一目惚れ、そして…

詩織

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「やっぱりカッコイイね」

「…そうねー」

と、会話をする先にいるのはテニス界の貴公子とも呼ばれてる、郷山ジュランさとやまじゅらん

アメリカ人とのハーフで、スタイルも顔立ちも日本人離れしている。

24歳。国籍は日本だがテニスの英才教育などでアメリカに長く行ってたことも多い。

全国ランキングは23位。

今は、雑誌の表紙の撮影をしている。

私は豊島汐華とよしましおか、34歳。雑誌社に勤務。年齢、経験もそれなりにあるのでチーフという役職になっている。

一緒に話してたのは、スタイリストの佐川理香子さがわりかこ、撮影のときによく一緒に仕事をする。

歳は30歳くらいと私より少し若い。

「じゃ、次お願いします!」

と、声が響き理香子ちゃんはジュランに向かって行って着替える部屋に案内しにいった。

そのあとも淡々と撮影が進み、時間通りに完了した。

「「お疲れ様です!」」

さて、今日は直帰だし久々に夕飯はどっかで食べて帰るかな。

と思いながら帰り支度をしていた。

この歳なら家に帰って家族もいる人が多いけど残念ながらまだ独身。

恋人も過去にはいたけど、現在はなし。

「豊島さん、これからよていある?」

と理香子ちゃんに言われ

「えっ!?特には…」

「この後さ、飲みに行かない?」

理香子ちゃんとは過去何度か飲んだことあったので

「あー、じゃいく?」

「あっ、あとね、他にも参加者いるから」

「えっー?私いてもいいの?」

「全然問題ない!」

大丈夫なのかな?という疑問もあったが、参加することにした。


「…えっ!」

小さく声を出してしまった。

郷山ジュラン…が…いる。

ど、どういうセッティング!?

全体的に男女半々の4人ずつ。

ちょ、ちょっと、これまさか、合コンじゃないよね?

「じゃとりあえず、乾杯しましょう!」

そう言って乾杯をした。

これ、かなりヤバくない?

私以外若い。いや理香子ちゃんが私の少し下だけど。でも理香子ちゃんは問題ない範囲。私は対象外じゃない?

女性は理香子ちゃんより少し若い感じ。中には20代前半かなって人が一人。

男性は、郷山ジュランもハーフだがもう一人ハーフ?外国人がいた。年齢層は20代半ば~30代になるかくらいの人達でジュランが1番若そうに見えた。

てか、完璧に合コンじゃん!!

「…」

どうするのよ!これ!!

「ちょっと、理香子ちゃん」

「ん?」

「これさ、合コン…」

「いえいえ、交流会」

なんの交流会よ!?

はぁー、誰とも話せずとりあえず手元にあるお酒を進める。

理香子ちゃんはもう話し込んでるし、この状況終わるまで耐えるしかないか…

スマホまで見るのは悪いかな?

途中で帰るのもなー、急用ができたとか言うか?

うーん…

どんどんと周りから離れてしまう。

「今日はありがとうございました」

と、声を掛けられたのはジュランだった。

「あっ、いえ、素敵な表紙になります。ありがとうございます」

打ち合わせで一回、あとは挨拶程度しか話したことがない。こうやって真正面で話すのは初めて。

いやー、やっぱり顔整ってるなー、世界中のいいパーツを集めた感じがする。

「今日は来てくれて嬉しいです」

えっ!?

あっ、社交辞令か

「こんな、おばさんが来ても…、でもそう言ってくれて嬉しいです」

「豊島さんみたいな素敵な年上の女性がいらっしゃるのは僕は嬉しいですよ!」

さ、さすが貴公子!!

「あっ、僕以外の男性は面識ないかもですね!彼らは僕のスタッフなんですよ」

話を聞くと、身体の管理、栄養の管理、フォームをチェックしたりなどなどスタッフとしてサポートしてる人達と説明してくれた。

「彼らがいないと、今の僕はこうやってテニスが出来ないです」

彼らを大事にしてることがよく解る。

チラッとみると

!?

もう一人のハーフだか外国人の人と目があった。

すぐ目をそらしたけど、なんかドキドキする。

「あ、ああ、キアリーですか?」

「えっ!?」

チラッと見たのがわかったのか、すぐに反応した。

「キアリー」

そういうと、こっちをみて来てくれた。

「彼はキアリー・サランと言って食事栄養面を管理してくれるんです。まだ日本語は勉強中ですが、日常会話なら大丈夫です」

「はじめまして!私はキアリーです」

発音もかなり片言だけど、しっかり自己紹介をする。

「豊島です」

と言って頭を下げた。

濃い青の瞳に、彫りが深く、好青年な印象がある。

英語で私を紹介してるようで

「Oh!」

と言って私をみて

「よろしくおねがいします」

笑顔で言われた彼にドキドキする。

な、な、なにときめいてるのよ!いい年して

ジュランは少ししたら他の女性に声をかけられてその人は話し込んでしまった。

「まだ日本語下手です。ごめんなさい」 

「いえ、それだけお話できれば十分です」

「私は26歳です。まだ日本にきて少ないです」

まぁ言葉の内容はさておき、言いたいことは解る。

「そうなんですね」

「スタッフ以外と話すこと少ないので嬉しいです」

そか、ジュランのために全力で頑張ってるてことなんだ。

彼もかなりのイケメンだし、絶対モテるだろうな。

それより、さっきからドキドキが凄い。

「素敵な人とお話できてよかったです」

と言いながら笑みをみせる。

ジュランと同じ貴公子だわ!

