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第三章 放置ダンジョンで冒険者暮らし編
第119話 下層での遭遇
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泉の前で暫し休憩を取った。喉も潤い、気分も大分落ち着いて来たきがする。紅葉はゴブと戯れていて、ゴブも紅葉に構われるのが嬉しそうだ。
おかげで精神面でも落ち着いてきたかな。本当はこんな危険な場所からすぐにでも出してあげたいのだけど、それもなかなか厳しい状況だ。
とにかく動かなければ何も始まらない。苦労を掛けるけど、そろそろ移動を再開させるべきだろう。
「少し休んだし、もう大丈夫そうかい?」
「うん。私は大丈夫。お兄ちゃんもゴブちゃんもいるからね」
紅葉とゴブは本当に仲がよいな。ゴブもよく懐いているようだし。
「それなら行こう。できるだけモンスターに遭遇しないといいんだけど……」
「「ゴガッ?」」
呟きながら泉から出ようとしたら、なんかでた! ゴブリン! しかも普通のゴブリンより大きいゴブリンが二人。同じ顔だし兄弟? 名前で言えばゴブリンブロスといったところか?
なんて呑気なことを考えている場合じゃない。ホブゴブリン程じゃないとはいえ、俺ぐらいの身長はある。それに鎧も来ているし斧も手にしている。
戦闘力は絶対普通のゴブリンより上だろうこいつら!
「ゴブッ!」
「ゴガッ!」
「土竜突!」
「――ッ!?」
ゴブがスリングショットで片方のゴブリンブロス(仮称)を攻撃し、俺はもう片方を突き飛ばした。相手も出会い頭に攻撃を受けたことでギョッとしたのか対応できてない。
俺のスキルで一匹は目眩を起こしてるようだ。もう片方も怯んでる。今の内に!
「逃げるぞ!」
「ゴブッ!」
「う、うん!」
俺たちはゴブリンブロスの相手はせずそのまま逃げ出した。紅葉とゴブがしっかりついてきているのも確認する。
「「ゴガァアアァアアア!」」
するとゴブリンブロスの雄叫びがダンジョン内にこだました。最初の攻撃で怒りを買ったか? そう思ったのだが、今の雄叫びは他にも意味があったらしく――
「ギャッ!」
「ギャギャギャッ!」
「ギャヒッ!」
わらわらとゴブリンがやってきた! あのゴブリンブロスの雄叫びはこいつらを呼ぶための物だったのか。ゴブリンは普通のゴブリンっぽいけど数がヤバい!
「こ、こっちだ!」
「あ、でもそっちにもいるよ」
「それでもまだ少ない!」
「ゴブゥ~」
分かれ道でゴブリンの少ない方に向かう。当然こっちにもゴブリンがいるが、足を止めていちいち相手なんてしていられない。
「天地返し!」
「ゴブッ!」
「私だって!」
俺は天地返しで中距離からゴブリンを倒し、ゴブはスリングショットで、そして紅葉は、ゴブリンに駆けて言って一匹の喉に手刀、もう一匹は軽々と投げ飛ばしてしまった。
いや、小学生とは思えないほど強いとは聞いていたけどここまでだったのか! 凄すぎだろう。何か俺より強い気がするんだが――
とにかく、このままゴブリンを避けて逃げ延びないと――
「ゴブゥ……」
逃げてる途中、ゴブが不安そうな声を上げた。何だ? 何かに怯えてる? 漠然とした不安が俺を襲う。そして、その不安はすぐに的中した。
できるだけゴブリンから逃げていった先、そこは大きく広がっていて、そこにいたのだ。あのホブゴブリンさえも凌駕する巨大な存在が――
「ゴブッ、ゴブゥ!」
「ゴブちゃん、すごく怖がってるみたい」
「あぁ、気持ちはよくわかる。これは洒落にならないな……」
俺が呟いた直後、巨大な存在の視線が俺たちに向けられた。それだけで息が詰まりそうになる。
『ゴガァアアァアアァアアアアァァアァアァアアアア!』
その怪物が雄叫びを上げた。ダンジョンが揺れた、その声だけで。地震でも起きたように。そして俺は気がついた。俺たちはコイツのいる場所まで誘い込まれたんだと。同時に思い出す、ゴブリンを統率する存在がいるとネットで見たことを。そいつは確かこう呼ばれていた――ゴブリンロードと……。
おかげで精神面でも落ち着いてきたかな。本当はこんな危険な場所からすぐにでも出してあげたいのだけど、それもなかなか厳しい状況だ。
とにかく動かなければ何も始まらない。苦労を掛けるけど、そろそろ移動を再開させるべきだろう。
「少し休んだし、もう大丈夫そうかい?」
「うん。私は大丈夫。お兄ちゃんもゴブちゃんもいるからね」
紅葉とゴブは本当に仲がよいな。ゴブもよく懐いているようだし。
「それなら行こう。できるだけモンスターに遭遇しないといいんだけど……」
「「ゴガッ?」」
呟きながら泉から出ようとしたら、なんかでた! ゴブリン! しかも普通のゴブリンより大きいゴブリンが二人。同じ顔だし兄弟? 名前で言えばゴブリンブロスといったところか?
