貴男の隣にいたい

詩織

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秘めた恋

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紗綾は18歳。高校3年生になっていた。

「行ってきます!」

「いってらっしゃい!気をつけてね」

「はーい」

もう少しで高校を卒業する。

卒業後は制作会社の就職が決まっている。

大学の進学も進められたがこれ以上ご迷惑もかけられない。

就職して、今までお世話になったのはお返ししたい。



11歳で親を亡くし、この7年間はお隣の家で面倒見てもらってた。

あのとき、

「うちで預かります」

と言ったのは、お隣のお兄ちゃんだった。

お兄ちゃんの名前は谷川陸也。その時は23歳。

おばさんと2人で住んでいた。

「ちょっと、陸也何を‥」

おばさんがビックリして言おうとしたら

「施設なんかに行かせないよ!紗綾ちゃんはうちで預かります」

「母さん、金銭的なことは俺がするから」

はじめは血縁関係もない隣の子を預かることに戸惑ってたおばさんだったが、お兄ちゃんの熱意に負けて預かることにした。

家族3人で住んでた隣は買い手が見つかり、別な人が住んでる。

高校生になってからはバイトをはじめた。できるだけ自分のことは自分でしたかったのだが、お兄ちゃんはいつも生活面をついも面倒みてくれた。

お兄ちゃんは今年で30歳になる。

恋人と結婚もしたいのに、私の面倒を見てもらって、早く自立したくって就職を選んだ。

私にとっては、お兄ちゃんは初恋の相手で今も想いがある。バイトと勉強が忙しく彼氏とか作る暇なかった。もし出来てたら想いは変わってたかもしれない。

バイトはコンビニで週4日は入れてる。ちなみに部活は3年生なんで引退してるけど茶道部だった。

商品の仕入れをしてるときによく、よく同じ時間になる大学生から声をかけられた。

「紗綾ちゃんは彼氏とかいないの?」

「え?いませんよ」

「なんで?可愛いのに」

「そんなこと言われたことないですよ」

「俺と付き合ってみる?」

「え?」

商品の仕入れをしようとして倉庫今いて、その倉庫は凄い狭く、あっという間に近くまできていた。

緊張して言葉がでなかった。

「初めてなら、色々優しくするから」

その一言にぞっした。

「あの‥、結構です!」

そう言って、その大学生を軽く押し、倉庫から出て行った。

怖かった。あの一言がゾクゾクして目が怖かった。

男性経験全くないから面白がられたのかもしれない。


男性経験か…

クラスでは半分以上は経験してるだろうなー

好きな人ができて経験出来るのかな?

お兄ちゃんより好きな人が出来るんだろうか?


「ただいまー」

「おかえり。ほんといつも頑張ってるね、紗綾ちゃんは」

「おばさん、今月の生活費」

「こっちは陸也から貰ってるのよ。いつもいいって言ってるのに」

「何度言ってもお兄ちゃん、受け取ってくれないんだもん。生活費てほどでもないけど何かの足しにしてほしい」

「じゃ預かっとくね。紗綾ちゃんも受け取らないと頑固だもんねー、陸也に似てるわ!」

そう言いながら受け取ってくれた。

「お兄ちゃんは?」

「今日も帰ってこないかもね」

「そっかぁー」

多分彼女と半同棲みたいな感じになってて、最近見ることも少なくなってきた。

「私が高校卒業してここ出たら、おばさん1人になっちゃうじゃん」

「まぁ、仕方ないわよ。そんなに心配なら紗綾ちゃん居て頂戴よ」

「え?」

「私にとっては、紗綾ちゃんも大事な家族だからね」

私もここに居たいけど…

やっぱり血縁もないのにここまで面倒みてもらって申し訳ないのと、お兄ちゃんの想いを断ち切りたいのもある。


翌日、学校は休みで朝からバイト入れてた。

起きて準備しようとしたら、玄関が開いた音がした。

そっちの方をみたら

「お兄ちゃん」

「あっ、紗綾か」

「朝帰り?最近多いね」 

冷蔵庫からミナラルウォーターを取り出し飲んで

「これからバイトだろ?」

「うん」

「就職先決まってるならそこまでしなくってもよくない?」

「…うん。でも色々揃えたいし」

「そか」

「ここに居るのあとわずかだから、もう少しお兄ちゃんと夕飯食べたり色々したいけど、なかなか難しいか」 

少しぴくってなった気がした。

気になったけどバイトの時間もあるから

「じゃ行ってくるね」

そう言うと、腕を掴まれた。

振り向くと、

あの目だ。

バイト先の大学生と同じ目をしていた。ゾクゾクした目だ。

怖くなって、腕を振りほどき

「…じゃ、行ってくるね」

怖いながらも一言いって出て行った。

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