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3.きみの側で過ごしたい
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ベタついた体を簡単に洗い風呂場を出る。
ガシガシと乱暴にタオルで髪を拭きながら、ふと洗面所の鏡を見た。
「あー⋯、だいぶ傷んできてるな⋯」
ヤる度に彰が歯を立てるせいですっかりボロボロになったチョーカーが目に入る。
ところどころ擦り切れそうになっているその革のチョーカーをそっと指でなぞって。
“⋯それだけこいつも一緒に過ごしたんだよな⋯”
革がこんなになるまでずっと彰と過ごした時間を思う。
8年という月日は、長くて短い。
あっという間のようで本当に幸せの積み重ねだった。
「⋯だからってこのままには出来ないしな⋯」
ポツリとそう呟いた俺は、もうすぐ来るだろうヒートが終わったら買い替えようと考えながら風呂場を後にした。
そして予想通り、あっさりとヒートの来た俺は有給を取ってくれた彰と文字通りずっと抱き合っていて。
「ん、ふぁ、ぁあんっ」
「ん、れん、れん⋯っ!」
俺の匂いにあてられたのか、いつもどこか余裕のある彰がこの時だけは余裕なく何度も抱く。
俺のために作られた俺の大好きな人の部屋で、溶け合うように体を重ねるこの瞬間が、いつも以上に余裕なく求められる事が何よりも嬉しくてー⋯
「ん、蓮、噛みたい、お願い、俺と番に⋯」
「ぁ、んぁっ、あぁあ⋯ッ」
「好きだよ蓮、れん⋯っ、すき⋯」
いつものようにガジガジと彰がチョーカーを噛みながら誘惑するように俺を促す。
頷きたい、頷けない。
彰のものにして欲しくて、俺のものにならないことが苦しくてー⋯
そんな時だった。
ブチッと変な音がして、蕩けていた脳が一気に覚醒する。
ポトリとベッドに落ちたのは、噛み切れてしまった俺のチョーカーでー⋯
「⋯は、ぁ⋯?」
一瞬理解できずポカンとチョーカーを眺めた俺は、『チョーカー越しではない』彰の舌にゾクリとした。
本当は誰よりも望んでいた唯一の誓い。
そして誰よりも怖がった運命への畏れ。
このまま噛まれたいという自身の欲求が背筋を走り、じわじわと脳を侵食する。
“このまま彰の番になりたいー⋯”
だけど。
もしこれから先の未来で彰を失ってしまったとしたら⋯。
彰が、彰の運命の番と出会ったとしたらー⋯
ゾッとした。
誰よりも望み、彰からも望まれているとわかっているのに⋯
ぢゅ、と首に吸い付かれ、ゆっくりと歯を立てられる気配を感じー⋯
「噛むな!!!」
気付けば怒鳴るようにそう叫んでいた。
俺の声にビクッとした彰は、そのまま何も言わずバックで強く何度も突く。
右腕で腰を掴み、揺するように荒く動かされパチパチと何度も目の奥に星が散り、その度に意識が何度もトんでは引き戻された。
“首⋯隠さなきゃ”
そう思うものの、いつもよりも激しい抽挿に俺は嬌声を零すしか出来なくて――
白濁しているはずの精液が、イきすぎて透明になるまで何度も繋がる。
いつもチョーカーの上から何度も何度も噛みつくくせに、俺が怒鳴ったからか首元に彰の吐息すら感じない。
それどころか誘うように色んな言葉を伝えてくれる彰が一言も発さないという違和感にやっと気付いた俺は、イきすぎてガクガクと震える体を叱咤しなんとかバックで突いている彰の方に顔を向けー⋯
「⋯あ、きら⋯?」
その光景に、一瞬で青ざめた。
「な、おま、やめ、やめろって⋯!」
それまでに何度も達していたからか、それだけ衝撃的な光景だったからかヒートを起こしているはずなのに正気に戻った俺は、それどころじゃないと彰のを自身のナカから抜こうとして――
「ひ、ひゃぁん!」
無理やり奥まで一気に抉られ嬌声をあげる。
深く的確に俺のツボを抉るその快感でまた達しそうになるが、それでもここで流される訳にはいかないと必死に叫んだ。
「と、止まれって、お前、血⋯っ、腕から血が出てる、からぁ⋯ッ!」
必死に腕を後ろに回し彰を止めようとする。
それでも彰は止まってくれず、その抽挿は彰がナカで達するまで続けられた。
ゴム越しにビュクビュクと彰のを感じた俺は、その時ばかりは余韻に浸らずすぐに彰のを抜く。
そしてすぐに振り向き彰の腕に飛び付くと、彰の頬を撫でながらそっと口から腕を離させた。
「お前なんでこんな、とりあえず消毒⋯いや先に洗った方がいい、のか?」
じわじわと滲む血に冷や汗をかく。
“これ、俺が噛むなって言ったから⋯だ、よな?”
