分岐点

詩織

文字の大きさ
1 / 1

分岐点

しおりを挟む
「気がついた?」

「…えっ?」

 な、に?ここは?

「あっ」

 会社の休憩室だ。

「日高さん、倒れたんだよ!」

 あっ、そういえば、一瞬ボーとして…

「今日はそのまま早退しなさいって課長がいってたから…、最近残業続きだったしね」

「すいません」

 私、日高亜里菜ひだかありな、26歳。システム会社に所属。今はゲームの開発をしている。

 素直に帰れることを喜び、今日はそのまま帰ることにした。

 最近ほんと遅かったしな。

 自宅のアパートに直行し、シャワーを浴びてすぐに爆睡した。

 翌日スッキリして出社するも、無理しないでと皆に言われた。

「日高、お前なーこん詰めすぎなんだよ!」

 先輩の土屋つちやさんに言われ

「すいません」

「全くお前は…、自分の身体をもっと大事にしろよ!」

 いつもキツイ言い方はするが、態度は優しい。

「先輩、何かあったら言ってください」

 横には後輩の楢山ならやま君。

「うん、ありがとう」

 私はひそかに、楢山君をいいなって思っていた。

 けど、3日前に彼女が居ることを知ってかなりショックだった。まぁこれだけいい男なら居て当たり前だけど、でもやっぱりショックだった。

「日高!」

「はい!」

「ちょっとこい!」

 土屋さんに呼ばれ

「今日の打ち合わせ、俺が引き継ぐからお前は今日は定時で帰れ!」

「えっ?駄目ですよ」

「あの会社の打ち合わせでると、夜遅くまでかかる。お前は今日は帰れ」

 口は悪いんだけどなー、そういうところがモテるのかもしれない。

 土屋さんに今日の打ち合わせの要点を説明し、こちら側ではこう思ってることなどを伝えた

「了解!元気になったらバシバシ行くからな」


 と、土屋さんがかなりサポートしてけれたお陰で体調は早く治った。

 土屋さん、口はほんとよくないんだけどなー

 でも、そこが土屋さんらしいという人もいる。


「おい、日高!飲みにいかね?」

 体調がよくなったことを確認して、土屋さんに飲みに誘われた。

 今回かなりお世話になったからなー

「了解です」

 その日、2人で飲みにいく。

「えっ?なに!?どうしたんですか?」

 飲みにいかね?っていうから、居酒屋かと思ったのに、ちょっと高そうなレストラン。

「まぁ、ちょっとな」

 と、苦笑いをしてる土屋さん

 はじめはワインで乾杯した。なんかビールのが似合うけどなーというのは、口に出さないでおこう。

「土屋さん、これってもしかして、フルコース!?」

「すげーだろ?」

「私ないですよ!こんな経験。マナーわからないですよ!」

 フォークもスプーンもいっぱいある。

「まぁ、2人だけだし適当でいいよ!」

「えっ!?」

 まぁ、お店の方に聞くのも逆に恥ずかしいしな。

 ということで、多分これだろうと思うものを使った。

 談笑しながら、メインのお肉がくる。

 そのお肉を吟味し落ち着いたところで

「なぁ、日高、俺と付き合ってくれね?」

「…えっ?」

「俺、日高となら楽しくできると思う」

「…」

「まずは友達からでいいからさ」

 まさか、そんな風に思われてたなんて。

 楢山君のこと少し気にはなってたけど彼女もいるし

「私、土屋さんのこと恋愛対象として今まで見たことないですよ」

「ハッキリ言うなー、じゃさ友達からはどお?」

 友達から…か。

「お試しでもいいからさ」

 うーん、それなら

「解りました。友達としてまずはよろしくお願いします」

 こうして土屋さんと友達から付き合いをはじめた。


 はじめの3ヶ月は本当に今までと同じ先輩後輩関係にプラスして友達みたいな状態だった。それ以降は少しずつ恋愛対象とみるようになった。

 土屋さんから、直哉なおやさんと呼ぶようになり、私達は恋人して交際をしている。

 相変わらず口は悪いけど、凄い大事にしてくれる。その優しさがとても幸せで、ずっと居たいなとも思っていた。

 そして交際から半年後

「俺、結婚したい!亜里菜、俺と結婚してくれないか?」

