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異次元の彼
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「じゃ、本当にさよなら!」
「うん、今までありがとう」
私達はそう言って歩き出す。
こんなに相思相愛でも私達は別れなくてはならない。
松原まゆき、23歳。そして目の前で別れた人は榊󠄀恭仁、25歳。
私達は互いにずっと想っていた。けど別れを選んだ。
それは人に言っても信じてもらえない出来事。私たちが会ってるのは異次元の世界とでもいうのだろうか。そこでしか出会えないのだ。
ことの発端は私が中学生の時、学校から帰る時にたまたま細い脇道が気になった。家と家の間で人1人入るくらいの幅。けどその先がなぜか気になる。
先は暗かったが進むことにした。そしてしばらくすると
「?」
2メートルくらいの黒い靄がある。
「な、なに?これ?」
と思った時には包まれていた。そして気づいたら
「おい!大丈夫か?」
1人の男性がいた。
「!?」
「ここ?なに?」
「俺が聞きたいよ」
いつもの通学路の道なのに・・・
「・・・誰もいない?」
車も人もそして、音も何も聞こえない。
「な、なに?夢?」
「俺もそう思いたい。けど夢に思えない。なんなんだ?これ?」
それが恭仁との出会いだった。いつもの街なのに私たち以外いない。けどさっきの脇道を通ると元に戻る。その時は恭仁はいない。
はじめは夢だと思ってた。けどまた脇道に入ると恭仁と出会う。そんな変な出来事誰が信じるんだろう。
私は学校帰り毎日のように向かった。そのとき恭仁は高校生だった。
「ねぇ、どこに住んでるの?だってここでしか会えないって気味悪くって」
と私が言うと
「確かに。同じ街に住んでるのになんでここを出るとき居ないんだろ?」
お互い住んでる場所を言うと不思議なことがおきた。
「確かにうちは榊ですけど恭仁なんて子はいません。」
と家に行くと母親らしき人に言われた。
どういうこと?
そして恭仁も
「まゆきの苗字の家はあったが、子供は男だけだと言われた。まゆきなんていないと」
そんなことって・・・
他のことは話してても全く同じなのに、私たちだけがお互いの居る街に居ない。
「これって、世界が違うとか?」
「そんなバカな!同じ街だぞ!」
結局なんでかもわからず、私は中学を卒業、高校も卒業、そして短大を卒業した。
それでも恭仁とは会っていた。というか、出会ってまもなくして私達は恋人同士になっていた。いつか解決すると思ってはいるが未だにそのままだった。
恋人だけど、お互いの世界では存在しないわけだから人には説明が難しい。友達やみんなには恋人はいることは言ってても勿論会うことはできない。
話せば妄想?夢?と言われそうなのが怖い。
「ここは異次元なんだろうな」
恭仁の部屋でベットの中で裸で抱き合ってる私達。
私22になっていた。
「異次元?」
「俺たちの世界の狭間なんだろう。ずっと思っていた。俺たちは何かがあって別々になってしまったんだ。」
「何か?」
「ああ、きっと何かあるんだ」
このままずっとなのか?それを言葉にするのは怖い。両親や皆が知ることができない私達。でも恭仁とは別れたくない。
お互い社会人になってるので実家も出てる。それでも私達はここで会ってる。けど・・・
「ねぇ、恭仁、もしかして」
私が23歳のとき、とうとう恐れてたことがおきた。
「浮気・・・してるんだね?」
「・・・」
「やっぱり、ここだけ会う私達じゃ」
「俺だってまゆきとずっと一緒に居たいよ!けど、まゆきとずっと生活できないじゃないか!ここで2人で暮らすなんて無理だろう!?」
何も動かないこの世界で二人だけ。確かに生きていくことは無理なのはわかってる。
「俺は、もう身近に居てほしい人がいいんだ」
いつかはこうなると解っていた。変わらない限り無理なんだと。だから責めることも言い返すことも出来なかった。
そして
「じゃ、本当にさよなら!」
「うん、今までありがとう」
私達はそう言って歩き出す。
こんなに相思相愛でも私達は別れなくてはならない。
それから私はここの世界に来なくなった。
どんなに愛しても結ばれること出来ないんだもんね。わかってても仕方ないと思っててもやっぱり辛かった。
仕事は化粧品会社の企画部に所属している。女性の割合が高いので出会いというのは多くない。仕事も3年目になり少しずつ任されるようにもなって楽しくなってきてた。
そんなときに
「お見合い?」
まさかこの歳でお見合いの話がきた。
「恋人いるっていってたけど最近別れたようなこと言ってたからさ、ちょうどいいかなーてね」
10歳離れた従姉妹からの電話でグイグイと話をすすめる。
「あのね、私まだ23だよ!いやよ!お見合いなんて!」
「いいじゃない!お見合いに年齢なんて関係ないわよ!ほんといい人なんだから、すごいラッキーよ!」
なんか勝手に勧められてるし。
そしていつの間にかお見合い当日になってしまった。
ホテルの和風レストランの半個室みたいな場所らしい。
「印象よく、にこやかにね」
従姉妹は隣でニコニコしながらという。
まったく、こっちは了承してないのに!
そして指定の場所に行くと
「!?」
恭仁!?
