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元王太子の転落⑤
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「……あいつ、この私に挨拶も無しに去るとは不敬な……」
「は? いや、あんな態度をとっておいて何を言ってんだ、お前?」
二人のやり取りを黙ってみていたラウルはエドワードの言い草に呆れてしまった。
あれだけ横柄な態度をとっていながら、その相手に礼儀を求めるとは頭に虫でも湧いているのかと。
「お前だと!? 貴様! 誰に向かってそんな口をきいている!!」
「誰って……女で身を崩した元王太子様に言ってんだよ。お前はもう王子じゃなくて平民だ。しかもここでは俺はお前の上司にあたる。そんな口をきいて何が悪い?」
「何だと! そんな無礼が許されると思っているのか!?」
「……逆に聞きたいんだが、俺がお前に無礼を働いて誰が許さないと言うんだ?」
「は………………?」
エドワードにはラウルの発言の意味が分からなかった。
誰が許さない? そんなの……
「そんなことも分からないのか? 国王たる父上が私への不敬は許さぬ。私は国王陛下唯一の子なんだぞ!」
「いや……だから廃嫡されて籍も抜かれているだろうに。自覚がないようだから教えてやるけど、もうお前には何の権力も無い。今のお前はただの平民だ。さっきだって、平民のお前が貴族のシオン様にあんな偉そうな口をきくなんざ有り得ないだろう? 同じ平民の俺にだってそれくらい分かるぞ?」
「シオン? 誰だそれは?」
「お前が偉そうに吠えていた、お前の元従者様だよ。……というか、何でお前は自分に仕えている人の名を知らねえんだ? 普通は配下の人間の名って真っ先に覚えるもんだろ?」
「ふん、下賤な者には理解できんだろうが、高貴な人間というのはいちいち下々の名など覚えてはおらん! そんな必要性もない!」
「あー……、アンタそんなんだから今こんな目に遭ってんのか。なるほどな、確かにシオン様の言う通りアンゼリカお嬢様とは雲泥の差だ」
またアンゼリカと比べられたことにエドワードは激高し、ラウルに詰め寄った。
「アンゼリカだと!? あんな人間味のない人形女が何だと言うんだ!」
それを耳にした瞬間、ラウルの顔は見る見るうちに怒りの色に染まり、激情のままエドワードを殴り飛ばした。
「は……? な、な……お、お前…………」
人生で初めて振るわれた暴力にエドワードは唖然とした。
「口を慎め馬鹿野郎! お前のようにくだらねえ男がお嬢様の悪口言うなんざ許さねえ!! 人間味のない人形だと? こんな辺境の部族を救うために金と労力を惜しみなく使ってくださる女神のような御方に使う言葉じゃねえ!」
それまで聞いたこともないほどの荒々しい口調で声の大きさにエドワードは恐怖で何も言い返せない。体に受けた痛みも、体を硬直させるほどの怒鳴り声も、温室育ちの王子様を脅えさせるには十分だった。
「てめえなんざお嬢様の足元にも及ばねえ! 女の尻ばかり追いかけるしか能のない下半身野郎がお嬢様を悪し様に言うのだけは許さん! 舐めた口をきこうが、舐めた態度をとろうが構わん。だが、お嬢様を悪く言うのは俺が許さない。よく覚えておけ!」
ショックが大きかったのか、エドワードは声も出さずにただ首を縦に振るだけしか出来ない。その姿をラウルは冷めた目で眺めた。
「分かったなら早速仕事にとりかかるぞ」
尻もちをついたままのエドワードの首根っこを掴み、作業用の椅子に座らせる。
「これから外に並んでいる人を順番にここへ呼ぶ。お前は俺の横でそれを通訳しろ。分かったな?」
恐怖でラウルの顔もまともに見ることが出来ない。それでもまた暴力を振るわれることは避けたかったので、エドワードは消え入りそうな声で「分かった……」とだけ呟いた。
そうして最初は不満げな顔を隠しもしなかったエドワードだが、日が経つにつれて砦での生活にもすっかり慣れ…………とはならなかった。
「くっ……どうしてこの私が下々の者に混じってこんな生活を……! いったいいつまでここにいなければならないんだ……」
砦での生活が何日続こうともエドワードは一向に馴染もうとしなかった。
自分はこんな場所にいるべき人間ではない、という傲慢な考えが根底にあるせいで現実というものを見ようともしない。
