64 / 86
謎の美青年①
しおりを挟む
どうしてこんなことに……。
セイラに毒を大量に飲まされたアニーはベッドに倒れ伏したまま涙を零していた。
誰かに助けを求めようにも声が出ない。体も動かせないから外に行くことも出来ない。
そもそもこの部屋にはセイラ以外入ってこない。
助けが来ない状況に絶望し、アニーは体が枯れるほど涙を流し続けていた。
(誰か……誰か助けて! ダニエル……お願い、早く戻ってきて……!)
絶望的な状況でもアニーはまだ“ダニエルが助けに来てくれる”という希望を持っていた。
彼はどんな時でもアニーを守ると約束してくれたのだからと、哀れなほどにダニエルを信じ切っていた。
(大丈夫……大丈夫よ、きっとダニエルが助けに来てくれるわ……)
ダニエルはいつだってアニーの理想の王子様だった。
貧しい環境から救い出してくれて、贅沢させてくれて、まるでお姫様のように扱ってくれた。いつだってアニーの望みを叶えてくれるダニエルならきっとこの状況から救い出してくれる。そう信じていないと心が壊れそうだから。
刻一刻と迫る死の気配にアニーはぶるぶると身を震わせた。
怖い。怖くてたまらない。気を抜くと意識が遠のきそうになる。
ここで意識が途切れてしまえばもう二度と目覚めないような気がしてならない。
(ダニエル……! 早く、早く助けに来て……お願い!)
とにかく一刻も早くダニエルが助けに来ることだけを願った。
するとアニーの眼前の空間がいきなり眩い光を放ち、その光の中から何かが出てきた。
(は……? え? え……なに? ひ、人……?)
光で目が眩みよく見えないが、それは人のような形をしている。
驚くアニーにその人と思しき何かが話しかけてきた。
「ふーん……これがあの男の愛玩動物か。随分と貧相だな……」
それは脳が蕩けそうになるほどの美声。
声からして男だと思われるその人型にじっと目を凝らすと、それは眩い美貌の青年の姿をしていた。
(……ええっ!? す、すごい美形……! ダニエルよりもずっと……ううん、比べ物にならないくらいのいい男だわ……)
ダニエルも端麗な容姿をしているが、目の前の青年はそれとは比べ物にならない。
いや、比べることすら烏滸がましいほどの美貌を有していた。
青年に見惚れたアニーはもしや彼は自分を救いにきてくれたのではないかという都合のいい妄想に囚われる。いつの間にか涙は止まっており、うっとりとした瞳で青年を見つめた。
「何、その目? もしかして僕がお前を助けにきたとか勘違いしていないよね? どれだけおめでたい頭をしているのさ……」
冷めた顔で返す青年にアニーは内心「え? え?」と戸惑った。
冷静に考えれば見ず知らずの他人がわざわざ助けに来てくれるはずもない。
だが、都合のいい妄想に囚われたアニーは一気に絶望へと落とされた。
(なっ……!? ひ、ひどい! アタシ今にも死にそうなのに……助けてくれないっていうの!?)
毒の影響で声が出ない為、アニーは心の中で青年を罵り睨みつける。
青年はそんなアニーにつまらなそうな顔を向けた。
「ひどい、ねえ……? よく言えたものだ。お前達は何の罪も無い女性を殺そうとしたくせに」
(えっ……? 何のこと?)
罪の無い女性を殺そうとした覚えなどない。
青年の言っている意味が分からずアニーは茫然とした。
セイラに毒を大量に飲まされたアニーはベッドに倒れ伏したまま涙を零していた。
誰かに助けを求めようにも声が出ない。体も動かせないから外に行くことも出来ない。
そもそもこの部屋にはセイラ以外入ってこない。
助けが来ない状況に絶望し、アニーは体が枯れるほど涙を流し続けていた。
(誰か……誰か助けて! ダニエル……お願い、早く戻ってきて……!)
