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第三章 放置ダンジョンで冒険者暮らし編
第166話 秋月の冒険者登録と、お祝いの準備
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スポーツクラブからの帰り道、モンスターたちと放置ダンジョンに戻ってくると、いつもの落ち着いた空気が出迎えてくれた。俺にとっては、ようやく帰ってきたという感覚だ。
「ただいまー」
「ワンワン♪」
「ピキィ~♪」
「モグ~」
「ゴブゥ~」
「マァ~♪」
モンスターたちも思い思いの声で応えてくれる。ダンジョン内の空気はやっぱり落ち着く。
そんなとき、スマフォが震えた。画面を見ると、秋月からのメッセージだった。
【講習、無事に終わりました! 本登録も完了! これで私も、ハルさんたちと一緒に冒険できるようになったよ! この後そっちに寄るね♪】
「そっか、秋月も正式に冒険者になったんだな」
「ワン!」
「ゴブッ!」
「モグ~♪」
「ピキィ~」
「マァ♪」
皆も喜んでる。こりゃ、何かお祝いでもするしかないよな。そんなことを考えていると、ちょうど外から人の気配がした。
「おう、ちょうど戻ったとこか」
姿を現したのは帝だった。手にはずっしりとしたクーラーボックス。
「どうしたんだその荷物?」
「釣りの戦果だ。じじいに勝負吹っかけられてな、意地になって釣りまくったらこのザマだ。食うか?」
クーラーボックスの中には新鮮な魚がぎっしり。帝は釣りが得意だったのか。
しかし願ったり叶ったりかもしれない。どれも刺身に焼き魚、煮付けにしても旨そうだ。
「ナイスタイミングだな。秋月が正式に冒険者になったらしくてさ。何かお祝いしたいと思ってたんだ」
「それなら使ってくれ。このまま持ち帰っても余らせるだけだからな」
そうと決まれば準備だ。
「よし、皆でお祝いの料理作ろう!」
「ワンワン!」
「ゴブッ!」
「モグゥ♪」
「ピキィ~!」
「マァ~♪」
モコとゴブは魚を器用にさばきはじめた。ゴブは以前にもやったことがあるのかと思えるぐらい、包丁さばきが堂に入っている。
モグは薬草と香草を探しに外へ。しばらくして小さな束を両手に抱えて戻ってきた。モグの鼻はすごく利くから、調味にも役立つんだ。
ラムは拾ってきた冷えた石を溜め水に入れて即席の天然冷蔵庫を作ってくれた。マールは盛り付けに使えそうな草花を見つけてきて、皿の周りに飾ってくれている。
「……いや、本当にお前ら優秀すぎだろ」
「モグ~♪」
帝もその様子を見て、何か感心したように頷いていた。
「風間。お前、なかなかのチーム組んでんな」
「はは、俺なんかより皆がすごいんだよ」
そんなやり取りをしながら、俺は炭火を起こして串焼きと即席の燻製を準備する。道具はキャンプ用に持っていたやつだ。
準備が進むにつれて、ダンジョンの広場がちょっとした屋台スペースみたいになってきた。秋月が戻ってきたら、きっとびっくりするだろうな。
「さて、あとは秋月の帰りを待つだけだな」
皆で焚き火を囲みながら、串焼きの魚がじゅうじゅうと音を立てる。
スマフォがまた震えた。秋月からのメッセージだ。
【あと少しで着くよ! なんだか今日はとっても幸せな一日になりそう!】
その言葉に思わず俺も笑みがこぼれる。
「よし、最高のごちそうで迎えてやろうぜ」
「ワン!」
「モグ~♪」
「ピキィ♪」
「ゴブッ!」
「マァ~♪」
こうして俺達は秋月が来るのを待ったんだ――
「ただいまー」
「ワンワン♪」
「ピキィ~♪」
「モグ~」
「ゴブゥ~」
「マァ~♪」
モンスターたちも思い思いの声で応えてくれる。ダンジョン内の空気はやっぱり落ち着く。
そんなとき、スマフォが震えた。画面を見ると、秋月からのメッセージだった。
【講習、無事に終わりました! 本登録も完了! これで私も、ハルさんたちと一緒に冒険できるようになったよ! この後そっちに寄るね♪】
「そっか、秋月も正式に冒険者になったんだな」
「ワン!」
「ゴブッ!」
「モグ~♪」
「ピキィ~」
「マァ♪」
皆も喜んでる。こりゃ、何かお祝いでもするしかないよな。そんなことを考えていると、ちょうど外から人の気配がした。
「おう、ちょうど戻ったとこか」
姿を現したのは帝だった。手にはずっしりとしたクーラーボックス。
「どうしたんだその荷物?」
「釣りの戦果だ。じじいに勝負吹っかけられてな、意地になって釣りまくったらこのザマだ。食うか?」
クーラーボックスの中には新鮮な魚がぎっしり。帝は釣りが得意だったのか。
しかし願ったり叶ったりかもしれない。どれも刺身に焼き魚、煮付けにしても旨そうだ。
「ナイスタイミングだな。秋月が正式に冒険者になったらしくてさ。何かお祝いしたいと思ってたんだ」
「それなら使ってくれ。このまま持ち帰っても余らせるだけだからな」
そうと決まれば準備だ。
「よし、皆でお祝いの料理作ろう!」
「ワンワン!」
「ゴブッ!」
「モグゥ♪」
「ピキィ~!」
「マァ~♪」
モコとゴブは魚を器用にさばきはじめた。ゴブは以前にもやったことがあるのかと思えるぐらい、包丁さばきが堂に入っている。
モグは薬草と香草を探しに外へ。しばらくして小さな束を両手に抱えて戻ってきた。モグの鼻はすごく利くから、調味にも役立つんだ。
ラムは拾ってきた冷えた石を溜め水に入れて即席の天然冷蔵庫を作ってくれた。マールは盛り付けに使えそうな草花を見つけてきて、皿の周りに飾ってくれている。
「……いや、本当にお前ら優秀すぎだろ」
「モグ~♪」
帝もその様子を見て、何か感心したように頷いていた。
「風間。お前、なかなかのチーム組んでんな」
「はは、俺なんかより皆がすごいんだよ」
そんなやり取りをしながら、俺は炭火を起こして串焼きと即席の燻製を準備する。道具はキャンプ用に持っていたやつだ。
準備が進むにつれて、ダンジョンの広場がちょっとした屋台スペースみたいになってきた。秋月が戻ってきたら、きっとびっくりするだろうな。
「さて、あとは秋月の帰りを待つだけだな」
皆で焚き火を囲みながら、串焼きの魚がじゅうじゅうと音を立てる。
スマフォがまた震えた。秋月からのメッセージだ。
【あと少しで着くよ! なんだか今日はとっても幸せな一日になりそう!】
その言葉に思わず俺も笑みがこぼれる。
「よし、最高のごちそうで迎えてやろうぜ」
「ワン!」
「モグ~♪」
「ピキィ♪」
「ゴブッ!」
「マァ~♪」
こうして俺達は秋月が来るのを待ったんだ――
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