こんな場所と言うが、ここ以外に彼が行くところなど有りやしない。
それを全く理解しようともしないエドワードに砦内にいる同僚たちは皆心底呆れ果てていた。
「ラウルさん、あの元王子様なんとかならないですか?」
「いつまでここに……とか言っていますけど、何処か行けるものなら行ってほしいですよ、本当に……」
関わる機会の多い砦の事務官たちはエドワードの態度に辟易していた。
現実を見ようとせず、いつまでも自分は王族だと思い込む男をどう扱っていいものかと。
「……皆、すまない。だが、二つの部族の言葉が分かる人間はエドワードしかいないんだ」
「それなんですけど、近頃レフト族の間で共通語が浸透しつつあります。ほら、あの族長の娘婿。彼がレフト族相手に共通語を教えているようでして、簡単な日常会話なら出来るようになっていますよ。なのでもう、今後はライト族の言語だけ覚えれば事足りると思いません?」
「それならいっそライト族にも共通語を教えた方が早いのでは?」
事務官たちの間で「元王子いらなくね?」という空気が流れつつあるのをラウルは不味いと感じた。自分だって我儘で傲慢なエドワードは好きになれないが、彼を排除してしまうことはアンゼリカの意志に反してしまう。
「分かった。一旦それは俺の方でシオン様に相談してみる」
お願いしますよ、と言い事務官たちは持ち場へと戻った。
残されたラウルは頭を抱えつつもシオンに連絡をとるべく手紙をしたためた。
*
「ああ、事務官たちの希望通りにしてもらって構いませんよ」
早速会う約束をとりつけたラウルは砦に一番近い町へとやって来た。
そこにある少しお高めの喫茶室の個室でシオンと待ち合わせ、事務官たちの要望を伝えると、あっさりと承諾が返ってきた。
「え? ですが……それだとお嬢様の御意思に反するのでは……?」
アンゼリカが望んだからこそエドワードは砦にいる。
散々蔑ろにされた挙句に浮気され、婚約破棄までしてきた屑男相手になんて慈悲深いと感動もした。それなのに、エドワードの存在価値が無くなるような行為をしてしまってはアンゼリカの優しさが無駄になってしまう。
「ラウルさん、貴方まさかお嬢様が慈悲であの元王子様をあそこにやったとお思いで?」
「え……? 違うんですか?」
「お嬢様はそんな甘っちょろい方ではありませんよ。ラウルさん、貴方なら婚約中にも関わらず平然と浮気をするような無礼極まりない婚約者に慈悲をかけてやりますか?」
「いや……無理ですね。不幸な目に遭えと思ってしまいます……」
「そうでしょう? まあ、お嬢様はあの王子が浮気をしていようが気にしていません
けどね。でも……彼はお嬢様の逆鱗に触れたのです。見逃してなどもらえませんよ」
逆鱗? それはいったい……と首を傾げるラウルにシオンは薄く笑いかけた。
「私にもそれが何かまでは分かりません。私のような凡人にはお嬢様の御心全てを理解するなど不可能です」
「はあ……そうですか……」
この人が凡人なら自分は何だろうか。そう考えたが空しくなるので止めた。
「しかしまあ……想像はしていましたけど、何処に行っても尊敬されない人だ。そんなのを次代の王にしようとしていたなんて、現王陛下は気がふれていたとしか思えない」
「ええ、確かに」
どう考えてもあの男が善政を敷くとは思えない。むしろ自分の欲のままに権力を行使するような、歴史上に名を残す愚王になっていたことだろう。
「あの、シオン様は以前あの元王子様に仕えていたんですよね?」
「ええ……お嬢様の御命令で仕方なく。それがどうかしましたか?」
「いえ、それなのにシオン様の名前すら知らなかったのだなと。俺も今の仕事で部下の纏め役をしているから分かるんですけど、まず名を覚えないと信頼関係など築けません。上に立つ者こそ下の者の名を一刻も早く覚えるべきだと実感しました」
「そうでしょう。だからお嬢様はすぐに名を覚えます。あの方の凄いところはそれだけでなく、誰がどのような仕事をしているかまですぐに把握してしまう。私にはとても真似できません。……あの御方こそ、頂点に立つに相応しい」
陶酔した表情でシオンは主君を語った。
その様子から彼は心の底から主君を慕っていることが分かる。
「……つくづく理解できません。どうしてあの元王子様は折角お嬢様と婚約出来たのに、それを自ら破棄するなんて馬鹿な真似をしたのでしょうか?」
「おや? それを説明していませんでしたか?」
