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第一話 洗礼式と領地の授与
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王国建国から161年の五月ごろ。第八代国王ローサス王の治世23年目。
王国の北にあるエルラント辺境伯領の朝が始まった。領都の市場が開き、領都全体が賑わい始める。領都の道を動く馬車の音、会話を楽しむ領民の声。
そんな音や声に釣られたのか僕は目を覚ました。
寝室の窓からは日の光が差し込み部屋全体を照らしていた。その眩しさから目の前に手を出した。出した手はまめなどはない綺麗な手だが、力のありそうな手でもあった。
いつもは起きたらその手で剣術を学び、書物を開いてはその内容を頭に入れ、魔法を勉強していたんだろう。その意欲と持ちうる知識の量は同世代を遥かに超えていた。
それもそのはずだ。なぜなら僕、リーゼン・エルラントには前世の記憶がある。
僕の前世は日本国内でも上位の高校に通う生徒だった。三年生のなかでも成績は上位、国内最上位の大学もA判定だった僕は、勉強で寝ることができずに翌日自転車で学校に登校したさい車に轢かれて死亡した。
記憶が戻ったのは七歳くらいの時だった。記憶が戻ったときに、記憶が戻る前までのリーゼンの記憶が見れたおかげで会話をする時なども不便はなかった。
この世界で目覚めてから毎日欠かさずしたことがあった。それは「魔法」だった。
この世界には前世で憧れだった魔法が存在していた。だからこそ僕は毎日朝になったら剣術と魔法を訓練し、昼からは勉強を行っていた。
しかし今日は違った。
今日は12歳になる誕生日。そして一生に一度しかない洗礼式の日だった。
この世界では12歳の誕生日の日に教会で洗礼を受けるのだ。この洗礼は身分を問わず行われる一方で、とても重要な意味を持つ。
神より与えられた加護や、魔法の適正、魔力量や武力、スキルなどがステータスとして数値化されるのだ。
このステータスがよければ平民なら人生を謳歌できる役職につけたり、貴族なら家督相続に有利になる。一方で悪ければ、平民ならその日から労働をさせられ、貴族であっても一族を追放される可能性が出るなど重要な式だった。
(そう、平民だろうと貴族だろうと、この12歳の洗礼で今後の人生が有利か不利か決まるのだ)
僕はそう考えながら着替えをし、寝室の窓から領都を見渡した。
エルラント辺境伯領。南に東西に長い山脈があり、ちょうど領内を東西に分けるかのように領内の中央には南北に長い山脈があった。その山脈より東側には人間族が住んでいるが、西側には代官を配置している異種族の住む都市がある。
トントントン
「リーゼン様! 辺境伯様と奥様、お兄様方がお待ちになっています!」
寝室の扉をノックする音とともに扉の向こうからはメイドの声が聞こえてきた。
「今行く」
僕はそうメイドに答えてすぐに寝室を出て、父上や母上が待つ部屋に向かった。
その部屋に入るとテーブルの上に豪華な食事が並び、父上と母上、兄上が椅子に座っていた。僕が椅子に座ると皆んな食事をとり始めた。
フォークとナイフの音が辺りをこだまする。その静寂を破ったのは父上だった。父上は僕に聞いた。
「今日でリーゼンも12歳だな、今日の洗礼で与えられる加護やスキルが今後重要だ! 頑張るといい」
父上がそう言った時だった。隣に座っていた兄、テルケフが笑いながら言った。
「こいつには無理ですよ! ですが家督はこの俺、テルケフが継ぐのでご安心ください父上」
このテルケフという兄は、僕が家督相続が可能な人間であることが嫌なのか、ことあるごとに突っかかってきた。
食事を終えた僕ら家族は馬車に乗って教会に向かった。洗礼を受けるために。