絶望的な状況でもアニーはまだ“ダニエルが助けに来てくれる”という希望を持っていた。
彼はどんな時でもアニーを守ると約束してくれたのだからと、哀れなほどにダニエルを信じ切っていた。
(大丈夫……大丈夫よ、きっとダニエルが助けに来てくれるわ……)
ダニエルはいつだってアニーの理想の王子様だった。
貧しい環境から救い出してくれて、贅沢させてくれて、まるでお姫様のように扱ってくれた。いつだってアニーの望みを叶えてくれるダニエルならきっとこの状況から救い出してくれる。そう信じていないと心が壊れそうだから。
刻一刻と迫る死の気配にアニーはぶるぶると身を震わせた。
怖い。怖くてたまらない。気を抜くと意識が遠のきそうになる。
ここで意識が途切れてしまえばもう二度と目覚めないような気がしてならない。
(ダニエル……! 早く、早く助けに来て……お願い!)
とにかく一刻も早くダニエルが助けに来ることだけを願った。
するとアニーの眼前の空間がいきなり眩い光を放ち、その光の中から何かが出てきた。
(は……? え? え……なに? ひ、人……?)
光で目が眩みよく見えないが、それは人のような形をしている。
驚くアニーにその人と思しき何かが話しかけてきた。
「ふーん……これがあの男の愛玩動物か。随分と貧相だな……」
それは脳が蕩けそうになるほどの美声。
声からして男だと思われるその人型にじっと目を凝らすと、それは眩い美貌の青年の姿をしていた。
(……ええっ!? す、すごい美形……! ダニエルよりもずっと……ううん、比べ物にならないくらいのいい男だわ……)
ダニエルも端麗な容姿をしているが、目の前の青年はそれとは比べ物にならない。
いや、比べることすら烏滸がましいほどの美貌を有していた。
青年に見惚れたアニーはもしや彼は自分を救いにきてくれたのではないかという都合のいい妄想に囚われる。いつの間にか涙は止まっており、うっとりとした瞳で青年を見つめた。
「何、その目? もしかして僕がお前を助けにきたとか勘違いしていないよね? どれだけおめでたい頭をしているのさ……」
冷めた顔で返す青年にアニーは内心「え? え?」と戸惑った。
冷静に考えれば見ず知らずの他人がわざわざ助けに来てくれるはずもない。
だが、都合のいい妄想に囚われたアニーは一気に絶望へと落とされた。
(なっ……!? ひ、ひどい! アタシ今にも死にそうなのに……助けてくれないっていうの!?)
毒の影響で声が出ない為、アニーは心の中で青年を罵り睨みつける。
青年はそんなアニーにつまらなそうな顔を向けた。
「ひどい、ねえ……? よく言えたものだ。お前達は何の罪も無い女性を殺そうとしたくせに」
(えっ……? 何のこと?)
罪の無い女性を殺そうとした覚えなどない。
青年の言っている意味が分からずアニーは茫然とした。
1,270
あなたにおすすめの小説
【完結】父が再婚。義母には連れ子がいて一つ下の妹になるそうですが……ちょうだい癖のある義妹に寮生活は無理なのでは?
つくも茄子
ファンタジー
父が再婚をしました。お相手は男爵夫人。
平民の我が家でいいのですか?
疑問に思うものの、よくよく聞けば、相手も再婚で、娘が一人いるとのこと。
義妹はそれは美しい少女でした。義母に似たのでしょう。父も実娘をそっちのけで義妹にメロメロです。ですが、この新しい義妹には悪癖があるようで、人の物を欲しがるのです。「お義姉様、ちょうだい!」が口癖。あまりに煩いので快く渡しています。何故かって?もうすぐ、学園での寮生活に入るからです。少しの間だけ我慢すれば済むこと。
学園では煩い家族がいない分、のびのびと過ごせていたのですが、義妹が入学してきました。
必ずしも入学しなければならない、というわけではありません。
勉強嫌いの義妹。
この学園は成績順だということを知らないのでは?思った通り、最下位クラスにいってしまった義妹。
両親に駄々をこねているようです。
私のところにも手紙を送ってくるのですから、相当です。
しかも、寮やクラスで揉め事を起こしては顰蹙を買っています。入学早々に学園中の女子を敵にまわしたのです!やりたい放題の義妹に、とうとう、ある処置を施され・・・。
なろう、カクヨム、にも公開中。
【完結】そんなに好きなら、そっちへ行けば?