「はい!」

 私は最愛の人と結ばれる子とになった。

「あのさ、仕事は辞めてほしいんだけど」

「えっ?」

 特に社内恋愛も禁止でないから、勿論結婚も問題ない。

「なんで?」

「やっぱり、女性は家庭に入ってほしいなって」

「えっ?でも今までそんなこと…」

「まぁ、恋人のときはな。でも結婚したら家庭を守ってほしいんだ」

 私自身もかなりのスキルは身に付いてるので、子供が出来れば仕方ないが今のタイミングで辞めるのは納得したくない。

「だめかな?」

 直哉さんにそう言われたら…

 私はしぶしぶわかったといい、寿退社をすることになった。

 送別会兼結婚祝いを部内でしてくれてかなり盛り上がった。

「楢山君、元気でね」

「…はい」

 楢山君とお別れは忍びない…って、もう人妻だし!!そんな気持ちで会社を退職した。


 はじめのうちは早く帰ってきてくれたが半年もすると毎日遅い。仕事が大変なのかとも思うが…でも、徹夜の時も多い。そんな仕事じゃないでしょう!

 おかしすぎると思い、同期の丸川恭子まるかわきょうこにLINEをしてみた。

 すると

「もしもし」

 電話がきた。

「お久しぶり元気だった?」

「うん。あのさ…」

「えっ?なに?どうしたの?」

 恭子は声がどもった。もしかしたら私が聞きたいことがわかったのかもしれない。

「…土屋さんのことだよね?」

「…あっ、うん」

「亜里菜、悪いことは言わない。別れたほうがいい」

「えっ!?なにがあったの?」

 恭子の話だと、毎日のように違う女性とほてるに入ってるという

「な、な、間違いじゃ…」

「うちの弟がホテルの受付してて、以前私と弟で買い物したとき、土屋さんとバッタリ会ったことがあってね。だから覚えてるのよ」

「そ、そんな…」

「弟に言われて私も行ったけど、間違いないわ」

 な、な、どういうこと!?

「亜里菜に連絡しようと思ったんだけど、本当にしていいか迷ったんだけど、でも亜里菜には不幸になってほしくないから、やっぱりいおうと思ったら、亜里菜からLINEきたんで」

 その後詳しく話をきき、電話をきった。



 夜中の3時。

 玄関が開く音が聞こえる。

「直哉さん、お帰りなさい」

「あっ、ああ、ただいま」

「…Aホテルからお帰りかしら?」

「!?」

 ビックリした顔になり

「…知ってるのか?」

「…本当だったのね。どういうこと?」

「…」

「結婚してすぐ浮気って、どういうかとなの?しかも1人だけじゃなく…」

「…」

「な、なんなのよ!!」

 怒りが押さえられない。

「…浮気じゃない」

「はっ!?」

「…浮気ではい」

「な、何いってるの!?ホテルの部屋に2人で入ってんでしょ?」

「…ああ」

「で、することはしてるんでしょ?」

「…ああ」

「それの浮気じゃないって、頭おかしいんじゃない?」

「違うんだ」

「何がよ!」

「彼女たちは…、側室なんだ」

「はぁ!?」

 な、何いってるの!?幕末の時代の将軍じゃあるまいし

「嘘ももう少し」

「嘘じゃないんだ!うちの家系は代々名家でね、幕末はお城の主をご先祖はしてたんだ。」

「それは…、話してくれたことあるじゃない!」

 たしかに、直哉さんからそんな話を聞いたことがかる。

「ただ、男系がどうしても少なく、明治、大正、昭和、そして今の時代も側室を代々受け継いでて…、その理由は俺たち男系には特殊な能力が引き継がれてるらしく、とはいっても全員の男ではなく、その子が産まれるまでは…」

「…ちょっと待って!そんなのしんじられるわけが」

「俺は、側室の子なんだ」

「…え?」

「正室からはその能力をもった男が産まれなかったので、側室で男が産まれた俺を正室の子として俺は育てられたんだ」

「じゃ、直哉さんのお父さんも…」

「ああ、3人側室がいた。そのまたじいちゃんも4人いたと聞いてる。」

「お義母さんはそのことは」

「勿論知ってる」

 な、信じがたい話。今の時代でそんなことあるの!?

 そんなのあるわけないじゃない!一夫多妻ってこと?ここは日本なのよ!

