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第三章 放置ダンジョンで冒険者暮らし編
第155話 ジムで色々と回ってみた
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俺達はモンスポ!のスカッシュ用コートに入り、愛川と二人で準備運動を始めた。モンスター達は見学用のガラス越しに陣取って、興味津々とこちらを見つめている。
「愛川はスカッシュの経験あるのか?」
「少しだけね。テニスのサークルには入ってたから、ラケットを持つのは慣れてるかも」
なるほど、それなら相手として不足はなさそうだ。俺も少しだけテニスを齧っていた経験がある。両親がスポーツ好きだったから、よく付き合わされていたんだよな。
そんなわけで軽く打ち合ってみたんだが、これが意外といい勝負になる。お互いに大きなミスもなく、ラリーも続く。愛川のフォームはしなやかで、動きも滑らかだ。つい目で追ってしまうほどだった。
……って、何見てるんだ俺! こういう時は癒やしだ、癒やしを求めよう。
ふと視線を逸らして見れば、ガラスの向こうでモンスター達がガン見してた。あぁ、やっぱ可愛いなぁ。
そんなことを思っていたら集中が切れて、俺の打球が逸れてしまった。
「悪い、愛川」
「ううん、楽しかったよ。ラリーも結構続いたし」
満面の笑顔で答える彼女に救われた気持ちになる。
「ワンワン!」
するとモコがラケットを咥えるような仕草をして、やる気満々な様子を見せた。どうやら自分もやってみたいらしい。
俺と愛川は交代し、次にコートに立ったのはモコとラム。モコは前足で器用にラケットを構え、ラムは体を伸ばして器用にラケットを掴んでいる。最初こそおっかなびっくりだったが、すぐにコツを掴んだのか、二匹は見事なラリーを繰り広げ始めた。
見守る人たちも、思わず歓声を上げる。
「うわ、モンスターなのにこんなに動けるなんて!」
「可愛すぎる……!」
続いてモグとマールのペア。モグはちょっと重そうな体つきにも関わらず、ダンゴムシみたいに転がりながらも的確に返球していたし、マールはちょこまかとした動きで会場の笑いと拍手をさらっていた。
「モグ~!」
「マァ!」
それから、最後はゴブと俺が対戦。ゴブは本気モードになったのか、先ほどまでとは打って変わってアグレッシブなプレイを見せてきた。スライディング気味に打球を拾ってくるその様子は、正直俺よりうまいんじゃないかと思うほどだった。
「ゴブゥ!」
「ちょっ、速すぎるって!」
必死で応戦するが、体力の差は埋めきれず、最後は俺がギブアップ。
「ご、ゴブはタフだなぁ」
「ゴブ!」
息を切らしながら笑う俺に対し、ゴブはまだやれるとばかりにピョンと跳ねて見せた。
そんな中、スタジオで行われていたダンスレッスンに、マールが興味を示す。
「マァ~?」
ガラス越しに覗き込む姿があまりに愛らしい。
「やってみたいのかい?」
「マァ!」
次のレッスンがちょうど始まるところだったので、マールが参加することに。そして、当然のように他のモンスター達と愛川までが「やる!」と勢い良く手を挙げる。
「おいおい、俺は見てようかと……」
「ワンワン!」
「ピキィ!」
「モグ!」
「ゴブゥ!」
皆からの無言の圧で、俺もスタジオへ引っ張られる羽目に。始まったダンスは意外とハードで、汗がじんわりと滲んでくる。でも、皆で踊るのは悪くない。
特にマールの動きはリズム感抜群で、まるで小さな妖精のようだった。観客の中にはスマホを構える人もいて、ちょっとしたアイドル状態だったな。
そして全てを終え、俺達は休憩スペースに腰を下ろした。
「これで一通り試したかな」
椅子に背を預けて伸びをすると、愛川が隣で提案してくる。
「ハルさん。折角だからプールも行きませんか? 水着もレンタルしてるみたいですよ」
「プールか。確かにそれもあったな」
モンスター達の視線が一斉にこちらに集まり、キラキラとした目が俺の背中を押してくる。
「よし、最後はプールで締めようか!」