腕をこんなにしてしまう程の強い欲求を、俺の為にと堪えてくれた彰に胸が苦しいくらい締め付けられた。
「彰、あの⋯ごめんな、その、ありが⋯」
俺の為に耐えてくれた彰にお礼を言おうとそっと彼の顔を覗き込み、その表情に息を呑む。
――いつも穏やかな、でも俺を強く求める意思の強さも見え隠れするそのタレ目に涙が溢れているのを初めて見たから⋯。
「あ、き⋯」
俺が名前を呼び終わる前に立ち上がった彰は、さっと服を着て玄関に向かった。
“待って”
“行かないで”
“泣かないで”
頭の中で警鐘が鳴る。
体がガクガク震えているのは、散々イかされたからか彰が行ってしまうからなのかー⋯
声をかけたいのに、俺の口からはひゅーひゅーとした空気が漏れるだけだった。
「⋯蓮が、なんでそんなに番になりたがらないのかわかんないよ⋯、ごめん、ちょっと頭冷やしてくる。蓮は危ないから外出ちゃダメだよ?」
玄関を出る寸前、少しだけ振り向いてくれた彰と目が合った。
俺より絶対苦しそうな表情の彰は、それでもやはりヒートの俺を案じてくれていてー⋯
“あんな顔、させるつもりじゃなかったのに”
悔しくて、苦しくて、痛くて。
彰に釣られたのか俺の目も涙が滲み、出ていく彰が揺れて見えない。
なんで、どうして。
何がダメだったのか。
「俺はただ、怖かったんだ⋯」
失うことが怖くて、彰の居なくなった日常を恐れて。
この居心地のいい部屋も。
俺の為に作られたこの空間も全部全部、彰が居なくちゃ意味なんてないのに。
ガシガシと乱暴にタオルで髪を拭きながら、ふと洗面所の鏡を見た。
「あー⋯、だいぶ傷んできてるな⋯」
ヤる度に彰が歯を立てるせいですっかりボロボロになったチョーカーが目に入る。
ところどころ擦り切れそうになっているその革のチョーカーをそっと指でなぞって。
“⋯それだけこいつも一緒に過ごしたんだよな⋯”
革がこんなになるまでずっと彰と過ごした時間を思う。
8年という月日は、長くて短い。
あっという間のようで本当に幸せの積み重ねだった。
「⋯だからってこのままには出来ないしな⋯」
ポツリとそう呟いた俺は、もうすぐ来るだろうヒートが終わったら買い替えようと考えながら風呂場を後にした。
そして予想通り、あっさりとヒートの来た俺は有給を取ってくれた彰と文字通りずっと抱き合っていて。
「ん、ふぁ、ぁあんっ」
「ん、れん、れん⋯っ!」
俺の匂いにあてられたのか、いつもどこか余裕のある彰がこの時だけは余裕なく何度も抱く。
俺のために作られた俺の大好きな人の部屋で、溶け合うように体を重ねるこの瞬間が、いつも以上に余裕なく求められる事が何よりも嬉しくてー⋯
「ん、蓮、噛みたい、お願い、俺と番に⋯」
「ぁ、んぁっ、あぁあ⋯ッ」
「好きだよ蓮、れん⋯っ、すき⋯」
いつものようにガジガジと彰がチョーカーを噛みながら誘惑するように俺を促す。
頷きたい、頷けない。
彰のものにして欲しくて、俺のものにならないことが苦しくてー⋯
そんな時だった。
ブチッと変な音がして、蕩けていた脳が一気に覚醒する。
ポトリとベッドに落ちたのは、噛み切れてしまった俺のチョーカーでー⋯
「⋯は、ぁ⋯?」
一瞬理解できずポカンとチョーカーを眺めた俺は、『チョーカー越しではない』彰の舌にゾクリとした。
本当は誰よりも望んでいた唯一の誓い。
そして誰よりも怖がった運命への畏れ。
このまま噛まれたいという自身の欲求が背筋を走り、じわじわと脳を侵食する。
“このまま彰の番になりたいー⋯”
だけど。
もしこれから先の未来で彰を失ってしまったとしたら⋯。
彰が、彰の運命の番と出会ったとしたらー⋯
