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豹変
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「君には本邸ではなく別邸に住んでもらう。 ここは私と愛するアニーが住む場所だ、君が足を踏み入れることは許さない」
王都にいる間ずっと熱烈に口説いてきたダニエルは、オーガスタ家に戻るなり豹変した。
蕩けるような甘い視線で見つめてくれていたのに、今の彼は虫けらを見るような蔑んだ目をジュリアーナへと向ける。愛を囁いてくれた優しい声が冷たく無機質なものへと変わり辛辣な言葉を吐く。
まるで別人かと思うような変わりようにジュリアーナは驚いて何も返せなかった。
“アニー”とは一体誰なのか、どうしてそんな態度をとるのか。
そう言いたいのにショックと恐怖で声が出ない。
何が起こったか分からずただ固まるジュリアーナにダニエルは更に酷い言葉を投げかけた。
「君は単なる“お飾り”だ。王女を娶ればうるさい親戚も口を噤む。その為だけに娶ったのだから、間違っても私に愛されようなどと思わないように」
屈辱に満ちた台詞を夫となった男に吐かれ、茫然自失となるジュリアーナ。
放心している間にオーガスタ家の騎士によって無理やり別邸へと押し込まれる。
王女として蝶よ花よと大切に育てられた彼女はこんな乱暴な扱いをされたことはない。
生まれた初めて受ける荒々しい行為に恐怖のあまり涙が溢れる。
はらはらと涙を零すジュリアーナに騎士は気まずそうに目を逸らし、別邸で待機していた中年の執事に後を頼みさっさとその場を後にした。執事は痛ましそうな視線をジュリアーナに向けたまま淡々と告げる。
「旦那様には真実の愛で結ばれたアニー様という奥様がいらっしゃいます。 お二人の邪魔をせぬようジュリアーナ姫様はこちらでお過ごしください」
「なんと無礼なっ!! こちらは畏れ多くも国王陛下の御息女ですよ? こんな扱いが許される御方ではありません! そもそも陛下がお認めになった辺境伯夫人はジュリアーナ様です! “アニー”というのがどこの者かは分かりませんが正式な奥方である姫様以外を奥様と呼ぶなんて正気ですか!?」
唖然として何も言い返せないジュリアーナに代わり、乳母のマーサが執事に向かって吠える。身一つで嫁いでくれとダニエルに言われたので、当初は誰も連れてこないつもりだったがこのマーサだけは「生涯姫様にお仕えします」とついて来てくれた
「……そうは言いましても、旦那様のご命令ですから。 ああ、それとこの別邸の門は外から鍵がかかっておりますので、外部には出られません。 逃げ出そうとしても邸の周囲は高い鉄の柵で囲ってありますので無駄だと思います。どうか大人しくなさっていてくださいね」
「姫様にこんな扱いをしていいと思っているのですか!? これは王家に対する反逆です! 国王陛下の知るところとなれば不敬罪で全員首が飛びますよ!」
「私に言われましても……。私はただ命令に従っているだけですので……」
敬い尊ばれるべき高貴な身に対しての有り得ない仕打ちにマーサは激高した。
「ふざけないでください! たかが辺境伯風情が王家の姫君を虐げるような命令を下して許されるとでも!? 処刑されたくなければ今すぐここから出しなさい!」
「はあ……騒いでも無駄ですよ。いくら王家の姫であろうとも今はオーガスタ家に嫁いだ身。であれば当主である旦那様の命令に従うのは当然ではありませんか?」
「嫁いだ身ですって? でしたらきちんと辺境伯夫人として扱うべきでしょう! 屁理屈ばかりこねるのはお止めなさい!!」
口ではマーサに敵わないと思った執事はその場からそそくさと逃げ出した。
それを追いかけるマーサだがスカートでは間に合わず目の前で扉が閉められ、ガチャリと施錠をする音が室内に響く。
