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【6.あの日の婚約破棄と新たな恋・後編】
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自制心が効かないのも恥ずかしかったが、結局リーアンナは『夜の散歩』で王宮に忍び込んだ。
これまでの自分の反省に決着をつけるためでもあったが、何か胸騒ぎのような一抹の不安のようなものも王太子の周辺に感じたからだった。
しかし、結論から言うと、リーアンナはそこで重要な話を盗み聞きしてしまった。
盗み聞きしたというのは、王太子には先客がいたのだ。
その先客は、エルンストだった。
夜遅い訪問、しかも、恐らく用件は『聖女』の件への忠告だと事前に思った王太子は、エルンストを自分の居室には上げず、王宮の中庭で会うことにした。
忍び込んだリーアンナは、たまたまその場面に遭遇し物陰から聞いてしまった。
そのころリーアンナはまだエルンストに恋するどころが、エルンストのことはほとんど知らなかった。
王太子は苦虫をかみつぶしたような顔をして、エルンストの前に立っていた。
「用件はだいたい分かっている。だが今更おまえが何を言っても何も変わらんよ」
「でもそれなら、『聖女』と名乗るなら誰でもいいことになってしまいます!」
エルンストは強く言った。
リーアンナは何の話をしているのだろうと思った。『聖女』絡みの話だと言うことは分かるが……。
王太子は自信も困ったような顔をして、
「実際そうなのだ! そもそも『聖女』の定義がはっきりしないのだから。だが聖痕があり、神殿が認めたのだろう、それを王宮が否定するならそれなりの証拠がいるだろう」
と答えた。
しかしエルンストは食い下がった。
「神殿は何を根拠にルシルダを『聖女』と認めたのです? だって、例えば今この真っ暗な夜に太陽を昇らせろといっても、できる聖女はいないでしょう? しかし平和を祈るとか、そんなものなら逆に誰でもできそうではありませんか。あやふやな根拠じゃ納得できませんよ」
王太子は、そんなこと自分に言われてもといった顔で首を竦めた。
「詳しくは知らないさ。神殿がどういった基準で認めているのかもしらないし、そもそもそんな基準があったとしても、神殿としては門外不出だろうさ。だが、聖痕ってやつはごまかしようがないんじゃないか」
「ごまかしようがないってそんな言い方。でも実際私はルシルダ様は正当な聖女とは思えないのですよ! 王太子殿下はどう思われますか? どっちの立場なのです」
エルンストは詰め寄った。
王太子は悠々と笑みを浮かべて答えた。
「私は新しい聖女を歓迎してるさ」
「何ですって! あれだけ尽くしてきたリーアンナ嬢は?」
「リーアンナはどちらかというと犯罪者だろう? 聖女の覚醒に気づいておきながらその存在を隠蔽しようとしたり、隠せなくなったと思ったら本物の聖女じゃないと言い張ってみたり」
「それは聖女ルシルダ様の主張ですよね。私はリーアンナ嬢がそんなことをした事実を知りません」
「事実ねえ。婚約破棄後少し私に接触を試みていたようだったが、確かに聖女への件は証拠はなく、リーアンナは断罪されなかったしね」
「されるはずありません! リーアンナ様はよく立場を理解しておられたと思います。婚約破棄される前も破棄された後も」
エルンストは真面目な顔で諭すように王太子に言った。
ずっと労いの言葉を待っていたリーアンナは、思いがけずともエルンストの口からそういった言葉が飛び出してきたので、胸がじーんと熱くなり、思わず涙が溢れてきた。
そうだ、そういった言葉を待っていたのだ、とリーアンナはしみじみと思った。
しかし王太子は冷たく言い放った。
「リーアンナはよくやってくれたかもな。だが真面目過ぎていけない。女としての魅力と言われたら、そりゃ聖女とやらの方がよっぽど魅力的だ。私も男だよ」
それを聞いてエルンストは正気かと王太子を気味悪そうに見た。
「もしや、聖女ともう寝たのでは?」
「しっ! 内緒だよ、エルンスト。結婚前に聖女に手を出したなんてバレたら方々から怒られそうだ」
怒られそうと言いつつ、王太子は少しも悪びれる様子もなくにこにこして言った。
「ちょっと軽々しすぎやしませんか!」
「そうかな。まあ軽々しくてもなんでもいい。はっきり言わせてもらうよ。私は王太子であることに退屈しているんだ。貴族どもに付き合ってうんざりした時間を過ごしている。そんな中選択肢があるならね、少しでも人生が楽しくなりそうな方を私は選ぶよ」
そう言った王太子は凄味があった。目には深い闇が潜み、いつもより低めのトーンの声には本音が滲み出ていた。
エルンストは、王太子が彼なりに日々絶望を感じていることを悟り、少し怯んだ。何に絶望を感じているのかまでは見当もつかなかったが。
エルンストが黙ったので、王太子は少し明るく声の調子を変えた。
「ルシルダには確かに聖痕があり、神殿が認めた聖女だ。私はこの現実をたいそう前向きに受け止めているよ。私がここまで本音で話してやっているのに、それでもおまえは『聖女は偽物だ』と言って回る気か? 反逆罪を適応するぞ」
物陰で聞いていたリーアンナは、その王太子の言葉に全てをあきらめた。
数年婚約していたが、自分は王太子が普段何を考えているのか全く分かっていなかったのだなと痛感した。
いや、そもそもこの王太子を理解できる人などいるのだろうか?
