親友と婚約者に裏切られ仕事も家も失い自暴自棄になって放置されたダンジョンで暮らしてみたら可愛らしいモンスターと快適な暮らしが待ってました

空地大乃

文字の大きさ
110 / 190
第三章 放置ダンジョンで冒険者暮らし編

第109話 ホブゴブリンとの戦闘

しおりを挟む
 俺たちはホブゴブリンに立ち向かう決意をした。ホブゴブリンはいかにも強敵そうだが、残りはゴブリン二匹。これまで普通のゴブリンは倒してきたし、人数ならこちらに分がある。

「とりあえず風間、今あいつと戦える技はあるのか?」

 熊谷に聞かれてハッとなった。そういえば暫くジョブの状態をチェックしてなかった。

「ちょっとまってくれ」

 俺はすかさずステータスを壁面に映し出した。

ジョブ名:農民
装備者:風間 晴彦
ジョブレベル:2
戦闘力:D
魔法力:D
信仰力:C
生産力:B
成長力:C
スキル
土壌改良(10㎡)、土鑑定、耕作力向上(小)、栽培力向上(小)、農民用初級鍬術、鍬強化、土穴砕、天耕撃、土竜突

>>

 おお、ジョブレベルが2に上がっている。それに戦闘力と成長力が上がっているぞ。そしてなにげに土壌改良の効果が上がっているな。何より土竜突という技が増えている。
 
 なにか強そうな技だな。これは試す価値があるかもしれない。そこで土竜突という技に注目してみると説明が表示された。

・土竜突
鍬の刃床部で対象を突き飛ばす。意識を飛ばす効果がある。

 な、なるほど。突き飛ばすか。意外と普通だったな。何か同時に技のイメージも浮かんできた。本当に鍬で突き飛ばすって感じだが、意識を飛ばすか――

「ジョブレベル2か。それなら俺と同じだな。中山はどうなんだ?」
「俺は3だぞ」
「おお、流石だな」
「皆凄いね。私はまだ1なのに」

 愛川がそう言って自嘲し頬を掻いた。

「そんなに大した差じゃないさ。それに愛川の魔法には凄く助けられてる」
「おうよ! 俺も治療してもらったしな」
「うむ。それに愛川の魔法のおかげで俺の筋肉もより頑丈になれているからな」
「ワンワン!」
「ピキィ!」
「マァ!」

 俺の言葉を聞き皆が愛川を称えた。愛川も笑みを零していたがあまり和やかなムードではいられない。ホブゴブリンとゴブリン二匹はもうすぐそこまで迫ってきている。

「聖なる加護!」

 愛川の魔法だ。俺の肉体が淡く光る。これで受けるダメージは抑えられる筈だ。

 ホブゴブリンより先に二匹のゴブリンが近づいてきた。俺が近かったから、前に出て相手することにする。新しい技を試すチャンスかも知れない。

「土竜突!」

 鍬でゴブリンを突き飛ばした。見た目はわりと地味だが、突き飛ばされたゴブリンがふらついているのがわかった。

 意識が飛ぶというのはこういうことか。ダメージはそこまでじゃないかもだが、これなら――俺は鍬を大きく振り上げて力を溜めた。

「天耕撃!」

 叫び鍬を振り下ろす。単純な技だが振り上げた状態で力を溜めることで威力が上昇する技だ。そのまま使っても隙が大きいけど、相手の意識を飛ばした後なら狙える!

「ギャッ!」

 悲鳴を上げてゴブリンが地面に叩きつけられた。これで一匹は片付けた。だが、そうこうしている内にホブゴブリンが迫ってきている。手には棍棒が握られていた。原始的な武器だがホブゴブリンが持つと圧倒的な脅威となる。

「相手に不足なし!」
 
 中山がホブゴブリンの正面に立った。中山もかなり体格が良いのだが、ホブゴブリンはそんな中山が見上げるほど大きい。

「フンッ!」
 
 中山がホブゴブリンの棍棒を躱し懐に入った。そして、
「筋肉膨張!」
と、叫ぶと中山の筋肉が盛り上がった。

「うぉおぉおお!」

 増強した腕力で中山がホブゴブリンの腹を殴った。だが――ホブゴブリンは顔色一つかえず棍棒で中山を殴った。軽く振っただけに見えたが中山が高速で飛んでいき壁にめり込んだ――
しおりを挟む
感想 25

あなたにおすすめの小説

俺だけLVアップするスキルガチャで、まったりダンジョン探索者生活も余裕です ~ガチャ引き楽しくてやめられねぇ~

シンギョウ ガク
ファンタジー
仕事中、寝落ちした明日見碧(あすみ あおい)は、目覚めたら暗い洞窟にいた。 目の前には蛍光ピンクのガチャマシーン(足つき)。 『初心者優遇10連ガチャ開催中』とか『SSRレアスキル確定』の誘惑に負け、金色のコインを投入してしまう。 カプセルを開けると『鑑定』、『ファイア』、『剣術向上』といったスキルが得られ、次々にステータスが向上していく。 ガチャスキルの力に魅了された俺は魔物を倒して『金色コイン』を手に入れて、ガチャ引きまくってたらいつのまにか強くなっていた。 ボスを討伐し、初めてのダンジョンの外に出た俺は、相棒のガチャと途中で助けた異世界人アスターシアとともに、異世界人ヴェルデ・アヴニールとして、生き延びるための自由気ままな異世界の旅がここからはじまった。