一瞬恭仁に見えた。でもよく見ると違った。
「はじめまして!榊達樹です」
「えっ!?」
榊という名前に驚く。
な、どういう!?
恭仁と関係あるの?
てか、私お見合い相手のプロフィール全く見てなかった。
この人、きっと恭仁に関係あるんだ。だってこんなに似てるなんてことないよ!
お互い質問しあってたけど上の空でそのことばかり考えていた。
「・・・さん?まゆきさん?」
「えっ!?あっ、はい」
気がつくと従姉妹と、相手の同伴の方はいなく2人きりになっていた。
「大丈夫ですか?緊張されてますか?」
やばい!全然頭に入ってなかった。
「す、すいません」
「いえ、こちらは大丈夫ですが」
「あ、あの、つかぬことをお聞きしますが、榊恭仁さんという人はご存じでしょうか?」
「恭仁?」
「はい」
「うーん、親兄弟、親戚でもそのような名前の人はいないと思いますが」
「そ、そうですか」
やっぱりダメか。
それにしてもそっくりなほど似ている。こっちの世界の恭仁なんだろうか?とさえ思ってしまう。
その後も上の空で現地で解散した。あまりの上の空で現地解散。向こうは脈ナシと思っていたが
「お相手の方は気に入ってるようだけど」
と連絡が。
な、なんで!?
とすら思ってしまう。
それでもやっぱり気になってしまったので会うことにした。
「こんにちは」
週末の昼下がりに会う約束をした。
「こんにちは」
「とりあえず、昼食でもどうですか?」
と言われてついていく。席に座ると
「まゆきさんは心ここにあらずですね」
と笑顔で言われ
「えっ?」
と言う。
「気になるんですよ!まゆきさんのこと。そして」
と少し間をあけ
「恭仁って人のことも」
!?
「その人は見つからない方なんですか?」
「あ、いえ、あっ、そうですね。」
なんと言えばいいのか
「俺に・・・似てるんですね」
「・・・」
「親戚に改めて聞いてみましたが、その名前の方はいませんでしたよ」
「そう・・・ですか」
「けど、まゆきさんは何かあると思ってるんじゃないですか?」
「あっ、いえ」
言って信じてもらえるわけない。でも、でももし・・・
「あ、あの!」
達樹さんは私をみて、何か言おうとしてるのを待ってくれてるようだ。
「も、もし、もしですが、同じ世界が別にあるとしたら」
「えっ!?」
「あっ、すいません。変なことを・・・」
と言うと
「確かに変なこと言いますね。」
だよね。そう思われても仕方ないか。
だが
「・・・ちょっと、会ってもらいたい人がいます」
「えっ?」
電車で約1時間乗り着いた先は
「お婆ちゃん!」
と、玄関を開けて一言言う達樹さん。
「上がってください。祖母の家です」
私は理由がわからず上がり奥の部屋に一緒に進む。
「あら、達樹。恋人?」
私をみて言う。けど、お見合いしただけで、そういう関係にもなってるわけじゃないので返事はしない。
「お婆ちゃんが昔言ってた、変わった事を・・・、世の中で一つじゃないようなことを言う女の子と出会ったら連れてきてと言ってただろ!?まさか本当に起きるとは・・・」
「!?」
お婆ちゃんは驚き
「その子なのかい?」
と私を見る。
「そう・・・、貴方が」
な、なに!?どういう事!?
「年寄りの話を聞いてほしいんだがね」
と、優しい目で私を見る。
「は、はい」
何がなんだがわからないけど、でも恭仁のことを知ってる気がした。
居間に移動し
「お名前は?」
「松原まゆきです。」
「今から話すことは信じられない話よ!でもまゆきさん、貴方なら少しは理解出来ると思うわ!」
やっぱり、知ってるんだ。
「達樹も聞く?」
「まぁ、連れてきたしな」
そういうと
「今から150年ほど前の話になるわ。私の祖父の手記によると」
と、ゆっくり語り始める。
当時そのお婆ちゃんの祖父、佳吉さんの手記によると、婚約をしてた人と街を歩いてたらしい。すると
目の前が急に歪み、そして全てが2つになったという。建物も人も全てが2つになった。そして隣には自分と全く同じ人物がいる。お互いビックリして見てると、それがどんどんと離れてく。まるで全てが複写したようになり、それがどんどんと離れ、そして婚約者のもう1人も同じように離れていった。ただ、それをみたのは自分だけで、誰も言っても信じてくれなかったという。
その直後、婚約者は倒れ気がつくと自分のことは覚えてないという。記憶喪失になっと診断が出たが、同じ顔だが祖父は別人に思ったという。もしかしたらそのとき離れていった方が本当の婚約者だったのでは?と思っていたようだ。
色々調べ、外国では世界が2つになったのを見たという書物を発見し、自分はこれに遭遇したと確信したのだという。
当時の時代では婚約をしたら結婚するのが決まりの時代だったので、その記憶がなくなった婚約者と結婚しお婆ちゃんの祖母になったわけだど、記憶は戻ることはなかったらしい。
祖父は本当の祖母と会いたかったと手記に書いてある。
「・・・ほんとかよ!?そんなの作り話だろ?」
達樹さんは言う。
「まゆきさんは・・・」
「思い当たることはあります」
「・・・でしょうね」
「お祖父ちゃんはこの手帳を隠してしまってた。けど私には教えたのよ!誰も信じてくれない話だけど、私にならこの先遭遇するかもしれない。不思議なことがあったらこの手帳を見て欲しいと」
「そして私はその不思議に出会った」
それは、もう1人の自分と出会ったと言う話だ。
周りが誰も居ない世界に自分と同じ人がいる。その不思議な体験後にその手帳を見た。そしてもう1人の自分も亡き祖母の日記を見てお互いの祖父母の不思議な出来事を話したと言う。
そして
「もう1人の私から話ではこの先祖父母の産まれ変わりが居て、その2人は別世界で産まれるから出会わせてほしいと」
そう言って私をみる。
「それって」
それってまさか
「まゆきさん、貴方が祖母の産まれ変わり。そして恭仁が祖父の産まれ変わり」
!?
