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これ以上茶番に付き合うつもりはない
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「お前はいいよな……転生後の人生を好きに歩めて。馬鹿な婚約者を捨てて皇太子妃になるなんてどう見ても人生勝ち組だよな? 俺なんてジェームズの体から世界を眺めることしか出来なかった……こんな不公平ってあるか!? 愚鈍なジェームズでなく俺がこの体をもっと早くに動かせていたら……今頃俺は名君と呼ばれていた! やっと好きに動かせると思ったらこんなジジイになっちまって……しかも投獄されているんだぞ? あんまりだろうこんな人生!!」
皺が刻まれた顔で慟哭する陛下の中にいる転生者。
若い時から何年も自分の好きに動けずにいた彼からしてみれば、転生してすぐに自分の意志で行動して充実した人生を手に入れた私をズルいと思うのは当たり前だ。
不公平さに憤りを感じてそれを誰かに……私という同じ転生者にぶつけたい気持ちは分かるけれど、それを受け入れてやる義理はない。
「……心中お察しいたします。ご自分の意志で好きに動けなかったことに憤りを感じていらっしゃることは分かります。でも、それをわたくしにぶつけられても困りますわ……」
「分かったような口をきくな! それにただ鬱憤をぶつけようとしているわけじゃない! せめて最期に本懐を遂げようとしているだけだ……!」
「本懐……? 何ですかそれは……」
「俺はな……ミシェル、お前の外見がとにかく好みなんだよ。前世でこの世界が舞台の小説を読んだ時、お前が描かれていた挿絵にそれはもう……萌えた。俺の理想を具現化した女がお前なんだよ! ずっと手に入れたいと願っていた女が今目の前にいる……。なら、最期にお前を手に入れるという本懐を遂げてやる……!」
うわ、気持ち悪っ!? 無理!
どのキャラクターに萌えるかは個人の自由だけど……自分自身がそのキャラクターで、それを面と向かって言われるとこんなに気持ち悪いものなの!? それとも相手が生理的に受け付けない相手だから? 多分後者だな、うん。
そんな生理的に無理な相手に性的に迫られて怖気を感じるなと言う方が無理!
さっきから鳥肌が凄い……。
「ご冗談はやめてくださいます? 貴方のような気持ちの悪い方に触れられたくないですわ」
「ふん……こんな時まで強気だな? 少しは怯えてみせたらどうだ?」
「そんなことをすれば貴方を喜ばせるだけでしょう? だからしません」
この人はこんなことをする為にわざわざ私をここまで呼び寄せたのか……。
こんな……くだらないことの為に……
「はは……いつまでそんな態度でいられるかな? 楽しみだ……その澄ました顔が涙を流して恐怖する様はどんななのか……」
「あらあら……息子と同じことを言うなんて、流石は親子ですこと。まったく……あなた方親子は揃いも揃ってくだらない茶番にわたくしを巻き込んでくださいましたわね? 貴方の助言さえなければわたくしは屑な男の婚約者というこれ以上ない程無駄な時間を過ごさずに済みましたのに……」
「……おいおい、時間稼ぎのつもりか? 今ここでそんな事を言って何になる?」
「そんな事? いいえ、そんな事ではありません。とても大切な事です。アレクセイ、ヘレン、王妃、国王陛下、そして貴方。長年に渡りわたくしを茶番に付き合わせた罪は重くてよ? もうこれ以上茶番には付き合っていられませんわ」
「ふん、減らず口を叩くな! お前はもう俺のものになるしかないんだよ! 大人しくその体を俺に捧げろ!」
血走った目の男は唾を飛ばしながら私の服に手を掛けようとした。
塔の生活で荒れてしまった手が乱暴にドレスを破ろうとしたその時、パンっと乾いた音が室内に鳴り響く。
「は…………? え? え? な、なんだよそれはっ!!?」
偽陛下が私の手に持つ物と地面の両方に忙しなく目を遣る。
驚愕の余り間抜けな顔を晒す目の前の男に私はにっこりと微笑んでやった。
「何って……貴方も転生者なら分かるでしょう? これは“銃”ですよ。鉛玉を詰めたあれです。ほら……固い材質で出来た地面に穴が開いた。凄い威力ですこと」
これなら人体になんて簡単に穴が開きますわね、と言ってやると彼はニヤついた顔から一転して恐怖に歪んだ顔を向けた。
「な、なんでお前がこんな物を……? だってこれはまだこの世界で開発されていないはずなのに……」
「それは国内に限った話ですわ。帝国では既に開発されておりまして、実際に何名かの方が所持しておりますもの」
「帝国だと……? まさか、それはあの皇太子から貰ったのか!? 女のお前に何でそんな物騒な物を……」
