が巻き込まれる自体はダンジョン災害と称される。ジョブストーンを持たない一般人がこういった災害に巻き込まれると最悪な事態を招くことも少なくなく、だからこそ職員もピリピリしていた。
「冒険者の手配は出来たか?」
「駄目です。現状近場ですぐに動ける冒険者が見つからない状況で」
「くそ! 鬼輝夜との連絡はどうだ!」
小澤が声を張り上げた。ダンジョン発生の一報を受けた際に、鬼姫の娘が巻き込まれている事はわかっていた。故に直ちに鬼輝夜に連絡を取らせたのだが――
「駄目です! 鬼輝夜は本日ダンジョン攻略に向かっていますのでそれで電波が届かないのかと」
「クソ! だからダンジョンに対応した通信機器を開発し支給すべきだと言い続けていたというのに!」
小澤は頭を抱えた。ダンジョンはスマフォなどの電波が届きにくく、一度入ってしまうと外部からの情報がシャットダウンされる欠点があった。
これにより冒険者がダンジョンから戻ってこない際も対応に遅れを来すことが問題点としてあげられていた。
故に小澤そ含めた少なくないギルドマスターがダンジョンでも繋がる冒険者専用の通信機器の開発を求めていたが、政府は電波法や通信法に接触することや改定には時間が掛かることに加え一般人への弊害などと理由をつけて先延ばしにしていた。
結果としてこういった大きなトラブルが生じた際に対応が後手に回ってしまう。しかも政府はこういった問題が起きた際の責任をギルドに押し付けてくる。
実際小澤に連絡を寄越した役人は、冒険者ギルドの管轄なのだから責任持って何とかしろ等と行ってくるだけであり小澤は歯がゆく思っていた。
「とにかく今は冒険者の派遣を急がせろ。俺は鬼輝夜が向かった先の管轄ギルドに連絡してみる」
そして小澤は緊急連絡用に使用する通信機を手に取り他のギルドマスターに連絡を取った。とは言え、それがあっても直ぐに連絡をとれることもないだろう。とにかく今は動ける冒険者をすぐに見つける必要があった――
◆?◆
一方その頃――座間と阿久津の二人は初めてのダンジョン探索に挑む為に五人で移動していた。
だがそんな二人のスマフォにも冒険者ギルドからの連絡が届く。冒険者ギルドからはスマフォ用のアプリが提供されており、それで連絡事項などを知ることが出来る。
勿論ダンジョンに潜ってしまえば電波の関係で見ることが出来ないことも多いが、外であればまだ確認することは可能だった。
「あ、あの、鷺間戒さん」
阿久津が前を行く男たちの一人に声をかけた。すると黒髪を後ろで束ねた男が振り返りその細い瞳を阿久津たちに向け返事した。
「どうした? 何か用か?」
「あ、いえ。あのその、今スマフォにギルドから緊急依頼というのが来てますが」
「あぁ来てるな。陽輝山でダンジョン発生か。大変だな」
「その、私たちはいかなくて大丈夫ですか?」
今度は座間が恐る恐る問いかけた。二人は現在『黒爪黒牙』という冒険者パーティーと行動を共にしていた。
キッカケは冒険者ギルドで自分たちが探索できそうなダンジョンが無いか調べに行った時のことだった。
黒爪黒牙のリーダーである鷺間戒 翔也に声をかけられ、一緒にダンジョン探索にいかないかい? と誘われたのである。
黒爪黒牙は男性三人で構成されたパーティーであり揃って冒険者ランクはD級とのことだった。
阿久津は自分と座間が冒険者としての講習を終えたばかりでありランクもF級であることを伝えたが、リーダーの鷺間戒によると、自分たちは、そういったまだ活動を始めたばかりの冒険者に手ほどきする活動もしているということだった。
冒険者には暗黙のルールなどもあり探索するにしても何も知らずに行くと痛い目をみることもあるという。故に最初はある程度熟練した冒険者と一緒に行動したほうが安心だと説明してくれた。
それを聞き、阿久津と座間は少しは迷ったが、この話に乗ることにした。ランクが上の冒険者と一緒に行動することで自分たちにも旨味がありそうだと判断したのも大きい。
そして現在、五人で目的のダンジョンに向かっていたわけだが、その途中での緊急依頼の通知。D級冒険者の三人であれば予定を変えて通知のきたダンジョンに向かってもおかしくないと考えたのだが――
「うん? なんで? こっからだとそれなりに距離あるし、わざわざ行く必要なんてないよね?」
鷺間戒から返ってきた反応はなんとも他人事のような物だった。
「それにこういうのはお人好しな冒険者が黙っててもやってくれるさ。正直旨味もなさそうだし、お前たちだって折角のダンジョン探索を中止してまで関わりたくないだろう?」
「そ、それは勿論! そうですよね。わざわざこっちから首を突っ込む必要ないですよね!」
「うんうん。こんな依頼にわざわざ首を突っ込むなんて余程のお人好しか馬鹿ですよ。良かった鷺間戒さんが常識人で」
座間が鷺間戒に媚びを売るような反応を見せた。阿久津の表情が若干曇る。
「はは、そう言ってもらえると助かるよ。確認もしたし、さぁいこう」
そして鷺間戒たちは再びダンジョンに向かって歩き出した。阿久津と座間もその後に続く――
「わかっている。とにかく今は現状判明していることの説明を関係者には専門の職員に代わり対応してもらうように」