なんて呑気なことを考えている場合じゃない。ホブゴブリン程じゃないとはいえ、俺ぐらいの身長はある。それに鎧も来ているし斧も手にしている。
戦闘力は絶対普通のゴブリンより上だろうこいつら!
「ゴブッ!」
「ゴガッ!」
「土竜突!」
「――ッ!?」
ゴブがスリングショットで片方のゴブリンブロス(仮称)を攻撃し、俺はもう片方を突き飛ばした。相手も出会い頭に攻撃を受けたことでギョッとしたのか対応できてない。
俺のスキルで一匹は目眩を起こしてるようだ。もう片方も怯んでる。今の内に!
「逃げるぞ!」
「ゴブッ!」
「う、うん!」
俺たちはゴブリンブロスの相手はせずそのまま逃げ出した。紅葉とゴブがしっかりついてきているのも確認する。
「「ゴガァアアァアアア!」」
するとゴブリンブロスの雄叫びがダンジョン内にこだました。最初の攻撃で怒りを買ったか? そう思ったのだが、今の雄叫びは他にも意味があったらしく――
「ギャッ!」
「ギャギャギャッ!」
「ギャヒッ!」
わらわらとゴブリンがやってきた! あのゴブリンブロスの雄叫びはこいつらを呼ぶための物だったのか。ゴブリンは普通のゴブリンっぽいけど数がヤバい!
「こ、こっちだ!」
「あ、でもそっちにもいるよ」
「それでもまだ少ない!」
「ゴブゥ~」
分かれ道でゴブリンの少ない方に向かう。当然こっちにもゴブリンがいるが、足を止めていちいち相手なんてしていられない。
「天地返し!」
「ゴブッ!」
「私だって!」
俺は天地返しで中距離からゴブリンを倒し、ゴブはスリングショットで、そして紅葉は、ゴブリンに駆けて言って一匹の喉に手刀、もう一匹は軽々と投げ飛ばしてしまった。
いや、小学生とは思えないほど強いとは聞いていたけどここまでだったのか! 凄すぎだろう。何か俺より強い気がするんだが――
とにかく、このままゴブリンを避けて逃げ延びないと――
「ゴブゥ……」
逃げてる途中、ゴブが不安そうな声を上げた。何だ? 何かに怯えてる? 漠然とした不安が俺を襲う。そして、その不安はすぐに的中した。
できるだけゴブリンから逃げていった先、そこは大きく広がっていて、そこにいたのだ。あのホブゴブリンさえも凌駕する巨大な存在が――
「ゴブッ、ゴブゥ!」
「ゴブちゃん、すごく怖がってるみたい」
「あぁ、気持ちはよくわかる。これは洒落にならないな……」
俺が呟いた直後、巨大な存在の視線が俺たちに向けられた。それだけで息が詰まりそうになる。
『ゴガァアアァアアァアアアアァァアァアァアアアア!』
その怪物が雄叫びを上げた。ダンジョンが揺れた、その声だけで。地震でも起きたように。そして俺は気がついた。俺たちはコイツのいる場所まで誘い込まれたんだと。同時に思い出す、ゴブリンを統率する存在がいるとネットで見たことを。そいつは確かこう呼ばれていた――ゴブリンロードと……。
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