「俺が愛してるのは変わらず亜里菜だけだ!それは変わることはない!」

「そ、そんなの、そんなこと言われたって、そんなの…、ずっと黙って見守るってことなの!?」

 それが当たり前のように言われる。話に着いていけない。

 直哉さんはすぐに両親に電話した。そして

「お袋」

 直哉さんのお義母さんぽい

「…もしもし」

「亜里菜さん、話しは聞きました。確かにはじめはこの決まりが私も納得いきませんでした。でも…、この家系はずっとこうやって子孫をはんえいしてたんそうで。直哉も私の子ではなけど、それでも我が子と同じように育てる。これが決まり。私はここの嫁にきたことで普通の家庭をあきらめたした。」

「…」

「直哉は貴方をとても大事にしてます。そのことさえ割りきれれば、問題ありませんよ」

 そのこと…って、そのことが一番大事なんでしょう!!

 私はお義母さんのように割りきれないわ!

 その後はもう、私だけが割りきれればと説得される。1番いいのはそんなこと辞めてほしい。でもこの家系ではその選択肢がなかった。

「ごめん、やっぱり無理」

「亜里菜…」

「何度話し合っても無理!ごめん」

「俺ずっと、亜里菜のこと好きだったんだよ!」

「…」

「亜里菜を手放したくない」

「…でも、家系のしきたりはするんでしょ?」

「…」

「なら、ごめん!!私は無理」

「おれ、本気で愛してるんだよ!離したくない!亜里菜しかいないんだ」

 それだけ愛してると言っても、他の女を抱くというのが納得いかない。

「私だってもう、どうしていいのかわからないのよ!!でもこのままなんて嫌!!」

「亜里菜!」

「お願い!離婚して!」

 こんなやり取りをし、離婚には同意してくれないが、明日には家をでることにした。

 これからは弁護士を通して…、そう考えてた。

 なんでこんなことに…、なんでこんな風習が…、どうしても納得いかなかった。


「なにこれ!?」

 翌日目を覚ますと、手足にロープがついてる。

「…なにしてるのよ!」

「出ていくって言うからだろ!!」

 私は手足を縛られて動けなくなっていた。

「直哉さん!!」

「お前を手放したくない!お前は俺だけ見てればいいんだよ!」

「…」

「じゃ、行ってくる」


 …地獄だ!こんな…

 家に帰ってくるまで食事は与えられない。けど、その食事も拒んでる。

 排便も縛られてるので行くこともできず、このまましまくってる。

 匂いがキツイことから、既に隔離されそんな状態が2週間続いた。

 全く食事をしてないことから、腕のロープが緩くなった。

 そしてとることができ、スマホ…ない!

 家の電話…切られてる!!

 外に出て助けを…

 玄関を出て

「誰か、助けてください!!たすけてぇー!!」

 外に出ても歩くことができない。監禁状態だったことで、歩く力もなくなってる。

 私は這いつくばって、エレベーターに乗り、一階にたどり着いた。マンションを出て

「助けてぇー!殺される!助けてください!!」

 大声で叫ぶと

「ど、どうしてんですか?」

「救急車!!」

 何人かの人がそう言ってるのが聞こえ、私は意識を手放した。




「気がついた?」

「…えっ?」

 な、に、ここは?

 ここ、見覚えある。

 ここって…

「日高さん倒れたんだよ!」

「今日はそのまま早退しなさいって課長がいってたから…、最近残業続きだったしね」

 えっ!?ちょっと待って…

 これ、覚えかある。

 夢!?でも、そんな…

 私は言われるがまま早退した。

 これってまさか…

 私は不安になりつつも、結婚前のマンショにいくと

「どういうこと?」

 そのままだった。

 これは夢!?寝れば目が覚めるんだろうか?

 そんな疑問がありつつも、ベッドに横になる。

 それにしてもハッキリしてる。

 夢の出来事だと想いつつも、私は眠りにつき、翌朝迎えた。

「夢なのに寝て翌朝になるなんて…」

 どういうこと!?


「日高、お前なーこん詰めすぎなんだよ!」

 な、直哉!?

「…」

「全くお前は…、自分の身体をもっと大事にしろよ!」

 やっぱり、過去に戻ってる!?

「先輩、何かあったら言ってください」

 楢山君!?