「出会いたい気持ちが強すぎて多分色んな不思議を体験したんだと思うけど、もう1人の私の話では向こうの祖母は少し特殊な能力があったとか。だから次の自分が見えると言っていたみたい。その次の自分というのが産まれ変わりという意味だったとか。」
「じゃあ、じゃあ私は恭仁は」
「ちょっと、待ってくれ!話についていけない!」
そう言い出す達樹さん。
「どうみてもおとぎ話なんだよ!とてもじゃないが信じられない!」
そりゃそうだよね。もし達樹さんの立場なら同じこと思う。
「でも事実なんです。こうしてはじめてお会いするお祖母様と話があうってこと自体がその証拠で」
「それにしても、話が吹っ飛びすぎて・・・」
「恭仁は、向こうで恋人を作ったらしく私達はそれ以降会ってません。仮に産まれ変わりの私達を会わせてほしいと願ってくれても既に」
「それは貴方のために言ったんです。どんなに想ってても未来がないと思ったからそう言うしかなかったと」
「!?恭仁が言ったんですか?」
「向こうの私がこの話をしたとき、そう言って別れたと言ったみたいですね」
「そ、そんな、じゃあ」
「私と向こうの私は今は連絡が取れます。ですが間もなくしたら連絡は絶えるでしょう」
「!?」
「それはどうしてですか?」
「祖父の手記によると、別れた世界はどんどんと離れていくと。もう間もなくしたら連絡もとれない距離になると思います。前よりも会うことも話すことも難しいので」
そ、そんな。
「お願いします!恭仁に会いたい!会わせてください!」
「まゆきさん、それってもしかしてそのなんだ、その人と会ったら戻れなくなるんじゃ?」
「私は恭仁がいればいい!お願いします!」
「まゆきさん!」
私の腕を掴む達樹さん
「俺はまだ信じられないが、今その恭仁という人に会ったら、ここに居ないんじゃないか?それでもいいんですか?」
達樹さんに振り向き
「私は恭仁がいればいいです。」
私は両親には愛されてなかった。唯一私の居場所があったのは恭仁だった。
両親は弟を溺愛し、昔から差別をしていた。家族旅行の海外も私は親戚を預けられ3人で行ったり、その時に今回縁談の話をくれた従姉妹がよく気にかけてくれた。
女は嫁に行くから、弟はずっと私たちの近くにいる。そんな考えをした両親は私には適当に扱い、とっとと出ていって欲しいとさえ言われてた。
そんな家を帰るのも苦痛だった時に恭仁と知り合って、彼が居れば私はどうでもよかった。
私の顔を見て掴んだ腕が緩くなった。
「お願いします」
私はお婆ちゃんをみてもう一度お願いをする。
「そう言うと思ってたわ」
その時、襖があいた。
「「!?」」
「な、な、な!?」
達樹さんは、言葉にならない言葉を出してる。
もう一人お婆ちゃんが現れたのだ。
「もう、時間がないからいくわよ」
「ええ!それじゃ、私たちもさよならね」
「ええ、やっと祖父母の願いが」
二人は笑顔を見せて見つめ合う。
そして
「達樹、貴方にはここでのこと、そしてこの方とのことは忘れてもらいます。」
と言って手を達樹さんのオデコに当てると、達樹さんは気絶してしまった。
「えっ!?あの?」
驚いて聞くと
「大丈夫!時期に目を覚ますわ!」
私はもう一人のお婆ちゃんの手を取ったと同時に視界が暗くなった。
「え、えっ!?」
「私の手を離しちゃダメよ!離したら元に戻れないし、進むことも出来ない。ずっと狭間で1人になるわよ」
怖くなってギュと握る。
少しずつ歩き出しそれでも真っ暗だ。
「まだまだよ!しっかり進んでね」
どのくらい歩いたのかわからない。それでもまだ先は暗い。それだけ2つの世界は離れてたということなんだろうか?
そして
「あ、明かり」
凄い小さいけど、先に明かりが見える。
私たちは、その明かりに向かって進む。
明かりを出た先には
「えっ?」
お婆ちゃんの家の中だ。
さっきと全く同じ。
そして
「何?お婆ちゃんがそんな若い知り合い居るなんて知らなかった」
!?
達樹さん!?
「俺孫の達樹と言います」
と、自己紹介された。
!?