「いえ、聞いています。男爵家の庶子に狂ってああなったと。ただ……普通に考えて誰を選べば輝かしい将来が待っているかは分かるじゃないですか? それとも、そんなことすら分からなくなるほどその男爵家の庶子はいい女だったので?」
「いいえ? お嬢様の方が比べ物にならないほど美しいですよ。それに、ラウルさんは似た顔をよく見ておりますし」
「へ? 似た顔? 何ですそれは?」
「そのうち分かります。ああ、それとレフトの族長の娘婿はまだエドワード様に会っていないのですか?」
「あ……そういえばあの娘婿って確か……」
「ええ、是非会わせてあげてください。出来れば族長の娘も一緒にね……」
意味深な微笑みにラウルは背筋が寒くなった。
多分、シオンは何かを企んでいるのだろうが、それが何かまではラウルには予想出来なかった。
「は? いや、あんな態度をとっておいて何を言ってんだ、お前?」
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「何だと! そんな無礼が許されると思っているのか!?」
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「は………………?」
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「アンゼリカだと!? あんな人間味のない人形女が何だと言うんだ!」
それを耳にした瞬間、ラウルの顔は見る見るうちに怒りの色に染まり、激情のままエドワードを殴り飛ばした。
「は……? な、な……お、お前…………」
人生で初めて振るわれた暴力にエドワードは唖然とした。
「口を慎め馬鹿野郎! お前のようにくだらねえ男がお嬢様の悪口言うなんざ許さねえ!! 人間味のない人形だと? こんな辺境の部族を救うために金と労力を惜しみなく使ってくださる女神のような御方に使う言葉じゃねえ!」
それまで聞いたこともないほどの荒々しい口調で声の大きさにエドワードは恐怖で何も言い返せない。体に受けた痛みも、体を硬直させるほどの怒鳴り声も、温室育ちの王子様を脅えさせるには十分だった。
「てめえなんざお嬢様の足元にも及ばねえ! 女の尻ばかり追いかけるしか能のない下半身野郎がお嬢様を悪し様に言うのだけは許さん! 舐めた口をきこうが、舐めた態度をとろうが構わん。だが、お嬢様を悪く言うのは俺が許さない。よく覚えておけ!」
ショックが大きかったのか、エドワードは声も出さずにただ首を縦に振るだけしか出来ない。その姿をラウルは冷めた目で眺めた。
「分かったなら早速仕事にとりかかるぞ」
尻もちをついたままのエドワードの首根っこを掴み、作業用の椅子に座らせる。
「これから外に並んでいる人を順番にここへ呼ぶ。お前は俺の横でそれを通訳しろ。分かったな?」
恐怖でラウルの顔もまともに見ることが出来ない。それでもまた暴力を振るわれることは避けたかったので、エドワードは消え入りそうな声で「分かった……」とだけ呟いた。
そうして最初は不満げな顔を隠しもしなかったエドワードだが、日が経つにつれて砦での生活にもすっかり慣れ…………とはならなかった。
「くっ……どうしてこの私が下々の者に混じってこんな生活を……! いったいいつまでここにいなければならないんだ……」
砦での生活が何日続こうともエドワードは一向に馴染もうとしなかった。
自分はこんな場所にいるべき人間ではない、という傲慢な考えが根底にあるせいで現実というものを見ようともしない。
こんな場所と言うが、ここ以外に彼が行くところなど有りやしない。
それを全く理解しようともしないエドワードに砦内にいる同僚たちは皆心底呆れ果てていた。
「ラウルさん、あの元王子様なんとかならないですか?」
「いつまでここに……とか言っていますけど、何処か行けるものなら行ってほしいですよ、本当に……」
関わる機会の多い砦の事務官たちはエドワードの態度に辟易していた。
現実を見ようとせず、いつまでも自分は王族だと思い込む男をどう扱っていいものかと。
「……皆、すまない。だが、二つの部族の言葉が分かる人間はエドワードしかいないんだ」
「それなんですけど、近頃レフト族の間で共通語が浸透しつつあります。ほら、あの族長の娘婿。彼がレフト族相手に共通語を教えているようでして、簡単な日常会話なら出来るようになっていますよ。なのでもう、今後はライト族の言語だけ覚えれば事足りると思いません?」