「う、うん、ありがとう」


「日高!」

「はい!」

「ちょっとこい!」

 土屋さんに呼ばれ

「今日の打ち合わせ、俺が引き継ぐからお前は今日は定時で帰れ!」

 こ、これは…

「あの会社の打ち合わせでると、夜遅くまでかかる。お前は今日は帰れ」

「いえ、今回は私の管理不足です!早く帰ったことで体調もよくなりました。今日の打ち合わせは、課長と相談します。ご心配ありがとうございます」

「おい!日高!」

「大丈夫です!今後はしっかり自分の体調管理しますので」

 このとき、直哉に代行してもらい、それから更に仲良くなったんだった。

「土屋さんも自分のお仕事ありますし、私のことは大丈夫です!ありがとうございました」

「お、おい!!」

 私はそう言って直哉から離れる。そして課長に相談し、課長と楢山君が一緒に出てくれることになった。

「ごめんね、サポートお願いして」

「いえ、気にしないでください」

 確か彼女がいてショックうけたのがこのじきだったんだよな

 ちょっとした失恋だけど、楢山君のことはやっぱりいいもんな。まぁ、隠れファンってことにするか

 打ち合わせはやっぱり遅くなった。議事録のまとめとかは、明日にすることにして本日は帰ることにする。すると

「えっ!?」

「これ、昨日の議事録?」

「あっ、はい!チェックお願いします」

 楢山君は議事録のフォルダを教えてくれる。

「いつやったの?」

「今日朝、30分くらい朝早くきてやりまして」

「そうなの?ごめんね!」

「いつも、サポートしてくれるのは日高さんの方です。このくらいたいしたことじゃないです」

 あー、やっぱり楢山君はいい人だなー

 今後の方針も方向性をきめ、この企画の仕事に落ち着いたとき

「日高!ちょっと」

 土屋さんに呼ばれた

「今日飯いかね?」

「えっ!?」


 ずっと、好きだった


 その言葉がよぎった。

「あ、あのすいません。今日ちょっと予定が」

「じゃあさ、明日は?」

「あ、明日は…」

「明日はすいません。俺と約束があるんです」

「楢山?」

「日高さん、ちょっと急ぎの頼みがあると課長言ってました」

「あ、ありがとう!じゃ、すいません、土屋さんまた…」

 私と楢山君は部署に戻った

「ごめん、助かった」

「いえ、俺は少し本気だったんですが」

「…えっ?」

「明日の約束」

「な、な、なに言ってるのよ!彼女いるのにそんなこと言っちゃだめよ」

「…えっ?彼女?」

「…いるって聞いたけど」

「居るって言いましたが、それは断る理由です。実際はいませんよ」

「えっ?そうなの!?」

 やばっ!大声でいってしまでた。

「はい。だから日高さんはご飯行けますよ!いつもお世話になってるし、ゆっくり話したいです」

 そ、そんな笑顔でいわないでぇー!!


 翌日定時が終わって30分後、会社の外で待ち合わせをし

「ごめん、おまたせして」

 先に楢山君は待っていてくれて

「いいえ、では行きましょうか」

 そう言って2人でお店に向かった。

 こんなこと、現実ならありえない。夢の中で楢山君と2人で飲みに行けるなんて…

 じゃ、夢なら…、夢ならちょっと勇気だしてみてもいいかな?

 お店は洋風の居酒屋で、値段もそんなに高くなく落ち着いた雰囲気だった。

「じゃかんばーい!」

「楢山君と2人で飲みに行くことなんてなかったよね!」

「そうですね、機会ほしかったのでよかったです」

「そっかぁー、私もうれしい」

 そんな話から仕事の話らプライベートの話などと色々した。

 休みの日は、よくランニングをしてるらしい

「学生時代は陸上してたんですけど、社会人になってからそういうのする場所なくなりますしね、なので休みの日はよくランニングしてます」

「へぇー」

「日高さんは、何かされてることあるんですか?」

「たいしたことじゃないんだけど、映画が大好きでねー、最新のから昔のまで全部チェックしてて、DVDだけでも500近くあるかな。実家にもかなりあるんだけど、半分はおいてきた」