私のこと覚えてない!?のか?
とりあえず一礼する。とても言葉が出ない。
「疲れたでしょ?私も疲れたわ」
と言ってソファに座り
「ここはもう貴方の世界よ」
私の世界?
「達樹、悪いけど恭仁呼んできてちょうだい」
!?
「えっ!?ああ。兄貴ー!!呼んでるよー」
と居間を出て達樹さん離れところでいいだした。
兄貴?兄弟ってこと!?
「・・・たく、急に家に来いって言われて来たけど何があったんだよ!」
そいういって居間にくる。
「な、嘘だろ?」
私を見て驚いた顔をしている。そして
「・・・まゆき、なんだな?」
「うん!恭仁!!」
私は恭仁に向かって抱きついた。
「婆ちゃん、まゆきを連れてきたのか?」
そういうと、笑顔で答えてた。
「私の役目はここまでだから、この先はあなた達がしっかりやるのよ」
「ありがとうございます」
お婆ちゃんに向かって頭を下げる。
「まだ信じられないよ」
恭仁は私の手を握って言う。
今は恭仁の一人暮らしのマンションにいる。
「こうやって同じ世界に恭仁といれることをずっと待ってた」
「ああ」
この世界は私が存在しない世界だけど、お婆ちゃんが言ってた私の世界ってのが気になった。
まさか・・・
「あっ」
「なに?どうした?」
スマホが使える。これって
同僚にLINEをしてみた。そしたら直ぐに返事がきた。
それをみて恭仁は
「この世界出まゆきが存在するってこと?」
「そう・・・なのかな?」
その後私が住んでるアパートに向かった。
「・・・ある」
鍵をさしてあけると私の部屋だった。
「私、ここにいたことになってる。」
「ああ。なぁ、まゆき。まだ俺信じられないんだけど、でも」
そう言って私の顔をみる。
「結婚しよう」
「!?」
だめだ。
涙腺が吹っ飛んでもう無理。
「まゆき?」
夢にまでみた、夢にまでみた・・・
「え?」
「まゆき!!」
や、やだ?なにこれ?暗い。怖い!どういうこと!?
今の恭仁と会えたのは夢ってこと!?
い、いやだ!そんなのいやだよ!
そのとき何かが破壊された感じがした。
な、なに?なにが起こったの!?
周りをみても真っ暗。でも何かが破裂した。そんな感じがした。
そう感じるとなんか頭が痛い!苦しい!
「・・・き、まゆき」
「あっ、気がついた」
「大丈夫か?」
「わ、わたし」
「突然倒れたから」
恭仁は心配そうな顔をする。そして
「今婆ちゃんに連絡したんだ。何か影響とかあるのかもしれないし」
「あっ」
それよりも恭仁とのことが夢でなくてよかったと安堵する。
「まゆき、あのな」
と、真剣な顔をされ
「まゆきがいた世界はさっきなくなったらしい」
「!?」
「消滅・・・したらしい」
「えっ?な、な?」
「最終的にはどちらか1つが残る運命と言ってる。向こうの婆ちゃんはそれを初めから知ってたらしい」
「そ、そんな」
じゃあ、あの感じた感触は・・・、そのことを恭仁に言うと
「ああ、婆ちゃんは多分まゆきはそれで倒れてんじゃないか?と言ってた。」
「!?」
「まゆきは婆ちゃんと同じ力があるらしい。何かを感じるという・・・、でも今は世界は1つ。だから特別な何かを今後は感じることはないと言ってる」
あっちの世界がなくなったとしても、こっちでも同じ人はいる。居なかったのは恭仁だけだった。そしてこっちは元々私は居なかった。
元々あった世界が消滅されたのは悲しいが同じ人がこの世界にいるので悲しさが半減するというか・・・、不思議なきぶんになっていた。
「それから?」
「お祖父ちゃんと結婚して、貴方のお母さんを産んだのよ!」
と笑顔で話す。
「渚、もし不思議なことやお父さんやお母さんに言っても信じて貰えない出来事がおきたら、お婆ちゃんに言いなさい」
「うん!わかった!」
と言って渚は隣の部屋に行った。
渚はまだ5歳。これから不思議な体験を経験するだろう。だって世界はまた2つになったのだから。
部屋の写真には、恭仁の写真がある。恭仁は一昨年亡くなった。結婚して50年目の年に癌が見つかり翌年に旅立った。
「また2つになったのか・・・、そして渚が同じ力をもつのか。俺たちみたいな運命を経験しなければいいがな」
と、恭仁は言っていた。
だから
「さっきまでいっぱい遊んだからね」
「あら、だから眠ってるのね」
「ええ。じゃお願いね」
おんぶしてる渚をもう一人の私に渡し
「ええ。最後まで悔いのないようにね」
と言われ暗い道に戻っていく。
数十年後、私たちの世界は消滅する。こんなにゆがんで見えるのか。恭仁のお婆ちゃんはこんな風景を毎日みてたんだね。
まだ小さいうちにもう一つの世界の私に渚を渡した。
渚の存在がなくなれば、私たちの世界では渚の存在が消滅される。悲しいけど今のうちのがいい。
「恭仁がいる世界で最後までいれて幸せよ」
私はそういい、自室でお茶を飲みながら最期の時を待った。
「うん、今までありがとう」
私達はそう言って歩き出す。
