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第三章 放置ダンジョンで冒険者暮らし編
第128話 ゴブを仲間にしよう!
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「その、香川さん。何か問題がありましたか?」
香川の表情が気になって、俺はつい声をかけた。もし懸念材料があるなら、早めに教えてもらいたい。
「先ほどから、そのゴブリンを引き取るみたいな話をしていますが、まだテイムはされていませんよね?」
香川が眉をしかめながら指摘してくる。その言葉を聞いて、俺もハッとした。そういえばモコ、ラム、マールの三匹は“テイム”しているからこそ一緒にいられる。
もっとも三匹はステータスを見たら、いつの間にかテイムできていたのだけど。
「ま、まあそこは後でもいいんじゃないか?」
香川の指摘に、小澤マスターが助け舟を出してくれた。俺とモコたちの関係は、秋月や小澤、天野川も知っている。
「そうはいきません。最低限テイムされていないと、一緒にいるのは認められませんよ」
「いやしかし、実際けっこう懐いてるじゃねえか」
小澤と香川がやり取りをしている。香川は規則に厳しいから、証拠としてテイム状態が確認できるのが一番なんだろう。
「ゴブ。俺と一緒にいたいか?」
「ゴブゥ~」
俺が尋ねると、ゴブはすり寄ってきた。俺と一緒にいたいって気持ちはハッキリしてる。だったら、もしかして……。そう思いながら、俺は自分のステータスをそっと確認する。
――すると、ページをめくった先にある“テイムしたモンスター一覧”の中に、ゴブの名前がちゃんと載っていたんだ。
モンスター種:ゴブリン
ネーム:ゴブ
使役者:風間 晴彦
レベル:3
戦闘力:C
魔法力:E
信仰力:E
生産力:D+
成長力:A
特性:投擲手、巧手
スキル:工作、初級射撃術、狙い撃ち
「あ、あの、見てください! ゴブはもうテイムされてるんですよ!」
俺は急いで香川と小澤を呼び、ステータスを投影して見せた。二人もすぐ近くに来て確認してくれる。
「本当ね。ちゃんとテイムされてる……。でも、いつの間に?」
「えっと、ダンジョンに俺が育てた作物を持ってきてたんで、それをゴブが食べたからテイムできたんじゃないかと。そうだよな、ゴブ?」
ゴブに目配せをすると――
「ゴブゥ~♪」
嬉しそうに返事してくれた。やっぱりこいつ、賢くて可愛いモンスターだなぁ。
そんなやり取りを見ていた小澤マスターが、深く頷いて言う。
「うむ。これなら問題ないだろう?」
「え、ええ。テイムされているのが確認できたなら、問題ありません。ただ、ギルドで追加登録してもらう必要はあります」
「もちろん。後日、一緒に冒険者ギルドに行きますよ。な、ゴブ?」
「ゴブ~」
「ワンワン!」
「ピキィ~♪」
「マァ~!」
ゴブが「わかった!」とばかりに声を上げた途端、モコ、ラム、マールがゴブを取り囲んでクルクル回りだした。新しい仲間が増えたのがそんなに嬉しいのか。
「よかったですね、風間さん。ゴブちゃんも」
「これでみんなと仲良く暮らせるね♪」
「ゴブゥ~♪」
秋月と紅葉が撫でると、ゴブはご満悦だ。こうしてゴブの問題はひとまず解決したわけだな。
「風間。どうやらうまく話がまとまったようだな」
「あぁ。みんながゴブをかばってくれたおかげだよ」
「俺たちはありのまま話しただけさ。そう、筋肉の赴くままに!」
そう言って中山が力こぶを作ってニカッと笑う。本当にその筋肉に感謝だな。
「でも風間さん、うらやましいですね。私もこんな可愛いモンスターと暮らしてみたいです」
愛川はすっかりメロメロの様子。これで仲間モンスターは四匹め。あのダンジョンがますますにぎやかになるな。
「ゴブ、よかったな」
「ゴブゥ~」
健太やほかの子どもたちもゴブたちの周りに集まって、わいわい楽しそうに戯れている。みんなゴブが無事だったことに安心してるんだろう。
「健太! 健太は無事ですか!」
そのとき、慌てた声が聞こえた。振り向くと、眼鏡をかけた男性が息を切らして走ってくる。もしかして――あの人が健太の父親、つまり大黒の夫なのか?