「身の安全の為です。こんな風に……護衛もつけられない場所で襲われる危険性だってありますもの」
顔面蒼白の男に「ねえ、そうは思いませんか?」と尋ねて銃口を顔面に突きつけると情けなく悲鳴をあげて後ずさる。撃って間もない銃口を顔に近づけてすぎたせいか彼の鼻辺りが火傷で赤くなっているのが見えた。
皺が刻まれた顔で慟哭する陛下の中にいる転生者。
若い時から何年も自分の好きに動けずにいた彼からしてみれば、転生してすぐに自分の意志で行動して充実した人生を手に入れた私をズルいと思うのは当たり前だ。
不公平さに憤りを感じてそれを誰かに……私という同じ転生者にぶつけたい気持ちは分かるけれど、それを受け入れてやる義理はない。
「……心中お察しいたします。ご自分の意志で好きに動けなかったことに憤りを感じていらっしゃることは分かります。でも、それをわたくしにぶつけられても困りますわ……」
「分かったような口をきくな! それにただ鬱憤をぶつけようとしているわけじゃない! せめて最期に本懐を遂げようとしているだけだ……!」
「本懐……? 何ですかそれは……」
「俺はな……ミシェル、お前の外見がとにかく好みなんだよ。前世でこの世界が舞台の小説を読んだ時、お前が描かれていた挿絵にそれはもう……萌えた。俺の理想を具現化した女がお前なんだよ! ずっと手に入れたいと願っていた女が今目の前にいる……。なら、最期にお前を手に入れるという本懐を遂げてやる……!」
うわ、気持ち悪っ!? 無理!
どのキャラクターに萌えるかは個人の自由だけど……自分自身がそのキャラクターで、それを面と向かって言われるとこんなに気持ち悪いものなの!? それとも相手が生理的に受け付けない相手だから? 多分後者だな、うん。
そんな生理的に無理な相手に性的に迫られて怖気を感じるなと言う方が無理!
さっきから鳥肌が凄い……。
「ご冗談はやめてくださいます? 貴方のような気持ちの悪い方に触れられたくないですわ」
「ふん……こんな時まで強気だな? 少しは怯えてみせたらどうだ?」
「そんなことをすれば貴方を喜ばせるだけでしょう? だからしません」
この人はこんなことをする為にわざわざ私をここまで呼び寄せたのか……。
こんな……くだらないことの為に……
「はは……いつまでそんな態度でいられるかな? 楽しみだ……その澄ました顔が涙を流して恐怖する様はどんななのか……」
「あらあら……息子と同じことを言うなんて、流石は親子ですこと。まったく……あなた方親子は揃いも揃ってくだらない茶番にわたくしを巻き込んでくださいましたわね? 貴方の助言さえなければわたくしは屑な男の婚約者というこれ以上ない程無駄な時間を過ごさずに済みましたのに……」
「……おいおい、時間稼ぎのつもりか? 今ここでそんな事を言って何になる?」
「そんな事? いいえ、そんな事ではありません。とても大切な事です。アレクセイ、ヘレン、王妃、国王陛下、そして貴方。長年に渡りわたくしを茶番に付き合わせた罪は重くてよ? もうこれ以上茶番には付き合っていられませんわ」
「ふん、減らず口を叩くな! お前はもう俺のものになるしかないんだよ! 大人しくその体を俺に捧げろ!」
血走った目の男は唾を飛ばしながら私の服に手を掛けようとした。
塔の生活で荒れてしまった手が乱暴にドレスを破ろうとしたその時、パンっと乾いた音が室内に鳴り響く。
「は…………? え? え? な、なんだよそれはっ!!?」
偽陛下が私の手に持つ物と地面の両方に忙しなく目を遣る。
驚愕の余り間抜けな顔を晒す目の前の男に私はにっこりと微笑んでやった。
「何って……貴方も転生者なら分かるでしょう? これは“銃”ですよ。鉛玉を詰めたあれです。ほら……固い材質で出来た地面に穴が開いた。凄い威力ですこと」
これなら人体になんて簡単に穴が開きますわね、と言ってやると彼はニヤついた顔から一転して恐怖に歪んだ顔を向けた。
「な、なんでお前がこんな物を……? だってこれはまだこの世界で開発されていないはずなのに……」
「それは国内に限った話ですわ。帝国では既に開発されておりまして、実際に何名かの方が所持しておりますもの」
「帝国だと……? まさか、それはあの皇太子から貰ったのか!? 女のお前に何でそんな物騒な物を……」
「身の安全の為です。こんな風に……護衛もつけられない場所で襲われる危険性だってありますもの」
顔面蒼白の男に「ねえ、そうは思いませんか?」と尋ねて銃口を顔面に突きつけると情けなく悲鳴をあげて後ずさる。撃って間もない銃口を顔に近づけてすぎたせいか彼の鼻辺りが火傷で赤くなっているのが見えた。
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