雨雲レーダー
恋愛
侯爵令嬢クラリスは、王太子ユリウスから一方的に婚約破棄を告げられる。
理由は、平民の美少女リナリアに心を奪われたから。
クラリスはただ微笑み、こう返す。
「そんなに好きなら、そっちへ行けば?」
そうして物語は終わる……はずだった。
けれど、ここからすべてが狂い始める。
*完結まで予約投稿済みです。
*1日3回更新(7時・12時・18時)
【完結】元婚約者であって家族ではありません。もう赤の他人なんですよ?
つくも茄子
ファンタジー
私、ヘスティア・スタンリー公爵令嬢は今日長年の婚約者であったヴィラン・ヤルコポル伯爵子息と婚約解消をいたしました。理由?相手の不貞行為です。婿入りの分際で愛人を連れ込もうとしたのですから当然です。幼馴染で家族同然だった相手に裏切られてショックだというのに相手は斜め上の思考回路。は!?自分が次期公爵?何の冗談です?家から出て行かない?ここは私の家です!貴男はもう赤の他人なんです!
文句があるなら法廷で決着をつけようではありませんか!
結果は当然、公爵家の圧勝。ヤルコポル伯爵家は御家断絶で一家離散。主犯のヴィランは怪しい研究施設でモルモットとしいて短い生涯を終える……はずでした。なのに何故か薬の副作用で強靭化してしまった。化け物のような『力』を手にしたヴィランは王都を襲い私達一家もそのまま儚く……にはならなかった。
目を覚ましたら幼い自分の姿が……。
何故か十二歳に巻き戻っていたのです。
最悪な未来を回避するためにヴィランとの婚約解消を!と拳を握りしめるものの婚約は継続。仕方なくヴィランの再教育を伯爵家に依頼する事に。
そこから新たな事実が出てくるのですが……本当に婚約は解消できるのでしょうか?
他サイトにも公開中。
【商業企画進行中・取り下げ予定】さようなら、私の初恋。
ごろごろみかん。
ファンタジー
結婚式の夜、私はあなたに殺された。
彼に嫌悪されているのは知っていたけど、でも、殺されるほどだとは思っていなかった。
「誰も、お前なんか必要としていない」
最期の時に言われた言葉。彼に嫌われていても、彼にほかに愛するひとがいても、私は彼の婚約者であることをやめなかった。やめられなかった。私には責務があるから。
だけどそれも、意味のないことだったのだ。
彼に殺されて、気がつけば彼と結婚する半年前に戻っていた。
なぜ時が戻ったのかは分からない。
それでも、ひとつだけ確かなことがある。
あなたは私をいらないと言ったけど──私も、私の人生にあなたはいらない。
私は、私の生きたいように生きます。
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
「本当に僕の子供なのか検査して調べたい」子供と顔が似てないと責められ離婚と多額の慰謝料を請求された。
佐藤 美奈
恋愛
ソフィア伯爵令嬢は、公爵位を継いだ恋人で幼馴染のジャックと結婚して公爵夫人になった。何一つ不自由のない環境で誰もが羨むような生活をして、二人の子供に恵まれて幸福の絶頂期でもあった。
「長男は僕に似てるけど、次男の顔は全く似てないから病院で検査したい」
ある日、ジャックからそう言われてソフィアは、時間が止まったような気持ちで精神的な打撃を受けた。すぐに返す言葉が出てこなかった。この出来事がきっかけで仲睦まじい夫婦にひびが入り崩れ出していく。
強制力がなくなった世界に残されたものは
りりん
ファンタジー
一人の令嬢が処刑によってこの世を去った
令嬢を虐げていた者達、処刑に狂喜乱舞した者達、そして最愛の娘であったはずの令嬢を冷たく切り捨てた家族達
世界の強制力が解けたその瞬間、その世界はどうなるのか
その世界を狂わせたものは
【完結】王子は聖女と結婚するらしい。私が聖女であることは一生知らないままで
雪野原よる
恋愛
「聖女と結婚するんだ」──私の婚約者だった王子は、そう言って私を追い払った。でも、その「聖女」、私のことなのだけど。
※王国は滅びます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる