パパのお嫁さん

詩織

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パパのお嫁さん

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母が亡くなって6年。
それからパパと2人で暮らしてる。

パパといっても13歳しか離れてなく、母の再婚相手。

母は21歳の時に私を産み、私が5歳になる前に離婚をした。

そして私が11歳の時に、24歳の男性が目の前に現れ、この人と再婚すると言われた。

8歳年下の男性と結婚した母、その人を今日から父と呼べっと言われても11歳の子供にはとても難しい。

結局悩んだ末、お父さんとはどうしても呼べず、パパと言ってる。

そして3人で生活した3年たったある日、母は交通事故で亡くなった。

私はまだ中学生だったので、親戚の家に預けられるだろうっと思ったら

「俺が育てます!」

っと、パパが親戚の前で言い出した。

桐田留依きりたるい、私は今日20歳になった。

パパとの2人の生活が6年になる。

パパは、桐田悠斗きりたはると、33歳。

大学の進学も進められたが、パパにそこまで迷惑かけられなかったので高校卒業後は就職した。

電機メーカー機器を製作部に所属してる。

務めて2年になり、最近は少し任されるようになってきた。




「ねぇパパ」

「パパは再婚しないの?」

「え?」

「だってお母さん亡くなってもう6年だし、そろそろパパも新しい人と」

「そうだなー、留依ちゃんが独り立ちするまでは気になっちゃって」

っと言い出す。

「じゃさ、パパ私が独り暮らしとかしたら自分のこと考えられる?」

っといったら

「え?なに?俺と一緒に住むの嫌なの?」

「違うよ、私今日で20歳になったし独り立ちしようかなって思って言ったの」

「そ、そっかぁ」

「あとね、私」

今までの苦しかった気持ちを解放する

「パパのことが好きなの。Likeじゃないよ!Loveの方だよ!ずっと好きだったの」

「えっ?」

「近くに居たら、私がパパのこと諦められないの」

「留依ちゃん?」

「パパが私のこと娘としてとしか思ってないの解ってる。だから、パパと離れたい」

パパは複雑な顔をしてる。

当たり前だ。娘と思ってた人に好きと言われたんだもん。困るよね。


2週間後、私はパパと暮らしてたマンションを出た。

ワンルームマンションに引っ越し、一人の生活が始まった。

あれからパパとはまともに話してない。

しっかり挨拶も出来なかったな。

ずっとパパ一筋だった私に新しい恋できるかな?



2か月後、社内で同期の人に合コンいこうって言われた。

「いいよ!いこ!」

って答えたら

「え?」

「桐田さんって何度も誘っても乗り気ないから彼氏いるのかと思った」

っと言われビックリされた。

今まではパパオンリーだったから、ほかの人とか考えられなかった。

でもこれからは、パパの近くにいるとパパの人生を邪魔しちゃうし、私も前に進まないとって思った。

合コンじたいが初めてで、自己紹介をしたらなんか楽しくないけどとりあえず皆笑顔で、なんか疲れるってか...こんなもんなの?って思ってしまった。

でもまぁ初めてだし、私が慣れてないだけかも。

合コンも終わり、帰ろうとしたら

「留依ちゃん、これから予定ある?」

えっと誰だっけ?

「ええ?ショック!名前忘れちゃった?尚人なおとだよ」

「ああ」

覚えてなかったが。

「この後2人で店にいかない?」

「え?」

う~ん、いまいち乗り気になれない。

「あっ」

スマホから音がしたと思ったら、

え?パパ?

「あ、ごめん親から電話で。ごめん、また今度ね」

っと言って、離れて電話に出た。

「はい」

「留依ちゃん?」

「うん」

「今どこ?」

「え?」

「今どこにいる?」

「えっと、S駅の近くの居酒屋出たところ」

「なに?合コン?」

「え?」

なに?なんで?

「合コンだったの?」

今度は電話からの声でなく、目の前から声が

「パ、パパ?」

「久しぶり、留依ちゃん」

やっぱり私にとってパパは愛しくって、たった2か月だけど忘れることなんか出来ない人で

「ど、どうしたの?」

「こっちのセリフでしょ?なに合コンなんかしてるの?」

「な、えっ?なに?」

もしか合コンして怒ってるってこと?

パパは私の腕を掴んで歩いて行った。

「ちょっ、パパ?」


連れてこられた先は、一緒に住んでたマンションで

初めは

「留依ちゃん」

っと呼んだ時は顔を見てなかったけど、次の時は

「留依ちゃん、ずるいよ」

っと次の時は私の顔を見て言われた

「え?なに?」

「留依ちゃん、言い逃げじゃん。ずるくない?」

「言い逃げって...」

「ずっと...ずっと親子だと思ってた。喜利子きりこさんの大事な宝物は俺の宝物で、同じだと思ってた」

喜利子さんってのは母のこと。

「だから、留依ちゃんにとっては俺は宝物だった」

パパは私の手を放し

「でも、留依ちゃんに言われた時どうすることもできなかった。俺にとっては、留依ちゃんは宝物で、喜利子さんと同じ娘としての宝物だから」

パパは私を大事な娘として育ててくれてたから、よくわかってる。

「でも、留依ちゃんが居なくなって寂しかった。1人になった寂しかったもあるけどどこか違ってた」

え?なに!?

「留依ちゃん、一緒にいて」

パパに抱きしめられた

「パパ?」

「留依ちゃんを他の男に渡したくない」

「パ、パパ?あのー」

何を言ってるのかよくわからない。

「留依ちゃん、俺の恋人になって」

「ちょっと、パパ本気?私だよ?」

抱きしめられながらもびっくりしすぎて声が裏返った。

「本気だよ!喜利子さんのお墓の前で留依ちゃん貰うって言ってきた」

「パパだめだよ!私、パパのことずっと大好きで恋人どころかお嫁さんにずっとなりたいって思ってるくらい、愛情強いから」

「じゃ、お嫁さんになって」

「なっ!」

「俺も腹くくった。留依ちゃん絶対離さない」

パパは、私にキスをして

「いい家庭作ろうね!」


お母さん、パパと結婚してもいいですか?

そのとき、リビングに見えた母の写真が笑顔に見えた。
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