閉じ込められた、と理解した瞬間ジュリアーナは全身から血の気が引きその場で膝から崩れ落ちた。
王都にいる間ずっと熱烈に口説いてきたダニエルは、オーガスタ家に戻るなり豹変した。
蕩けるような甘い視線で見つめてくれていたのに、今の彼は虫けらを見るような蔑んだ目をジュリアーナへと向ける。愛を囁いてくれた優しい声が冷たく無機質なものへと変わり辛辣な言葉を吐く。
まるで別人かと思うような変わりようにジュリアーナは驚いて何も返せなかった。
“アニー”とは一体誰なのか、どうしてそんな態度をとるのか。
そう言いたいのにショックと恐怖で声が出ない。
何が起こったか分からずただ固まるジュリアーナにダニエルは更に酷い言葉を投げかけた。
「君は単なる“お飾り”だ。王女を娶ればうるさい親戚も口を噤む。その為だけに娶ったのだから、間違っても私に愛されようなどと思わないように」
屈辱に満ちた台詞を夫となった男に吐かれ、茫然自失となるジュリアーナ。
放心している間にオーガスタ家の騎士によって無理やり別邸へと押し込まれる。
王女として蝶よ花よと大切に育てられた彼女はこんな乱暴な扱いをされたことはない。
生まれた初めて受ける荒々しい行為に恐怖のあまり涙が溢れる。
はらはらと涙を零すジュリアーナに騎士は気まずそうに目を逸らし、別邸で待機していた中年の執事に後を頼みさっさとその場を後にした。執事は痛ましそうな視線をジュリアーナに向けたまま淡々と告げる。
「旦那様には真実の愛で結ばれたアニー様という奥様がいらっしゃいます。 お二人の邪魔をせぬようジュリアーナ姫様はこちらでお過ごしください」
「なんと無礼なっ!! こちらは畏れ多くも国王陛下の御息女ですよ? こんな扱いが許される御方ではありません! そもそも陛下がお認めになった辺境伯夫人はジュリアーナ様です! “アニー”というのがどこの者かは分かりませんが正式な奥方である姫様以外を奥様と呼ぶなんて正気ですか!?」
唖然として何も言い返せないジュリアーナに代わり、乳母のマーサが執事に向かって吠える。身一つで嫁いでくれとダニエルに言われたので、当初は誰も連れてこないつもりだったがこのマーサだけは「生涯姫様にお仕えします」とついて来てくれた
「……そうは言いましても、旦那様のご命令ですから。 ああ、それとこの別邸の門は外から鍵がかかっておりますので、外部には出られません。 逃げ出そうとしても邸の周囲は高い鉄の柵で囲ってありますので無駄だと思います。どうか大人しくなさっていてくださいね」
「姫様にこんな扱いをしていいと思っているのですか!? これは王家に対する反逆です! 国王陛下の知るところとなれば不敬罪で全員首が飛びますよ!」
「私に言われましても……。私はただ命令に従っているだけですので……」
敬い尊ばれるべき高貴な身に対しての有り得ない仕打ちにマーサは激高した。
「ふざけないでください! たかが辺境伯風情が王家の姫君を虐げるような命令を下して許されるとでも!? 処刑されたくなければ今すぐここから出しなさい!」
「はあ……騒いでも無駄ですよ。いくら王家の姫であろうとも今はオーガスタ家に嫁いだ身。であれば当主である旦那様の命令に従うのは当然ではありませんか?」
「嫁いだ身ですって? でしたらきちんと辺境伯夫人として扱うべきでしょう! 屁理屈ばかりこねるのはお止めなさい!!」
口ではマーサに敵わないと思った執事はその場からそそくさと逃げ出した。
それを追いかけるマーサだがスカートでは間に合わず目の前で扉が閉められ、ガチャリと施錠をする音が室内に響く。
閉じ込められた、と理解した瞬間ジュリアーナは全身から血の気が引きその場で膝から崩れ落ちた。
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