「それならいっそライト族にも共通語を教えた方が早いのでは?」
事務官たちの間で「元王子いらなくね?」という空気が流れつつあるのをラウルは不味いと感じた。自分だって我儘で傲慢なエドワードは好きになれないが、彼を排除してしまうことはアンゼリカの意志に反してしまう。
「分かった。一旦それは俺の方でシオン様に相談してみる」
お願いしますよ、と言い事務官たちは持ち場へと戻った。
残されたラウルは頭を抱えつつもシオンに連絡をとるべく手紙をしたためた。
*
「ああ、事務官たちの希望通りにしてもらって構いませんよ」
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そこにある少しお高めの喫茶室の個室でシオンと待ち合わせ、事務官たちの要望を伝えると、あっさりと承諾が返ってきた。
「え? ですが……それだとお嬢様の御意思に反するのでは……?」
アンゼリカが望んだからこそエドワードは砦にいる。
散々蔑ろにされた挙句に浮気され、婚約破棄までしてきた屑男相手になんて慈悲深いと感動もした。それなのに、エドワードの存在価値が無くなるような行為をしてしまってはアンゼリカの優しさが無駄になってしまう。
「ラウルさん、貴方まさかお嬢様が慈悲であの元王子様をあそこにやったとお思いで?」
「え……? 違うんですか?」
「お嬢様はそんな甘っちょろい方ではありませんよ。ラウルさん、貴方なら婚約中にも関わらず平然と浮気をするような無礼極まりない婚約者に慈悲をかけてやりますか?」
「いや……無理ですね。不幸な目に遭えと思ってしまいます……」
「そうでしょう? まあ、お嬢様はあの王子が浮気をしていようが気にしていません
けどね。でも……彼はお嬢様の逆鱗に触れたのです。見逃してなどもらえませんよ」
逆鱗? それはいったい……と首を傾げるラウルにシオンは薄く笑いかけた。
「私にもそれが何かまでは分かりません。私のような凡人にはお嬢様の御心全てを理解するなど不可能です」
「はあ……そうですか……」
この人が凡人なら自分は何だろうか。そう考えたが空しくなるので止めた。
「しかしまあ……想像はしていましたけど、何処に行っても尊敬されない人だ。そんなのを次代の王にしようとしていたなんて、現王陛下は気がふれていたとしか思えない」
「ええ、確かに」
どう考えてもあの男が善政を敷くとは思えない。むしろ自分の欲のままに権力を行使するような、歴史上に名を残す愚王になっていたことだろう。
「あの、シオン様は以前あの元王子様に仕えていたんですよね?」
「ええ……お嬢様の御命令で仕方なく。それがどうかしましたか?」
「いえ、それなのにシオン様の名前すら知らなかったのだなと。俺も今の仕事で部下の纏め役をしているから分かるんですけど、まず名を覚えないと信頼関係など築けません。上に立つ者こそ下の者の名を一刻も早く覚えるべきだと実感しました」
「そうでしょう。だからお嬢様はすぐに名を覚えます。あの方の凄いところはそれだけでなく、誰がどのような仕事をしているかまですぐに把握してしまう。私にはとても真似できません。……あの御方こそ、頂点に立つに相応しい」
陶酔した表情でシオンは主君を語った。
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「……つくづく理解できません。どうしてあの元王子様は折角お嬢様と婚約出来たのに、それを自ら破棄するなんて馬鹿な真似をしたのでしょうか?」
「おや? それを説明していませんでしたか?」
「いえ、聞いています。男爵家の庶子に狂ってああなったと。ただ……普通に考えて誰を選べば輝かしい将来が待っているかは分かるじゃないですか? それとも、そんなことすら分からなくなるほどその男爵家の庶子はいい女だったので?」
「いいえ? お嬢様の方が比べ物にならないほど美しいですよ。それに、ラウルさんは似た顔をよく見ておりますし」
「へ? 似た顔? 何ですそれは?」
「そのうち分かります。ああ、それとレフトの族長の娘婿はまだエドワード様に会っていないのですか?」
「あ……そういえばあの娘婿って確か……」
「ええ、是非会わせてあげてください。出来れば族長の娘も一緒にね……」
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