移動中の馬車から外な様子を見た。領都の道は石畳で舗装され、大通りの道の両脇には街路樹が配置されている。極め付けは領都全体を囲むように建設された八メートルを超える城壁。
「綺麗」
そんな領都を見ているとふとそんな声が漏れた。そんな時だった。横に座っていたテルケフがニヤリと笑って言った。
「安心しろ、これが最後の景色になるわけじゃない。結果が悪かったら俺の領地で安くこき使ってやる。この洗礼の後に俺は北にある中規模城塞都市ヴォルペ城の代官としてヴォルペを治めるからな! すでに領都から指示を出して政策も一つしたしな」
テルケフはそう言って一人で語り始める。自分の目指すこれからのヴォルペの統治について。
しかしそこに声をあげた人物がいた。そう父上だ。
「なんですか? 俺の統治計画に文句でもありますか?」
兄は不満げに父上にそう言った。すると父上は兄に対して冷徹な目を向けて発言した。
「お前の代官就任はあくまでも仮定の話に過ぎない! 今までの様に女遊びばかりしているならこの話は無しにする!」
そう言うと兄は下を向き、何も言わなくなった。そんな兄を横目に僕は考えていた。
(ヴォルペ、確か北に住む龍人族と人間族のハーフ、赤狄族が多く居住する都市で、魔龍神を信仰していたよな)
そう考えていると僕たち家族の乗っていた馬車は教会の前に辿り着いて停止した。僕らは馬車を降りて教会に入った。教会にはすでに洗礼を受ける人たちが集まっていた。
しばらくして水晶を手に持った司祭が教会に入ってきた。司祭は水晶を台に乗せて言った。
「今から順番にこの水晶に手を当ててください。この水晶が手を当てた方のステータスを数値化して水晶の上に表示してくれます」
司祭がそう言ってからだった。順番に洗礼が始まり喜ぶ人や絶望する人などが現れた。
(確か兄のステータスは魔力720、武力1600、武神の加護を持っていて、戦士のスキルがあったはず。僕はどのくらいまでいけるかな?)
僕がそう心の中で気になっていると司祭が僕を呼ぶ声が聞こえた。僕は水晶に手を当て、目をつぶって願う。
(お願いだから……低いのはやめて)
「な、なんだこれは!」
司祭の驚く声がして僕は目を開けた。するとそこにはとんでもないステータスがあった。
【基礎情報】
・氏名リーゼン・エルラント
・年齢12歳・適正魔力、全属性
・身分、辺境伯家次男
・魔力3600・龍気6400・武力5000
【加護】
・創造神の加護・商業神の加護
・魔法神の加護・魔龍神の加護
・武神の加護 ・技術神の加護
・自然神の加護
【スキル】
・応答・収納・創作・登録・戦士・神腕
・植物・変換
こんなステータスが表示された。
本来一つあればいいとされるスキルが八個あり、加護に至っては七つ全てを揃えていた。魔力や武力も圧倒的に高い。さらに人々を大いに驚かせたのは「魔龍神の加護」、そして「龍気」だった。
魔龍神の加護は珍しく、一世紀に一人いるかいないかという希少性、その上、龍気があった。
龍気は魔力や武力とは違う力であり、衝撃波を作り出すことや、身体を強化できると言う。ドラゴンの身体が硬いのは龍気があるからだと言われるほどだった。
「嘘だ! こんなステータスでたらめだ!」
兄のテルケフが沈黙した空気の中で騒ぎ始めた。しかし父上が兄を怒りの目で睨みつけて静かにさせた。そして父上が一歩前に出て僕に言った。
「このステータスは驚いた。だが魔龍神の加護と龍気があるならなんでもいい。それで本題だが……お前にヴォルペの代官を務めて欲しい」
父上は僕にそう提案してきた。僕は想像もしていなかったその提案を聞いて頭が真っ白になった。しかしそんな中で一人声を上げた男がいた。そう、兄のテルケフである。
「父上! ふざけないでいただきたい。ヴォルペは俺が貰うはずですが!」
怒っているのかそう父上に聞く兄の声には怒号の様な声も混ざっていた。しかし父上は一歩も引かず、むしろ一歩前に出て答えた。