自分への別れの言葉? そんなものは、この王太子の中ではひとかけらの意味も持たない。
愛はなくとも信頼関係は――そう淡く期待していたものがすっかり瓦解した。
リーアンナはなんだか人間ではないものと対峙している気分だった。
エルンストは黙っていた。
「……」
「まだ何か? 私とルシルダを認めない気か?」
と王太子が少し不機嫌そうに言うので、エルンストはようやく口を開いた。
「いいえ。認めないも何も、今回のことは聖女法に則ってのことですからね、法律は法律。あなた方を誰も裁けません」
それを聞いて王太子はほっとした顔をした。
「よかった。おまえと敵対したくなかった」
「私だって王太子殿下と敵対したくありませんよ」
「なら尚のこと、この話はこれで終いだ」
「そうですか。では帰ります」
エルンストはそう言って踵を返して立ち去ろうとした。そして背を向けた王太子には聞こえないように、ひどく冷たい低い声でぼそっと呟いた。
「だが王太子もルシルダも――こんなんで逃げ切れると思うなよ」
風向きか何か。
リーアンナにははっきりとエルンストの言葉が届いた。
逃げ切る? 何のことかリーアンナには分からなかった。
しかし、温厚そうな人物がこんなに人を殺すような目で毒を吐くのは見たことがなかった。
その日のリーアンナの『夜の散歩』はそれで終了にした。
しかし、その日以来リーアンナは気になって仕方がなかった。エルンスト様。あの人は誰?
「逃げ切れると思うなよ」そんなことを言う人は危険な人物に違いなかった。
しかしどの夜会でも、遠くに見かけるエルンストは金髪麗しくとても紳士然としていて、あの夜のような凶暴な様子は少しも見せなかった。
あの夜がまやかしだったのではないかと思えるほどに。
リーアンナはエルンストが妙に気になり、少し薄気味悪さも感じていた。
そしてある日、国王主催の競馬の催しで、リーアンナが招待客用の観戦区画に向かっているとき、物影から話し声が聞こえた。
「女神はニセモノ聖女に雷を落すだろう」
リーアンナは漏れ聞こえてきた台詞があまりにも荒々しいのでぎょっとして振り返った。
そこにいたのはエルンストだった。もう一人いるようだが、陰になっていて誰か分からない。
エルンストがあまりに険しい様子だったので、リーアンナは聞いてはいけないことのような気がして、そのまま下を向き歩を早めやり過ごそうとした。
しかし、そのとき聞こえたのだ、エルンストの声が。
「その選択肢は受け入れられないね。私がリーアンナ嬢をお守りする――」
エルンストはこちらには気付いていないようだったが、その眼差しは真っすぐで正義感にあふれていた。
エルンストの言葉はリーアンナの胸に突き刺さった。
彼と話したこともないのに感情が揺さぶられる。
あの日の『夜の散歩』のときのエルンストの労り言葉も思い出される。
『リーアンナ様はよく立場を理解しておられたと思います。婚約破棄される前も破棄された後も』
リーアンナは胸がいっぱいになり、心臓が勢いよく打ち始めるのを感じた。
鎮めなければと思うのに鎮まらない。
その日からリーアンナは、エルンストを見かけるたびに目で追ってしまうようになったのだった。
――だが、分かっている。
エルンストには婚約者がいる。だから自分は見ているだけ。
彼はリーアンナに味方するようなことを言ってくれているが、リーアンナ自体をどうこう思っているわけではないこともよく分かっている――。
これまでの自分の反省に決着をつけるためでもあったが、何か胸騒ぎのような一抹の不安のようなものも王太子の周辺に感じたからだった。
しかし、結論から言うと、リーアンナはそこで重要な話を盗み聞きしてしまった。
盗み聞きしたというのは、王太子には先客がいたのだ。
その先客は、エルンストだった。
夜遅い訪問、しかも、恐らく用件は『聖女』の件への忠告だと事前に思った王太子は、エルンストを自分の居室には上げず、王宮の中庭で会うことにした。
忍び込んだリーアンナは、たまたまその場面に遭遇し物陰から聞いてしまった。
そのころリーアンナはまだエルンストに恋するどころが、エルンストのことはほとんど知らなかった。
王太子は苦虫をかみつぶしたような顔をして、エルンストの前に立っていた。