こんなに相思相愛でも私達は別れなくてはならない。
松原まゆき、23歳。そして目の前で別れた人は榊󠄀恭仁、25歳。
私達は互いにずっと想っていた。けど別れを選んだ。
それは人に言っても信じてもらえない出来事。私たちが会ってるのは異次元の世界とでもいうのだろうか。そこでしか出会えないのだ。
ことの発端は私が中学生の時、学校から帰る時にたまたま細い脇道が気になった。家と家の間で人1人入るくらいの幅。けどその先がなぜか気になる。
先は暗かったが進むことにした。そしてしばらくすると
「?」
2メートルくらいの黒い靄がある。
「な、なに?これ?」
と思った時には包まれていた。そして気づいたら
「おい!大丈夫か?」
1人の男性がいた。
「!?」
「ここ?なに?」
「俺が聞きたいよ」
いつもの通学路の道なのに・・・
「・・・誰もいない?」
車も人もそして、音も何も聞こえない。
「な、なに?夢?」
「俺もそう思いたい。けど夢に思えない。なんなんだ?これ?」
それが恭仁との出会いだった。いつもの街なのに私たち以外いない。けどさっきの脇道を通ると元に戻る。その時は恭仁はいない。
はじめは夢だと思ってた。けどまた脇道に入ると恭仁と出会う。そんな変な出来事誰が信じるんだろう。
私は学校帰り毎日のように向かった。そのとき恭仁は高校生だった。
「ねぇ、どこに住んでるの?だってここでしか会えないって気味悪くって」
と私が言うと
「確かに。同じ街に住んでるのになんでここを出るとき居ないんだろ?」
お互い住んでる場所を言うと不思議なことがおきた。
「確かにうちは榊ですけど恭仁なんて子はいません。」
と家に行くと母親らしき人に言われた。
どういうこと?
そして恭仁も
「まゆきの苗字の家はあったが、子供は男だけだと言われた。まゆきなんていないと」
そんなことって・・・
他のことは話してても全く同じなのに、私たちだけがお互いの居る街に居ない。
「これって、世界が違うとか?」
「そんなバカな!同じ街だぞ!」
結局なんでかもわからず、私は中学を卒業、高校も卒業、そして短大を卒業した。
それでも恭仁とは会っていた。というか、出会ってまもなくして私達は恋人同士になっていた。いつか解決すると思ってはいるが未だにそのままだった。
恋人だけど、お互いの世界では存在しないわけだから人には説明が難しい。友達やみんなには恋人はいることは言ってても勿論会うことはできない。
話せば妄想?夢?と言われそうなのが怖い。
「ここは異次元なんだろうな」
恭仁の部屋でベットの中で裸で抱き合ってる私達。
私22になっていた。
「異次元?」
「俺たちの世界の狭間なんだろう。ずっと思っていた。俺たちは何かがあって別々になってしまったんだ。」
「何か?」
「ああ、きっと何かあるんだ」
このままずっとなのか?それを言葉にするのは怖い。両親や皆が知ることができない私達。でも恭仁とは別れたくない。
お互い社会人になってるので実家も出てる。それでも私達はここで会ってる。けど・・・
「ねぇ、恭仁、もしかして」
私が23歳のとき、とうとう恐れてたことがおきた。
「浮気・・・してるんだね?」
「・・・」
「やっぱり、ここだけ会う私達じゃ」
「俺だってまゆきとずっと一緒に居たいよ!けど、まゆきとずっと生活できないじゃないか!ここで2人で暮らすなんて無理だろう!?」
何も動かないこの世界で二人だけ。確かに生きていくことは無理なのはわかってる。
「俺は、もう身近に居てほしい人がいいんだ」
いつかはこうなると解っていた。変わらない限り無理なんだと。だから責めることも言い返すことも出来なかった。
そして
「じゃ、本当にさよなら!」
「うん、今までありがとう」
私達はそう言って歩き出す。
こんなに相思相愛でも私達は別れなくてはならない。
それから私はここの世界に来なくなった。
どんなに愛しても結ばれること出来ないんだもんね。わかってても仕方ないと思っててもやっぱり辛かった。
仕事は化粧品会社の企画部に所属している。女性の割合が高いので出会いというのは多くない。仕事も3年目になり少しずつ任されるようにもなって楽しくなってきてた。
そんなときに
「お見合い?」
まさかこの歳でお見合いの話がきた。
「恋人いるっていってたけど最近別れたようなこと言ってたからさ、ちょうどいいかなーてね」
10歳離れた従姉妹からの電話でグイグイと話をすすめる。
「あのね、私まだ23だよ!いやよ!お見合いなんて!」
「いいじゃない!お見合いに年齢なんて関係ないわよ!ほんといい人なんだから、すごいラッキーよ!」
なんか勝手に勧められてるし。
そしていつの間にかお見合い当日になってしまった。
ホテルの和風レストランの半個室みたいな場所らしい。
「印象よく、にこやかにね」
従姉妹は隣でニコニコしながらという。
まったく、こっちは了承してないのに!
そして指定の場所に行くと
「!?」
恭仁!?