「黙れ、はっきり言うがヴォルペでのお前の代官就任は住人から嫌がられている、それなら彼らの信仰する魔龍神の加護を持つリーゼンが代官になるべきだ。しかしお前にも立場があるのは分かる。だからお前にはグリディとブルディの都市の代官をしてもらう」
そう言われた兄は不服そうに下を向き、僕を見て睨みつけると怒りながら教会から出て行った。
兄は別の馬車で帰っており、帰りは父上と母上、僕の三人だけだった。
その日の夜はいつものようにすぐに寝れなかった。明日からヴォルペに向かい、ヴォルペの代官としてヴォルペを治める。
(ヴォルペの代官か、めちゃくちゃ忙しそうだな)
僕が色々考えていると気づけば朝になっていた。
朝。僕は身支度をして父上に挨拶をした。
「それでは行ってきます。父上、母上」
そう言って馬車に乗り込んだ。ヴォルペは領都に比べればまだ豊かとも、発展しているとも言えない。
ついてきたのは専属メイドとして幼い頃から僕に仕えていた同年代の少女、リーアと、専属執事にして元王国の将軍を勤めたクロベスだけだった。その後クロベスが御者となって馬車を動かした。
馬車に揺られて数日後。少しづつヴォルペが見えてきた。領都にも匹敵するほどの都市の大きさに城壁の高さ、領都の門より硬そうな城門、領都よりはるかに大きい堀など、ところどころ領都に勝る箇所があった。
僕たちはヴォルペの巨大な正門から、馬車でヴォルペに入った。
ヴォルペの領主屋敷に向かう途中の大通りには領都と同じように石畳がひかれ、道の左右両方に街路樹があった。しかし領都とは違って人の活気は少なく、本来小麦で一面金色になる畑には枯れた小麦が一面に広がっていた。そうヴォルペは現在大飢饉の真っ最中であった。ヴォルペの民を餓死させない! それがヴォルペの代官となったリーゼンの役目だった。
ここからリーゼンのヴォルペの統治が始まる。
🌸ここまで見ていただきありがとうございます。
これから投稿されるものの予告をします。
第二話 顔合わせと飢餓対策
第三話 横領と軍事
第四話 農業革命と資金源
第五話 特産品の開発
第六話 ツララとデート
なおこれが全てではありません。ここに載せたのは現在までに完成している分だけです。
王国の北にあるエルラント辺境伯領の朝が始まった。領都の市場が開き、領都全体が賑わい始める。領都の道を動く馬車の音、会話を楽しむ領民の声。
そんな音や声に釣られたのか僕は目を覚ました。
寝室の窓からは日の光が差し込み部屋全体を照らしていた。その眩しさから目の前に手を出した。出した手はまめなどはない綺麗な手だが、力のありそうな手でもあった。
いつもは起きたらその手で剣術を学び、書物を開いてはその内容を頭に入れ、魔法を勉強していたんだろう。その意欲と持ちうる知識の量は同世代を遥かに超えていた。
それもそのはずだ。なぜなら僕、リーゼン・エルラントには前世の記憶がある。
僕の前世は日本国内でも上位の高校に通う生徒だった。三年生のなかでも成績は上位、国内最上位の大学もA判定だった僕は、勉強で寝ることができずに翌日自転車で学校に登校したさい車に轢かれて死亡した。
記憶が戻ったのは七歳くらいの時だった。記憶が戻ったときに、記憶が戻る前までのリーゼンの記憶が見れたおかげで会話をする時なども不便はなかった。
この世界で目覚めてから毎日欠かさずしたことがあった。それは「魔法」だった。
この世界には前世で憧れだった魔法が存在していた。だからこそ僕は毎日朝になったら剣術と魔法を訓練し、昼からは勉強を行っていた。
しかし今日は違った。
今日は12歳になる誕生日。そして一生に一度しかない洗礼式の日だった。
この世界では12歳の誕生日の日に教会で洗礼を受けるのだ。この洗礼は身分を問わず行われる一方で、とても重要な意味を持つ。