「用件はだいたい分かっている。だが今更おまえが何を言っても何も変わらんよ」
「でもそれなら、『聖女』と名乗るなら誰でもいいことになってしまいます!」
エルンストは強く言った。
リーアンナは何の話をしているのだろうと思った。『聖女』絡みの話だと言うことは分かるが……。
王太子は自信も困ったような顔をして、
「実際そうなのだ! そもそも『聖女』の定義がはっきりしないのだから。だが聖痕があり、神殿が認めたのだろう、それを王宮が否定するならそれなりの証拠がいるだろう」
と答えた。
しかしエルンストは食い下がった。
「神殿は何を根拠にルシルダを『聖女』と認めたのです? だって、例えば今この真っ暗な夜に太陽を昇らせろといっても、できる聖女はいないでしょう? しかし平和を祈るとか、そんなものなら逆に誰でもできそうではありませんか。あやふやな根拠じゃ納得できませんよ」
王太子は、そんなこと自分に言われてもといった顔で首を竦めた。
「詳しくは知らないさ。神殿がどういった基準で認めているのかもしらないし、そもそもそんな基準があったとしても、神殿としては門外不出だろうさ。だが、聖痕ってやつはごまかしようがないんじゃないか」
「ごまかしようがないってそんな言い方。でも実際私はルシルダ様は正当な聖女とは思えないのですよ! 王太子殿下はどう思われますか? どっちの立場なのです」
エルンストは詰め寄った。
王太子は悠々と笑みを浮かべて答えた。
「私は新しい聖女を歓迎してるさ」
「何ですって! あれだけ尽くしてきたリーアンナ嬢は?」
「リーアンナはどちらかというと犯罪者だろう? 聖女の覚醒に気づいておきながらその存在を隠蔽しようとしたり、隠せなくなったと思ったら本物の聖女じゃないと言い張ってみたり」
「それは聖女ルシルダ様の主張ですよね。私はリーアンナ嬢がそんなことをした事実を知りません」
「事実ねえ。婚約破棄後少し私に接触を試みていたようだったが、確かに聖女への件は証拠はなく、リーアンナは断罪されなかったしね」
「されるはずありません! リーアンナ様はよく立場を理解しておられたと思います。婚約破棄される前も破棄された後も」
エルンストは真面目な顔で諭すように王太子に言った。
ずっと労いの言葉を待っていたリーアンナは、思いがけずともエルンストの口からそういった言葉が飛び出してきたので、胸がじーんと熱くなり、思わず涙が溢れてきた。
そうだ、そういった言葉を待っていたのだ、とリーアンナはしみじみと思った。
しかし王太子は冷たく言い放った。
「リーアンナはよくやってくれたかもな。だが真面目過ぎていけない。女としての魅力と言われたら、そりゃ聖女とやらの方がよっぽど魅力的だ。私も男だよ」
それを聞いてエルンストは正気かと王太子を気味悪そうに見た。
「もしや、聖女ともう寝たのでは?」
「しっ! 内緒だよ、エルンスト。結婚前に聖女に手を出したなんてバレたら方々から怒られそうだ」
怒られそうと言いつつ、王太子は少しも悪びれる様子もなくにこにこして言った。
「ちょっと軽々しすぎやしませんか!」
「そうかな。まあ軽々しくてもなんでもいい。はっきり言わせてもらうよ。私は王太子であることに退屈しているんだ。貴族どもに付き合ってうんざりした時間を過ごしている。そんな中選択肢があるならね、少しでも人生が楽しくなりそうな方を私は選ぶよ」
そう言った王太子は凄味があった。目には深い闇が潜み、いつもより低めのトーンの声には本音が滲み出ていた。
エルンストは、王太子が彼なりに日々絶望を感じていることを悟り、少し怯んだ。何に絶望を感じているのかまでは見当もつかなかったが。
エルンストが黙ったので、王太子は少し明るく声の調子を変えた。
「ルシルダには確かに聖痕があり、神殿が認めた聖女だ。私はこの現実をたいそう前向きに受け止めているよ。私がここまで本音で話してやっているのに、それでもおまえは『聖女は偽物だ』と言って回る気か? 反逆罪を適応するぞ」
物陰で聞いていたリーアンナは、その王太子の言葉に全てをあきらめた。
数年婚約していたが、自分は王太子が普段何を考えているのか全く分かっていなかったのだなと痛感した。
いや、そもそもこの王太子を理解できる人などいるのだろうか?
