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初めて食事に行った日から5年。
私には一人の息子がいる。
名前は悠也、3歳。見た目ですぐわかる。キアリーとの子供。
初めて食事した後、どうしても信じられずすぐに付き合うことは出来なかった。
けど、何度も何度もアプローチされてそれで恋人同士に。
私だって一目惚れだったわけだし。嬉しかったけどでもこんなカッコイイ人が?と思っていた。
日本人の男性とは違いエスコートもスマートだし、何かあるとすぐに来てくれる。
そして何より愛情表現がオープンではじめは恥ずかしすぎて…
「汐華、いつも魅力的だね!キスしたくなる」
なんて言葉は日常茶飯事だった。
そして今は一人。
別れたのかと言われると、そうなるんだと思うけど…
彼はもう日本にいない。
付き合いだして1年目。
お父さんが倒れたということで帰国せることに。
「向こうでも連絡するから」
「うん」
「なるべく早く帰るからね」
「待ってる」
空港でずっと抱き合ってそして、見送った。
アメリカについてから
「お父さんの具合どお?」
「…ああ、うん。大丈夫だよ」
「入院してるの?」
「…あっ、いや、大丈夫」
なんとも曖昧な答え。
何かしっくりこない。
そして、しばらくして
「汐華、少しの間連絡出来なくなるけど、必ず連絡するから」
その電話を最後に連絡がなくなった。
折返し掛けても繋がらない。
その時に悠也がお腹にいることが解った。
ずっとキアリーを待ってそして一人で産んだ。
「じゃ、お願いします!」
保育園にあずけて出勤。
会社は転職した。シングルマザーも数人いる出版社なので目立つことはなかった。ただ、以前みたいに長い時間は会社で仕事はしないが、悠也が寝たあと少し仕事したりと環境は変わった。
キアリーのことはもう諦めないと…、そう思うんだけど踏ん切りがつかないでいた。
「…アメリカで年商10億と言われてるアイデーケー。日本に進出が決まりました」
「アイデーケーは、運動や日頃の日常生活の健康管理を細かくチェックするアプリが人気を呼び、腕時計も凄い売上になりました。ネットでも買えましたが日本語版が発売になるということです。」
何気ない夜のニュースをみて
「…えっ?」
「CEOのキアリー・サランさんです」
な、なに?なにこれ!?
テレビの前でしばらく呆然とする。
「お父様が創立して親子二世代になられるようです」
パソコンを立ち上げネットで調べる。
来月に日本で店舗が出来きること、お父さんは会長として仕事していること、そしてキアリーには…婚約者がいること。
あれは夢だった?幻だった?
泣くことも怒ることも出来なかった。
キアリーが日本に来たことはニュースになった。
その時にジュランと抱き合ってる写真も載っていた。
けど私はそれをなるべく見ないようにして仕事と育児に没頭した。
お父さんは普通のサラリーマンって言ってたんだけどな。
その後日本でも腕時計は売れ、品薄になるほどだった。
「…どお?」
「どお?って…」
「子供のことは話はしてあるから、一度会ってみるだけでも」
母の姉が私にお見合いの話を持ってきた。
「でも…」
「あんたも来月で40でしょ?そろそろ考えなさい」
そうだよね。私がずっと独身でいても誰かが迎えにくるわけじゃない!
「…わかった」
40歳目の前で初めてのお見合いをした。
「成川誠志です」
「豊島汐華です」
年齢は2つ上と聞いている。
証券会社に務めてて、バツイチ。子供はいない。
「仕事に没頭してる日々でなかなかご縁がなく知り合いにこのような機会を頂くことになりまして」
「…はい」
真面目そうな優しい感じがする。
「お子さんは何歳ですか?」
「3歳です」
お互い軽く仕事のこと家族のことを話し、また次回会う約束になった。
数回あった後、悠也をあわせると
「こんにちわ!」
成川さんがそう言うと、はじめは恥ずかしくって私の後ろに隠れてたけど、すぐに慣れて
「じゃ、肩車な」
「そ、そんな…」
「大丈夫ですよ!」
「やったぁー!!」
悠也は成川さんと楽しそうにしていた。
悠也はどっちかというと人見知りの方だと思うけどまさかこんなになつくとは…
「結婚を前向きに考えて正式なお付き合いをお願いしたいです」
真面目で、ちょっと不器用そうなところがあるけど、でもそれを隠そうとせず直向きなところに愛着を感じていた。
「…お願いします」
この人と家庭を築こう。
幸せになるんだ!