神より与えられた加護や、魔法の適正、魔力量や武力、スキルなどがステータスとして数値化されるのだ。
このステータスがよければ平民なら人生を謳歌できる役職につけたり、貴族なら家督相続に有利になる。一方で悪ければ、平民ならその日から労働をさせられ、貴族であっても一族を追放される可能性が出るなど重要な式だった。
(そう、平民だろうと貴族だろうと、この12歳の洗礼で今後の人生が有利か不利か決まるのだ)
僕はそう考えながら着替えをし、寝室の窓から領都を見渡した。
エルラント辺境伯領。南に東西に長い山脈があり、ちょうど領内を東西に分けるかのように領内の中央には南北に長い山脈があった。その山脈より東側には人間族が住んでいるが、西側には代官を配置している異種族の住む都市がある。
トントントン
「リーゼン様! 辺境伯様と奥様、お兄様方がお待ちになっています!」
寝室の扉をノックする音とともに扉の向こうからはメイドの声が聞こえてきた。
「今行く」
僕はそうメイドに答えてすぐに寝室を出て、父上や母上が待つ部屋に向かった。
その部屋に入るとテーブルの上に豪華な食事が並び、父上と母上、兄上が椅子に座っていた。僕が椅子に座ると皆んな食事をとり始めた。
フォークとナイフの音が辺りをこだまする。その静寂を破ったのは父上だった。父上は僕に聞いた。
「今日でリーゼンも12歳だな、今日の洗礼で与えられる加護やスキルが今後重要だ! 頑張るといい」
父上がそう言った時だった。隣に座っていた兄、テルケフが笑いながら言った。
「こいつには無理ですよ! ですが家督はこの俺、テルケフが継ぐのでご安心ください父上」
このテルケフという兄は、僕が家督相続が可能な人間であることが嫌なのか、ことあるごとに突っかかってきた。
食事を終えた僕ら家族は馬車に乗って教会に向かった。洗礼を受けるために。
移動中の馬車から外な様子を見た。領都の道は石畳で舗装され、大通りの道の両脇には街路樹が配置されている。極め付けは領都全体を囲むように建設された八メートルを超える城壁。
「綺麗」
そんな領都を見ているとふとそんな声が漏れた。そんな時だった。横に座っていたテルケフがニヤリと笑って言った。
「安心しろ、これが最後の景色になるわけじゃない。結果が悪かったら俺の領地で安くこき使ってやる。この洗礼の後に俺は北にある中規模城塞都市ヴォルペ城の代官としてヴォルペを治めるからな! すでに領都から指示を出して政策も一つしたしな」
テルケフはそう言って一人で語り始める。自分の目指すこれからのヴォルペの統治について。
しかしそこに声をあげた人物がいた。そう父上だ。
「なんですか? 俺の統治計画に文句でもありますか?」
兄は不満げに父上にそう言った。すると父上は兄に対して冷徹な目を向けて発言した。
「お前の代官就任はあくまでも仮定の話に過ぎない! 今までの様に女遊びばかりしているならこの話は無しにする!」
そう言うと兄は下を向き、何も言わなくなった。そんな兄を横目に僕は考えていた。
(ヴォルペ、確か北に住む龍人族と人間族のハーフ、赤狄族が多く居住する都市で、魔龍神を信仰していたよな)
そう考えていると僕たち家族の乗っていた馬車は教会の前に辿り着いて停止した。僕らは馬車を降りて教会に入った。教会にはすでに洗礼を受ける人たちが集まっていた。
しばらくして水晶を手に持った司祭が教会に入ってきた。司祭は水晶を台に乗せて言った。
「今から順番にこの水晶に手を当ててください。この水晶が手を当てた方のステータスを数値化して水晶の上に表示してくれます」
司祭がそう言ってからだった。順番に洗礼が始まり喜ぶ人や絶望する人などが現れた。
(確か兄のステータスは魔力720、武力1600、武神の加護を持っていて、戦士のスキルがあったはず。僕はどのくらいまでいけるかな?)