「いえ、もう少し若い方とお話出来たらよかったのに」

と言うと大きな目をして

「私とお話詰まらなくすいません。」

「あっー!いえ、そうじゃないです。私のような年上の女性より、同じくらいの年の方との方がよかったのかなと思ってます」

「年齢は関係ないです」

あまり会話になってない会話をしてるときに、キアリーも他の子から声をかけられた。

嬉しそうに話してる。

まぁ、若いほうがいいもね。

私は席を外して店の外に出て外の空気をあたることにした。

あんな若い子にトキメイてるなんて、笑っちゃうわ!

まさか一目惚れ!?

私には似合わなさすぎる。

一度だって一目惚れしたことないのに…

戻ってきたころには、お開きみたいな流れになっていて、連絡先を交換してる人もいたが私は皆に会釈だけしてその場をあとにした。


それから編集、取材など追われる日々。

そんなときに1つの企画の話があった。

「芸能人、スポーツ選手などをサポートする人を特集しようと思いまして」

「えっ!?それはまた…」

意外な発想に少し驚く

「以前、俳優の前島康介まえじまこうすけの専属のスタイリストを雑誌に載せたことがあるんですよ」

「あー、確か石本聡いしもとさとしでしたっけ?」

「そうです!石本聡はイケメンですからね、ファンの人をもいたし、インスタなんかのフォロワーもかなり多かったので、雑誌の対談をお願いしたことがあったんですが、そういうスタッフの人を特集してほしいっていう要望が一部ありまして」

「なるほど」

「それで、何人か候補は選出してます。」

会議で話してる内容に耳を傾ける。

他の雑誌にはないことなんで斬新だとは思うが、はたしてそういう人たちが全員了承するとは限らない。本業でないことするわけだし。

そのへんの私の考えも言って話は進み、不定期の連載ってことで今後枠を作ることになった。

そして、その候補の一人にキアリー・サランもいた。

何人かの取材が決まり、キアリーは返事待ちだった。


「豊島さん!」

「ん?」

「キアリー・サランさんなんですが、豊島さんからお願いできませんか?」

「へ?」

「お知り合いなんですよね?」

「ええ!?本人そんなこと言ってたの?」

「はい、以前お会いしたことあると…」

まぁ確かにあるけど…

「お願いしますよー」

と、何度もお願いされたので

「解ったわよ!とりあえずやってみるけど、私だからって了解貰えるとは限らないからね」

「お願いします!!」

ということでアポをとって行くことになった。

テニスの練習場に行くとジュランがコートにいるのが見えた。

客席に座ってる人に

「すいません…」

と言ってアポとってることを話すと

「ちょっとお待ち下さい」

と言って呼びに行ってくれた。

「豊島さん」

声の方を振り向くとジュランがいた。

「あっ、この間は」

そう言って頭を下げる。

「こちらこそ、楽しかったです」

相変わらず笑顔が眩しい。

「キアリーですよね?」

「あっ、はい」

「すぐ来ると思いますよ!」

そういって隣に座った

「キアリー喜ぶと思いますよ」

「えっ?」

「貴方のこと気に入ってるようです」

「…なんで?」

だって、あれしか会ってないじゃん。

何処に気に入られる要素があるの?

「あっ、来ました。僕は失礼しますね」

そう言ってジュランは離れていった。

「おまたせしました」

笑顔で言うキアリー

「お時間頂きありがとうございます」

一礼をすると

「またお会いできて嬉しいです」

「早速ですけど、うちの取材を検討中と伺いまして、まだ可能性があるならぜひ前向きにお願いしたいのですが」

そう言うと

「豊島さんのお願いなら、喜んで」

えっ!?

「あ、あの…、取材を受けてくれるということですか?」

「はい」

はやっ!!

こんなにあっさり…

「では、早速日程とか決めて…」

「無理ならいいです。取材は豊島さんでもいいですか?」

「わ、私ですか?」

「はい」

担当は違うけど

「あ、はい。それは出来ますけど」

「お願いします」

てか、何で私なんだろう?

気に入られる要素が解らない。

「名刺貰っていいですか?」

「あっ、はい!どうぞ」

名刺を渡した

「豊島さん、今度ご飯一緒に食べたいです。日本語まだ下手だけど、勉強します」

「あっ、あの…」

これって、あれってこと?

いや、まさか…

友達みたいな感じ?

どうしよう?

「断ってもいいですよ!取材はちゃんと受けます。でも断って欲しくないです」

そんなこと言われたら…

「…解りました。私でよければ」

と言うと笑顔で

「ありがとう」

ドキッ

そんな満面な笑みで…



取材は翌週することで調整し、社に戻って私が担当することで了承してもらった。

食事はその翌週末の約束になった。


当日は同じテニスの練習場に行き、カメラマンとアシスタント、メイクさんを連れて

「「よろしくおねがいします」」

と、挨拶をしその場の仕事をする風景を撮影する。

「あの場所いいですね」

と、カメラマンがいい、一人で立ってもらい何枚か写真をとる。

本当に裏方さん?モデルさんみたい

なんとなくポーズも決まってるし慣れてる感じがする。

ある程度の現場の撮影が終わりインタビューをする。

「では、このお仕事を始めるかっかけを教えてください」

「母が栄養を管理する仕事をしてたことがあってその影響です」

「なるほど、お母様の影響なんですね。お仕事は昔からこのお仕事をしたいと決めてたんですか?」

「この仕事を始めようと思ったのはジュランと出会ってからです。親の影響で知識はあったけど仕事ではやろうとは思ってませんでした」

日本語が凄い上手くなってる。

「以前は他の仕事をしてたんですか?」

「はい。大学を出て2年ほどモデルをしてました」

あー、やっぱりそうか…

「お辞めになっのは、こちらの仕事が好きだから?」

「はい。表よりスタッフのが好きです」

その後も仕事について色々聞き、1時間ほどで終わろうとしたとき

「あっ、最後に好きな女性のタイプとかあったら教えてください」

少し間があって

「そうですね、芯がしっかりして、自分のしたいことがハッキリある方。自立してるような女性に惹かれます」

そう言って私の顔をみる。

…えっ?

時間が止まったとように見つめ合ってしまって

「あっ、えと、はい。ありがとうございました」

一瞬我を忘れてしまった。

「では、失礼しますね!」

「はい!豊島さん、週末よろしくおねがいします」

と笑顔で言うので

「はい!また週末」

そう言ってテニス練習場を後にした。

「彼は豊島さんが好きなのかな?」

「え?」

カメラマンの人がボソッと言った。

「豊島さんを見るときは嬉しそうだから」

「そ、そうですかね?」


あんなモデル級の人が私を?ありえないわ!

食事だって多分そういうんじゃないと思うけど…

と、どうしても信じられずにした。

そしてその週末、夕方に待ち合わせをした。

ちょっ、ちょっと…、どっから見ても目立つじゃない!

待ち合わせ場所で待ってるキアリーをみつけ、あまりのスタイルに際立っていた。

「こんにちわ!」

私を見つけて挨拶しながら向かってくる。

「こんにちわ!」

たどたどしく挨拶を返し

「じゃ、行きましょうか」

エスコートもスマートすぎる。

一緒に歩いて場違いというか…

「日本料理食べたいと思ってるんですけど、いいですか?」

「…はい」

その笑顔がドキドキする



「ここ…」

確かタウン誌で最近載った店じゃない?

「あっ、大丈夫でした?」

「はい、大丈夫です」

予約をしてたようで名前言って店に入った。

「ビールでいいですか?」

と言われ、2つ注文しそして乾杯をした。

「キアリーさん、あの…本日はありがとうございます」

というと

「私が豊島さんをお誘いしてご迷惑だったかなと」

「いえ、そんな全然です!」

「この日のために頑張って日本語勉強しました」

「え?」

「豊島さんとお話したいので」

…ずるい!そんな言い方

料理が運ばれてきて二人で取皿を分けて頂く

「日本の料理は綺麗です。見た目も重視してる。そして豊島さんも綺麗です」

「あ、いえ、そんな…」

「私は本気です」

そう言ってじっと見られた。

ま、待って!!な、な…

「…キアリーさん?」

「貴方のような素敵な女性と出会えるなんて私は本当にラッキーです。」

「あ、あの…」

「恋人は居ないと聞いてますが、確認していいですか?」

「え?」

「恋人はいますか?」

「…いない…ですけど」

「なら、チャンス下さい」

「チャンス?」

「私を試してください。それで好きになってくれたら恋人になってください」

「…」

「ダメなら振ってください」

「あの、キアリーさん、私…、そんな風に思ってもらえる女性じゃないですよ!歳も上だし、仕事人間で女性らしさなんて全くないです!がさつだし、不器用だし、家庭的とはかなり遠いい人間です」

「なら、私がその女性らしさを見つけます。不器用でもなんでもいいです。家庭的じゃなくてもいいです。私がなりますから」

「…」

「一目惚れです」

!?

その瞬間全てが止まった気がして、何も話すことができなかった。
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