ゾッとした。
誰よりも望み、彰からも望まれているとわかっているのに⋯
ぢゅ、と首に吸い付かれ、ゆっくりと歯を立てられる気配を感じー⋯
「噛むな!!!」
気付けば怒鳴るようにそう叫んでいた。
俺の声にビクッとした彰は、そのまま何も言わずバックで強く何度も突く。
右腕で腰を掴み、揺するように荒く動かされパチパチと何度も目の奥に星が散り、その度に意識が何度もトんでは引き戻された。
“首⋯隠さなきゃ”
そう思うものの、いつもよりも激しい抽挿に俺は嬌声を零すしか出来なくて――
白濁しているはずの精液が、イきすぎて透明になるまで何度も繋がる。
いつもチョーカーの上から何度も何度も噛みつくくせに、俺が怒鳴ったからか首元に彰の吐息すら感じない。
それどころか誘うように色んな言葉を伝えてくれる彰が一言も発さないという違和感にやっと気付いた俺は、イきすぎてガクガクと震える体を叱咤しなんとかバックで突いている彰の方に顔を向けー⋯
「⋯あ、きら⋯?」
その光景に、一瞬で青ざめた。
「な、おま、やめ、やめろって⋯!」
それまでに何度も達していたからか、それだけ衝撃的な光景だったからかヒートを起こしているはずなのに正気に戻った俺は、それどころじゃないと彰のを自身のナカから抜こうとして――
「ひ、ひゃぁん!」
無理やり奥まで一気に抉られ嬌声をあげる。
深く的確に俺のツボを抉るその快感でまた達しそうになるが、それでもここで流される訳にはいかないと必死に叫んだ。
「と、止まれって、お前、血⋯っ、腕から血が出てる、からぁ⋯ッ!」
必死に腕を後ろに回し彰を止めようとする。
それでも彰は止まってくれず、その抽挿は彰がナカで達するまで続けられた。
ゴム越しにビュクビュクと彰のを感じた俺は、その時ばかりは余韻に浸らずすぐに彰のを抜く。
そしてすぐに振り向き彰の腕に飛び付くと、彰の頬を撫でながらそっと口から腕を離させた。
「お前なんでこんな、とりあえず消毒⋯いや先に洗った方がいい、のか?」
じわじわと滲む血に冷や汗をかく。
“これ、俺が噛むなって言ったから⋯だ、よな?”
腕をこんなにしてしまう程の強い欲求を、俺の為にと堪えてくれた彰に胸が苦しいくらい締め付けられた。
「彰、あの⋯ごめんな、その、ありが⋯」
俺の為に耐えてくれた彰にお礼を言おうとそっと彼の顔を覗き込み、その表情に息を呑む。
――いつも穏やかな、でも俺を強く求める意思の強さも見え隠れするそのタレ目に涙が溢れているのを初めて見たから⋯。
「あ、き⋯」
俺が名前を呼び終わる前に立ち上がった彰は、さっと服を着て玄関に向かった。
“待って”
“行かないで”
“泣かないで”
頭の中で警鐘が鳴る。
体がガクガク震えているのは、散々イかされたからか彰が行ってしまうからなのかー⋯
声をかけたいのに、俺の口からはひゅーひゅーとした空気が漏れるだけだった。
「⋯蓮が、なんでそんなに番になりたがらないのかわかんないよ⋯、ごめん、ちょっと頭冷やしてくる。蓮は危ないから外出ちゃダメだよ?」
玄関を出る寸前、少しだけ振り向いてくれた彰と目が合った。
俺より絶対苦しそうな表情の彰は、それでもやはりヒートの俺を案じてくれていてー⋯
“あんな顔、させるつもりじゃなかったのに”
悔しくて、苦しくて、痛くて。
彰に釣られたのか俺の目も涙が滲み、出ていく彰が揺れて見えない。
なんで、どうして。
何がダメだったのか。
「俺はただ、怖かったんだ⋯」
失うことが怖くて、彰の居なくなった日常を恐れて。
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