やりなおしジュリアーナ姫の復讐劇

わらびもち

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謎の美青年①

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 どうしてこんなことに……。

 セイラに毒を大量に飲まされたアニーはベッドに倒れ伏したまま涙を零していた。
 誰かに助けを求めようにも声が出ない。体も動かせないから外に行くことも出来ない。

 そもそもこの部屋にはセイラ以外入ってこない。
 助けが来ない状況に絶望し、アニーは体が枯れるほど涙を流し続けていた。

(誰か……誰か助けて! ダニエル……お願い、早く戻ってきて……!)

 絶望的な状況でもアニーはまだ“ダニエルが助けに来てくれる”という希望を持っていた。
 彼はどんな時でもアニーを守ると約束してくれたのだからと、哀れなほどにダニエルを信じ切っていた。

(大丈夫……大丈夫よ、きっとダニエルが助けに来てくれるわ……)

 ダニエルはいつだってアニーの理想の王子様だった。
 貧しい環境から救い出してくれて、贅沢させてくれて、まるでお姫様のように扱ってくれた。いつだってアニーの望みを叶えてくれるダニエルならきっとこの状況から救い出してくれる。そう信じていないと心が壊れそうだから。

 刻一刻と迫る死の気配にアニーはぶるぶると身を震わせた。
 怖い。怖くてたまらない。気を抜くと意識が遠のきそうになる。
 ここで意識が途切れてしまえばもう二度と目覚めないような気がしてならない。

(ダニエル……! 早く、早く助けに来て……お願い!)

 とにかく一刻も早くダニエルが助けに来ることだけを願った。
 するとアニーの眼前の空間がいきなり眩い光を放ち、その光の中から何かが出てきた。

(は……? え? え……なに? ひ、人……?)

 光で目が眩みよく見えないが、それは人のような形をしている。
 驚くアニーにその人と思しき何かが話しかけてきた。

「ふーん……これがあの男の愛玩動物か。随分と貧相だな……」

 それは脳が蕩けそうになるほどの美声。
 声からして男だと思われるその人型にじっと目を凝らすと、それは眩い美貌の青年の姿をしていた。

(……ええっ!? す、すごい美形……! ダニエルよりもずっと……ううん、比べ物にならないくらいのいい男だわ……)

 ダニエルも端麗な容姿をしているが、目の前の青年はそれとは比べ物にならない。
 いや、比べることすら烏滸がましいほどの美貌を有していた。

 青年に見惚れたアニーはもしや彼は自分を救いにきてくれたのではないかという都合のいい妄想に囚われる。いつの間にか涙は止まっており、うっとりとした瞳で青年を見つめた。

「何、その目? もしかして僕がお前を助けにきたとか勘違いしていないよね? どれだけおめでたい頭をしているのさ……」

 冷めた顔で返す青年にアニーは内心「え? え?」と戸惑った。
 冷静に考えれば見ず知らずの他人がわざわざ助けに来てくれるはずもない。
 だが、都合のいい妄想に囚われたアニーは一気に絶望へと落とされた。

(なっ……!? ひ、ひどい! アタシ今にも死にそうなのに……助けてくれないっていうの!?)

 毒の影響で声が出ない為、アニーは心の中で青年を罵り睨みつける。
 青年はそんなアニーにつまらなそうな顔を向けた。

「ひどい、ねえ……? よく言えたものだ。は何の罪も無い女性を殺そうとしたくせに」

(えっ……? 何のこと?)

 罪の無い女性を殺そうとした覚えなどない。
 青年の言っている意味が分からずアニーは茫然とした。

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