一瞬恭仁に見えた。でもよく見ると違った。
「はじめまして!榊達樹です」
「えっ!?」
榊という名前に驚く。
な、どういう!?
恭仁と関係あるの?
てか、私お見合い相手のプロフィール全く見てなかった。
この人、きっと恭仁に関係あるんだ。だってこんなに似てるなんてことないよ!
お互い質問しあってたけど上の空でそのことばかり考えていた。
「・・・さん?まゆきさん?」
「えっ!?あっ、はい」
気がつくと従姉妹と、相手の同伴の方はいなく2人きりになっていた。
「大丈夫ですか?緊張されてますか?」
やばい!全然頭に入ってなかった。
「す、すいません」
「いえ、こちらは大丈夫ですが」
「あ、あの、つかぬことをお聞きしますが、榊恭仁さんという人はご存じでしょうか?」
「恭仁?」
「はい」
「うーん、親兄弟、親戚でもそのような名前の人はいないと思いますが」
「そ、そうですか」
やっぱりダメか。
それにしてもそっくりなほど似ている。こっちの世界の恭仁なんだろうか?とさえ思ってしまう。
その後も上の空で現地で解散した。あまりの上の空で現地解散。向こうは脈ナシと思っていたが
「お相手の方は気に入ってるようだけど」
と連絡が。
な、なんで!?
とすら思ってしまう。
それでもやっぱり気になってしまったので会うことにした。
「こんにちは」
週末の昼下がりに会う約束をした。
「こんにちは」
「とりあえず、昼食でもどうですか?」
と言われてついていく。席に座ると
「まゆきさんは心ここにあらずですね」
と笑顔で言われ
「えっ?」
と言う。
「気になるんですよ!まゆきさんのこと。そして」
と少し間をあけ
「恭仁って人のことも」
!?
「その人は見つからない方なんですか?」
「あ、いえ、あっ、そうですね。」
なんと言えばいいのか
「俺に・・・似てるんですね」
「・・・」
「親戚に改めて聞いてみましたが、その名前の方はいませんでしたよ」
「そう・・・ですか」
「けど、まゆきさんは何かあると思ってるんじゃないですか?」
「あっ、いえ」
言って信じてもらえるわけない。でも、でももし・・・
「あ、あの!」
達樹さんは私をみて、何か言おうとしてるのを待ってくれてるようだ。
「も、もし、もしですが、同じ世界が別にあるとしたら」
「えっ!?」
「あっ、すいません。変なことを・・・」
と言うと
「確かに変なこと言いますね。」
だよね。そう思われても仕方ないか。
だが
「・・・ちょっと、会ってもらいたい人がいます」
「えっ?」
電車で約1時間乗り着いた先は
「お婆ちゃん!」
と、玄関を開けて一言言う達樹さん。
「上がってください。祖母の家です」
私は理由がわからず上がり奥の部屋に一緒に進む。
「あら、達樹。恋人?」
私をみて言う。けど、お見合いしただけで、そういう関係にもなってるわけじゃないので返事はしない。
「お婆ちゃんが昔言ってた、変わった事を・・・、世の中で一つじゃないようなことを言う女の子と出会ったら連れてきてと言ってただろ!?まさか本当に起きるとは・・・」
「!?」
お婆ちゃんは驚き
「その子なのかい?」
と私を見る。
「そう・・・、貴方が」
な、なに!?どういう事!?
「年寄りの話を聞いてほしいんだがね」
と、優しい目で私を見る。
「は、はい」
何がなんだがわからないけど、でも恭仁のことを知ってる気がした。
居間に移動し
「お名前は?」
「松原まゆきです。」
「今から話すことは信じられない話よ!でもまゆきさん、貴方なら少しは理解出来ると思うわ!」
やっぱり、知ってるんだ。
「達樹も聞く?」
「まぁ、連れてきたしな」
そういうと
「今から150年ほど前の話になるわ。私の祖父の手記によると」
と、ゆっくり語り始める。
当時そのお婆ちゃんの祖父、佳吉さんの手記によると、婚約をしてた人と街を歩いてたらしい。すると
目の前が急に歪み、そして全てが2つになったという。建物も人も全てが2つになった。そして隣には自分と全く同じ人物がいる。お互いビックリして見てると、それがどんどんと離れてく。まるで全てが複写したようになり、それがどんどんと離れ、そして婚約者のもう1人も同じように離れていった。ただ、それをみたのは自分だけで、誰も言っても信じてくれなかったという。
その直後、婚約者は倒れ気がつくと自分のことは覚えてないという。記憶喪失になっと診断が出たが、同じ顔だが祖父は別人に思ったという。もしかしたらそのとき離れていった方が本当の婚約者だったのでは?と思っていたようだ。
色々調べ、外国では世界が2つになったのを見たという書物を発見し、自分はこれに遭遇したと確信したのだという。
当時の時代では婚約をしたら結婚するのが決まりの時代だったので、その記憶がなくなった婚約者と結婚しお婆ちゃんの祖母になったわけだど、記憶は戻ることはなかったらしい。
祖父は本当の祖母と会いたかったと手記に書いてある。
「・・・ほんとかよ!?そんなの作り話だろ?」
達樹さんは言う。
「まゆきさんは・・・」
「思い当たることはあります」
「・・・でしょうね」
「お祖父ちゃんはこの手帳を隠してしまってた。けど私には教えたのよ!誰も信じてくれない話だけど、私にならこの先遭遇するかもしれない。不思議なことがあったらこの手帳を見て欲しいと」
「そして私はその不思議に出会った」
それは、もう1人の自分と出会ったと言う話だ。
周りが誰も居ない世界に自分と同じ人がいる。その不思議な体験後にその手帳を見た。そしてもう1人の自分も亡き祖母の日記を見てお互いの祖父母の不思議な出来事を話したと言う。
そして
「もう1人の私から話ではこの先祖父母の産まれ変わりが居て、その2人は別世界で産まれるから出会わせてほしいと」
そう言って私をみる。
「それって」
それってまさか
「まゆきさん、貴方が祖母の産まれ変わり。そして恭仁が祖父の産まれ変わり」
!?
