危険な残業

詩織

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危険な残業

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今日もまた残業か。

毎日毎日、ほんと嫌になる。

佐倉奈津美さくらなつみ。30歳。企画部の主任。中間的な存在のため、何かと仕事が溜まってしまう。

お願いです!これ以上仕事が増えると婚期逃します!

一生結婚できなかったら会社のせいにしていいですか?




まだ、部下は何人も残ってる。

かなり分散してお願いしてるが、そもそも仕事の量が半端ない。

人増やしてよ、ほんと!

「主任、終わりました。他やることあったら」

「いや、もういいよ。また明日お願い」

この部下も昨日は遅くまでやってくれた。たまには早く帰してあげたい。

明日の会議の資料のチェックしないと。

まだまだ帰れなさそう。

時間も21時になり、最後の部下が帰った。

また、1人かぁー

なんとか22時までには終わりたい。

「うし!やるか!」

1時間で集中してやりきる!

と、気を引き締めたとき

「いつも頑張ってるな」

と、フロアに入ってきたのは、同期の原嶋遼一はらしまりょういち。技術部の課長をしている。歳は私の2つ上。

「えっ、どうしたの?うちになんか用でもあった?」

こんな時間にきても誰もいないのに

「いや、電気ついてたから」

「もう相変わらずだよ!なんでいつもこんなんだか、人増やしてほしい」

と、原嶋に愚痴ってしまった。

「俺企画じゃなくってよかったぁー」

もう、他人事なんだから!(まぁ他人事か)

原嶋は、同期の仲でも話す方だ。学生時代は野球で県大会まで行ったとかで、社会人チームからスカウトされたらしい。

ガッチリしてて、背は高く、いかにも好青年って感じだが、付き合いが長いと好青年ってよりは、おっさん臭くも感じた。

例えば、お絞りで顔を拭くのはやめてほしい!

とりあえず手は休めないで話す

「マジで婚期逃すわ!」

ブツブツ言いながら進める。

ケタケタ笑い

「結婚願望あったんだ?」

「失礼ね、あるわよ!」

「ほう」

本当に意外そうに見てる。

「私だってね、素敵な人と知り合って、お付き合いして、プロポーズされて、それで…」

いかん!全て今叶ってない。

凹むからやめよう

「ふーん」

興味なさそうに返される。

言わなければよかった。

とりあえず、手は休めず動かす

私が資料を持って立ち上がろうとしたとき

「何?コビー?」

「あ、うん。」

「やるよ、何部?」

「いいの?」

「コピーくらい俺だって出来るだろ」

「ありがとう!10部お願い」

「解った」

そう言って、コピーのある方に行った。

コピーする音がする

その間

「ほれ!」

と渡された。缶珈琲買ってきてくれたんだ。

「ありがとう」

そういう優しさが好きだったりする。

実は以前原嶋のこと好きだった時期があった。でも恋人が出来たと聞いたので、諦めるように努力した。もう何年も前の話だが。

今ではいい同期と思ってる。

なんとか22時前に終わり、帰ろうとした。

原嶋はなぜか少し離れた席に座りスマホを見てた。

「原嶋、仕事おわったんだけど」

「おう!お疲れ様」

「ねぇ、原嶋って私に用があったの?」

だって、待ってるようにしか見えない。

「まぁ、そんなところだな」

「何か用だった?ごめん気づかなくって」

「いや、いいよ。俺が勝手に待ってたし」

帰り支度をしながら

「話って何?」

「なぁ」

「ん?」

そう言って、抱きしめられた。

なに?なになに?

「原嶋?」

「いい加減わからね?」

「何が?」

「だから鈍感って言われるんだよ」

はぁ?私のどこが鈍感よ!

「婚期逃すとか思うなら、俺が貰うけど?」

「は?」

「だから安心しろ!」

「そもそも原嶋私のこと好きだったわけ?そんな気もないのに言わないでくれる?」

「ほんと、鈍感だなー」

「だから!!」

「俺は前から好きだったけど」

は?

「彼女いたでしょ?」

「お前が好きな人が居るとか言ったから、諦めようとして付き合ったんだが」

それ、多分原嶋のことだ。

「婚期逃すなら俺にしろ!今はフリーだし、問題なし」

「いやいや」

「嫌なわけ?」

抱きしめた腕を緩めて顔が…、近すぎます!と思ったと同時にキスされてる。

「ちょっ」

頭をガッチリ抑えられ、離れるな事できない。

キスが深くなり、口の中に温かいものが入ってくる

それでも少し拒んだが、次第に拒む力が緩んでく。

「俺にしとけよ」

そう言って、キスが首筋に移動した。

身体が熱くなって、もう拒むことはしよえとは思わなかった。

ブラウスのボタンが取れる音がする

そこで我に返り

「ここ、会社!」

と言って、押し退ける。

ふっと、笑い

「会社でなければいいんだ?」

「いや、そういう意味では」

「もういいじゃん。俺のモノになりなよ。」

「ここきたときは、付き合ってみない?と言おうとしたが、佐倉が婚期逃すって言ったんで、貰うしかないと思った」

やばい!目が色っぽくて、ドキドキする

「続き、俺の家でする?」






「うん」
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