「すげー!そんなに?」

「うん。だって自分たちと違う世界が見れるのって楽しくって」

 こんな映画の話、直哉さんとしたことなかったな。

「じゃ、今度お勧め教えてください」

「あっ、うん!」

 いや本当に夢みたい!ってか、夢だけど…


 店を出て少し2人で歩いた。

「ねぇ、楢山君」

「はい」

「…私ね、前から楢山君のこといいなーって思ってたの」

「…えっ!?」

「あっ、でも、それ以上は望んでないよ!だって、楢山君若いし今彼女居なくてもすぐに可愛い彼女できると思うし」

「…」

「気持ち言えただけで満足だから」

 楢山君は爽やか系のイケメンだしな。こんな年上の私じゃ、先輩後輩としてならこうやって飲めたりしても、男女としては厳しいだろうしね

 チラッとみると、少し考えてる。

「あっ、ごめん!気にしないで!ほんと、もう忘れちゃっていいから」

「…日高さん」

「ん?」

「俺、日高さんのこと先輩として尊敬してて、時には姉のな感じでしかみたことありません」

「…う、うん。そっかぁー、言ってくれてありがとう」

 彼女いなくても、失恋だったか…。夢なら実って欲しかったが、そこまで甘くないってことか。

「…これから少しそういう意識してみていいですか?」

「…えっ?」

「俺、日高さんとならうまくやっていけそうな気がして、今までそういう風にみてなかったので、少し意識してみようかなっと」

「えっ?でも、自分から言ってなんだけど、年上のおばちゃんだよ」

「3歳しか変わらないじゃないですか!」

「そうだけど…」

「少し時間ください。それからでいいですか?返事は」

「…うん」

 これって、前向きに検討みたいな?そんな感じ?



 その後、特に変化はない。ただ、直哉さんが隙をみて声をかけてくる。その度に

「ごめんなさい。予定が」

「ちょっと、終わらせたい仕事あるんで」

 と断ってなるべく直哉さんと会わないように意識していた。

 この時はそこまで意識してなかった人だったし、何よりもこの先のことを知ってるだけに余計に距離を置きたくなる。

 それから数回楢山君とは2人で飲みに行った。けど、私の返事は全くなく、私の映画の話や楢山君の学生時代の話などをしていた。



 そして数ヶ月がたったころ

「日高!俺避けられてる?」

 休憩コーナーでコーヒーを飲んでてボーとしてたら、後ろから直哉さんがきた、

「えっ?いや、そんなことは…」

「俺、嫌われるようなことした?」

 この時点ではしてないけど…

「いえ、してませんけど」

「急に避けられてるから凹むんだが」

 そりゃそっか…、でもあそこまでする直哉さんとは関わりたくない!

「いや、あの、すいません」

「俺と飲みにとか無理?」

「あっ、えーと」

 困ったな。夢だしハッキリ言うか。でもどうハッキリ言うのよ!

 嫌いだと言ってしまった方がいいのか?と、考えてると

「土屋さん、すいません」

「ん?なんだ、楢山か」

「日高さんは、俺の…、俺の彼女なんです」

「はあ!?お前ら付き合ってたの?」

「ええ、最近ですけど。ですのですいません。仕事のことであれば俺も理解しますが、個人的な誘いは辞めて頂ければと」

「まじか!」

 あっけにとられた直哉さん。

 直哉さんは、悔しそうな顔をして

「…わかったよ」

 そう言って休憩コーナーから出ていった。

「あっ、ありがとう!助かった」

「い、いえ」

「仕事中なんで、ここまでにしときますが、俺的には今のが返事です」

「…えっ?」

 それって…

「今日は一緒に帰りたいです」

「う、うん!!」

 やばい!うれしすぎる!!

 こうして私たちは付き合いだした。

 特に隠してもいなかったので、楢山君のファンもいたことで私を悪く言う噂もあった。でもいつも私を守ってくれてそれが嬉しかった。

「亜里菜さん」

 週末はどちらかの家にお泊まりすることが多い。

 楢山君…、かいといるのが本当に嬉くって、今も後ろから抱き締められてて

「はぁー」

「えっ?どうしたの?」

「亜里菜さんかわいすぎって無理!」

 顔を横にむかせてキスをされる。

 あー、これが覚めたら現実は…

 嫌だ!もう夢の中でいい!

 魁、貴方といたい!離れたくない!

 そんな気持ちが態度にでて

「もう、そんなしがみつかなくって俺いなくならなよ!ほんと可愛いな」

 笑顔で言われる。

 私は仕事も恋愛も充実していた。

 そして

「うん、じゃ先に行ってるね」

 仕事が終ってデートをする時は、いつも決まった店に待ち合わせをすることが多かった。

 魁は客先に電話をする約束をしてて、それが30分後になってた。なのでいつもの店に先に行くことにした。

 ちょっと、寄り道していくか。

 欲しいDVDあったんで買ってからいくかな。そう思ってお店に向かったとき

 !?