「出会いたい気持ちが強すぎて多分色んな不思議を体験したんだと思うけど、もう1人の私の話では向こうの祖母は少し特殊な能力があったとか。だから次の自分が見えると言っていたみたい。その次の自分というのが産まれ変わりという意味だったとか。」
「じゃあ、じゃあ私は恭仁は」
「ちょっと、待ってくれ!話についていけない!」
そう言い出す達樹さん。
「どうみてもおとぎ話なんだよ!とてもじゃないが信じられない!」
そりゃそうだよね。もし達樹さんの立場なら同じこと思う。
「でも事実なんです。こうしてはじめてお会いするお祖母様と話があうってこと自体がその証拠で」
「それにしても、話が吹っ飛びすぎて・・・」
「恭仁は、向こうで恋人を作ったらしく私達はそれ以降会ってません。仮に産まれ変わりの私達を会わせてほしいと願ってくれても既に」
「それは貴方のために言ったんです。どんなに想ってても未来がないと思ったからそう言うしかなかったと」
「!?恭仁が言ったんですか?」
「向こうの私がこの話をしたとき、そう言って別れたと言ったみたいですね」
「そ、そんな、じゃあ」
「私と向こうの私は今は連絡が取れます。ですが間もなくしたら連絡は絶えるでしょう」
「!?」
「それはどうしてですか?」
「祖父の手記によると、別れた世界はどんどんと離れていくと。もう間もなくしたら連絡もとれない距離になると思います。前よりも会うことも話すことも難しいので」
そ、そんな。
「お願いします!恭仁に会いたい!会わせてください!」
「まゆきさん、それってもしかしてそのなんだ、その人と会ったら戻れなくなるんじゃ?」
「私は恭仁がいればいい!お願いします!」
「まゆきさん!」
私の腕を掴む達樹さん
「俺はまだ信じられないが、今その恭仁という人に会ったら、ここに居ないんじゃないか?それでもいいんですか?」
達樹さんに振り向き
「私は恭仁がいればいいです。」
私は両親には愛されてなかった。唯一私の居場所があったのは恭仁だった。
両親は弟を溺愛し、昔から差別をしていた。家族旅行の海外も私は親戚を預けられ3人で行ったり、その時に今回縁談の話をくれた従姉妹がよく気にかけてくれた。
女は嫁に行くから、弟はずっと私たちの近くにいる。そんな考えをした両親は私には適当に扱い、とっとと出ていって欲しいとさえ言われてた。
そんな家を帰るのも苦痛だった時に恭仁と知り合って、彼が居れば私はどうでもよかった。
私の顔を見て掴んだ腕が緩くなった。
「お願いします」
私はお婆ちゃんをみてもう一度お願いをする。
「そう言うと思ってたわ」
その時、襖があいた。
「「!?」」
「な、な、な!?」
達樹さんは、言葉にならない言葉を出してる。
もう一人お婆ちゃんが現れたのだ。
「もう、時間がないからいくわよ」
「ええ!それじゃ、私たちもさよならね」
「ええ、やっと祖父母の願いが」
二人は笑顔を見せて見つめ合う。
そして
「達樹、貴方にはここでのこと、そしてこの方とのことは忘れてもらいます。」
と言って手を達樹さんのオデコに当てると、達樹さんは気絶してしまった。
「えっ!?あの?」
驚いて聞くと
「大丈夫!時期に目を覚ますわ!」
私はもう一人のお婆ちゃんの手を取ったと同時に視界が暗くなった。
「え、えっ!?」
「私の手を離しちゃダメよ!離したら元に戻れないし、進むことも出来ない。ずっと狭間で1人になるわよ」
怖くなってギュと握る。
少しずつ歩き出しそれでも真っ暗だ。
「まだまだよ!しっかり進んでね」
どのくらい歩いたのかわからない。それでもまだ先は暗い。それだけ2つの世界は離れてたということなんだろうか?
そして
「あ、明かり」
凄い小さいけど、先に明かりが見える。
私たちは、その明かりに向かって進む。
明かりを出た先には
「えっ?」
お婆ちゃんの家の中だ。
さっきと全く同じ。
そして
「何?お婆ちゃんがそんな若い知り合い居るなんて知らなかった」
!?
達樹さん!?
「俺孫の達樹と言います」
と、自己紹介された。
!?
私のこと覚えてない!?のか?
