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思い出した疑問
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「オニキス子爵令嬢が……娼婦に?」
セシリアは驚きのあまり持っていた紅茶のカップを落としそうになる。
それほどまでに、いましがた公爵から聞いたキャサリンの末路は予想外なものであったから。
「なぜ、そんな……。エリオット様との縁談が駄目になってしまったとしても、他に縁談先はあるでしょうに……」
「新たに当主となった嫡男の話では『迷惑をかけたから、せめて自分の力で金を稼ぎ父母の治療費の足しにしたい』と、あの娘が言っていたそうだ」
「オニキス子爵令嬢がそのような殊勝な言葉を……?」
あのキャサリンがそんなしおらしいことを言うだろうかと疑問が生じる。セシリアから見て彼女は常に自分のみが幸せになることを望み、自分の欲のみを叶えてもらおうとしていた。そんな自己中心的な考えの彼女がそんな健気な真似をするだろうか。
「いや、うん……それは真実かどうかは分からんな。ただ、オニキス子爵家が王女の国から莫大な慰謝料と夫妻の治療費、荒らされた屋敷の修繕費を受け取ったのは確かだ。あの家は元々斜陽というわけでもなし、娘を娼館に売るほど金に不足しているわけでもないとは思うがな……」
その含みのある言葉遣いからして、公爵自身もその話を鵜呑みにはしていないのだと察せられた。
「ただな……あの娘が既婚者であるエリオットに再び言い寄るなどという真似さえしなければ、子爵家は王女の標的にならずにすんだ。そう思えば、あの家の惨事はあの娘が引き起こしたと言えなくもない。兄である当主も……思うところがあるのかもしれないな」
公爵の言葉の端々から兄である当主がキャサリンを疎んでいたのではないか――そんな印象を受けた。
あれだけ好き勝手に欲望のまま行動する妹ならば、そう思われてもおかしくないが……。
(それにしても、キャサリンが娼婦……。人の夫を結婚式の夜に呼び出して、結婚生活を初日から破綻させた元凶の末路がこれか……)
彼女のせいでセシリアの結婚が台無しになったとはいえ、いい気味だとは思えない。
どちらかといえば哀れだなと思う気持ちの方が強い。
他人の家庭を引っ掻き回してまで手に入れたかった男は結局手に入らず、好きでもない男を相手にして生きていかねばならない。彼女のように理屈では割り切れず、好き嫌いで物事を判断してしまう性格の人には辛いことだろうと想像に難くない。
もし、王女さえ現れなければキャサリンはエリオットと添い遂げられたのかもしれない。
だが……初対面の王女に簡単に靡くような男なら、他所の女に目移りしてしまう可能性も否定できない。
そうなると、エリオットのような屑を好きになった時点で幸せな未来は訪れないことは確定していた。
あの男は関わった女を不幸にするとんでもない男だ。セシリアも、キャサリンも、王女も、あの男に関わったせいで碌な目にあっていないのだから。
(あ、王女といえば……)
セシリアはそこでふと以前に抱いた疑問を思い出し、公爵に尋ねることにした。
セシリアは驚きのあまり持っていた紅茶のカップを落としそうになる。
それほどまでに、いましがた公爵から聞いたキャサリンの末路は予想外なものであったから。
「なぜ、そんな……。エリオット様との縁談が駄目になってしまったとしても、他に縁談先はあるでしょうに……」
「新たに当主となった嫡男の話では『迷惑をかけたから、せめて自分の力で金を稼ぎ父母の治療費の足しにしたい』と、あの娘が言っていたそうだ」
「オニキス子爵令嬢がそのような殊勝な言葉を……?」
あのキャサリンがそんなしおらしいことを言うだろうかと疑問が生じる。セシリアから見て彼女は常に自分のみが幸せになることを望み、自分の欲のみを叶えてもらおうとしていた。そんな自己中心的な考えの彼女がそんな健気な真似をするだろうか。
「いや、うん……それは真実かどうかは分からんな。ただ、オニキス子爵家が王女の国から莫大な慰謝料と夫妻の治療費、荒らされた屋敷の修繕費を受け取ったのは確かだ。あの家は元々斜陽というわけでもなし、娘を娼館に売るほど金に不足しているわけでもないとは思うがな……」
その含みのある言葉遣いからして、公爵自身もその話を鵜呑みにはしていないのだと察せられた。
「ただな……あの娘が既婚者であるエリオットに再び言い寄るなどという真似さえしなければ、子爵家は王女の標的にならずにすんだ。そう思えば、あの家の惨事はあの娘が引き起こしたと言えなくもない。兄である当主も……思うところがあるのかもしれないな」
公爵の言葉の端々から兄である当主がキャサリンを疎んでいたのではないか――そんな印象を受けた。
あれだけ好き勝手に欲望のまま行動する妹ならば、そう思われてもおかしくないが……。
(それにしても、キャサリンが娼婦……。人の夫を結婚式の夜に呼び出して、結婚生活を初日から破綻させた元凶の末路がこれか……)
彼女のせいでセシリアの結婚が台無しになったとはいえ、いい気味だとは思えない。
どちらかといえば哀れだなと思う気持ちの方が強い。
他人の家庭を引っ掻き回してまで手に入れたかった男は結局手に入らず、好きでもない男を相手にして生きていかねばならない。彼女のように理屈では割り切れず、好き嫌いで物事を判断してしまう性格の人には辛いことだろうと想像に難くない。
もし、王女さえ現れなければキャサリンはエリオットと添い遂げられたのかもしれない。
だが……初対面の王女に簡単に靡くような男なら、他所の女に目移りしてしまう可能性も否定できない。
そうなると、エリオットのような屑を好きになった時点で幸せな未来は訪れないことは確定していた。
あの男は関わった女を不幸にするとんでもない男だ。セシリアも、キャサリンも、王女も、あの男に関わったせいで碌な目にあっていないのだから。
(あ、王女といえば……)
セシリアはそこでふと以前に抱いた疑問を思い出し、公爵に尋ねることにした。
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