僕がそう心の中で気になっていると司祭が僕を呼ぶ声が聞こえた。僕は水晶に手を当て、目をつぶって願う。
(お願いだから……低いのはやめて)
「な、なんだこれは!」
司祭の驚く声がして僕は目を開けた。するとそこにはとんでもないステータスがあった。
【基礎情報】
・氏名リーゼン・エルラント
・年齢12歳・適正魔力、全属性
・身分、辺境伯家次男
・魔力3600・龍気6400・武力5000
【加護】
・創造神の加護・商業神の加護
・魔法神の加護・魔龍神の加護
・武神の加護 ・技術神の加護
・自然神の加護
【スキル】
・応答・収納・創作・登録・戦士・神腕
・植物・変換
こんなステータスが表示された。
本来一つあればいいとされるスキルが八個あり、加護に至っては七つ全てを揃えていた。魔力や武力も圧倒的に高い。さらに人々を大いに驚かせたのは「魔龍神の加護」、そして「龍気」だった。
魔龍神の加護は珍しく、一世紀に一人いるかいないかという希少性、その上、龍気があった。
龍気は魔力や武力とは違う力であり、衝撃波を作り出すことや、身体を強化できると言う。ドラゴンの身体が硬いのは龍気があるからだと言われるほどだった。
「嘘だ! こんなステータスでたらめだ!」
兄のテルケフが沈黙した空気の中で騒ぎ始めた。しかし父上が兄を怒りの目で睨みつけて静かにさせた。そして父上が一歩前に出て僕に言った。
「このステータスは驚いた。だが魔龍神の加護と龍気があるならなんでもいい。それで本題だが……お前にヴォルペの代官を務めて欲しい」
父上は僕にそう提案してきた。僕は想像もしていなかったその提案を聞いて頭が真っ白になった。しかしそんな中で一人声を上げた男がいた。そう、兄のテルケフである。
「父上! ふざけないでいただきたい。ヴォルペは俺が貰うはずですが!」
怒っているのかそう父上に聞く兄の声には怒号の様な声も混ざっていた。しかし父上は一歩も引かず、むしろ一歩前に出て答えた。
「黙れ、はっきり言うがヴォルペでのお前の代官就任は住人から嫌がられている、それなら彼らの信仰する魔龍神の加護を持つリーゼンが代官になるべきだ。しかしお前にも立場があるのは分かる。だからお前にはグリディとブルディの都市の代官をしてもらう」
そう言われた兄は不服そうに下を向き、僕を見て睨みつけると怒りながら教会から出て行った。
兄は別の馬車で帰っており、帰りは父上と母上、僕の三人だけだった。
その日の夜はいつものようにすぐに寝れなかった。明日からヴォルペに向かい、ヴォルペの代官としてヴォルペを治める。
(ヴォルペの代官か、めちゃくちゃ忙しそうだな)
僕が色々考えていると気づけば朝になっていた。
朝。僕は身支度をして父上に挨拶をした。
「それでは行ってきます。父上、母上」
そう言って馬車に乗り込んだ。ヴォルペは領都に比べればまだ豊かとも、発展しているとも言えない。
ついてきたのは専属メイドとして幼い頃から僕に仕えていた同年代の少女、リーアと、専属執事にして元王国の将軍を勤めたクロベスだけだった。その後クロベスが御者となって馬車を動かした。
馬車に揺られて数日後。少しづつヴォルペが見えてきた。領都にも匹敵するほどの都市の大きさに城壁の高さ、領都の門より硬そうな城門、領都よりはるかに大きい堀など、ところどころ領都に勝る箇所があった。
僕たちはヴォルペの巨大な正門から、馬車でヴォルペに入った。
ヴォルペの領主屋敷に向かう途中の大通りには領都と同じように石畳がひかれ、道の左右両方に街路樹があった。しかし領都とは違って人の活気は少なく、本来小麦で一面金色になる畑には枯れた小麦が一面に広がっていた。そうヴォルペは現在大飢饉の真っ最中であった。ヴォルペの民を餓死させない! それがヴォルペの代官となったリーゼンの役目だった。
ここからリーゼンのヴォルペの統治が始まる。
🌸ここまで見ていただきありがとうございます。
これから投稿されるものの予告をします。
第二話 顔合わせと飢餓対策
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