「はい!」
「ワン!」
「ピキィ!」
「モグ!」
「ゴブゥ!」
「マァ!」
こうして俺達は、レンタルした水着を手にして、プールエリアへと向かうことになった――
「愛川はスカッシュの経験あるのか?」
「少しだけね。テニスのサークルには入ってたから、ラケットを持つのは慣れてるかも」
なるほど、それなら相手として不足はなさそうだ。俺も少しだけテニスを齧っていた経験がある。両親がスポーツ好きだったから、よく付き合わされていたんだよな。
そんなわけで軽く打ち合ってみたんだが、これが意外といい勝負になる。お互いに大きなミスもなく、ラリーも続く。愛川のフォームはしなやかで、動きも滑らかだ。つい目で追ってしまうほどだった。
……って、何見てるんだ俺! こういう時は癒やしだ、癒やしを求めよう。
ふと視線を逸らして見れば、ガラスの向こうでモンスター達がガン見してた。あぁ、やっぱ可愛いなぁ。
そんなことを思っていたら集中が切れて、俺の打球が逸れてしまった。
「悪い、愛川」
「ううん、楽しかったよ。ラリーも結構続いたし」
満面の笑顔で答える彼女に救われた気持ちになる。
「ワンワン!」
するとモコがラケットを咥えるような仕草をして、やる気満々な様子を見せた。どうやら自分もやってみたいらしい。
俺と愛川は交代し、次にコートに立ったのはモコとラム。モコは前足で器用にラケットを構え、ラムは体を伸ばして器用にラケットを掴んでいる。最初こそおっかなびっくりだったが、すぐにコツを掴んだのか、二匹は見事なラリーを繰り広げ始めた。
見守る人たちも、思わず歓声を上げる。
「うわ、モンスターなのにこんなに動けるなんて!」
「可愛すぎる……!」
続いてモグとマールのペア。モグはちょっと重そうな体つきにも関わらず、ダンゴムシみたいに転がりながらも的確に返球していたし、マールはちょこまかとした動きで会場の笑いと拍手をさらっていた。
「モグ~!」
「マァ!」
それから、最後はゴブと俺が対戦。ゴブは本気モードになったのか、先ほどまでとは打って変わってアグレッシブなプレイを見せてきた。スライディング気味に打球を拾ってくるその様子は、正直俺よりうまいんじゃないかと思うほどだった。
「ゴブゥ!」
「ちょっ、速すぎるって!」
必死で応戦するが、体力の差は埋めきれず、最後は俺がギブアップ。
「ご、ゴブはタフだなぁ」
「ゴブ!」
息を切らしながら笑う俺に対し、ゴブはまだやれるとばかりにピョンと跳ねて見せた。
そんな中、スタジオで行われていたダンスレッスンに、マールが興味を示す。
「マァ~?」
ガラス越しに覗き込む姿があまりに愛らしい。
「やってみたいのかい?」
「マァ!」
次のレッスンがちょうど始まるところだったので、マールが参加することに。そして、当然のように他のモンスター達と愛川までが「やる!」と勢い良く手を挙げる。
「おいおい、俺は見てようかと……」
「ワンワン!」
「ピキィ!」
「モグ!」
「ゴブゥ!」
皆からの無言の圧で、俺もスタジオへ引っ張られる羽目に。始まったダンスは意外とハードで、汗がじんわりと滲んでくる。でも、皆で踊るのは悪くない。
特にマールの動きはリズム感抜群で、まるで小さな妖精のようだった。観客の中にはスマホを構える人もいて、ちょっとしたアイドル状態だったな。
そして全てを終え、俺達は休憩スペースに腰を下ろした。
「これで一通り試したかな」
椅子に背を預けて伸びをすると、愛川が隣で提案してくる。
「ハルさん。折角だからプールも行きませんか? 水着もレンタルしてるみたいですよ」
「プールか。確かにそれもあったな」
モンスター達の視線が一斉にこちらに集まり、キラキラとした目が俺の背中を押してくる。
「よし、最後はプールで締めようか!」
「はい!」
「ワン!」
「ピキィ!」
「モグ!」
「ゴブゥ!」
「マァ!」
こうして俺達は、レンタルした水着を手にして、プールエリアへと向かうことになった――
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