【完結】執着系幼馴染みが、大好きな彼を手に入れるために叶えたい6つの願い事。

髙槻 壬黎

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エピローグ

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 ミカイルとユハンが暮らす、その寮の一室。
  

 ミカイルは書いていた。
 机に向かって、一語一語。祈るように、真剣な表情を浮かべながら。

 でも、だからこそ気づかなかったのだろう。その後ろから、こっそりと手元を覗こうとする、ユハンの姿があることに。



「ミカ、何書いてるんだ?」
「うわっ、ユハ!? び…っくりした……」
「そんなに驚くなんて、いったい何して……ってこれ、僕があげた日記帳だ」
「ちょっと……! 見たらダメ!」
「ええ……!? わ、分かったから押すなって……! まったく……そんなに見られたくないものって何なんだよ」
「……これは……願掛けみたいなものだよ。文字にして書いておいたら願うかなって」
「願う? 何か願い事でも書いてあるのか?」
「まあ……そんなところ」
「へえ。ミカだったら何でもすぐに叶えられそうなのにな」
「相手は中々の強敵だからね。でも、絶対に叶えるよ。……ううん、叶えさせる」
「……?……よく、分からないけど…、とりあえず僕は応援してるよ」
「ありがとう。ユハも協力してね」
「僕も? ……それなら隠してないで、中見せてくれよ。内容が分からないと僕だって何もできないだろ」
「それはダメ」
「はあ……? なんだよそれ……って、おいっ!? 急にっ…ど、どこ触って……!」
「ふふ……大好き。愛してるよ、ユハ。これからもずっとずっと、僕と一緒にいようね」
「~っ! ……もう、わかったって! 今日何回も聞い……っちょっ…、なに……! ッん、ぅ……!」


 ミカイルがユハンへ顔を寄せている傍ら、窓から入った風が日記帳をパラパラと捲っている。
 大事に大事に仕舞っておいたのか、ほとんどが真っ白のページ。
 しかし、一枚だけ、自由に記述できる最後のページに、何かが綺麗な文字で書き込まれていた。
 恐らく、今ミカイルが書き込んでいたのは最後の一文なのだろう。
 

 そこには────



 他の誰とも仲良くなりませんように

 好きでいてもらえますように

 ずっと、一緒にいられますように

 僕だけを見てもらえますように

 嫌われませんように




 僕を、愛してくれますように 



【執着系幼馴染みが、大好きな彼を手に入れるために叶えたい6つの願い事。完】



***




 最後までお読みいただきありがとうございました。
 本編は以上で完結となります。タイトルもそれに伴いまして、一部変更をさせていただきました。
 拙い点は多々あったかと思いますが、お気に入り登録やいいね、感想等していただいた方々には頭も上がりません。本当にありがとうごさいます。

 これ以降についてですが、番外編として、ミカイルとユハンが付き合った後のお話を投稿しております。
 いきなり二人が恋人になっているので、驚かれる方もいらっしゃるかとは思いますが、良ければ是非ご覧ください。
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