その半年後、私は入籍をした。
「誠志さん、忘れ物!」
「あ、ありがとう」
新婚…というのにはほど遠く、毎日が慌ただしい。
「行ってきます!」
「行ってらっしゃい」
誠志さんを送り出したあと、悠也を保育園へ
その後、会社に出社。
初めは誠志さんのご両親も驚いてた。
ハーフの悠也をみてえっ?て顔されたけど、今では可愛がってくれる。
うちの両親も晩婚すぎる娘の結婚に青喜び。
兄にやっとか…と言われる始末。
「汐華、これ」
「いつもありがとう」
誠志さんはよく仕事の帰りに何かしら買ってきてくれる
悠也にケーキ、お菓子、気に入ってる玩具、私にはお花だったりと…
「そんな気を使わないで」
「俺がしたいんだ」
笑みをみせながら言われると、こっちまで嬉しくなる。
優しい旦那さんにそして我が子、私には幸せな家庭ができたんだ。
どこか心の中にあるシコリはそのうち消えるだろうと思いながら、先に見ることにした。
結婚してから半年後に妊娠してることが、わかった。
年齢もあるので、子供がほしいなら早いうちにとは思ってたけど、こんなに早く授かるとは…
高齢出産もあるので早めに会社は辞めることにした。
「どっちかなー?」
悠也は、ワクワクしながら私に聞いてる。
「悠也はお兄ちゃんになるんだからしっかりしないとだね」
「うん!お兄ちゃんになる!」
悠也のときは一人だったし、初めての経験だったから今回は一度経験してるしって思ったんだけど、年齢もあってか歩けなくなるほどのめまいやら、嘔吐など不安定な時期が長く続いた。
あまりにひどいので点滴をしにいくこともあった。
「汐華」
「うん、大丈夫!」
誠志さんがすごく助けてくれて心強かった。
そして、その不安定が原因なのか思ってた時期よりも早く陣痛がきて、予定日よりも1ヶ月も早く女の子を出産。
未熟児としてしばらく病院で様子をみることとなった。
未熟児のベッドで寝てる我が子を手を入れられることろから、手を入れて触る。
「こんな小さいのによく頑張ったね」
「うん、ありがとね産まれてきて」
誠志さんと二人で赤ちゃんをみて一言。
そして茉莉花という名前をつけた。
私は先に退院出来たけど、茉莉花は退院するのに1ヶ月かかった。
「茉莉花、だっこするー」
初めて茉莉花を家に入れてすぐ悠也が言う。
悠也はもう6歳。なんとなくお兄ちゃんの顔になっていた。
茉莉花が4ヶ月くらいになった頃。
悠也はずっと生でプロ野球が見たいと以前から言っていたので、その日茉莉花を誠志さんの両親に預け、3人で野球観戦に言った。
「お父さん!」
今では誠志さんをお父さんと普通に呼べるようになって、誠志さんも実の子供のように接してくれてる。
「叫びすぎて喉乾いたね」
そう言って私は売店に向った。
誠志さんにはビール買って、私も早く飲みたいけどな、まだ母乳で育ててるしな…
と、アルコール類は諦め、悠也の大好きオレンジジュースと私はお茶でも…と思ったとき
「豊島さん?」
後ろから声が聴こえ振り向くと
「えっ!?」
ジュランさん!?
「お久しぶりです!」
「あー!ビックリしました。こんなところで…」
「お元気でしたか?」
「はい!ご活躍はテレビなどで拝見してます」
というと
「ありがとうございます。豊島さんのことずっと気になってんですよ」
ドキッとする。
ジュランさんはキアリーと私が恋人同士なのを知っていて、3人で食事をしたことも当時は何度もあった。
「…はい」
「おかあさーん!ホットドッグも欲しい!」
と言って私の方に向かってきた悠也。
「えっ!?」
ジュランさんはビックリした顔をしている。
「豊島さんの…お子さんですか?」
「…はい」
「…」
ジュランさんは悠也をみてハッとする。
「ま、ま、まさか…」
「悠也が、欲しいってきかないんだよ!」
と、あとから誠志さんがきた。そして、ジュランさんと向き合ってるのをみて
「あっ、お知り合い?」
と、誠志さんが言ったので
「あっ、えっと、主人です」
と、ジュランさんに紹介する。
「えっ?」
誠志さんがジュランさんをみて小さい声をだした。
テニスに興味なくてもジュランさんくらいのレベルなら知らない人はいない。
「はじめまして!郷山ジュランです。豊島さんは以前私の取材を何度かしたことがありまして」
「あー、そうでしたか。こんな有名な方の取材されてたんですね!知りませんでした」
「そういえば、ジュランさんも去年ご結婚されたんですよね?おめでとうございます」
「あっ、そうなんです。ありがとうございます」
そう言って笑顔で返してくれたが、きっと聞きたいことは1つ。
でも誠志さんもいる手前…
「あっ、すいません。妻を待たせてますので」
「はい!ジュランさん、お元気で」
「豊島さんも。ではご主人失礼します」
と、挨拶をして最後に悠也を見て行ってしまった。
「あんな人の取材してたんだね。ビックリしたよ」
「もうかなり昔の話よ」
この出来事が、今後1つの道が出来ることになるなんて知りもしなかった。
6歳年の差の兄妹もあって悠也は茉莉花をとても可愛がってくれた。
悠也が中学生になった頃。
私も家計の足しにと仕事を始めるようになった。
出版社の校正の仕事の募集があり、経験も長いことからすぐに採用された。
パートとはいえ、久々の仕事なので緊張する。
「成川さん、凄いですね、すぐにブランクあるとは聞いてましたけど、すぐに仕事が慣れて」
「取り纏めがうまいですよね」
「いえー、まだ手探りで」
とりあえず足引っ張ってないようでよかったー
悠也は中学生からテニスをしていたのだが、テニスの強豪校に高校は進学をしたいということで、少し離れた寮のある学校に行こことになった。
「頑張ってこいよ」
「ああ」
高校生になった悠也はキアリーの面影が少し見える。
日本人離れの顔に背も平均以上に高い。
父になってくれてる誠志さんはそんなことも気にせず相変わらず我が子として接してくれてる。
茉莉花はまだ小学生。悠也がいなくなることをとても寂しがっていた。
「お兄ちゃん…」
「電話するからな」
「うん!」
兄妹本当に仲がいい。
誠志さんは今では部長になり仕事はかなり忙しい。それでも家族は大事にしてくれた。
パートに務めて4年目。私は50歳になっていた。
このまま幸せな生活がずっと続くと思っていた…
私には一人の息子がいる。
名前は悠也、3歳。見た目ですぐわかる。キアリーとの子供。
初めて食事した後、どうしても信じられずすぐに付き合うことは出来なかった。
けど、何度も何度もアプローチされてそれで恋人同士に。
私だって一目惚れだったわけだし。嬉しかったけどでもこんなカッコイイ人が?と思っていた。
日本人の男性とは違いエスコートもスマートだし、何かあるとすぐに来てくれる。
そして何より愛情表現がオープンではじめは恥ずかしすぎて…
「汐華、いつも魅力的だね!キスしたくなる」
なんて言葉は日常茶飯事だった。
そして今は一人。
別れたのかと言われると、そうなるんだと思うけど…
彼はもう日本にいない。
付き合いだして1年目。
お父さんが倒れたということで帰国せることに。
「向こうでも連絡するから」
「うん」
「なるべく早く帰るからね」
「待ってる」
空港でずっと抱き合ってそして、見送った。
アメリカについてから
「お父さんの具合どお?」
「…ああ、うん。大丈夫だよ」
「入院してるの?」
「…あっ、いや、大丈夫」
なんとも曖昧な答え。
何かしっくりこない。
そして、しばらくして
「汐華、少しの間連絡出来なくなるけど、必ず連絡するから」
その電話を最後に連絡がなくなった。
折返し掛けても繋がらない。
その時に悠也がお腹にいることが解った。
ずっとキアリーを待ってそして一人で産んだ。
「じゃ、お願いします!」
保育園にあずけて出勤。
会社は転職した。シングルマザーも数人いる出版社なので目立つことはなかった。ただ、以前みたいに長い時間は会社で仕事はしないが、悠也が寝たあと少し仕事したりと環境は変わった。
キアリーのことはもう諦めないと…、そう思うんだけど踏ん切りがつかないでいた。
「…アメリカで年商10億と言われてるアイデーケー。日本に進出が決まりました」
「アイデーケーは、運動や日頃の日常生活の健康管理を細かくチェックするアプリが人気を呼び、腕時計も凄い売上になりました。ネットでも買えましたが日本語版が発売になるということです。」
何気ない夜のニュースをみて
「…えっ?」
「CEOのキアリー・サランさんです」
な、なに?なにこれ!?
テレビの前でしばらく呆然とする。
「お父様が創立して親子二世代になられるようです」
パソコンを立ち上げネットで調べる。
来月に日本で店舗が出来きること、お父さんは会長として仕事していること、そしてキアリーには…婚約者がいること。
あれは夢だった?幻だった?
泣くことも怒ることも出来なかった。
キアリーが日本に来たことはニュースになった。
その時にジュランと抱き合ってる写真も載っていた。
けど私はそれをなるべく見ないようにして仕事と育児に没頭した。
お父さんは普通のサラリーマンって言ってたんだけどな。
その後日本でも腕時計は売れ、品薄になるほどだった。
「…どお?」
「どお?って…」
「子供のことは話はしてあるから、一度会ってみるだけでも」
母の姉が私にお見合いの話を持ってきた。
「でも…」
「あんたも来月で40でしょ?そろそろ考えなさい」
そうだよね。私がずっと独身でいても誰かが迎えにくるわけじゃない!
「…わかった」
40歳目の前で初めてのお見合いをした。
「成川誠志です」
「豊島汐華です」
年齢は2つ上と聞いている。
証券会社に務めてて、バツイチ。子供はいない。
「仕事に没頭してる日々でなかなかご縁がなく知り合いにこのような機会を頂くことになりまして」
「…はい」
真面目そうな優しい感じがする。
「お子さんは何歳ですか?」
「3歳です」
お互い軽く仕事のこと家族のことを話し、また次回会う約束になった。
数回あった後、悠也をあわせると
「こんにちわ!」
成川さんがそう言うと、はじめは恥ずかしくって私の後ろに隠れてたけど、すぐに慣れて
「じゃ、肩車な」
「そ、そんな…」
「大丈夫ですよ!」
「やったぁー!!」
悠也は成川さんと楽しそうにしていた。
悠也はどっちかというと人見知りの方だと思うけどまさかこんなになつくとは…
「結婚を前向きに考えて正式なお付き合いをお願いしたいです」
真面目で、ちょっと不器用そうなところがあるけど、でもそれを隠そうとせず直向きなところに愛着を感じていた。
「…お願いします」
この人と家庭を築こう。
幸せになるんだ!
その半年後、私は入籍をした。
「誠志さん、忘れ物!」
「あ、ありがとう」
新婚…というのにはほど遠く、毎日が慌ただしい。
「行ってきます!」
「行ってらっしゃい」
誠志さんを送り出したあと、悠也を保育園へ
その後、会社に出社。
初めは誠志さんのご両親も驚いてた。
ハーフの悠也をみてえっ?て顔されたけど、今では可愛がってくれる。
うちの両親も晩婚すぎる娘の結婚に青喜び。
兄にやっとか…と言われる始末。
「汐華、これ」
「いつもありがとう」
誠志さんはよく仕事の帰りに何かしら買ってきてくれる
悠也にケーキ、お菓子、気に入ってる玩具、私にはお花だったりと…
「そんな気を使わないで」
「俺がしたいんだ」
笑みをみせながら言われると、こっちまで嬉しくなる。
優しい旦那さんにそして我が子、私には幸せな家庭ができたんだ。
どこか心の中にあるシコリはそのうち消えるだろうと思いながら、先に見ることにした。
結婚してから半年後に妊娠してることが、わかった。
年齢もあるので、子供がほしいなら早いうちにとは思ってたけど、こんなに早く授かるとは…
高齢出産もあるので早めに会社は辞めることにした。
「どっちかなー?」
悠也は、ワクワクしながら私に聞いてる。
「悠也はお兄ちゃんになるんだからしっかりしないとだね」
「うん!お兄ちゃんになる!」
悠也のときは一人だったし、初めての経験だったから今回は一度経験してるしって思ったんだけど、年齢もあってか歩けなくなるほどのめまいやら、嘔吐など不安定な時期が長く続いた。
あまりにひどいので点滴をしにいくこともあった。
「汐華」
「うん、大丈夫!」
誠志さんがすごく助けてくれて心強かった。
そして、その不安定が原因なのか思ってた時期よりも早く陣痛がきて、予定日よりも1ヶ月も早く女の子を出産。
未熟児としてしばらく病院で様子をみることとなった。
未熟児のベッドで寝てる我が子を手を入れられることろから、手を入れて触る。
「こんな小さいのによく頑張ったね」
「うん、ありがとね産まれてきて」
誠志さんと二人で赤ちゃんをみて一言。
そして茉莉花という名前をつけた。
私は先に退院出来たけど、茉莉花は退院するのに1ヶ月かかった。
「茉莉花、だっこするー」
初めて茉莉花を家に入れてすぐ悠也が言う。
悠也はもう6歳。なんとなくお兄ちゃんの顔になっていた。
茉莉花が4ヶ月くらいになった頃。
悠也はずっと生でプロ野球が見たいと以前から言っていたので、その日茉莉花を誠志さんの両親に預け、3人で野球観戦に言った。
「お父さん!」
今では誠志さんをお父さんと普通に呼べるようになって、誠志さんも実の子供のように接してくれてる。
「叫びすぎて喉乾いたね」
そう言って私は売店に向った。
誠志さんにはビール買って、私も早く飲みたいけどな、まだ母乳で育ててるしな…
と、アルコール類は諦め、悠也の大好きオレンジジュースと私はお茶でも…と思ったとき
「豊島さん?」
後ろから声が聴こえ振り向くと
「えっ!?」
ジュランさん!?