香川の表情が気になって、俺はつい声をかけた。もし懸念材料があるなら、早めに教えてもらいたい。
「先ほどから、そのゴブリンを引き取るみたいな話をしていますが、まだテイムはされていませんよね?」
香川が眉をしかめながら指摘してくる。その言葉を聞いて、俺もハッとした。そういえばモコ、ラム、マールの三匹は“テイム”しているからこそ一緒にいられる。
もっとも三匹はステータスを見たら、いつの間にかテイムできていたのだけど。
「ま、まあそこは後でもいいんじゃないか?」
香川の指摘に、小澤マスターが助け舟を出してくれた。俺とモコたちの関係は、秋月や小澤、天野川も知っている。
「そうはいきません。最低限テイムされていないと、一緒にいるのは認められませんよ」
「いやしかし、実際けっこう懐いてるじゃねえか」
小澤と香川がやり取りをしている。香川は規則に厳しいから、証拠としてテイム状態が確認できるのが一番なんだろう。
「ゴブ。俺と一緒にいたいか?」
「ゴブゥ~」
俺が尋ねると、ゴブはすり寄ってきた。俺と一緒にいたいって気持ちはハッキリしてる。だったら、もしかして……。そう思いながら、俺は自分のステータスをそっと確認する。
――すると、ページをめくった先にある“テイムしたモンスター一覧”の中に、ゴブの名前がちゃんと載っていたんだ。
モンスター種:ゴブリン
ネーム:ゴブ
使役者:風間 晴彦
レベル:3
戦闘力:C
魔法力:E
信仰力:E
生産力:D+
成長力:A
特性:投擲手、巧手
スキル:工作、初級射撃術、狙い撃ち
「あ、あの、見てください! ゴブはもうテイムされてるんですよ!」
俺は急いで香川と小澤を呼び、ステータスを投影して見せた。二人もすぐ近くに来て確認してくれる。
「本当ね。ちゃんとテイムされてる……。でも、いつの間に?」
「えっと、ダンジョンに俺が育てた作物を持ってきてたんで、それをゴブが食べたからテイムできたんじゃないかと。そうだよな、ゴブ?」
ゴブに目配せをすると――
「ゴブゥ~♪」
嬉しそうに返事してくれた。やっぱりこいつ、賢くて可愛いモンスターだなぁ。
そんなやり取りを見ていた小澤マスターが、深く頷いて言う。
「うむ。これなら問題ないだろう?」
「え、ええ。テイムされているのが確認できたなら、問題ありません。ただ、ギルドで追加登録してもらう必要はあります」
「もちろん。後日、一緒に冒険者ギルドに行きますよ。な、ゴブ?」
「ゴブ~」
「ワンワン!」
「ピキィ~♪」
「マァ~!」
ゴブが「わかった!」とばかりに声を上げた途端、モコ、ラム、マールがゴブを取り囲んでクルクル回りだした。新しい仲間が増えたのがそんなに嬉しいのか。
「よかったですね、風間さん。ゴブちゃんも」
「これでみんなと仲良く暮らせるね♪」
「ゴブゥ~♪」
秋月と紅葉が撫でると、ゴブはご満悦だ。こうしてゴブの問題はひとまず解決したわけだな。
「風間。どうやらうまく話がまとまったようだな」
「あぁ。みんながゴブをかばってくれたおかげだよ」
「俺たちはありのまま話しただけさ。そう、筋肉の赴くままに!」
そう言って中山が力こぶを作ってニカッと笑う。本当にその筋肉に感謝だな。
「でも風間さん、うらやましいですね。私もこんな可愛いモンスターと暮らしてみたいです」
愛川はすっかりメロメロの様子。これで仲間モンスターは四匹め。あのダンジョンがますますにぎやかになるな。
「ゴブ、よかったな」
「ゴブゥ~」
健太やほかの子どもたちもゴブたちの周りに集まって、わいわい楽しそうに戯れている。みんなゴブが無事だったことに安心してるんだろう。
「健太! 健太は無事ですか!」
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ーーーーー
この作品は大変楽しく書けていましたが
49話で終わりとすることにいたしました
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そんな欲求に屈してしまいましたすみません
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