直下型のダンジョンの発生、それに加え小学校の教師と生徒がダンジョン発生に巻き込まれたとあり、責任者の小澤は対応に追われていた。
ダンジョンにより一般人が巻き込まれる自体はダンジョン災害と称される。ジョブストーンを持たない一般人がこういった災害に巻き込まれると最悪な事態を招くことも少なくなく、だからこそ職員もピリピリしていた。
「冒険者の手配は出来たか?」
「駄目です。現状近場ですぐに動ける冒険者が見つからない状況で」
「くそ! 鬼輝夜との連絡はどうだ!」
小澤が声を張り上げた。ダンジョン発生の一報を受けた際に、鬼姫の娘が巻き込まれている事はわかっていた。故に直ちに鬼輝夜に連絡を取らせたのだが――
「駄目です! 鬼輝夜は本日ダンジョン攻略に向かっていますのでそれで電波が届かないのかと」
「クソ! だからダンジョンに対応した通信機器を開発し支給すべきだと言い続けていたというのに!」
小澤は頭を抱えた。ダンジョンはスマフォなどの電波が届きにくく、一度入ってしまうと外部からの情報がシャットダウンされる欠点があった。
これにより冒険者がダンジョンから戻ってこない際も対応に遅れを来すことが問題点としてあげられていた。
故に小澤そ含めた少なくないギルドマスターがダンジョンでも繋がる冒険者専用の通信機器の開発を求めていたが、政府は電波法や通信法に接触することや改定には時間が掛かることに加え一般人への弊害などと理由をつけて先延ばしにしていた。
結果としてこういった大きなトラブルが生じた際に対応が後手に回ってしまう。しかも政府はこういった問題が起きた際の責任をギルドに押し付けてくる。
実際小澤に連絡を寄越した役人は、冒険者ギルドの管轄なのだから責任持って何とかしろ等と行ってくるだけであり小澤は歯がゆく思っていた。
「とにかく今は冒険者の派遣を急がせろ。俺は鬼輝夜が向かった先の管轄ギルドに連絡してみる」
そして小澤は緊急連絡用に使用する通信機を手に取り他のギルドマスターに連絡を取った。とは言え、それがあっても直ぐに連絡をとれることもないだろう。とにかく今は動ける冒険者をすぐに見つける必要があった――
◆?◆
一方その頃――座間と阿久津の二人は初めてのダンジョン探索に挑む為に五人で移動していた。
だがそんな二人のスマフォにも冒険者ギルドからの連絡が届く。冒険者ギルドからはスマフォ用のアプリが提供されており、それで連絡事項などを知ることが出来る。
勿論ダンジョンに潜ってしまえば電波の関係で見ることが出来ないことも多いが、外であればまだ確認することは可能だった。
「あ、あの、鷺間戒さん」
阿久津が前を行く男たちの一人に声をかけた。すると黒髪を後ろで束ねた男が振り返りその細い瞳を阿久津たちに向け返事した。
「どうした? 何か用か?」
「あ、いえ。あのその、今スマフォにギルドから緊急依頼というのが来てますが」
「あぁ来てるな。陽輝山でダンジョン発生か。大変だな」
「その、私たちはいかなくて大丈夫ですか?」
今度は座間が恐る恐る問いかけた。二人は現在『黒爪黒牙』という冒険者パーティーと行動を共にしていた。
キッカケは冒険者ギルドで自分たちが探索できそうなダンジョンが無いか調べに行った時のことだった。
黒爪黒牙のリーダーである鷺間戒 翔也に声をかけられ、一緒にダンジョン探索にいかないかい? と誘われたのである。
黒爪黒牙は男性三人で構成されたパーティーであり揃って冒険者ランクはD級とのことだった。
阿久津は自分と座間が冒険者としての講習を終えたばかりでありランクもF級であることを伝えたが、リーダーの鷺間戒によると、自分たちは、そういったまだ活動を始めたばかりの冒険者に手ほどきする活動もしているということだった。
冒険者には暗黙のルールなどもあり探索するにしても何も知らずに行くと痛い目をみることもあるという。故に最初はある程度熟練した冒険者と一緒に行動したほうが安心だと説明してくれた。
それを聞き、阿久津と座間は少しは迷ったが、この話に乗ることにした。ランクが上の冒険者と一緒に行動することで自分たちにも旨味がありそうだと判断したのも大きい。
そして現在、五人で目的のダンジョンに向かっていたわけだが、その途中での緊急依頼の通知。D級冒険者の三人であれば予定を変えて通知のきたダンジョンに向かってもおかしくないと考えたのだが――
「うん? なんで? こっからだとそれなりに距離あるし、わざわざ行く必要なんてないよね?」
鷺間戒から返ってきた反応はなんとも他人事のような物だった。
「それにこういうのはお人好しな冒険者が黙っててもやってくれるさ。正直旨味もなさそうだし、お前たちだって折角のダンジョン探索を中止してまで関わりたくないだろう?」
「そ、それは勿論! そうですよね。わざわざこっちから首を突っ込む必要ないですよね!」
「うんうん。こんな依頼にわざわざ首を突っ込むなんて余程のお人好しか馬鹿ですよ。良かった鷺間戒さんが常識人で」
座間が鷺間戒に媚びを売るような反応を見せた。阿久津の表情が若干曇る。
「はは、そう言ってもらえると助かるよ。確認もしたし、さぁいこう」
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