「お久しぶりです!」
「あー!ビックリしました。こんなところで…」
「お元気でしたか?」
「はい!ご活躍はテレビなどで拝見してます」
というと
「ありがとうございます。豊島さんのことずっと気になってんですよ」
ドキッとする。
ジュランさんはキアリーと私が恋人同士なのを知っていて、3人で食事をしたことも当時は何度もあった。
「…はい」
「おかあさーん!ホットドッグも欲しい!」
と言って私の方に向かってきた悠也。
「えっ!?」
ジュランさんはビックリした顔をしている。
「豊島さんの…お子さんですか?」
「…はい」
「…」
ジュランさんは悠也をみてハッとする。
「ま、ま、まさか…」
「悠也が、欲しいってきかないんだよ!」
と、あとから誠志さんがきた。そして、ジュランさんと向き合ってるのをみて
「あっ、お知り合い?」
と、誠志さんが言ったので
「あっ、えっと、主人です」
と、ジュランさんに紹介する。
「えっ?」
誠志さんがジュランさんをみて小さい声をだした。
テニスに興味なくてもジュランさんくらいのレベルなら知らない人はいない。
「はじめまして!郷山ジュランです。豊島さんは以前私の取材を何度かしたことがありまして」
「あー、そうでしたか。こんな有名な方の取材されてたんですね!知りませんでした」
「そういえば、ジュランさんも去年ご結婚されたんですよね?おめでとうございます」
「あっ、そうなんです。ありがとうございます」
そう言って笑顔で返してくれたが、きっと聞きたいことは1つ。
でも誠志さんもいる手前…
「あっ、すいません。妻を待たせてますので」
「はい!ジュランさん、お元気で」
「豊島さんも。ではご主人失礼します」
と、挨拶をして最後に悠也を見て行ってしまった。
「あんな人の取材してたんだね。ビックリしたよ」
「もうかなり昔の話よ」
この出来事が、今後1つの道が出来ることになるなんて知りもしなかった。
6歳年の差の兄妹もあって悠也は茉莉花をとても可愛がってくれた。
悠也が中学生になった頃。
私も家計の足しにと仕事を始めるようになった。
出版社の校正の仕事の募集があり、経験も長いことからすぐに採用された。
パートとはいえ、久々の仕事なので緊張する。
「成川さん、凄いですね、すぐにブランクあるとは聞いてましたけど、すぐに仕事が慣れて」
「取り纏めがうまいですよね」
「いえー、まだ手探りで」
とりあえず足引っ張ってないようでよかったー
悠也は中学生からテニスをしていたのだが、テニスの強豪校に高校は進学をしたいということで、少し離れた寮のある学校に行こことになった。
「頑張ってこいよ」
「ああ」
高校生になった悠也はキアリーの面影が少し見える。
日本人離れの顔に背も平均以上に高い。
父になってくれてる誠志さんはそんなことも気にせず相変わらず我が子として接してくれてる。
茉莉花はまだ小学生。悠也がいなくなることをとても寂しがっていた。
「お兄ちゃん…」
「電話するからな」
「うん!」
兄妹本当に仲がいい。
誠志さんは今では部長になり仕事はかなり忙しい。それでも家族は大事にしてくれた。
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