とりあえず一礼する。とても言葉が出ない。
「疲れたでしょ?私も疲れたわ」
と言ってソファに座り
「ここはもう貴方の世界よ」
私の世界?
「達樹、悪いけど恭仁呼んできてちょうだい」
!?
「えっ!?ああ。兄貴ー!!呼んでるよー」
と居間を出て達樹さん離れところでいいだした。
兄貴?兄弟ってこと!?
「・・・たく、急に家に来いって言われて来たけど何があったんだよ!」
そいういって居間にくる。
「な、嘘だろ?」
私を見て驚いた顔をしている。そして
「・・・まゆき、なんだな?」
「うん!恭仁!!」
私は恭仁に向かって抱きついた。
「婆ちゃん、まゆきを連れてきたのか?」
そういうと、笑顔で答えてた。
「私の役目はここまでだから、この先はあなた達がしっかりやるのよ」
「ありがとうございます」
お婆ちゃんに向かって頭を下げる。
「まだ信じられないよ」
恭仁は私の手を握って言う。
今は恭仁の一人暮らしのマンションにいる。
「こうやって同じ世界に恭仁といれることをずっと待ってた」
「ああ」
この世界は私が存在しない世界だけど、お婆ちゃんが言ってた私の世界ってのが気になった。
まさか・・・
「あっ」
「なに?どうした?」
スマホが使える。これって
同僚にLINEをしてみた。そしたら直ぐに返事がきた。
それをみて恭仁は
「この世界出まゆきが存在するってこと?」
「そう・・・なのかな?」
その後私が住んでるアパートに向かった。
「・・・ある」
鍵をさしてあけると私の部屋だった。
「私、ここにいたことになってる。」
「ああ。なぁ、まゆき。まだ俺信じられないんだけど、でも」
そう言って私の顔をみる。
「結婚しよう」
「!?」
だめだ。
涙腺が吹っ飛んでもう無理。
「まゆき?」
夢にまでみた、夢にまでみた・・・
「え?」
「まゆき!!」
や、やだ?なにこれ?暗い。怖い!どういうこと!?
今の恭仁と会えたのは夢ってこと!?
い、いやだ!そんなのいやだよ!
そのとき何かが破壊された感じがした。
な、なに?なにが起こったの!?
周りをみても真っ暗。でも何かが破裂した。そんな感じがした。
そう感じるとなんか頭が痛い!苦しい!
「・・・き、まゆき」
「あっ、気がついた」
「大丈夫か?」
「わ、わたし」
「突然倒れたから」
恭仁は心配そうな顔をする。そして
「今婆ちゃんに連絡したんだ。何か影響とかあるのかもしれないし」
「あっ」
それよりも恭仁とのことが夢でなくてよかったと安堵する。
「まゆき、あのな」
と、真剣な顔をされ
「まゆきがいた世界はさっきなくなったらしい」
「!?」
「消滅・・・したらしい」
「えっ?な、な?」
「最終的にはどちらか1つが残る運命と言ってる。向こうの婆ちゃんはそれを初めから知ってたらしい」
「そ、そんな」
じゃあ、あの感じた感触は・・・、そのことを恭仁に言うと
「ああ、婆ちゃんは多分まゆきはそれで倒れてんじゃないか?と言ってた。」
「!?」
「まゆきは婆ちゃんと同じ力があるらしい。何かを感じるという・・・、でも今は世界は1つ。だから特別な何かを今後は感じることはないと言ってる」
あっちの世界がなくなったとしても、こっちでも同じ人はいる。居なかったのは恭仁だけだった。そしてこっちは元々私は居なかった。
元々あった世界が消滅されたのは悲しいが同じ人がこの世界にいるので悲しさが半減するというか・・・、不思議なきぶんになっていた。
「それから?」
「お祖父ちゃんと結婚して、貴方のお母さんを産んだのよ!」
と笑顔で話す。
「渚、もし不思議なことやお父さんやお母さんに言っても信じて貰えない出来事がおきたら、お婆ちゃんに言いなさい」
「うん!わかった!」
と言って渚は隣の部屋に行った。
渚はまだ5歳。これから不思議な体験を経験するだろう。だって世界はまた2つになったのだから。
部屋の写真には、恭仁の写真がある。恭仁は一昨年亡くなった。結婚して50年目の年に癌が見つかり翌年に旅立った。
「また2つになったのか・・・、そして渚が同じ力をもつのか。俺たちみたいな運命を経験しなければいいがな」
と、恭仁は言っていた。
だから
「さっきまでいっぱい遊んだからね」
「あら、だから眠ってるのね」
「ええ。じゃお願いね」
おんぶしてる渚をもう一人の私に渡し
「ええ。最後まで悔いのないようにね」
と言われ暗い道に戻っていく。
数十年後、私たちの世界は消滅する。こんなにゆがんで見えるのか。恭仁のお婆ちゃんはこんな風景を毎日みてたんだね。
まだ小さいうちにもう一つの世界の私に渚を渡した。
渚の存在がなくなれば、私たちの世界では渚の存在が消滅される。悲しいけど今のうちのがいい。
「恭仁がいる世界で最後までいれて幸せよ」
私はそういい、自室でお茶を飲みながら最期の時を待った。
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