自分への別れの言葉? そんなものは、この王太子の中ではひとかけらの意味も持たない。
愛はなくとも信頼関係は――そう淡く期待していたものがすっかり瓦解した。
リーアンナはなんだか人間ではないものと対峙している気分だった。
エルンストは黙っていた。
「……」
「まだ何か? 私とルシルダを認めない気か?」
と王太子が少し不機嫌そうに言うので、エルンストはようやく口を開いた。
「いいえ。認めないも何も、今回のことは聖女法に則ってのことですからね、法律は法律。あなた方を誰も裁けません」
それを聞いて王太子はほっとした顔をした。
「よかった。おまえと敵対したくなかった」
「私だって王太子殿下と敵対したくありませんよ」
「なら尚のこと、この話はこれで終いだ」
「そうですか。では帰ります」
エルンストはそう言って踵を返して立ち去ろうとした。そして背を向けた王太子には聞こえないように、ひどく冷たい低い声でぼそっと呟いた。
「だが王太子もルシルダも――こんなんで逃げ切れると思うなよ」
風向きか何か。
リーアンナにははっきりとエルンストの言葉が届いた。
逃げ切る? 何のことかリーアンナには分からなかった。
しかし、温厚そうな人物がこんなに人を殺すような目で毒を吐くのは見たことがなかった。
その日のリーアンナの『夜の散歩』はそれで終了にした。
しかし、その日以来リーアンナは気になって仕方がなかった。エルンスト様。あの人は誰?
「逃げ切れると思うなよ」そんなことを言う人は危険な人物に違いなかった。
しかしどの夜会でも、遠くに見かけるエルンストは金髪麗しくとても紳士然としていて、あの夜のような凶暴な様子は少しも見せなかった。
あの夜がまやかしだったのではないかと思えるほどに。
リーアンナはエルンストが妙に気になり、少し薄気味悪さも感じていた。
そしてある日、国王主催の競馬の催しで、リーアンナが招待客用の観戦区画に向かっているとき、物影から話し声が聞こえた。
「女神はニセモノ聖女に雷を落すだろう」
リーアンナは漏れ聞こえてきた台詞があまりにも荒々しいのでぎょっとして振り返った。
そこにいたのはエルンストだった。もう一人いるようだが、陰になっていて誰か分からない。
エルンストがあまりに険しい様子だったので、リーアンナは聞いてはいけないことのような気がして、そのまま下を向き歩を早めやり過ごそうとした。
しかし、そのとき聞こえたのだ、エルンストの声が。
「その選択肢は受け入れられないね。私がリーアンナ嬢をお守りする――」
エルンストはこちらには気付いていないようだったが、その眼差しは真っすぐで正義感にあふれていた。
エルンストの言葉はリーアンナの胸に突き刺さった。
彼と話したこともないのに感情が揺さぶられる。
あの日の『夜の散歩』のときのエルンストの労り言葉も思い出される。
『リーアンナ様はよく立場を理解しておられたと思います。婚約破棄される前も破棄された後も』
リーアンナは胸がいっぱいになり、心臓が勢いよく打ち始めるのを感じた。
鎮めなければと思うのに鎮まらない。
その日からリーアンナは、エルンストを見かけるたびに目で追ってしまうようになったのだった。
――だが、分かっている。
エルンストには婚約者がいる。だから自分は見ているだけ。
彼はリーアンナに味方するようなことを言ってくれているが、リーアンナ自体をどうこう思っているわけではないこともよく分かっている――。
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