 暴走してる車がこっちに向かってきて避ける暇もなかった。

ぶつかる!!と思ったとき前が暗くなっていた。

あー夢が終わっちゃった…




「…ん」

あー、生きてる…の?

ここは…?

病院…か。

そして

「気がついた?」

「…ひっ!?」

目の前には…

目の前には…

直哉さんがいる。


私、私は、逃げられないの!?

「た、た、たすけ」

「…大丈夫だよ」

小さい声で言う直哉さん

「聞いて!」

ビクッ

「君は…、俺と結婚してないよ」

「…えっ?」

なに?どういうこと!?

「あー、気がついた?」

と言って入ってきた魁。

「えっ?」

どういうこと!?

「亜里菜さんが事故にあったと連絡先あって、土屋さんが車で通勤してたから車出すって言ってくれて」

な、なに!?

「土屋さん、助かりました」

「会社の前、タクシーなかなか捕まらんしね」

「足を骨折してるけど、他は大丈夫と言われた。念のため頭の検査はするけど」

「あ、あの私…」

「覚えてない?車にぶつかったんだよ!」

えっ?じゃあ…

じゃあ…

魁とは夢でなかったてこと!?

「か、魁?」

魁は優しそうに私をみつめ、頭を撫でてくれた。

「心臓が出るかと思ったよ!」

で、でも…

じゃあ、今の直哉さんの

『君は…、俺とは結婚してないよ』

私は直哉さんを見た

そうすると優しそうにみて、軽く頷いてる。

!?

これってまさか…

『正室からはその能力をもった男が産まれなかったので、側室で男が産まれた俺を正室の子として俺は育てられたんだ』

これが能力!?

「あ、あの…」

私は直哉さんに向かって言おうとしたとき

「俺は帰るよ、日高!」

「は、はい!」

「…幸せに…なれ!」

「…」

そう言って直哉さんは病室から出ていった。

こんなことってあるんだろうか!?

でも…

「亜里菜さん、生きててよかったよ…」

安堵の顔をしたかと思うと魁はキスをして

「もう、亜里菜さんナシじゃ無理だから、その先の台詞は退院してからね!」

意地悪そうに言う魁。



直哉さん、ありがとう…

しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

復習

詩織
恋愛
私は優しいから大丈夫。

私の息子を“愛人の子の下”にすると言った夫へ──その瞬間、正妻の役目は終わりました

放浪人
恋愛
政略結婚で伯爵家に嫁いだ侯爵令嬢リディアは、愛のない夫婦関係を「正妻の務め」と割り切り、赤字だらけの領地を立て直してきた。帳簿を整え、税の徴収を正し、交易路を広げ、収穫が不安定な年には備蓄を回す――伯爵家の体裁を保ってきたのは、いつも彼女の実務だった。 だがある日、夫オスヴァルドが屋敷に連れ帰ったのは“幼馴染”の女とその息子。 「彼女は可哀想なんだ」 「この子を跡取りにする」 そして人前で、平然と言い放つ。 ――「君の息子は、愛人の子の“下”で学べばいい」 その瞬間、リディアの中で何かが静かに終わった。怒鳴らない。泣かない。微笑みすら崩さない。 「承知しました。では――正妻の役目は終わりましたね」

秘事

詩織
恋愛
妻が何か隠し事をしている感じがし、調べるようになった。 そしてその結果は...

頼まれ恋愛

詩織
恋愛
父娘の家庭。そんなときに大きな出来事が… そのことで今までの生活が変わっていく

からかう

詩織
恋愛
同期で好きな彼にいつもちょっかいを出されてた。はじめはそんな関係も嫌いじゃなかったが…

私のところの執事がスキンシップ過多なんですがどうすればいい?

下菊みこと
恋愛
異世界にもネット掲示板的なのがあったら? 小説家になろう様でも投稿しております。

私達のお正月

詩織
恋愛
出会いは元旦だった。 初詣に友達といってる時、貴方に出会った。 そして、私は貴方に恋をした

有名俳優の妻

うちこ
恋愛
誰もが羨む結婚と遺伝子が欲しかった そこに愛はいらない

処理中です...