辻ヒーラー、謎のもふもふを拾う。社畜俺、ダンジョンから出てきたソレに懐かれたので配信をはじめます。

月ノ@最強付与術師の成長革命/発売中
ファンタジー
 ブラック企業で働く社畜の辻風ハヤテは、ある日超人気ダンジョン配信者のひかるんがイレギュラーモンスターに襲われているところに遭遇する。  ひかるんに辻ヒールをして助けたハヤテは、偶然にもひかるんの配信に顔が映り込んでしまう。  ひかるんを助けた英雄であるハヤテは、辻ヒールのおじさんとして有名になってしまう。  ダンジョンから帰宅したハヤテは、後ろから謎のもふもふがついてきていることに気づく。  なんと、謎のもふもふの正体はダンジョンから出てきたモンスターだった。  もふもふは怪我をしていて、ハヤテに助けを求めてきた。  もふもふの怪我を治すと、懐いてきたので飼うことに。  モンスターをペットにしている動画を配信するハヤテ。  なんとペット動画に自分の顔が映り込んでしまう。  顔バレしたことで、世間に辻ヒールのおじさんだとバレてしまい……。  辻ヒールのおじさんがペット動画を出しているということで、またたくまに動画はバズっていくのだった。 他のサイトにも掲載 なろう日間1位 カクヨムブクマ7000  

本物の聖女じゃないと追放されたので、隣国で竜の巫女をします。私は聖女の上位存在、神巫だったようですがそちらは大丈夫ですか?

今川幸乃
ファンタジー
ネクスタ王国の聖女だったシンシアは突然、バルク王子に「お前は本物の聖女じゃない」と言われ追放されてしまう。 バルクはアリエラという聖女の加護を受けた女を聖女にしたが、シンシアの加護である神巫(かんなぎ)は聖女の上位存在であった。 追放されたシンシアはたまたま隣国エルドラン王国で竜の巫女を探していたハリス王子にその力を見抜かれ、巫女候補として招かれる。そこでシンシアは神巫の力は神や竜など人外の存在の意志をほぼ全て理解するという恐るべきものだということを知るのだった。 シンシアがいなくなったバルクはアリエラとやりたい放題するが、すぐに神の怒りに触れてしまう。

ハズレスキル【地図化(マッピング)】で追放された俺、実は未踏破ダンジョンの隠し通路やギミックを全て見通せる世界で唯一の『攻略神』でした

夏見ナイ
ファンタジー
勇者パーティの荷物持ちだったユキナガは、戦闘に役立たない【地図化】スキルを理由に「無能」と罵られ、追放された。 しかし、孤独の中で己のスキルと向き合った彼は、その真価に覚醒する。彼の脳内に広がるのは、モンスター、トラップ、隠し通路に至るまで、ダンジョンの全てを完璧に映し出す三次元マップだった。これは最強の『攻略神』の眼だ――。 彼はその圧倒的な情報力を武器に、同じく不遇なスキルを持つ仲間たちの才能を見出し、不可能と言われたダンジョンを次々と制覇していく。知略と分析で全てを先読みし、完璧な指示で仲間を導く『指揮官』の成り上がり譚。 一方、彼を失った勇者パーティは迷走を始める……。爽快なダンジョン攻略とカタルシス溢れる英雄譚が、今、始まる!

魔物が棲む森に捨てられた私を拾ったのは、私を捨てた王子がいる国の騎士様だった件について。

imu
ファンタジー
病院の帰り道、歩くのもやっとな状態の私、花宮 凛羽 21歳。 今にも倒れそうな体に鞭を打ち、家まで15分の道を歩いていた。 あぁ、タクシーにすればよかったと、後悔し始めた時。 「—っ⁉︎」 私の体は、眩い光に包まれた。 次に目覚めた時、そこは、 「どこ…、ここ……。」 何故かずぶ濡れな私と、きらびやかな人達がいる世界でした。

なんとなく歩いてたらダンジョンらしき場所に居た俺の話

TB
ファンタジー
岩崎理(いわさきおさむ)40歳バツ2派遣社員。とっても巻き込まれ体質な主人公のチーレムストーリーです。

貧乏冒険者で底辺配信者の生きる希望もないおっさんバズる~庭のFランク(実際はSSSランク)ダンジョンで活動すること15年、最強になりました~

喰寝丸太
ファンタジー
おっさんは経済的に、そして冒険者としても底辺だった。 庭にダンジョンができたが最初のザコがスライムということでFランクダンジョン認定された。 そして18年。 おっさんの実力が白日の下に。 FランクダンジョンはSSSランクだった。 最初のザコ敵はアイアンスライム。 特徴は大量の経験値を持っていて硬い、そして逃げる。 追い詰められると不壊と言われるダンジョンの壁すら溶かす酸を出す。 そんなダンジョンでの15年の月日はおっさんを最強にさせた。 世間から隠されていた最強の化け物がいま世に出る。

実家の裏庭がダンジョンだったので、口裂け女や八尺様に全自動で稼がせて俺は寝て暮らす〜元社畜のダンジョン経営〜

チャビューヘ
ファンタジー
過労死寸前でブラック企業を辞めた俺が手に入れたのは、祖父の古民家と「ダンジョン経営システム」だった。 しかもバグで、召喚できるのは「口裂け女」「八尺様」「ターボババア」など日本の怪異だけ。 ……最高じゃないか。物理無効で24時間稼働。これぞ究極の不労所得。 元SEの知識でシステムの穴を突き、怪異たちに全自動でダンジョンを回させる。 ゴブリンは資源。スライムは美容液の原料。災害は全て収益に変換する。 「カイトさん、私……きれい?」 「ああ。効率的で、機能美すらある」 「……褒めてる?」 「褒めてる」 口裂け女は俺の言葉で即落ちした。チョロい。だがそれでいい。 ホワイト待遇で怪異を雇い、俺は縁側で茶をすする。 働いたら負け。それが元社畜の結論だ。 これは、壊れた男と健気な怪異たちが送る、ダンジョン経営スローライフの物語。

処理中です...